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JP2001192850A - 摺動部品用表面処理液及び摺動部品の表面処理方法及び摺動部品 - Google Patents

摺動部品用表面処理液及び摺動部品の表面処理方法及び摺動部品

Info

Publication number
JP2001192850A
JP2001192850A JP2000003039A JP2000003039A JP2001192850A JP 2001192850 A JP2001192850 A JP 2001192850A JP 2000003039 A JP2000003039 A JP 2000003039A JP 2000003039 A JP2000003039 A JP 2000003039A JP 2001192850 A JP2001192850 A JP 2001192850A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ions
ion
film
surface treatment
sliding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000003039A
Other languages
English (en)
Inventor
Norio Seki
憲生 関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EBE KATSUO
Original Assignee
EBE KATSUO
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EBE KATSUO filed Critical EBE KATSUO
Priority to JP2000003039A priority Critical patent/JP2001192850A/ja
Publication of JP2001192850A publication Critical patent/JP2001192850A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Chemically Coating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 さまざまな素材の摺動部品において、用途に
応じた特性を備えた皮膜を形成でき、処理設備が簡易
で、薬品管理が容易で且つ低コストな摺動部品用表面処
理液を提供すること。 【解決手段】 摺動部品用表面処理液は、還元剤と、錯
形成剤と、安定化剤と、緩衝剤と、活性剤とを含有して
構成され、ニッケルイオンと、リンイオン又はホウ素イ
オンの中の少なくとも一方の金属イオンと、タングステ
ンイオン、コバルトイオン、パラジウムイオン、レニウ
ムイオン、イットリウムイオン、モリブデンイオン、チ
タンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、ジル
コンイオン、クロムイオン、銅イオン、金イオン、銀イ
オン、亜鉛イオン、鉄イオン、鉛イオン、錫イオン、白
金イオンの金属イオン類の中から選ばれた少なくとも一
種以上の金属イオンとを含有し、pHが9以上14以下
になるように調整される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動性を高める摺
動部品用表面処理液及び摺動部品の表面処理方法及びそ
の表面処理方法により処理された摺動部品に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車エンジン用部品のバルブ
シム、バルブリフター、リテーナ、AT(オートマチッ
クトランスミッション)用部品のスピニングロールなど
に代表される摺動部品は、それが使用される環境や機能
に基づいて耐食性、低摩擦性(フリクション性)、潤滑
性、耐焼付き性、耐摩耗性、耐スカッフィング性など、
様々な特性(以下これらをまとめて摺動性という。)が
要求され、それぞれの金属の特性を生かした銅合金、亜
鉛合金、ステンレススチール、特殊鋼(JISG−44
01、G−4409、G−4403〜G4409、G4
311〜4312、)等の高炭素鋼あるいはクロムやモ
リブデン等を多く含有するSCR鋼やJIS G410
4、G4105、G4202等のSCM鋼が用いられて
いる。さらには、軽量化のためにアルミニウム合金、マ
グネシウム合金や、金属以外にもエンジニアリングプラ
スチックスが用いられたり、耐熱性のためにセラミック
ス等が用いられたりしていた。このような素材から形成
された摺動部品は、その表面に摺動性を向上させるよう
な表面処理が施されているようなものがあった。この表
面処理には、例えばリン酸マンガン系、リン酸亜鉛系、
フッ化塩系、塩基性銅系の結晶性化成皮膜を形成させて
表面処理をするものがあった。この摺動部品の表面上に
おける結晶性の化成皮膜は、比較的厚い皮膜が形成で
き、皮膜の硬度も高かったので耐食性や初期馴み性の点
では有効であった。また、リン酸鉄系の化成皮膜形成剤
によりモリブデン、タングステン、銅イオン等を含有す
るアモルファス(非晶質)鉄系の複合金属酸化皮膜を形
成させて表面処理をするものもあった。この複合金属酸
化皮膜では、より緻密で摩擦係数が低い皮膜とすること
ができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リン酸
マンガン系、リン酸亜鉛系、フッ化塩系、塩基性銅系の
結晶性化成皮膜や、リン酸鉄系の皮膜形成剤にモリブデ
ン、タングステン、銅の金属イオン等を含有する非晶質
系の複合酸化皮膜では、いずれも摺動面の面粗度が粗い
ため金属部品間の摩擦係数が大きく、耐摩耗性、耐焼付
性、潤滑性、及び形成された皮膜の均一性に欠けるとい
う問題があった。
【0004】具体的には、金属摺動部品表面に形成され
た化成皮膜の剥離前後の面粗度においてリン酸マンガン
系ではRz値(JIS)2.0〜2.5μm、リン酸鉄
系複合酸化膜においてもRz値0.4〜0.8μmと粗
かった。なお、表面粗さの測定には、株式会社ミツトヨ
製サーフテストSV402を使用した(以下同じ。)。
【0005】また、モリブデン、タングステン、銅等の
金属イオンを含有するリン酸鉄系の化成皮膜形成剤によ
る皮膜ではアモルファス(非晶質)系の複合金属酸化皮
膜となり、緻密で摩擦係数も低い皮膜とすることができ
たが、膜厚が薄く、またエッチングにより摺動部品の素
材表面の面粗度を粗し耐摩耗性を低下させて摺動性が悪
化し、実車に搭載したバルブシムによる実車試験におい
ても2,000km〜3,000kmの走行により剥離
を生じた。また膜厚を厚くしようとすれば結晶性の金属
が成長するためアモルファス性を維持したまま膜厚を厚
くすることは困難であった。
【0006】また、これらの化成皮膜の他にも、アルミ
合金製の摺動部品用皮膜においては電解処理法による硬
質アルマイト処理(アルマイトは登録商標名)が、一部
採用されていた。あるいは電気めっき等の皮膜も採用さ
れたが、これらは、コストが高くまた、いずれも均一性
に欠けピンホールを生じたりすることがあるという問題
があった。また、セラミックス、樹脂類等の摺動部品に
おいては、不導電体であり電気メッキができず、硬質ア
ルマイト処理もできないという問題があった。
【0007】この発明は上記課題を解決するものであ
り、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅等の合金、ある
いはセラミックス、樹脂等から形成されるさまざまな素
材の摺動部品において、用途に応じた耐食性、低摩擦
性、潤滑性、耐摩耗性、耐焼付性等の特性を備えた皮膜
を形成でき、処理設備が簡易で、薬品管理が容易で且つ
低コストな摺動部品用表面処理液及び摺動部品の表面処
理方法及び摺動部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決する手段として、摺動部品の素材の表面粗さを、R
a値(JIS)0.03μm以下、望ましくは、Ra値
0.01μm〜0.02μm程度に小さくし、且つこの
平滑化された素材表面の面粗度を粗すことのない特殊な
摺動部品用処理液で表面処理をすることにより摺動性の
高い摺動部品を製造できる表面処理方法を開発し、この
表面処理方法により表面処理した摺動部品において上記
課題を解決することに成功した。
【0009】まず、摺動部品の優れた摺動特性を発揮す
るためには、平滑度の高い皮膜を表面に形成することが
必要であり、そのためには素地の平滑度を高く維持する
ことが摺動性の高い皮膜を形成する前提であることに着
目した本発明者は、まずその素地表面調整法を検討し
た。ここで、機械による切削、ダイヤモンド砥石等によ
る研磨では、量産性に欠け、面粗度が均一化しないとい
う欠点を有し、面粗度が均一に平滑化されていない摺動
表面には、平滑化された皮膜が形成できない。そこで、
本発明者は、機械的、物理的研磨方法に加え、化学的研
磨方法を採り入れることにより面粗度を高いレベルで均
一にして平滑化させることに成功した。ここで、化学的
研磨法により単一時間内に、エッジ部を研磨することな
く必要なフラット面のみを研磨するためには、研磨性に
優れたコンパウンドと光沢性と平滑性とを同時に与える
特殊なコンパウンド剤が必要となる。具体的には、アル
キルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンジアミン
四酢酸四ナトリウム、ポリオキシエチレンオキシプロピ
レングリコールを主基材としてアルカリ無機塩のビルダ
ーを配合した組成を配合した組成のコンパウンドを用い
る。アルカリ無機塩としては、トリポリリン酸ナトリウ
ム、ピロリン酸ソーダなどが用いられる。その結果、こ
の化学的研磨方法により、均一な面粗度を備えた摺動部
品を量産できるようになり、摺動部品の表面の面粗度が
Ra値(JIS)で0.02μm以下、Rz値で0.1
2μm以下、好ましくはRa値0.015μm、Rz値
0.10〜0.12μmに調整される。
【0010】ここで、望ましい摺動部品の条件の1つと
して、摺動部品間の相対滑り運動部分において各種要因
により局部的に固体接触状態となり摩擦熱の発生により
溶着または固着し、その部分がむしり取られる現象であ
るスカッフィングを生じず、且つ摩擦係数が低いことが
挙げられる。このような高い耐スカッフィング性、低摩
擦性を得るためには、上記のように極めて平滑に形成さ
れた摺動部品の表面上に、その面粗度を皮膜によって粗
さないように面粗度をRa値0.03μm以下、Rz値
0.15μm以下の均一に平滑化された皮膜を形成し、
その皮膜がアモルファス性に富んだ硬質且つ緻密な金属
により形成されることが必要と本発明者は考えた。
【0011】そこで、本発明者は、設備が大掛かりにな
る電気めっきや、電解による硬質アルマイト処理皮膜で
はコストが高く、又用途に応じた特性を備えた皮膜を形
成することができず、さらにいずれも均一性に欠けピン
ホールを生じたりすることがあるという問題があったた
め、これ以外の皮膜で、これと同等あるいはそれ以上の
諸性能を有する皮膜を模索した。そしてこのような皮膜
を開発するために、試作実験を重ねて試行錯誤し、アモ
ルファス性複合金属皮膜とすることが、摺動部品表面に
おいて優れた摺動性を付与することに有効であると考
え、通常の無電解めっきによって平滑な摺動部品の表面
に、その表面粗度を粗らさない硬くて耐摩耗性の高い平
滑な皮膜が形成できると考えた。そこで、本発明者は、
最初市販の無電解めっき用の処理液により処理にするこ
とを考え、実験を行った。
【0012】(実験1)ここで、発明者が行った市販の
無電解めっき用の処理液により処理された摺動部品の摺
動皮膜を形成した実験1を説明する。市販の無電解めっ
き用の処理液には、例えば荏原ユージライト株式会社製
のエンパックRE−MU−II(Ni−P系)、ユニパ
ックBN−S、M、R(Ni−B系)、エバシールドE
C(Cu系)、奥野製薬株式会社製のトップニコロンL
PH−S(Ni−P系)、トップケミアロイ66−M、
1、2(Ni−B系)、カパラシド(Cu系)、キザイ
株式会社製のナイコーME−AR(Ni−P系)、ナイ
コーボロン(Ni−B系)、SEL−カッパ(Cu系)
の各Ni−P系、Ni−B系、Cu系の種々の処理液が
用いられている。このうちNi−P系、Ni−B系の各
処理液による処理を以下に説明する。
【0013】 Ni−B系処理液である、ユニパック
BN−S、M、R、ナイコーボロン、トップケミアロイ
66−M、1、2に関しては、処理液の温度を63℃〜
65℃に調整し、pHを、6.0から6.5に調整し、
溶解性ニッケル(Ni2+)の濃度を6g/l〜6.5
g/lに調整して処理を行った。
【0014】 Ni−P系の処理液である、エンパッ
クRE−MU−II、トップニコロンLPH−S、ナイ
コーME−ARに関しては、処理液の温度を89〜91
℃に調整し、pHを、エンパックRE−MU−IIにつ
いては5.0、他の処理液は6.5に調整し、また、溶
解性ニッケル濃度が、エンパックRE−MU−IIにつ
いては7g/lに、他の処理液については、ニッケル濃
度が6.5g/lに維持して処理を行った。
【0015】ここでは、代表してナイコーME−AR
(Ni−P系)及びナイコーボロン(Ni−B系)を用
いた実験についてさらに詳細に説明する。テスト方法と
して、使用したテストピースは、Ra値0.01〜0.
02μmに調整され研磨された直径約28〜31mmで
厚さ約2.3〜2.9mmのSCM415製のものを使
用し、各メーカー指定の作業標準に沿って以下の通りの
工程において皮膜形成を行った。なお、メーカー指定の
作業標準の工程は、ナイコーME−AR(Ni−P系)
及びナイコーボロン(Ni−B系)のいずれも浸漬脱
脂、水洗、電解脱脂、水洗、酸活性、水洗、
ナイコーME−AR(Ni−P系)、ナイコーボロン
(Ni−B系)の順に処理をするものである。また、素
材に応じてとの処理工程の間にNi電析ストライク
めっき工程を行うものである。
【0016】ここで、図1は実験1における処理の工程
を示す図である。皮膜形成の処理の工程は、いずれの場
合も図1に示すように上記メーカー指定の作業標準の工
程に準じ、まず脱脂1をし、続いて1回目水洗2、Ni
−P,Ni−B皮膜形成3、2回目水洗4、湯洗5、乾
燥6の順に行った。各工程の詳細は、以下のようであ
る。
【0017】脱脂1は、弱アルカリ系脱脂剤を用い、温
度70℃で10分間揺動させながら浸漬した。テストピ
ースの揺動は、ハンドリングによった(以下の揺動につ
いても同様の処理を行った。)。次に1回目水洗2を、
水道水を常時オーバーフローすることにより行った。そ
のときの温度は室温で、2分間揺動させながら浸漬し
た。次に、Ni−P,Ni−B皮膜形成3の処理を行っ
た。Ni−P,Ni−B皮膜形成3の工程では、処理液
はそれぞれナイコーME−AR(Ni−P系)(180
g/l)と、ナイコーボロン(Ni−B系)(180g
/l)を用い、pHは、水酸化アンモニウム(NH
H)あるいは硫酸(HSO)を適宜添加してメーカ
ー所定のpH6.5とし、溶解性ニッケル濃度を6.0
g/lとした。温度条件はナイコーME−AR(Ni−
P系)の場合で89〜91℃、ナイコーボロン(Ni−
B系)の場合では、63〜65℃とし、それぞれ20分
間揺動させながら浸漬した。その後2回目水洗4を、水
道水を常時オーバーフローすることにより揺動させなが
ら行った。湯洗5は、75〜85℃に加熱した水道水を
常時オーバーフローさせながら2分間揺動させながら浸
漬し、最後に自己熱を利用した自然乾燥による乾燥6を
行った。
【0018】実験1の結果、上記工程及び上記条件によ
り形成された皮膜を調べた結果、ナイコーME−AR
(Ni−P系)及びナイコーボロン(Ni−B系)のい
ずれの場合もSCM415製のテストピースに形成され
た皮膜は、膜厚が約5〜10μmで、硬度がHv500
前後の厚くて硬い皮膜が形成された。しかしながら、皮
膜の密着性が悪く、未処理のテストピースのエッジ部分
で軽く擦った引っ掻きテスト程度で簡単に剥離してしま
った。これは、他の市販の処理液においても同様の結果
であった。
【0019】この問題は、摺動部品に用いられるクロム
・モリブデンを多量に含有する特殊鋼ステンレス、高炭
素鋼等において、アルミニウム、ニッケル、コバルト、
クロムなどが、摺動部品の金属表面において不動態化皮
膜を形成することに起因すると考えられた。そうであれ
ば、この種の合金においては、混酸(例えばリン酸、硫
酸、硝酸の中から1種以上と酸性フッ化安門等を添加し
たもの)から成る処理液にて金属表面の活性化処理を行
うか、又はメーカーの指定する工程にあるように、その
後に電解法による大電流を流し且つ特殊な浴組成による
電析ストライクめっきによる薄いニッケルまたは亜鉛の
めっき層を形成した後でなければ、ニッケル−リン系及
び、ニッケル−ホウ素系の還元作用を行う皮膜形成方法
においては完全に皮膜が密着せず、剥離しやすいという
ことが判った。そして、実際に活性化処理または電析ス
トライクめっきによる処理を行なった後でニッケル−リ
ン系またはニッケル−ホウ素系の皮膜処理を行うことで
若干摩擦係数は高いが、密着性の高い皮膜の形成をする
ことができた。
【0020】しかし、本発明者は、前述のように面粗度
を粗らすことなく摺動皮膜を形成させるという考えか
ら、酸類等によるエッチング活性化処理をすれば摺動部
品の面粗度を悪化させるため、たとえ密着度が高くなる
処理であってもこのような酸類等によるエッチング活性
化処理は採用できず、またメーカー指定の電析ストライ
クめっきを行うことは、処理が大掛かりになり、製造コ
ストも上昇するため、採用できなかった。また、不動態
化皮膜を形成しない金属であっても、酸類等によるエッ
チングは面粗度を粗すために望ましくないと考えた。
【0021】そこで、本発明者は、図1における1回目
水洗2の工程と、上記実験1において使用した処理液ナ
イコーME−AR(Ni−P系)、ナイコーボロン(N
i−B系)によるNi−P,Ni−B皮膜形成3の処理
の間に、複合多次元金属、例えばニッケル−タングステ
ン−リン系の複合三次元金属のアモルファス皮膜を用い
て皮膜を形成する工程と、水洗処理の工程を加えて処理
をすることで密着性が良い皮膜が形成されると予想し、
後に詳述するようにニッケル−タングステン−リン系等
の複合三次元金属のアモルファス皮膜を形成したとこ
ろ、摺動部品表面に密着性よく形成されたニッケル−タ
ングステン−リン系等の複合三次元金属のアモルファス
皮膜の上に、ニッケル−リン系又はニッケル−ホウ素系
の還元作用を行う皮膜が、極めて密着性がよく形成され
ることを見出した。
【0022】このようにして密着性が良好に形成された
ニッケル−リン系又はニッケル−ホウ素系の皮膜は、膜
厚も厚く、硬質で光沢性がある皮膜となった。このよう
な硬質で膜厚の厚い皮膜を密着性よく形成することで、
耐食性、初期馴染み性の良い皮膜とすることができた。
【0023】しかしながら、用途を金属間の摺動部品と
して使用する場合には、膜厚が15μm以上になると皮
膜表面の面粗度が粗く、摩擦係数が過大であることが判
った。摺動部品として使用する場合には、いくら硬質で
あっても摩擦係数が大きければ金属間の摺動による攻撃
に対する耐摩耗性においては必ずしも有効であるとはい
えない。また、従来より例えばカムに接触、摺動するバ
ルブシムのように金属同士が接触する摺動部品の皮膜に
おいては、ニッケル−リン系、ニッケル−ホウ素系の硬
質な皮膜を膜厚が15〜50μm程度になるように形成
していたが、このような皮膜の組織構成においては、ア
モルファス系の組織は失われ、NiPからNiPへ
と変化した金属粒子層が結晶化され、高い硬度が維持さ
れている。これは、熱処理を加えることによっても同様
の性状となりうるものであるが、皮膜の表面の極一部の
薄い膜層においては、摩擦係数は十分低いと思われる。
しかし、長時間使用することで、この皮膜の表面の極一
部の薄い膜層において形成された摩擦係数の低い部分の
硬度と膜厚の程度では摺動部品間による攻撃により簡単
に剥離され、摩擦係数が高い結晶質の層が露出してしま
うという問題があった。
【0024】この結果から本発明者は、摺動部品の表面
皮膜は、低摩擦係数のアモルファス性の皮膜から構成さ
れたものであることが望ましいものと考えた。そして、
上記開発過程において、以下に述べる実施例を通して、
複合多次元金属をアモルファス性の高いナノメータクラ
スの超微粒子金属皮膜を維持したまま皮膜を発展させ、
摺動部品表面をエッチングにより粗さずその平滑性を保
持したまま皮膜を積層させるには、複数の金属イオンの
供給源と、適当な還元剤と、適当な金属錯化剤等を用
い、この処理液のpHを9以上14以下の範囲になるよ
うに浴組成及び処理液のコントロールすることで、摺動
部品の表面を粗さず、極めて緻密で均質な皮膜が形成で
きる具体的方法を見い出した。
【0025】また、望ましくは複数種類の金属粒子を複
合的に皮膜中に共析させることが有効であることを見い
出した。さらに望ましくは摺動部品の使用目的に応じて
その特性に応じた金属を皮膜中に保持できるような連続
相をもったマトリックスを構成した皮膜であることも見
出した。そして、このようなマトリックスは、ニッケル
−リン系もしくはニッケル−ホウ素系の複合皮膜が適し
ており、特にタングステンを含有した皮膜は、高い硬度
を実現できることを見出した。
【0026】そして、コイン状メタルエッジでの引っ掻
きテスト、流動遠心バレル内において攻撃性の高いアラ
ンダム製の鋭角を有した変形メディアとともに高速回転
させるテストにおいて、皮膜の密着性が高く剥離しにく
い皮膜が形成されるという効果を確認した。
【0027】このようなアモルファス性の高いナノメー
タクラスの超微粒子金属皮膜が積層された皮膜では、皮
膜自体の耐摩耗性が高くなるばかりでなく、表面が極め
て平滑に形成されることと併せ、摩擦係数が極めて低く
なるため、摺動部品として長期にわたり使用しても低い
摩擦係数を維持するため、高い耐久性を示すことができ
る。
【0028】なお、このようなアモルファス性の高いナ
ノメータクラスの超微粒子金属皮膜には不動態化皮膜は
形成されないため、この皮膜の上に別の皮膜を密着性良
く担持することができる。例えば、前述のようなニッケ
ル−リン系又はニッケル−ホウ素系などの皮膜などのよ
うに硬質の皮膜が形成されるが、摺動部品の素材により
不動態化皮膜のため密着性に問題があった皮膜であって
も、本発明による皮膜を介することにより、そのような
密着性の劣る皮膜を外部に担持して密着性の高い2層構
造とすることができる。そのため、接触する摺動部品の
馴染みができるまで外部の層により摺動することで馴染
み性を良くし、この外部の層が摩耗した後に、摩擦係数
が低く耐摩耗性に優れた硬質なアモルファス性の高い材
料から成る内部の層が露出し、この内部の層で摺動する
ことで極めて低い摩擦係数と、極めて高い耐摩耗性を達
成することも見いだした。例えば、自動車エンジンのカ
ムとこれと摺動するシムにおいて適用した場合は、最初
はカムが硬度の高い上層の皮膜と摺動し、カム自体の表
面が平滑にされ、上層の皮膜が摩耗した段階で下層の低
い摩擦係数の皮膜が露出する。その結果、形状的に馴染
みができたカムとシムが極めて摩擦係数が低い平滑度の
高い面において摺動することで、極めて高い耐久性と低
い摩擦係数を得て、極めて長時間低い摩擦係数で摺動を
させることが可能になる。つまり、摺動部品の使用目的
により、アモルファス性の高いナノメータクラスの超微
粒子金属皮膜を維持したまま皮膜を発展させて積層状に
形成したものと、性質の異なる皮膜を外部に密着性よく
形成した皮膜から成る2層構造としたものとを目的によ
って使い分けることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る摺動部品用表
面処理液及び摺動部品の表面処理方法及びこの表面処理
方法で処理された摺動部品を好ましい実施の形態である
実施例により説明する。
【0030】(実施例1)以下に、実施例1の処理例1
の浴組成を表す表1を示す。
【0031】
【表1】
【0032】実施例1の処理工程は以下のようである。
ここで図2は、実施例1の処理の工程を示す図である。
処理は、脱脂101、1回目水洗102、Ni−W−P
皮膜形成103、2回目水洗104、湯洗105、乾燥
106の工程により行う。基本的な工程は、Ni−W−
P皮膜形成103を除き実験1と同様である。各工程の
詳細は、以下のようである。
【0033】(イ)脱脂101の工程に関しては、非シ
リケート系の弱アルカリ性のビルダーを基剤とし光沢鏡
面研磨された摺動部品表面の濡れ性に最も重点を置いた
界面活性剤(第一工業製薬社製プライサーフA−215
C)を使用し、また後工程の皮膜構成要素となる金属塩
微粒子(サーフェイステックス社製CT−1)をバイン
ダーとして用いることを特徴とした脱脂処理液とする。
この処理液で70℃で揺動しながら10分間浸漬した。
揺動はハンドリングによった(以下の各実施例における
揺動についても同じである。)。
【0034】(ロ)次に1回目水洗102の処理を水道
水をオーバーフローさせ、揺動させながら2分間浸漬し
て行い、水ハジキ等のないことを確認する。
【0035】(ハ)次にNi−W−P皮膜形成103の
処理を行った。浸漬において、処理温度は、89〜95
℃であり、ここでは89〜91℃とし、浸漬時間は15
〜20分とした。また、浸漬中は揺動した。Ni−W−
P皮膜形成103の処理に使用する処理液は、表1に示
すようなものを用いた。
【0036】処理例1では、ニッケルイオンとして硫酸
ニッケルの水和物(NiSO・6HO)を20g/
l含有する。硫酸ニッケルの水和物は14〜84g/
l、好ましくは20g/l含有させる。タングステンイ
オンとしてタングステン酸ナトリウムの水和物(Na
WO・4HO)を35g/l含有する。タングステ
ン酸ナトリウムの水和物は、16〜98g/l、好まし
くは35g/l含有させる。なお、ニッケルイオンの供
給源としては、塩化ニッケル、酢酸ニッケルなども好ま
しい。また、処理液中に含有される溶解性ニッケルとし
て6〜7g/l、望ましくは6.5g/lであり、処理
例1においては、溶解性ニッケルを6.0〜7.0g/
lに調整した。
【0037】なお、処理液に含有される金属イオンは、
ニッケルイオン、タングステンイオン、リンイオンに限
定されず、ニッケルイオンと、リンイオン又はホウ素イ
オンの中の少なくとも一方の金属イオンと、タングステ
ンイオン、コバルトイオン、パラジウムイオン、レニウ
ムイオン、イットリウムイオン、モリブデンイオン、チ
タンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、ジル
コンイオン、クロムイオン、銅イオン、金イオン、銀イ
オン、亜鉛イオン、鉄イオン、鉛イオン、錫イオン、白
金イオンの金属イオン類の中から選ばれた少なくとも一
種以上の金属イオンとを含有したものによっても実施が
できる。
【0038】(ニ)次に還元剤として次亜リン酸ナトリ
ウムの水和物(NaHPO・HO)を15g/l
含有する。次亜リン酸ナトリウムの水和物は、5〜50
g/l、望ましくは15g/lを含有させる。その結
果、次亜リン酸塩中のリンを複合金属皮膜成分中に2〜
15(重量%)、望ましくは、8〜12(重量%)含有
させる。この範囲で配合することにより皮膜のアモルフ
ァス性が低下することなく、高耐食性、高潤滑性、低摩
擦性を維持し得る。
【0039】なお、還元剤は次亜リン酸ナトリウムに限
定されず、亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素のナトリ
ウム塩若しくはカリウム塩、ジメチルアミンボラン、ジ
エチルアミンボラン、ヒドラジン類、ホルムアルデヒド
類、ロッシエル塩類、ブドウ糖類等の中から選択するこ
とができる。
【0040】(ホ)本処理例1では錯形成剤として、ク
エン酸(C)を20g/l含有する。クエン
酸の濃度は、10〜25g/l、望ましくは20g/l
である。また、エチレンジアミン四酢酸塩類の水和物
(以下EDTA・4HOと略記する。)を10g/l
含有する。EDTA・4HOは、少なくとも5g/l
〜50g/l、望ましくは、10g/l含有させる。
【0041】錯形成剤は、ニッケル、タングステン、リ
ンの金属イオンがリッチに含有させてあるため、皮膜形
成時に最低限必要な金属イオン以外の金属性物質を不活
性なイオンに錯化させることにより、処理液の長期安定
性を計り、形成される皮膜中のニッケル、タングステ
ン、リンの含有率を平均化させる不可欠な要素となる。
また、皮膜化成反応中に生じる鉄分等不純物質を皮膜組
織中に含有させないことも皮膜品質改善策となる。さら
には、水酸化ニッケル及び亜リン酸ニッケルの沈殿を抑
制し、ニッケルイオン、リンイオンの安定化を図り、皮
膜形成を安定させると共に、浴の自然分解を防止し、皮
膜表面のザラつき防止に寄与する。
【0042】なお、錯形成剤は、クエン酸、EDTAに
限定されるものではなく、酒石酸・乳酸・グリコール酸
等のオキシカルボン酸及びそのアルカリ塩類、マロン酸
・コハク酸・マレイン酸等のジカルボン酸及びそのアル
カリ塩類、アンモニア・トリエタノールアミン・エチレ
ンジアミン等のアミン、グリシン・アラニン等のアミノ
酸、ピリジン等の中から選択できる。
【0043】(ト)本処理例1では、pH調整剤を、ア
ンモニアアルカリ塩として塩化アンモニウム(NH
l)を5g/l含有する。塩化アンモニウムは、5.3
〜53.5g/l含有することが望ましい。この処理液
は、60℃〜85℃の比較的低温でリンの含有率とアモ
ルファス性を高める効果と、皮膜の生成温度を早める効
果があり、その後に無機アルカリ塩である苛性ソーダ
(NaOH)でpHを最終コントロールして、所定値で
あるpH9〜10に調整する。
【0044】なお、pH調整剤は、アンモニアアルカリ
塩、苛性ソーダに限定されず、炭酸ナトリウム等の無機
アルカリ塩類、アンモニアを含む有機アルカリ塩基、硫
酸・塩酸等の無機酸、スルファミン酸等の有機酸などの
中から選択できる。
【0045】本処理例1では、pH変動を抑制する緩衝
剤として、重合リン酸塩であるピロリン酸ソーダ(Na
)と、ホウ素としてホウ酸(HBO)含
有することが望ましい。一般に市販されている処理液は
いずれもプロピオン酸、酢酸塩等を含有したpH域が酸
性側のpH4〜6.5域の処理液で、その特徴としては
ニッケルイオンを殆ど錯形成しないモノカルボン酸は摺
動部品の素材と反応する電極界面のpH変動を緩衝、抑
制することによってめっき速度が早まり、即ち単位時間
当たりの皮膜厚が増大するが、皮膜組織中のPの含有量
は低下することからアモルファス性が失われ結晶化し、
初期においての摩擦係数は低いが、長時間の連続した摺
動においては摩擦係数が大きくなる要因となる。
【0046】そこで、本処理例1の処理液では、ピロリ
ン酸ソーダを3〜6g/l、ここでは5g/l、ホウ酸
を5〜15g/l、ここでは、10g/l含有したもの
を採用しpHをアルカリ性に維持することによりアモル
ファス性を消失させることなく皮膜速度を高める。
【0047】なお、pH変動を抑制する緩衝剤として、
目的によりホウ酸、炭酸類、酢酸、酪酸、プロピオン
酸、吉草酸、若しくはこれらのアルカリ塩類の中から選
択できる。ここでは炭酸ナトリウム(NaCO)を
3g/l含有する。
【0048】なお、自然分解を抑制するために処理液中
の微粒子を吸着する安定化剤として尿素(HNCSN
)が0.1g/l含有される。安定化剤としては、
尿素の他、チオ尿素、或いは硫化鉛・塩化鉛・塩化アン
チモン等の有機吸着剤の中から選ばれた少なくとも一種
以上を含有することが望まれる。
【0049】また、活性剤として、アニオン系水溶性特
殊ポリマー、カチオン系水溶性特殊ポリマー、アニオン
系エトキシレートαナフトールスルホン酸、ノニオン系
多鎖型高分子量ノニオン活性剤、アニオン系ジアルキル
スルホコハク酸エステルナトリウムエーテル、ノニオン
系高分子量ポリエチレングリコール等の中から選ばれた
少なくとも一種以上を含有することが望ましい。ここで
はアニオン系エトキシレートαナフトールスルホン酸を
1g/l含有する。
【0050】さらに、処理例1においては、硫酸銅の水
和物CuSO・5HOを10g/l含有する。硫酸
銅は、銅イオンを供給し、皮膜の耐食性、展延性、接触
抵抗性が良くなり、導電膜としても使用できる。また、
銅イオンを含有すれば皮膜が酸化分解効果による抗菌、
殺菌、腐敗防止効果を得る。さらに銅イオンを含有する
ことで、遠赤外線酸化分解による抗菌効果が生じ水及び
特に水溶性油剤の腐敗防止の効果を生じる。
【0051】皮膜形成後、2回目水洗104の処理を、
水道水を常時オーバーフローすることにより揺動させな
がら行った。湯洗105は、75〜85℃に加熱した水
道水を常時オーバーフローさせながら2分間揺動させな
がら浸漬し、最後に自己熱を利用した自然乾燥による乾
燥106を行った。
【0052】上記処理を行った摺動部品は、SCM41
5のテストピースと同様のコイン状メタルエッジでの引
っ掻きテスト、流動遠心バレル内において攻撃性の高い
アランダム製の鋭角を有する変形メディアとともに高速
回転させるテストにおいて、コイン状メタルエッジによ
っては傷が生じず、皮膜が剥離することもなかった。ま
た、流動遠心バレルによるテストによっても皮膜が剥離
するようなことはなかった。上記実験結果から、処理例
1に述べたような表面処理を行った摺動部品では、使用
当初から長期間連続使用した場合の摺動性においても、
安定した低摩擦性が維持できるという効果が確認でき
た。
【0053】なお、ニッケル−リン若しくはニッケル−
ホウ素による皮膜の形成においては、ニッケル−リン若
しくはニッケル−ホウ素によるマトリックスが形成され
た構造となり、各種の金属を安定して皮膜内に含有させ
ることができるので、含有させる金属イオンを変化させ
ることにより皮膜に含有される金属の構成を変化させ種
々の特性を持たせることができる。
【0054】例えば、本処理例1の処理液のようにタン
グステンを含有すれば、硬度が高まるという効果があ
る。また、銅イオンを含有すれば耐食性、展延性、接触
抵抗性が良くなり、導電膜としても使用できる。また、
本処理例1に記載の銅イオン以外にも、イットリウムイ
オン、チタンイオン、バナジウムイオン、ジルコニウム
イオン、銀イオンの各イオンを含有することによっても
遠赤外線酸化分解による抗菌効果が生じ水及び特に水溶
性油剤の腐敗防止の効果を生じる。また、銅イオン以外
にもチタンイオン、ジルコニウムイオン、銀イオン、白
金イオンを含有することにより酸化分解効果による抗
菌、殺菌、腐敗防止効果を得る。本処理例1の処理液に
含有されたイオン以外においても、チタンイオン、バナ
ジウムイオンを含有すれば超電導効果、高靱性、高融点
を得ることができる。さらに、白金イオン、バナジウム
イオン、イットリウムイオン、チタンイオンを含有する
ことにより触媒効果による接触分解効果があり、例えば
NOx,SOx,CO等の分解を行う。タンタルイオ
ン、パラジウムイオンを含有することにより耐食、耐摩
耗性が向上し、鉄イオン、コバルトイオン、マンガンイ
オン、ホウ素イオンを含有させることにより皮膜を磁性
材料として使用することができる。また、レニウムイオ
ンを含有すれば高融点を備えた耐熱性材料とすることが
できる。なお、イオン構成は、3種類に限らず4種類以
上の構成とすることもできる。このように処理液中のイ
オンを複数種類のイオンにより構成することで高い摺動
性を備えるとともに、使用目的により処理液に含有させ
る金属イオンの種類を変更しその皮膜の特性を適正なも
のとすることができる。
【0055】さらに、処理例1の皮膜形成では、処理液
のpHが9〜10に維持されるので、酸による摺動部品
の表面のエッチングが行われず、化学的研磨方法により
鏡面処理された摺動部品の面粗度を粗すことがなく、皮
膜表面の面粗度もこれにより高いレベルを維持すること
ができる。そのため、使用開始時においても摩擦係数が
小さいばかりか、ある程度摩耗して皮膜が薄くなって
も、摺動部品の自体が露出しにくく、長時間にわたり摩
擦係数が小さい状態を維持することができる。
【0056】(処理例2)ここで、本実施例1の処理例
2について説明する。表2に処理例2の処理液の配合を
示す。
【0057】
【表2】
【0058】処理例2においては、図2のNi−W−P
形成皮膜103の工程の処理液のpHを9〜10とし、
89〜93℃で20分の処理を行った。その結果、密着
性が良好になり、摩擦係数も小さくなった。そして皮膜
表面の光沢性も良く、耐食性、硬度共に良好になった。
また面粗度はRa値0.015μmと良好であった。
【0059】(処理例3)ここで、実施例1の処理例3
について説明する。表3に処理例3の処理液の配合を示
す。
【0060】
【表3】
【0061】処理例3においては、図2のNi−W−P
形成皮膜103の工程の処理液のpHを7〜8.5と
し、89〜93℃で20分の処理を行った。ニッケルイ
オンやタングステンイオンを増加させ錯形成剤であるク
エン酸ナトリウムを増量した。その結果、密着性は良好
であったが、摩擦係数が大きく、表面が白色がかった無
光沢の皮膜となり、目視においても面粗度が粗くなった
ことが分かり、測定値においても面粗度が上昇してRa
値で0.06μm程度となり摺動皮膜には適さない結果
となった。
【0062】なお、pHを9以上に調整したとき、特に
pH11.5以上では良好な皮膜を得ることができた。
そのため、イオンの含有量の差がなくても、pHにより
皮膜の平滑さにpHが重要な影響を与えていることが明
らかになった。つまり、pHが9以上が素材生地の表面
をエッチングにより粗さないため望ましく、特にpH1
1.5以上が平滑度の高い皮膜の形成には望ましいこと
がわかった。
【0063】(処理例4)ここで、実施例1の処理例4
について説明する。表4に処理例4の処理液の配合を示
す。
【0064】
【表4】
【0065】処理例4においては、図2のNi−W−P
形成皮膜103の工程の処理液のpHを6.5とし、8
9〜93℃で20分の処理を行った。酸性タイプの処理
液を用いて比較のため処理を行ったものである。その結
果、密着性は良好であったが、摩擦性が悪く、酸による
エッチングの影響で無光沢で面粗度がRa値0.06μ
mと上昇し、摺動皮膜には適さない結果となった。
【0066】(処理例5)次に、実施例1の処理例5に
ついて説明する。表5に処理例5の処理液の配合を示
す。
【0067】
【表5】
【0068】処理例5においては、図2のNi−W−P
形成皮膜103の工程の処理液のpHを6.5とし、8
9〜93℃で20分の処理を行った。このタイプも酸性
タイプであり、特にNiSO・6HOとNaWO
・2HOの含有量を増加させたものである。その結
果、密着性は良好であったが、ニッケルイオン及びタン
グステンイオンは増加しても、酸によるエッチングの影
響から皮膜表面は白色でザラつき無光沢で摩擦性が悪
く、面粗度がRa値0.06μmと上昇し摺動皮膜には
適さないことがわかった。
【0069】(処理例6)次に、実施例1の処理例6に
ついて説明する。表6に処理例6の処理液の配合を示
す。
【0070】
【表6】
【0071】処理例6においては、図2のNi−W−P
形成皮膜103の工程の処理液のpHを11〜12と
し、89〜93℃で20分の処理を行った。このタイプ
は、アルカリタイプであり、必要な助剤以外を含まない
ものである。その結果、処理例2と略同等の結果で、密
着性が良好になり、摩擦係数も小さくなった。そして皮
膜表面の光沢性も良く、耐食性、硬度共に良好になっ
た。また面粗度はRa値0.015μmと良好であっ
た。但し処理例2より皮膜の膜厚が若干薄目であった。
従って、pHの管理により素材生地の酸によるエッチン
グを防止できることがわかった。そして、処理例6に含
まれておらず、処理例2に含まれている助剤等が皮膜の
膜厚を厚くすることがわかった。
【0072】(処理例7)ここで、処理例7について説
明する。表7に処理例7の処理液の配合を示す。
【0073】
【表7】
【0074】処理例7の処理液は、Ni−B系の皮膜で
あり、実験1と同様の工程により処理をして、図1のN
i−B形成皮膜3の工程の処理液のpHを11.7と
し、90から92℃で20分の処理を行った。その結
果、光沢、面粗度、摩擦係数の点で良好な皮膜が密着良
く得られた。従って、Ni−B系の皮膜においても、p
Hを11.7に維持すれば、面粗度が良好な皮膜を得ら
れることがわかった。
【0075】(処理例8)ここで、処理例8について説
明する。表8に処理例8の処理液の配合を示す。
【0076】
【表8】
【0077】処理例8においては、実験1と同様の工程
により処理をして、図1のNi−B形成皮膜3の工程の
処理液のpHを13〜14とし、90〜92℃で20分
の処理を行った。その結果、処理例7に比較して、さら
に高いpHにより、さらに光沢、面粗度、摩擦係数の点
で良好な皮膜が密着良く得られることが判った。
【0078】(処理例9)ここで、処理例9について説
明する。表9に処理例9の処理液の配合を示す。
【0079】
【表9】
【0080】処理例9においては、実験1と同様の工程
により処理をして、図1のNi−B形成皮膜3の工程の
処理液のpHメータで測定しながらpHを14〜15と
し、90〜92℃で20分の処理を行った。その結果、
処理例8に比較して、さらに光沢、面粗度、摩擦係数の
点で良好な皮膜が密着良く得られた。但し、pHが14
を超えると処理液の分解が促進されるので、好ましくは
pHが14までであることも判明した。
【0081】(実施例2)次に、実施例2の説明をす
る。ここで、図3は、実施例2の処理の工程を示す図で
ある。実施例2の処理工程は、脱脂201、1回目水洗
202、Ni−W−P皮膜形成203、2回目水洗20
4、Ni−W−P−BN皮膜形成205、3回目水洗2
06、湯洗207、乾燥208の各工程からなる。な
お、2回目水洗204の工程は省略することができる。
実施例2では、図1に示す実施例1のNi−W−P皮膜
形成103の処理の後に、実施例1の浴組成にさらに窒
化ホウ素(BN)の粒子を分散させた懸濁液であるBN
スラリー(日新リフラテック株式会社)を実施例1の処
理液に添加した処理液を用いた皮膜形成の処理を行うも
のである。BNスラリー等の懸濁液は、水系の液体に窒
化ホウ素等の微粒子を高分子系のポリマー、乳化剤、活
性剤等により十分分散しているので、これを処理液に混
入し攪拌することで窒化ホウ素等の微粒子が容易に処理
液内に分散させることができる。このように、処理液に
BNスラリーを0.5g/l添加し、この処理液によ
り、水洗後に、さらに浸漬処理をするものである。処理
工程は実施例1と、Ni−W−P−BN皮膜形成20
5、3回目水洗206を除き、同一の工程であるので、
これらの説明は省略し、Ni−W−P−BN皮膜形成2
05の処理の工程のみを説明する。
【0082】Ni−W−P−BN皮膜形成205の処理
の工程における、処理液への浸漬は、実施例1の処理液
による浸漬と同様、揺動しながら90℃、5分間行う。
【0083】なお、処理液に添加する粒子は、窒化ホウ
素に限定されず、アルミナ・二酸化ケイ素・三酸化タン
グステン・ジルコニア・二酸化チタン等の分散粒子、又
は黒鉛・二硫化モリブデン・フッ素樹脂等のいずれかの
中から選択できる。また、添加する粒子は、懸濁液に加
工されたものに限らず、粉末状の粒子であってもよい
が、懸濁液とすると処理液への分散が容易になるという
効果がある。
【0084】実施例2では、上記述べたような表面処理
を行うことで、実施例1に述べた表面処理法により形成
された皮膜に比べ、膜厚が厚くなり、面粗度が若干粗れ
るといえるが、硬度としては同等な硬度を備える。そし
て、皮膜内に取り込まれた窒化ホウ素の微粒子の働きで
摩擦係数が下がる。従って、面粗度は多少は粗れるもの
の摩擦係数が低下することで摺動性は良くなり、同等の
硬度を有し、膜厚も厚いため耐摩耗性の点では望ましい
特性となる。さらに、窒化ホウ素を含有させれば耐熱性
が向上し金型等に応用することもできるという効果もあ
る。
【0085】(実施例3)次に、実施例3の説明をす
る。ここで、図4は実施例3の処理の工程を示す図であ
る。実施例3における処理は、脱脂301、1回目水洗
302、Ni−W−P−BN皮膜形成303、2回目水
洗304、湯洗305、乾燥306の工程から成る。実
施例2では、図2に示す実施例1のNi−W−P皮膜形
成203の処理の後に、浴組成にBNスラリーを0.5
g/l添加した処理液により処理をするNi−W−P−
BN皮膜形成205の処理したが、実施例3において
は、実施例1の処理液にBNスラリーを添加した浴組成
で、一度に浸漬、皮膜形成の処理をするNi−W−P−
BN皮膜形成303の処理をするものである。従って、
Ni−W−P−BN皮膜形成303の処理の工程以外
は、実施例2と同様の処理を行うためその説明は省略
し、Ni−W−P−BN皮膜形成303の処理の工程に
ついてのみ説明する。
【0086】Ni−W−P−BN皮膜形成303の処理
の工程の浴組成を説明する。実施例1のNi−W−P皮
膜形成103(図2参照)や実施例2のNi−W−P皮
膜形成203の処理工程で用いる処理液では、Ni+2
を6.0〜7.0g/lに調整した処理液を用いて処理
するが、処理が継続されると溶解性ニッケルが消費され
るため、処理の継続によって溶解性ニッケルが希釈され
る。そのため、適宜高濃度の硫酸ニッケルを補充して溶
解性ニッケル濃度を所定範囲まで上昇させるが、その
際、溶解性ニッケルが3.6g/lにまで低下した処理
液を回収して廃棄する必要がある。この回収された溶解
性ニッケルが3.6g/lにまで低下した処理液にBN
スラリーを0.5g/l添加することで、実施例3のN
i−W−P−BN皮膜形成303の処理に用いる処理液
が調製できる。pHは、pH9.0に調整する。浸漬
は、揺動しながら90℃、5分間行う。又、皮膜形成
後、同様に2回目水洗304、湯洗305、乾燥306
を行う。
【0087】なお、この場合も処理液に分散させる粒子
は、窒化ホウ素に限定されず、アルミナ・二酸化ケイ素
・三酸化タングステン・ジルコニア・二酸化チタン等の
分散粒子、又は黒鉛・二硫化モリブデン・フッ素樹脂等
のいずれかの中から選択できる。また、添加する粒子
は、懸濁液に加工されたものに限らず、粉末状の粒子で
あってもよい。
【0088】実施例3の工程による処理を行うことで、
実施例1に述べた表面処理法により形成された皮膜に比
べ、膜厚が厚くなり、面粗度が若干粗れるといえるが、
硬度としては同等な硬度を備える。そして、皮膜内に取
り込まれた窒化ホウ素の微粒子の働きで摩擦係数が下が
る。従って、面粗度は多少は粗れるものの摩擦係数が低
下することで摺動性は良くなり、同等の硬度を有し、膜
厚も厚いため耐摩耗性の点では望ましい特性となる。さ
らに、窒化ホウ素を含有させれば耐熱性が向上し金型等
に応用することもできるという効果もある。
【0089】なお、実施例2と実施例3の皮膜自体は、
その表面においては特性的に違いがない。しかしなが
ら、実施例3においては、Ni−W−P皮膜形成の処理
において、処理の継続により減少した溶解性ニッケルを
補充するため、硫酸ニッケル(NiSO・6HO)
を補充する必要があるが、その際溶解性ニッケル濃度が
低減した処理液を一部廃棄し、廃棄した処理液の量と同
じ量の新しい硫酸ニッケル(NiSO・6HO)を
補充して入れ替える。この際に廃棄された溶解性ニッケ
ル濃度が3.6g/l程度に低減した処理液であって
も、実施例3の表面処理法には使用できる。そのため、
実施例1あるいは実施例2における処理により廃棄され
た処理液を再利用することができる。従って、廃棄する
廃水の量を減らすことができるため廃水の処理が容易に
なる。そして、廃水処理によるコストが削減できるとい
う効果がある。
【0090】(実施例4)次に、実施例4について説明
する。ここで、図5は、実施例4の処理の工程を示す図
である。実施例4における処理の工程は、脱脂401、
1回目水洗402、Ni−W−P皮膜形成403、2回
目水洗404、Ni−P,Ni−B皮膜形成405、3
回目水洗406、湯洗407、乾燥408から成る。実
施例4における処理の工程は、図2に示す実施例1のN
i−W−P皮膜形成103の処理により皮膜が形成され
た後に、2回目水洗104の後にニッケル−リン系又
は、ニッケル−ホウ素系の皮膜を形成する処理を加えた
ものである。
【0091】実施例1で述べたようなと同様なNi−W
−P皮膜形成403の工程が終了した時点で、2回目水
洗404をし、実験例1に示す処理液でNi−P,Ni
−B皮膜形成405の処理をする。このときの条件は、
ナイコーME−AR(Ni−P系)、(180g/l)
若しくはナイコーボロン(Ni−B系)(180g/
l)を用い、pHはメーカー所定のpH6.5とし、溶
解性ニッケルを6.5g/lとした。温度条件を、ナイ
コーME−AR(Ni−P系)で90〜92℃、ナイコ
ーボロン(Ni−B系)では、63〜65℃とし、それ
ぞれ20分間揺動させながら浸漬した。そして、実験例
1と同様、3回目水洗406を、水道水を常時オーバー
フローすることにより揺動させながら行った。湯洗40
7は、75〜85℃に加熱した水道水を常時オーバーフ
ローさせながら2分間揺動させながら浸漬し、最後に自
己熱を利用した自然乾燥による乾燥408を行った。
【0092】なおこの場合の処理液は、上記処理液に限
定されず、無電解めっき用の処理液である市販の例えば
荏原ユージライト株式会社製のエンパックRE−MU−
II(Ni−P系)、ユニパックBN−S、M、R(N
i−B系)、エバシールドEC(Cu系)、奥野製薬株
式会社製のトップニコロンLPH−S(Ni−P系)、
トップケミアロイ66−M、1、2(Ni−B系)、カ
パラシド(Cu系)、キザイ株式会社製のナイコーME
−AR(Ni−P系)、ナイコーボロン(Ni−B
系)、SEL−カッパ(Cu系)の各Ni−P系、Ni
−B系、Cu系の種々の処理液が用いられている。この
うちNi−P系、Ni−B系の各処理液をはじめ、種々
の無電解めっき用の処理液を用いることができるのはい
うまでもない。
【0093】実施例4による処理によれば、アモルファ
ス性の高い微粒子金属皮膜の上に、一定の膜厚の硬質な
ニッケル−リン系又はニッケル−ホウ素系、或いは銅系
などの皮膜を密着して形成できる。そのため、接触する
摺動部品の馴染みができるまで外部の層により摺動する
ことで馴染み性を良くし、この外部の層が摩耗した後
に、低摩擦性と耐摩耗性に優れた硬質なアモルファス性
の高い材料から成る内部の層が露出し、この内部の層で
摺動することで極めて低い摩擦性と、極めて高い耐摩耗
性を達成することができた。
【0094】(実施例5)次に、実施例5について説明
する。ここで、図6(a),(b)は、実施例5の処理
の工程を示す図である。実施例5の処理は、1つは図6
(a)に示すように、脱脂501、1回目水洗502、
Ni−W−P−BN皮膜形成503、2回目水洗50
4、Ni−P,Ni−B皮膜形成505、3回目水洗5
06、湯洗507、乾燥508の処理工程から成る。も
う1つは、図6(b)に示すように、脱脂509、1回
目水洗510、Ni−W−P皮膜形成511、2回目水
洗512、Ni−W−P−B皮膜形成513、3回目水
洗514、Ni−P,Ni−B皮膜形成515、4回目
水洗516、湯洗517、乾燥518の処理工程から成
る。つまり実施例2〜実施例3によりNi−W−P−B
N皮膜が形成された後に、Ni−P,Ni−B皮膜を形
成するものである。従って、図6(a)に示す処理50
1〜504は、図4に示す実施例2の処理301〜30
4と同様であり、図6(b)に示す処理509〜514
は、図3に示す実施例3の処理201〜206と同様で
あるためその説明は省略する。
【0095】実施例2〜3で述べたように、Ni−W−
P−BNによる複合多次元金属皮膜形成の処理の工程が
終了し水洗が終了した段階で、Ni−P,Ni−B皮膜
形成505(図6(a))、515(図6(b))の処
理を行う。Ni−P,Ni−B皮膜形成505(図6
(a))、515(図6(b))の処理は、実験例1に
示す処理液で処理をする。このときの条件は、ナイコー
ME−AR(Ni−P系)(180g/l)処理液と、
同じくナイコーボロン(Ni−B系)(180g/l)
を用い、pHはメーカー所定のpH6.5とし、溶解性
ニッケルを6.5g/lとした。温度条件は、ナイコー
ME−ARで90〜92℃、ナイコーボロンでは、63
〜65℃とし、それぞれ20分間揺動させながら浸漬し
た。そして、実験例1と同様、3回目水洗506(図6
(a))または4回目水洗516(図6(b))を、水
道水を常時オーバーフローすることにより揺動させなが
ら行った。湯洗507(図6(a))、517(図6
(b))は、75〜85℃に加熱した水道水を常時オー
バーフローさせながら2分間揺動させながら浸漬し、最
後に自己熱を利用した自然乾燥による乾燥508(図6
(a))、518(図6(b))を行った。
【0096】実施例5のような工程により処理をするこ
とでさらにアモルファス性の高いナノメータクラスの超
微粒子金属皮膜の上に、一定の膜厚の硬質なニッケル−
リン系又はニッケル−ホウ素系などの皮膜を密着して形
成できた。そのため、接触する摺動部品の馴染みができ
るまで外部の層により摺動することで馴染み性を良く
し、この外部の層が摩耗した後に、低摩擦性と耐摩耗性
に極めて優れた硬質なアモルファス性の高いナノメータ
クラスの超微粒子金属材料から成る内部の層が露出し、
この内部の層で摺動することで極めて低い摩擦性と、極
めて高い耐摩耗性を達成することができた。
【0097】以上本発明を実施例により説明したが、本
発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求
の範囲を逸脱しない範囲で変形して実施できることはい
うまでもない。例えば、実施例2又は実施例3において
分散させる粒子に銅粉、粉末ゴム、珪砂等を用いること
で、摩擦係数を高めスリップを防止するようなこともで
きる。
【0098】
【発明の効果】請求項1に係る発明の摺動部品用表面処
理液によれば、摺動部品の面粗度をエッチング等で粗ら
すことなく、極めて均質で硬度が高く、緻密なアモルフ
ァス性の高い皮膜を形成する表面処理を行うことができ
るという効果がある。また、錯形成剤により、処理液自
体も安定した品質とすることができるため、薬品管理も
容易になる。従って、このような摺動部品用表面処理液
により形成された皮膜をもった摺動部品では、アモルフ
ァス性の高いナノメータクラスの超微粒子金属皮膜が積
層された皮膜となり、皮膜自体の耐摩耗性が高くなるば
かりでなく、表面が極めて平滑に形成されることと併
せ、摩擦係数が極めて低くなるため、摺動部品として長
期にわたり使用しても、低い摩擦性を維持しつつ高い耐
久性を示すという効果を奏する。さらに、ニッケル−リ
ン若しくはニッケル−ホウ素のマトリックスが形成され
た構造に各種の金属を安定して配置できるので、摺動部
品の目的に併せてその皮膜の構成を変化させることがで
きるという効果がある。
【0099】請求項2に係る発明の摺動部品用表面処理
液によれば、請求項1に係る発明の摺動部品用表面処理
液の効果に加え、リンイオン又はホウ素イオンをバラン
ス良く配合することができるという効果がある。
【0100】請求項3に係る発明の摺動部品用表面処理
液によれば、請求項1又は請求項2に係る発明の摺動部
品用表面処理液の効果に加え、タングステンイオンを含
有させることで極めて摺動部品の表面への密着性を高め
ることができ、それ自身で摺動性の高い皮膜を形成する
ことができるばかりでなく、密着性の劣る他の皮膜を密
着良く担持することができるため、密着性の劣る異種の
皮膜を密着性良く形成させることができるという効果が
ある。
【0101】請求項4に係る発明の摺動部品用表面処理
液によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の
摺動部品用表面処理液の効果に加え、特にアモルファス
性の高い摺動特性の良い皮膜を形成することができると
いう効果がある。
【0102】請求項5に係る発明の摺動部品用表面処理
液によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の
摺動部品用表面処理液の効果に加え、含有する粒子の特
性により摺動性をさらに高めることができるという効果
がある。
【0103】請求項6に係る発明の摺動部品の表面処理
方法によれば、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
の摺動部品用表面処理液を用いることで、平滑に研磨さ
れた摺動部品の表面と相俟って、極めて摺動性の高い摺
動部品の表面処理を行うことができるという効果があ
る。
【0104】請求項7に係る発明の摺動部品の表面処理
方法によれば、請求項6に記載の摺動部品の表面処理方
法の効果に加え、Ra値が0.03以下に研磨されるこ
とで、極めて平滑に形成された摺動部品の表面に、その
面粗度を粗すことがない平滑な皮膜を形成でき、摺動部
品の表面に極めて摺動性の良好な表面処理を行うことが
できるという効果がある。
【0105】請求項8に係る発明の摺動部品の表面処理
方法によれば、請求項6又は請求項7に記載の摺動部品
の表面処理方法の効果に加え、量産性、安定性に優れた
平滑な摺動部品の表面処理を行うことができるという効
果がある。
【0106】請求項9に係る発明の摺動部品の表面処理
方法によれば、請求項6乃至請求項8のいずれかに記載
の摺動部品の表面処理方法の効果に加え、性質の異なる
皮膜をその表面に密着性よく形成でき、それぞれの皮膜
の性質を生かした、摺動性の高い摺動部品の表面処理を
行うことができるという効果がある。
【0107】請求項10に係る発明の摺動部品によれ
ば、請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の摺動部品
の処理方法により表面処理がなされた摺動性の高い摺動
部品とすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験1における処理の工程を示す図である。
【図2】実施例1の処理の工程を示す図である。
【図3】実施例2の処理の工程を示す図である。
【図4】実施例3の処理の工程を示す図である。
【図5】実施例4の処理の工程を示す図である。
【図6】(a)実施例5の処理の工程の例を示す図であ
る。 (b)実施例5の処理の工程の他の例を示す図である。
【符号の説明】
101…脱脂、102…1回目水洗、103…Ni−W
−P皮膜形成、104…2回目水洗、105…湯洗、1
06…乾燥
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 Fターム(参考) 4J038 AA011 CD092 HA036 HA216 HA356 HA446 HA476 KA02 NA01 NA11 PB06 PB07 PC02 PC03 4K022 AA02 AA48 BA01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA11 BA12 BA13 BA14 BA15 BA16 BA17 BA18 BA19 BA20 BA21 BA22 BA24 BA25 BA26 BA28 BA32 BA33 BA34 BA36 CA11 CA28 DA01 DB01 DB02 DB03 DB04 DB05 DB06 DB07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元剤と、金属イオンの錯形成剤と、自
    然分解を抑制するために処理液中の微粒子を吸着する安
    定化剤と、pH変動を抑制するための緩衝剤と、活性剤
    とを含有して構成され、 ニッケルイオンと、 リンイオン又はホウ素イオンの中の少なくとも一方の金
    属イオンと、 タングステンイオン、コバルトイオン、パラジウムイオ
    ン、レニウムイオン、イットリウムイオン、モリブデン
    イオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイ
    オン、ジルコンイオン、クロムイオン、銅イオン、金イ
    オン、銀イオン、亜鉛イオン、鉄イオン、鉛イオン、錫
    イオン、白金イオンの金属イオン類の中から選ばれた少
    なくとも一種以上の金属イオンとを含有し、 pHが9以上14以下になるように調整されたことを特
    徴とする摺動部品用表面処理液。
  2. 【請求項2】 前記リンイオン又はホウ素イオンのいず
    れかの金属イオンは、還元剤として含有されたことを特
    徴とする請求項1に記載の摺動部品用表面処理液。
  3. 【請求項3】 前記摺動部品用表面処理液は、 ニッケルイオン、タングステンイオン、リンイオンの3
    種のイオン、若しくはニッケルイオン、タングステンイ
    オン、ホウ素イオンの3種のイオンを含有したことを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動部品用表面
    処理液。
  4. 【請求項4】 前記摺動部品用表面処理液は、 リンの含有量を、形成された皮膜成分の3〜15重量%
    になるように含有したことを特徴とする請求項1乃至請
    求項3のいずれかに記載の摺動部品用表面処理液。
  5. 【請求項5】 前記摺動部品用表面処理液は、 アルミナ・二酸化ケイ素・三酸化タングステン・ジルコ
    ニア・二酸化チタン等の酸化物、黒鉛、二硫化モリブデ
    ン、窒化ホウ素、フッ素樹脂のいずれかの中から選ばれ
    た一種以上の粒子を分散させたことを特徴とする請求項
    1乃至請求項4のいずれかに記載の摺動部品用表面処理
    液。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
    の摺動部品用表面処理液を用いて、平滑に研磨された摺
    動部品の表面に、無電解めっきにより皮膜を形成するこ
    とを特徴とする摺動部品の表面処理方法。
  7. 【請求項7】 前記表面処理が行われる摺動部品の表面
    は、Ra値が0.03μm以下になるように研磨された
    ことを特徴とする請求項6に記載の摺動部品の表面処理
    方法。
  8. 【請求項8】 前記表面処理が行われる摺動部品の表面
    は、機械的研磨方法による研磨の後に化学的研磨方法に
    より研磨されたことを特徴とする請求項6又は請求項7
    に記載の摺動部品の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項6乃至請求項8のいずれかに記載
    の表面処理方法により形成された皮膜の上に、ニッケル
    及びリン、又はニッケル及びホウ素を含有した無電解ニ
    ッケルめっきによる皮膜をさらに形成することを特徴と
    する摺動部品の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項6乃至請求項9のいずれかに記
    載された摺動部品の表面処理方法により処理されたこと
    を特徴とする摺動部品。
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