JP2000516948A - カチオン性脂質―核酸複合体 - Google Patents
カチオン性脂質―核酸複合体Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、a)1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補助脂質、および1種類以上の安定化添加剤を組合せて脂質懸濁液を形成し、b)脂質懸濁液を核酸と組合せて複合体または粒子を形成し、場合によっては、c)複合体または粒子に整粒処理を施すことを含んでなる、安定な脂質−核酸複合体または粒子の均質な懸濁液の製造法に関する。本発明は、特に上記方法によって製造された均質な懸濁液にも関する。
Description
【発明の詳細な説明】
カチオン性脂質−核酸複合体緒 論
本発明は、核酸を細胞に送達し、治療を必要とするヒトの細胞へ治療分子を提
供する目的で用いることができるカチオン性脂質と核酸との安定な複合体、およ
び安定なカチオン性脂質−核酸複合体の製造法に関する。発明の背景
遺伝子治療の成功は、生体の細胞に遺伝子情報を効率的に送達し、発現させる
ことにかかっている。これまでに用いられたほとんどの送達機構は、ウイルスベ
クターを含んでいる。ウイルスでは、細胞膜の通過を包含するこの目的を達成す
るための多様でかつ極めて精巧な機構が発達しており、リソソーム分解、それら
のゲノムの核への送達を免れ、従って多くの遺伝子送達用途に用いられてきた。
レセプター介在機構(Perales et al.,Eur.J.Biochem.226:255-266,1994
;Wagner et al.,Advanced Drug Delivery Reviews 14:133-135,1994)、また
は脂質介在トランスフェクション(Felgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.
S.A.84:7413-7417,1987;Behr et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:69
82-6986,1989;Gao et al.,Biochem.Biophys.Res.Communic.179:280-285,
1991;Behr,Bioconjugate Chemistry 5:382-389,1994;Fahrhood et al.,Annal
s New York Academy of Sciences,716:23-35,1994;Ledley,Human Gene Thera
py 6:1129-1144,1995)に基づく非ウイルスベクターは、大規模生産、ウイルス
ベクターに関する危険性の減少、トランスフェクション可能な細胞のターゲッテ
ィング、より低い免疫原性、およびDNAのより大きなフラグメントを送達する
能力に関して有利であると思われる。
核酸を細胞中へ送達するための非ウイルス性ベクターの開発には、核酸と結合
して、これらの親水性ポリアニオンがリン脂質二重層の疎水性で負に帯電したバ
リヤーである細胞膜を通過することができるようにし、それらがリソソーム分解
を免れやすくし、それらが核へ入りや少なくともする分子が必要である。重要な
遺伝子の発現は、送達される核酸の細胞転写機構への接近の可能性によって変化
し、ほとんどの場合に、複合体の解離を必要とする。
細胞への送達に重要な分子をカプセル封入することができるリポソームは、1
965年には既に報告されているが(Bangham et al.,J.Mol.Biol.13:238-25
2,1965)、1990年代まではヒトの注射可能な治療薬として市販されるには至
らなかった(Gregoriadis,Trends in Biotechnol 13:527-537,1995)。この遅れ
は、許容可能な安定性を有する再現性のある処方物を得ることが困難であること
によるものである。主要な進展は、ある程度のポリエチレングリコール(PEG
)−修飾リン脂質(PEG−PLs)を含む「立体的に安定化した(ステルス(
stealth))リポソーム」の開発であった(Gregoriadis,Trends in Biotechnol
.13:527-537,1995;Lasic,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:1685-1698,1994
)。リポソームを含むこれらのPEG−PLは、細網内皮系による検出および除
去を一層良好に免れ、循環半減期が著しく向上することが明らかとなった。(P
EG)−修飾リポソームは、極めて広汎に用いられているが、リポソームの表面
にグラフトしてリポソームの安定性を増加させるポリ(ビニルピロリドン)のよ
うな他の親水性ポリマーが報告されている(Torchilin,V.P.et al.,Biochim.
Biophys.Acta 1195:181-184,1995)。
細胞への脂質介在核酸移行の増加は、細胞への核酸の移行のためのビヒクルと
してカチオン性脂質を導入することによって促進された(Felgner et al.,Proc
.Natl.Acad.Sci.84:7413-7417,1987;Behr et al.,Proc.Natl,Acad.Sci
.86:6982-6986,1989;Gao et al.,Biochem.Biophys.Res.Communic.
179:280-285,1991;Behr,Bioconjugate Chemistry 5:382-389,1994;Fahrhood
et al.,Annals New York Academy of Science 716:23-35,1994;Ledley,Human
Gene Therapy 6:1129-1144 1995)。カチオン性脂質は正に帯電しているので、
それらは負に帯電した核酸と複合体形成することができる。リポソームとは異な
り、これらの複合体はカプセル封入段階を必要とせず、成分同志を単に攪拌する
ことによって製造される。複合体は、本質的に脂質でコーティングした核酸を含
んでなり、この複合体の正に帯電した被膜が核酸の負電荷を中和し、また、負に
帯電した細胞表面に効率的に結合して、細胞中への核酸の移入を促進することが
できる(Farhood et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.716:23-35,1994)。
核酸のトランスフェクションを介在するためのカチオン性脂質の使用の効果と
しては、複合体の調製が簡単であり、脂質成分がほとんどの核酸と複合体形成す
ることができ、トランスフェクションを行いやすい細胞の型が広汎であり、移行
が極めて効率的であり、複合体が免疫原性を持たず、かつカチオン性脂質を化学
合成により入手可能であることが挙げられる(Farhood et al.,Annals N.Y.Aca
d.Sci.716:23-35,1994)。
多種多様な細胞型への核酸のカチオン性脂質により介在される送達は、イン・
ビトロおよびイン・ビボで説明されている。例えば、カチオン性脂質と複合体形
成した嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質(cystic fibrosis transmembrane con
ductance regulator:CFTR)をコードする核酸を、気管内設備(intratrachea
l installation)(Yoshimura et al.,Nucleic Acids Res.20:3233-3240,1992)
により、またはエーロゾル送達(Stribling et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.89
:11277-11281,1992)によりマウス肺に送達した。嚢胞性繊維症(CF)のマウ
スモデルへのカチオン性脂質を用いるCFTRの送達により、イオンチャンネル
欠陥が補正された(Hyde et al.,Nature 362:250-255,1993)。CFTR遺伝子
のCF患者へのカチオン性脂質介在送達によるヒトでの臨床的研究では、鼻上皮
において遺伝子が発現し、臨床的副作用は見られないことが示された(Caplen et
al.,Nature Medicine 1:39-46,1995)。
カチオン性脂質−DNA複合体の単回静脈内注射の後のリポーター遺伝子の全
身性遺伝子発現が、マウスで示された(Zhu et al.,Science 261:209-211,1993
)。更に、齧歯類およびヒト以外の霊長類にカチオン性脂質−酸複合体を全身投
与した場合の安全性試験では、このような複合体の投与に関連した顕著な毒性は
見られなかった(Parker et al.,Human Gene Therapy 6:575-590,1995)。
組織培養におけるmRNAのカチオン性脂質介在トランスフェクションでは、
転写体の翻訳を生じることが示された(Malone et al.,Proc.Natl.Acad.Sci
.86:6077-6081,1989)。カチオン性脂質を用いるアンチセンスオリゴヌクレオ
チドのヒト内皮細胞への送達では、オリゴヌクレオチドの細胞吸収が増加し、細
胞中でのその活性が増加した(Bennett et al.,Mol.Pharm.41:1023-1033,199
2)。レトロウイルス粒子に複合体形成したカチオン性脂質を使用したところ、適
当なウイルスレセプターを欠く細胞がウイルスに感染し、またはウイロソームと
して知られる複合体を用いてレトロウイルスの形質導入を増加することができた
(Hodgson et al.,Nature Biotechnol.14:339-342,1996)。
主要組織適合性(MHC)遺伝子を含むカチオン性脂質−核酸複合体を用いる
癌の免疫療法では、マウス腫瘍に誘導した免疫応答を直接注射し、腫瘍の退行を
生じた(Plautz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.90:4645-4649,1993)。
ヒトでの臨床研究は、ヒト黒色腫、結腸直腸および直腸癌患者において免疫治
療分子をコードするDNA配列のカチオン性脂質介在送達を用いて現在進行中で
ある(Nabel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307-11311,1993;Crystal,
Science 270:404-410,1995)。
カチオン性脂質処方物は、今日までのところは、リン脂質ジオレオイルホスフ
ァチジルエタノールアミン(DOPE)を配合することが多い。このリン脂質は
、
エンドソーム膜をその二重層構造を不安定化することによって破壊し、脂質−核
酸複合体がエンドソーム分解を免れて細胞質に入ることができるようにするもの
と考えられる(Farhood et al.,Biochem.Biophys.Acta 1235:289-295,1995)
。
しかしながら、核酸を細胞へ送達するためのカチオン性脂質複合体の広汎な使
用における大きな障害は、複合体が溶液中で大きな集合体を形成する傾向がある
ことである。発明の概要
本発明は、核酸を細胞に送達し、治療を必要とするヒトの細胞へ治療分子を提
供する目的で用いることができるカチオン性脂質と核酸との安定な複合体に関す
る。本発明は、安定化添加剤を含むカチオン性脂質と核酸との安定な複合体また
は粒子にも関する。本発明は、1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補助
脂質、1種類以上の安定化添加剤、および核酸または他のリガンドを組合せるこ
とによって安定なカチオン性脂質−核酸複合体または粒子の均質な懸濁液の製造
法にも関する。本発明は、場合によっては、押出しのような整粒法であって、治
療目的で患者に投与するための脂質−核酸複合体の製造法における最終的な殺菌
段階として用いることもできるものを用いて、安定なカチオン性脂質−核酸複合
体または粒子の均質な懸濁液の製造法をも包含する。
本発明は、上記の方法によって製造された安定な脂質−核酸複合体または粒子
の均質な懸濁液にも関する。
本発明は、以下に簡単な説明を行う図面に関して理解することができる。図面の簡単な説明
図1は、プラスミドpCMVlucの模式図を示す。
図2は、200nmの細孔度を介して200μg/mlDNAに複合体形成し
たスペルミジン−Chol/DOPEを含むDNAベクター複合体の押出しの後
のプラスミドDNAの回収率を示す。収率は、ジステアロイルホスファチジル−
エタノールアミン−ポリエチレングリコール(DSPE−PEG)のモル%およ
び複合体の電荷比(+/−)の関数として示される。
図3は、アガロースゲル電気泳動によって測定した200nm細孔径での脂質
−DNA複合体の押出しの後のpCMVlucプラスミドDNAの一体性を示す
(レーン1:pCMVluc;レーン2:スペルミジン−Chol/DOPE(
1:1、重量)に複合体形成した200μg/mlプラスミドDNAと電荷比+
/−=5での2モル%のDSPE−PEG2000を含む複合体の押出し前のp
CMVluc;レーン3:0.2μmでの押出しの後の同じ製剤におけるpCM
VlucプラスミドDNA;レーン4:複合体形成したDNAを単離するために
脂質の抽出の後にレーン3に示したのと同じ製剤)。ゲルの最下部におけるスポ
ットは、プラスミドDNAを同時沈澱するのに用いるキャリヤーtRNAに相当
する。
図4(A〜D)は、押出し段階後またはなしでの光子相関分光分析法によって
測定した時間の関数としての20μg/mlDNA濃度での様々なカチオン性脂
質に対する4℃での脂質−DNA複合体の安定性に対するDSPE−PEG20
00のモル%の効果を示す。黒柱は、押出し段階なしで調製したDSPE−PE
G2000を10%含む様々なDNA−カチオン性脂質の粒度を示し、白柱は、
押出し後のDSPE−PEG2000を10%含む様々なDNA−カチオン性脂
質複合体の粒度を示し、灰色柱は、DSPE−PEG2000を0%含みかつ押
出し段階なしで調製した様々なDNA−カチオン性脂質複合体の粒度を示す。A
:DC−Chol/DOPE;B:スペルミジン−Chol/DOPE;C:ス
ペルミン−Chol/DOPE;D:DOGS/DOPE。
図5は、時間の関数としての、押出し後の200μg/mlDNA濃度でスペ
ルミジン−Chol/DOPEを含む脂質−DNA複合体の安定性に対する様々
な濃度のDSPE−PEG2000および様々な+/−電荷比の効果を示す。黒
色柱は、+/−:5電荷比の効果を示し、白色柱は、+/−:2.5電荷比の効
果を示し、灰色柱は+/−:1電荷比の効果を示す。A:10%DSPE−PE
G2000;B:5%DSPE−PEG2000;C:2%DSPE−PEG2
000。
図6は、時間の関数としての、押出し前の200μg/mlDNA濃度でスペ
ルミジン−Chol/DOPEを含む脂質−DNA複合体の安定性に対する様々
な濃度のDSPE−PEG2000および様々な+/−電荷比の効果を示す。黒
色柱は、+/−:5電荷比の効果を示し、白色柱は、+/−:2.5電荷比の効
果を示し、灰色柱は+/−:1電荷比の効果を示す。A:10%DSPE−PE
G2000;B:5%DSPE−PEG2000;C:2%DSPE−PEG2
000。
図7は、プラスミドDNA濃度の関数としてのA549細胞中の脂質−DNA
複合体のイン・ビトロでのトランスフェクション活性に対するDSPE−PEG
2000の効果を示す。A)緩衝液ブランクに関する10モル%DSPE−PE
G2000の存在下での発現水準、およびB)比較用のDSPE−PEG200
0なしの製剤での発現水準。
図8は、投与後の日数の関数としての、マウスに様々なカチオン性脂質−DN
A複合体を気管内投与したのルシフェラーゼ活性(RLU/mgタンパク質)を
、遊離DNAのみまたは組換えアデノウイルスコントロールを投与した場合と比
較して示す。
図9は、スペルミジンChol/DOPE−pCMVluc複合体+10%D
SPE−PEG2000+/−押出しをマウス気管内に投与した後のルシフェラ
ーゼ活性(RLU/mgタンパク質)を示す。それぞれの付番したマウスについ
てのアッセイの組織部位は、下記の通りである:(T:気管;PG:左肺;PD
:右肺)。
図10は、DC−Chol/DOPEを含むカチオン性脂質−DNA複合体を
静脈内注射した後のルシフェラーゼ活性(RLU/mgタンパク質)に対する電
荷比およびDSPE−PEG2000(PEG−PL)の影響を、遊離DNAを
投与した場合と比較して示す。アッセイの組織部位が示されている。
図11は、カチオン性グリセロ脂質pcTG56の合成を模式的に示したもの
である。発明の詳細な説明
本発明は、核酸を細胞に送達し、治療を必要とするヒトの細胞へ治療分子を提
供する目的で用いることができるカチオン性脂質と核酸との安定な複合体に関す
る。本発明は、安定化添加剤を含むカチオン性脂質と核酸との安定な複合体また
は粒子にも関する。本発明は、1種類以上のカチオン性脂質または混合物、1種
類以上の補助脂質、1種類以上の安定化添加剤、および核酸または他のリガンド
を組合せることによって安定なカチオン性脂質−核酸複合体の均質な懸濁液の製
造法にも関する。本発明は、安定な核酸複合体または粒子の均質な懸濁液の製造
法であって、1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補助脂質、および1種
類以上の安定化添加剤を組合せて脂質懸濁液を形成し、この脂質懸濁液を核酸と
組合せて複合体または粒子を形成し、場合によっては、複合体または粒子に整粒
処理法を施して、均質な粒度の複合体または粒子を形成することを含んでなる方
法を包含する。本発明は、押出しのような整粒処理法を用いる安定なカチオン性
脂質−核酸複合体または粒子の均質な懸濁液の製造法にも関し、これは、治療目
的で患者に投与するための脂質−核酸複合体の生産工程における最終的な殺菌段
階として用いることもできる。
本発明の複合体または粒子は、1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補
助脂質、1種類以上の安定化添加剤、および核酸または他のリガンドを包含する
。
本発明は、
a)1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補助脂質、および1種類以
上の安定化添加剤を組合せて脂質懸濁液を形成し、
b)脂質懸濁液を核酸と組合せて複合体または粒子を形成し、場合によって
は、
c)複合体または粒子に整粒処理を施す
ことによって製造される安定な脂質−核酸複合体または粒子の均質な懸濁液にも
関する。
本発明は、上記の均質な懸濁液であって、脂質懸濁液に更に整粒処理を施して
、均質な粒度の複合体または粒子の懸濁液が生成するようにすることを特徴とす
るものも包含する。
「安定な複合体または粒子」とは、その粒度とは独立して、これらの複合体ま
たは粒子が凝集体を形成しないことを意味する。
「均質な懸濁液」は、特に非凝集複合体または粒子を含む懸濁液の成果である
。
本発明によれば、均質に整粒した複合体または粒子を、複合体または粒子に整
粒処理を施す任意段階によって有利に得ることができる。
本発明の複合体に用いることができるカチオン性脂質またはカチオン性脂質の
混合物としては、Lipofectin(商品名)(DMTMA(塩化=N−[1−(2,
3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウム)
とDOPEとの混合物、1:1、重量)GIBCO-BRL;DDAB(臭化ジメチル−
ジオクタデシルアンモニウム);DMRIE(臭化=1,2−ジミリスチル−オ
キシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウム);スペルミジン
−コレステロール(スペルミジン−Chol);スペルミン−コレステロール(
スペルミン−Chol);DC−Chol(3β[N−(N’,N’−ジメチル
アミノエタン)カルバモイル]コレステロール);Transfectam(商品名)
(DOGS,ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン),Promega;DOSP
ER(1,3−ジ−オレオイルオキシ−2−(6−カルボキシ−スペルミル)−
プロピルアミド),Boehringer Mannheim;DOTAP(N−[1−(2,3−
ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチル
スルフェート),Boehringer Mannheim;Tfx50(商品名)(ヨウ化=N,N,N
’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2,3
−ジオレオイルオキシ−1,4−ブタンジアンモニウムとDOPEとの混合物)
,Promega;Lipofectamine(商品名)(DOSPA),Lipofectace(商品名)
(DDABとDOPEとの混合物、1:2.5、重量),GIBCO-BRLが挙げられ
る。
好ましくは、本発明のカチオン性脂質は、スペルミジン−コレステロール、ス
ペルミン−コレステロール、DC−Chol、およびDOGSから選択される。
最も好ましくは、カチオン性脂質は、スペルミジン−コレステロールの異性体の
いずれかである。
補助脂質は、核酸の細胞への移入を促進しまたは安定性を増加する添加剤を接
合する目的で複合体に加えられる。本発明の補助脂質としては、中性、双性イオ
ン性およびアニオン性脂質が挙げられる。
複合体の細胞への移入を促進する目的で複合体に加えることができる好ましい
補助脂質は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である
。
好ましい態様では、補助脂質DOPEをカチオン性脂質と複合体形成させ、細
胞膜を通る複合体の輸送を促進しかつエンドソーム分解を防止する。
カチオン性脂質対補助脂質の(重量対重量換算での)比は、1:0〜1:10
の範囲であることができる。好ましい態様では、比は1:0.5〜1:4の範囲
である。
他の補助脂質を本発明の複合体に加えて、安定化添加剤を複合体に結合するこ
ともできる。補助脂質は、安定化添加剤を本発明の複合体に配合することができ
る残基であることができる。脂質を添加剤と誘導体形成することにより、この残
基が安定化添加剤をカチオン性脂質複合体へ固定することができる。補助脂質を
添加剤に接合して、カチオン性脂質−核酸複合体の凝集および沈澱を防止するこ
とができる。
このような添加剤を本発明のカチオン性脂質−DNA複合体に配合する目的で
用いることができる補助脂質としては、双性イオン性または他のリン脂質が挙げ
られるが、これらに限定されない。好ましくは、安定化添加剤を接合するのに用
いられる補助脂質は、本発明の複合体に配合することができる残基である。更に
好ましくは、このような補助脂質は不活性であり、かつ生物学的適合性である。
好ましい態様では、リン脂質ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン
(DSPE)は安定化添加剤で誘導体形成され、本発明のカチオン性脂質−核酸
複合体に配合することができる残基である。
本発明のもう一つの態様では、カチオン性脂質は、ポリエチレングリコール(
PEG)のような安定化添加剤を含むように合成し、この生成物が静電相互作用
により本発明の複合体中の核酸に結合するようにすることができる。
安定化添加剤を本発明の複合体に加え、複合体の一体性を保持し、整粒処理の
際に複合体安定性を保持し、保存寿命を増加させることもできる。これらの添加
剤は、好ましくは複合体に配合しまたは結合することができる残基、例えば補助
脂質に結合される。このような添加剤は、一般的にはポリエチレングリコール、
ポリビニルピロリドン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチル−オキサゾリン、
ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、およ
びヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースのようなセル
ロース誘導体などの、これらに限定されない親水性ポリマーから選択される(P
CT公表第WO94/22429号明細書、1994年10月13日公表)。
本発明に有用な他の安定化添加剤としては、過フッ化または部分的にフッ素化し
たアルキル鎖、フッ素化リン脂質、脂肪酸、およびペルフルオロアルキル化リン
脂質、およびポリグルコロン酸が挙げられる(Oku et al.,Critical Review in
Therapeutic Drug Carrier Systems 11:231-270,1994)。
好ましくは、リン脂質DSPEは、ポリエチレングリコール(PEG)と誘導
体形成し、安定化添加剤DSPE−PEGを形成する。更に好ましくは、用いる
ことができるPEGの分子量は、300〜20,000Daの範囲である。更に
一層好ましい態様では、PEG2000が安定化添加剤として用いられる。
PEG−脂質接合体は、リンカーシアヌレクロリドの使用などの幾つかの方法
によって調製することができる(米国特許第5,225,212号明細書、この
特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)。カルボニ
ルジイミダゾール(C=O)、無水コハク酸(−CO−CH2−CH2−CO−)
、またはトシレート
−(CH2−CH2−O−)n-1CH2−CH2−NH−PE
を用いるものなどの他の活性化法を用いることもできる。
添加剤の提案される-般構造は、下記の通りである(PE=ホスファチジルエ
タノールアミン):
ポリマーがポリエチレングリコールである場合には、
CH3O−(CH2−CH2−O−)n−X−NH−PE
YO−(CH2−CH2)n−X−NH−PE
平均分子量:300〜10000Da,(n=5〜250)
X:リンカー(CO;シアヌレクロリド、米国特許第5,225,212号明
細書を参照されたい)
Y:リガンド(ペプチド、炭水化物、タンパク質、ジギオヌクレオチド、ビタ
ミン、レセプター拮抗薬または作動薬、など)。
本発明のもう一つの態様では、リガンドは、遊離−OH基を用いて本発明の複
合体の安定剤またはPEG残基にカップリングすることができる。このようなリ
ガンドとしては、ペプチド、炭水化物、タンパク質、核酸、ビタミン、レセプタ
ー拮抗薬およびレセプター作動薬が挙げられるが、これらに限定されない。リガ
ンドがジギオヌクレオチドである場合には、PEG−ジギオヌクレオチド接合体
を調製することができる。リガンドのカップリングのため−OH基を活性化する
方法としては、カルボニルジイミダゾール、シアヌレクロリド、無水コハク酸、
またはトシレートを用いる方法が挙げられる。好ましくは、リガンドは、カップ
リングに利用可能な遊離のNH2またはSH基を含む。
一例は、下記の通りである:
リガンド−NH−CO−O−PEG−O−CO−NH−DSPE。
リガンドのカップリングは、SPE−PEG−OHとリガンドとの間の分子濃
度、脂質懸濁液の濃度、または脂質−DNA複合体の濃度などの複合体形成の幾
つかの段階のいずれかで行うことができる。好ましくは、カップリングは、複合
体形成の後期段階で行われ、リガンドが複合体の表面上にあり、従って接近可能
となる確率が増加する。
カチオン性脂質−核酸複合体の貯蔵を増加することができる安定化添加剤を複
合体に加えて、長期安定性を得るようにすることができるが、添加剤は、特によ
り低い電荷比での核酸とカチオン性脂質の結合を妨害しないように加えなければ
ならない。
リン脂質誘導体のような安定化添加剤対補助脂質(例えば、DSPE−PEG
2000/DOPE)のモル比は、0.01〜1(総脂質量に0.5モル%〜5
0モル%)の範囲であることができる。好ましい態様では、安定化添加剤は、カ
チオン性脂質と補助脂質との混合物に総脂質の1〜20モル%の濃度で加えるこ
とができる。更に好ましい態様では、安定化添加剤対補助脂質のモル比は、
0.04〜0.2の範囲であることができる。
本発明の複合体は、所望な核酸成分であって、このような分子を必要とする細
胞に送達されるものをも包含する。脂質懸濁液またはカチオン性脂質と複合体形
成する核酸は、DNAまたはRNA分子であって、一本鎖または二本鎖であるこ
とがあるものであることができる。核酸は、特にゲノムDNA、cDNA、mR
NA、アンチセンスRNA、またはリボチームであることができる。核酸は、タ
ンパク質、リボチーム、アンチセンス、または細胞へ送達するときに重要な他の
分子を生成することができる核酸の発現可能な配列を含むプラスミドまたは線状
核酸の形態であることもできる。核酸は、例えばアンチセンスまたはリボチーム
機能のために細胞へ送達されるオリゴヌクレオチドであることもできる。カチオ
ン性脂質または脂質懸濁液に加えて本発明の複合体を形成することができる核酸
の濃度は、10μg/ml〜1000μg/mlの範囲である。本発明の好まし
い態様では、核酸の濃度は20μg/ml〜500μg/mlの範囲である。
本発明のカチオン性脂質−核酸複合体は、複合体の正に帯電したカチオン性脂
質成分対負に帯電した核酸成分の比であるそれらの電荷比(+/−)を特徴とす
ることもできる。一般に、複合体上の過剰の正電荷により、負に帯電した細胞表
面への複合体の結合が容易になる。本発明の複合体の電荷比は、複合体上の正電
荷の和を負電荷で割ることによって計算することができる。正電荷/モルを特定
のカチオン性脂質または補助脂質について測定して、所定重量の脂質が特定の正
電荷を表すようにすることができる。同様な測定を核酸または補助脂質について
行い、負電荷/モルを得て、所定重量の核酸または補助脂質が特定の負電荷を表
すようにすることができる。総ての正電荷を総ての負電荷で割ることにより、複
合体の真の電荷比(+/−)を測定する。
好ましくは、本発明の複合体の電荷比は、1〜20(+/−)である。更に好
ましくは、2.5〜10(+/−)の範囲である。
本発明は、脂質懸濁液または脂質-核酸複合体の粒度を標準化する整粒法を用
いる脂質懸濁液(核酸の添加前)および/または脂質−核酸複合体の均質な整粒
法にも関する。核酸の添加前の押出しにより、脂質凝集体への核酸の結合が減少
することになる。複合体の均質な製剤または懸濁液を生成するのに用いることが
できる方法としては、押出し、音波処理、および微小流動化(microfluidization
)、サイズ排除クロマトグラフィー、フィールド・フロー分別、電気泳動、およ
び超遠心分離が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の好ましい態様では、画定された細孔径の膜を通る脂質懸濁液および/
または脂質−核酸複合体の押出しを含んでなる方法を用いて、複合体形成した核
酸を改質することなく本発明の複合体の均質に整粒した粒子または製剤を調製す
る。画定された細孔径のポリカーボネート膜を積層した押出し装置を用いて、懸
濁液を加圧下で膜を通過させるようにすることができる(例えば、Lipex Biomem
brances,Inc.、バンクーバー、カナダ製)。脂質懸濁液および/またはカチ
オン性脂質−核酸複合体を、細孔径が50〜500nmの膜を通して押出すこと
ができる。好ましい膜の細孔径は200nmである。複合体の押出しを、治療目
的で患者に投与するためのカチオン性脂質−核酸複合体の製造工程における最終
的殺菌段階として用いることもできる。
本発明の好ましい態様では、カチオン性脂質−核酸複合体の粒度は、25〜5
00nmの範囲であることができる。更に好ましくは、複合体の粒度は200n
mである。粒度は、特定の用途に最適に用いられるように選択することができる
。例えば、特定の臨床用途がカチオン性脂質−核酸複合体の浸出を含む場合には
、複合体の粒度は約80nm以下であることができる。
粒度の測定は、動的レーザー光散乱(光子相関分光分析法、PCS)、並びに
当業者に知られている他の手法などの多数の手法によって行うことができる(Wa
shington,製薬および他の産業における粒度分析(Particle Size Analysis
in Pharmaceutics and other Industries),Ellis Horwood,ニューヨーク,19
92年,135〜169頁)。
本発明の複合体に、押出しのような整粒処理を施した後、収率を計算して、回
収率を評価することができる。この計算は、処理前および後の複合体中の核酸の
濃度を測定することに基づいている。例えば、DNAを含む複合体の懸濁液を整
粒膜を通して押出す場合には、懸濁液のDNA濃度は、例えば260nmにおけ
る吸光度の測定(A260)のような核酸を検出する標準的手法を用いて測定す
ることができる。10%DMSOが含まれていると、脂質の存在下におけるDN
A濃度の測定が容易になる。押出し後の収率は、押出し前および後に測定したD
NA濃度の比から計算することができる。
整粒処理の後の複合体中の核酸の構造的一体性を測定するため、核酸を、例え
ば脂質の溶媒抽出の後にアガロースゲル電気泳動によって分析することができる
。核酸の制限マッピングを用いて、例えばプラスミドの状態に関する追加の詳細
を提供することができる。このような手法を用いれば、複合体中の核酸が構造的
に完全であり、加圧濾過中の剪断力または整粒処理において生成した他の機械的
応力によって分解しないかどうかを決定することが可能である。
DNAが、複合体の脂質または脂質安定剤成分によってどの程度しっかりと結
合しかつ被覆されているかについて、複合体の構造安定性を評価することも可能
である。これは、アガロースゲル中でのDNA移動を評価することによって(移
動なしは、DNAが脂質で被覆されていることを示す)、またはDNAアーゼI
でインキュベーションした後、脂質抽出およびアガロースゲル電気泳動を行い、
複合体中のDNAが表面に暴露しているかどうかを評価することによって、測定
することができる。
本発明の複合体は、最適安定性のために4℃で貯蔵することができる。複合体
の経時的安定性は、粒度測定について以前に報告された方法を用いて、粒度を定
期的に評価することによって測定することができる。
カチオン性脂質−核酸複合体は、核酸を細胞中に移動させ、細胞環境での核酸
の挙動を監視するのにも有用である。例えば、目的とする細胞中への遺伝子のカ
チオン性脂質トランスフェクションを用いて、調節パラメーターであって、これ
らの要素を目的の遺伝子に結合させ、発現について評価することによって、遺伝
子(エンハンサー、プロモーターなど)を発現させるものを決定することができ
る。
カチオン性脂質−核酸複合体を用いて、このような分子による治療を必要とす
るヒトの細胞に核酸を送達することができる。投与の経路としては、直接注射(
例えば、気管内)、エーロゾル投与、イン・ビボ投与のための筋肉内、腫瘍内お
よび静脈内経路が挙げられるが、これらに限定されない。エクス・ビボでの移植
処理に用いられる細胞への核酸のカチオン性脂質介在トランスフェクションを用
いて、核酸を、このような分子を必要とするヒトに送達することもできる。
本発明の複合体の核酸成分として用いることができる治療用導入遺伝子として
は、嚢胞性繊維症に対するCFTR、肺気腫に対するα1−アンチトリプシン、
AIDSに対する可溶性CD4、アデノシンデアミナーゼ欠損症に対するADA
、筋ジストロフィーに対するジストロフィン、癌治療に対するサイトカイン遺伝
子、癌治療に対する免疫療法または腫瘍抑制遺伝子、および遺伝子療法に有用で
あるものとして当該技術分野で認められている任意の他の遺伝子が挙げられるが
、これらに限定されない。リボチーム、アンチセンスRNA、またはオリゴヌク
レオチドのような分子をコードするトランスジェニック核酸を、本発明の複合体
の核酸成分に配合することもできる。あるいは、リボチーム、アンチセンス核酸
、またはオリゴヌクレオチドを、本発明の複合体に直接配合することもできる。
核酸構築物は、エンハンサーおよびプロモーターのような遺伝子の発現を支配す
る調節要素を含むこともできる。
発現可能な核酸を含んでなる複合体を、例えば静脈内投与などの様々な投与経
路によって多種多様な細胞型に送達し、脂質−核酸複合体を全身吸収する場合に
は、核酸の発現を、組織特異的プロモーターを用いることによって、特定の組織
に限定することができる。核酸の発現は、外来刺激、例えばメタロチオニンによ
って活性化したMMTVプロモーター、HIVのTAT/REVタンパク質の存
在下で活性化されたプロモーターを含んでなるTAR/RRE、またはホルモン
応答プロモーターに応じて活性化される誘導プロモーターを用いて一時的に制御
することもできる。
複合体の核酸成分が発現可能な遺伝子を含んでなる場合には、その生物学的機
能は、ノーザンブロットまたはS1分析によるmRNAの検出、および/または
ウェスタン・ブロット法、免疫沈澱または機能タンパク質分析法を用いるタンパ
ク質の検出などの標準的手法によって分析することができる。遺伝子が適当なマ
ーカータンパク質、例えばルシフェラーゼまたはβ−ガラクトシダーゼをコード
する場合には、後者が特に有用である。
カチオン性脂質−核酸複合体は、イン・ビトロで目的とする核酸を細胞へ移動
させ、このような核酸の機能を決定し、または治療効果を提供する核酸をこれら
の細胞に与え、または核酸送達についての複合体の効率および特異性を測定する
ことができる。このような細胞としては、確立された細胞系、例えばA549、
NIH3T3、HeLa、並びに当業者に知られている一次細胞または他の細胞
が挙げられるが、これらに限定されない。
目的とする核酸は、全生体の組織への移動の効率および特異性を決定するのに
用いることができる動物モデルの細胞にイン・ビボで送達することもできる。こ
のような動物としては、マウス(例えば、C57 Black/10、またはB
alb/c)、ウサギ、および霊長類などが挙げられる。例えば、嚢胞性繊維症
のモデルとして突然変異体CFTR遺伝子を発現するように操作したトランス
ジェニックマウスのようなヒトの疾患状態の動物モデルを用いて、治療処理のた
めのある種の分子の効果を試験することができる。
本発明は、本発明の複合体を含む医薬組成物であって、治療上有効量を投与し
て治療を必要とするヒトに所望な核酸を送達することができるものも包含する。
医薬組成物は、任意の適当な溶媒などの薬学上許容可能なキャリヤーを含むこと
ができる。本明細書で用いられる「薬学上許容可能なキャリヤー」としては、任
意および総ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌約、等張およ
び吸収遅延剤などが挙げられる。任意の通常の媒質または化合物が活性成分と適
合性である限りを除き、治療組成物でのその使用が考えられる。
特に断らない限り、本発明の実施では、当該技術分野の技術範囲内にある組換
えDNA技術、タンパク質化学、微生物学およびウイルス学の通常の手法が用い
られる。このような手法は、文献に詳細に説明されている。例えば、分子生物学
の最新のプロトコール(Currenl Protocols in Molecular Biology),Ausubel et
al.監修,John wiley & Sons,Inc.,ニューヨーク,1995年を参照された
い。
本発明を、下記の実施例について説明する。
実施例1: カチオン性脂質−核酸複合体の調製
カチオン性脂質DC−Chol(3β[N−(N’,N’−ジメチル−アミノ
エタン)カルバモイル]コレステロール)(Gao,X.and Huang,L.,Biochem.
Biophys.Res.Communic.179:280-285,1991に準じて合成)、スペルミジン−
コレステロール(スペルミジン−Chol)(Transgene,S.A.で合成)(Caff
ey et al.,J.Biol.Chem.270:31391-31396,1995:フランス国特許出願第9
6 01347号明細書、上記文献の内容は、いずれもその開示の一部として本
明細書に引用される)、スペルミン−コレステロール(スペルミン−Chol)
(Transgene,S.A.で合成)(Caffey et al.,J.Biol.Chem.270:31391-
31396,1995;フランス国特許出願第96 01347号明細書)、およびジオク
タデシルアミド−グリシル−スペルミン(DOGS)(Jean-Paul Behr博士の好
意により入手(Behr et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.86:6982-6986,1989,この
文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)、および補助脂質
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(Sigma,Ref.P505
8,lot 75H8377)およびジステアロイル−ホスファチジル−エタノールアミン−
PEG2000(DSPE−PEG2000),Avanti Polar Lipids,アラバス
ター,アラバマ,米国,Ref 880120,lot 18OPEG2PE-21)を、それぞれのクロロ
ホルム/エタノール(8:2)の溶液を混合し、窒素気流下で溶媒を留去して、
乾燥した脂質フィルムを生成することによって所望な比率(カチオン性脂質:D
OPEの比1:1;DSPE−PEG2000対総脂質の比2.5および10モ
ル%)で組合せた。残っている溶媒を、真空留去した。乾燥した脂質フィルムを
、20mM Hepes,pH7.8、0.9%NaCl中で若干攪拌しながら
4℃で一晩再水和し、超音波処理浴槽(Bransonic 221)中で8分間超音波処理す
ることによって懸濁した。
カチオン性脂質/補助脂質混合物を、様々な電荷比+/−でDNAと複合体形
成する前に200nmで押出した。押出しは、細孔径が0.2μmの2枚のポリ
カーボネート膜を重ね合わせたもの(Nucleopore,Costar Corp.Cambridge,マサ
チューセッツ,米国)を備えたLipex Biomembranes,Inc.(バンクーバー,カナ
ダ)製の押出機を用いて行った。懸濁液を、50℃で約10バールの窒素ガス圧
で膜を通過させた。
特定の例では、下記の脂質を混合し、乾燥した:窒素気流下でスペルミジン−
Chol(10mg/ml)422μl、DOPE(10mg/ml)422μ
l、およびDSPE−PEG2000(25mg/ml)145μl、次いで、
残留溶媒を真空留去。振盪機上で4℃で一晩、20mM Hepes,pH7.
8+0.9%NaClを4.32mlを加えた後、超音波処理浴槽(Bransonic22
1)中で8分間超音波処理することによって再構成し、下記の脂質濃度を得た:ス
ペルミジン−Chol:1.75mM,DOPE:1.31mM,DSPE−P
EG:0.31mM。脂質懸濁液を、細孔径が200nmの2枚の膜を重ね合わ
せたものを通して押出した。懸濁液を、50℃で約10バールの窒素ガス圧で膜
を通過させた。200μlのpCMVlucプラスミドDNA(10mM Tr
is−HCl,pH7.5,1mM EDTA中1.46mg/ml)を、脂質
懸濁液の1.26ml分量に加え、最終容積を1.46mlとした。複合体の最
終調製物における成分の濃度は、スペルミジン−Chol:1.51mM、DO
PE:1.13mM、DSPE−PEG:0.27mM、DNA:200μg/
mlであった。このような複合体は、10モル%のDSPE−PEG2000を
含み、DNA濃度が200μg/mlでの電荷比は5である。
脂質−DNA複合体を、再度50℃および約10バールの窒素圧で200nm
の細孔径のポリカーボネート膜中に伸長させた。押出したおよび非押出し脂質−
DNA複合体の安定性の比較については、図4を参照されたい。
CMVプロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドpCM
Vlucを、図1に示す。
得られたカチオン性脂質−核酸複合体の粒度を、光子相関分光分析法(動的光
散乱とも呼ばれる)であって、レーザー光散乱に基づいた手法によって測定した
。PCSにより、レーザー光の照明容積中の粒子のブラウン運動を測定し、散乱
光の変動を粒子の拡散係数に連結する相関関数を計算する。次に、粒度は、スト
ークス−アインシュタインの関係式:D=kT/3πηd(k:ボルツマン定数
、T:絶対温度、η:粘度、d:粒径(Clive Washington,製薬および他の産業
における粒度分析(Particle Size Analysis in Pharmaceutics and other Indus
tries),Ellis Horwood出版社,ニューヨーク,1992年,135〜169頁
を
参照されたい。この文献には、他の方法についての章も記載されている)を用い
て拡散係数から誘導される。
PCSは、押出し前の部分について行い、残りは50℃で200nmの膜を介
して押出した。押出しの後、粒径をPCSによって再度測定した。カチオン性脂
質−核酸複合体を4℃で様々な期間保存して、その安定性を測定した。
カチオン性脂質−核酸調製物中のDNAの濃度を、脂質懸濁液を10%(容量
/容量)ジメチルスルホキシド(DMSO)で透明にすることによって測定した
。吸光度は、光路長1cmで50μg/mlDNAを1吸光度単位に等しいと定
義する関係を用いて260nmで測定した。様々な調製物について押出し前およ
び後に測定を行い、複合体形成を行わないプラスミドDNAの濃度と比較した。
収率は、比A260(押出し後)/A260(押出し前)(×100)を用いて
計算する。
複合体におけるDNAの物理的一体性を、脂質の溶媒抽出の後アガロースゲル
電気泳動によって決定した。このために、カチオン性脂質−核酸懸濁液1mlを
0.4mlの水、2mlのメタノール、および1mlのクロロホルムと混合し、
2分間攪拌した。3,000rpmで5分間遠心分離した後、上相を別の試験管
に移し、真空乾燥した。ペレットを、3M酢酸ナトリウム27μlおよびトラン
スファーRNA5μgを加えた水250μlに再溶解した後、−20℃に冷却し
た無水エタノール700μlを加えた。−20℃で1時間簡単に攪拌した後、D
NAペレットを4℃で15,000rpmで30分間遠心分離することによって
回収した。液体を傾瀉し、残りのペレットを70%エタノール水溶液200μl
(−20℃に冷却)で2回洗浄し、それぞれの洗浄の後に遠心分離によって回収
した。次に、ペレットを真空乾燥し、10mM Tris−HCl,pH7.5
,1mM EDTAに再溶解して、最終濃度を約0.5μg/μlとした。アガ
ロースゲル電気泳動は、Tris(4.86g)、酢酸ナトリウム×3H2O
(0.68g)およびEDTA(0.336g、総ての重量は1リットルの最終
容積についてのものであり、酢酸でpH7.8に調整した)中1%アガロース(S
igma,Ref.A-6877,lot 123H0552)中サブマリーン・スラブ・ゲル(submarine s
lab gels)(14×10×0.8cm)中で、60ボルトで2時間行った。DN
Aバンドを、上記緩衝液中臭化エチジウムを用いて60μg/lで染色した。
粒度分析は、3〜10,000nmの範囲に亙ってPCS(Coulter N4 Plus
,マイアミ,フロリダ,米国)と組合せたレーザー光散乱(10mW He−N
eレーザー、632.8nm)によって行った。散乱光を、20mM Hepe
s,pH7.8,0.9%NaClで希釈した試料の90°の角度で測定し、5
×104〜106カウント/秒を得た。最終容積は、500μlであった。測定は
、25℃で3分間平衡にした後、下記のパラメーター:自動プレスケール(autom
atic prescale)、自動試料時間(sample time:automatic)、自動測定時間(90
°、3分)、25ビン(bins)を用いる3〜10,000nmのSDP(異なる母
集団を区別するアルゴリズム)分析、屈折率:1.33252、粘度:0.89
04センチポアズを用いて開始した。
上記の条件下で行った最初の分析の後、窓の大きさを小さくし、ビンの数を増
加することによって測定条件を向上させた。系は、画定された平均粒径のラテッ
クスビーズで較正した(Coulter粒度コントロール:CEI NO.6602336;90、1
70、300および500nm)。遅延時間の調整は自動的に行い、較正ビーズ
での手動測定により精確な範囲にあることが規則的に実証された。
結果
10%のモル比でPEG2000にカップリングしたジステアロイルホスファ
チジルエタノールアミン(DSPE−PEG)のようなPEG−リン脂質(PE
G−PL)を配合することにより、押出し後のDNA回収率が向上し、凝集を防
止することにより一体性が保持された(図2および3)。この有利な効果
は、PEG−PLを加えた場合の均質な分散液である得られた複合体を目視によ
り検査した時点で既に明らかであったが、安定化添加剤を加えない場合には速や
かに羊毛状となった。安定化添加剤を含まない脂質−核酸複合体を細孔径が20
0nmのポリカーボネート膜を通して押出す初期の試みでは、DNAのほとんど
が、恐らくは凝集体が存在するためフィルター膜上で失われた。
4℃で20μg/mlに複合体形成した様々なカチオン性脂質を用いる安定性
の検討では、PCSによって測定した複合体の平均粒径は、少なくとも2か用間
安定なままであった(図4A〜D;A:DC−Chol/DOPE;B:スペル
ミジン−Chol/DOPE;C:スペルミン−Chol/DOPE;D:DO
GS/DOPE)。初期粒度を0日に示し、粒度を63日間に亙ってDSPE−
PEG2000のモル%の関数として、DNA−脂質複合体の押出しを行う(「
ex」)かどうかについて測定した。データは、10%DSPE−PEGを添加
したところ、DSPE−PEGを含まない調製物とは対照的に、粒子は均一な粒
度に保持され、凝集は防止された。
また、DSPE−PEGの安定化効果を、イン・ビボトランスフェクションに
必要なより高濃度のプラスミドDNA(200μg/ml)に複合体形成したス
ペルミジン−Chol/DOPEを含む脂質−DNA複合体についても観察した
(図5)。この結果は、DSPE−PEG2000の安定化効果が、異なる量の
添加剤(2、5および10モル%)並びに異なる+/−電荷比について観察され
ることを示している。PCSによって測定した粒度の変動が微小であることは、
調製物が経時的に発生するものではないので、それが不安定であることを示して
いない。PCSによる粒度測定では、恐らくは複合体の形状が若干変化するため
、これらの変動を生じることがあるものと思われる。
PEG−PLを含む脂質−DNA複合体の粒度は、最終的な押出し段階を省い
たときにも安定化した(図6)。この安定化効果は、異なる+/−電荷比および
異なるPEG−PLの濃度で明らかであった。特に、+/−電荷比が高い脂質−
DNA複合体は効率的に安定化されたが、総ての調製物は、PEG−PLを含ま
ない場合の粒度が1000nmを上回るのと比較して、400nm未満であり、
ほとんどの場合には200nm未満であった(図4A〜D)。複合体にPEG−
PLが含まれていないと、プラスミドDNAをカチオン性脂質に200μg/m
lの最終濃度で添加すると、目に見える凝集および沈澱が生じ、有意なpCS測
定が妨げられた。
4℃での安定性検討では、押出した複合体は、平均粒径が約170nm(PC
S測定)で少なくとも2か月間安定なままであった。更に、このような複合体は
、実施例3に示される気管内および静脈内経路でのイン・ビボでのトランスフェ
クションが可能である。添加剤は、カチオン性脂質と核酸との複合体を安定化し
、複合体形成した核酸が改質することなく画定された細孔度の膜を通してこのよ
うな複合体を押出すことができる。ポリエチレングリコールと誘導体形成したリ
ン脂質は、脂質−DNA複合体の凝集および沈澱を防止するのに有効であること
が分かる。
実施例2:カチオン性脂質−核酸複合体を用いる細胞のトランスフェクション 方法
2×106個の細胞を含む細胞培養物の初期の20mlから、2×104個の細
胞/ウェル(96穴培養プレート)を、グルタミンおよび10%ウシ胎児血清を
補足した200μlのDMEM培地に、1日目に接種した。2日目に、2個のマ
イクロタイタープレートを調製し、一方のプレートには、ウェル当たり血清を含
まない70μlの培地中プラスミドDNAの様々な希釈物を含み(出発濃度:0
.16mg/ml)、一つのプレートには、ウェル当たり60μl中の脂質懸濁
液を含んでいた(出発濃度:0.187mg/ml)。DNAおよび脂質を両
方とも連続希釈し(2倍)、所要量のDNAを必要量の脂質を含むウェルに移し
た。培地を吸引により細胞から除去し、脂質−DNA複合体(100μl)を細
胞に移した。37℃で4時間後、5%CO2、および30%ウシ胎児血清を含む
培地50μlを加えた。3日目に、10%ウシ胎児血清を含む追加の培地100
μlを加え、4日目に、細胞を顕微鏡法により成育可能性について検査した。培
地を除去することによってトランスフェクションを停止し、細胞を100μlリ
ン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。50μlリーシス緩衝液(Promega,水で
5倍に希釈)を加えた後、細胞を少なくとも15分間−80℃に冷凍した。生成
するルシフェラーゼの量を、Berthold LB 96 Pルミノメーターの速度論モードで
96穴マイクロタイタープレート(Berthold)でLuciferase Assay System(Prome
ga)を用いて、リーシス溶液20μlで1分間測定した。
結果
PEG−PL10モル%を配合すると、培養したA549細胞での脂質−DN
A複合体のイン・ビトロでのトランスフェクション活性が完全にブロックされた
(図7AおよびB)。この効果は、PEG−PLが、培養中のベクター複合体と
細胞との効率的な接触を妨げることによるものかもしれない。従って、更に一層
意外なことには、これらのベクターは、気管内(i.t.)または静脈内(i.
v.)の投与経路のいずれによってもイン・ビボトランスフェクションが可能で
あることを見出だした(下記の結果を参照されたい)。
実施例3:カチオン性脂質−核酸複合体のイン・ビボ投与 方法
マウスへの気管内投与:5〜6周齢のマウス(C57 Black/10また
はBalb/c)をケタミンを用いて麻酔し、様々な電荷比でカチオン性脂質に
複合体形成したpCMVlucプラスミドDNA25μgを含む125μlのベ
クター製剤を気管に投与した。複合体を押出しせず、DSPE−PEG200
0を含んでいなかった。48時間後、マウスを屠殺し、気管、左および右肺を取
り出し、液体窒素で冷凍させ、−70℃で保存した。
マウスへの静脈内投与:5〜6周齢のマウス(C57 Black/10また
はBalb/c)の尾静脈に400μlのベクター製剤を投与した。製剤は、様
々な電荷比でカチオン性脂質に複合体形成した75μgのpCMVlucDNA
を含んでいた。7日後、器官(肺、心臓、脾臓、肝臓、骨格筋)を取り出し、液
体N2で冷凍し、−70℃で保存した。
タンパク質抽出物の調製およびルシフェラーゼ活性の測定:ルシフェラーゼ抽
出物は、文献記載の方法(Manihorpe,Human Gene Therapy 4:419-43,1993)によ
り、下記の改質を加えて調製した。冷凍組織を、ドライアイスで予備冷却した乳
鉢で粉砕した。粉末を1.5mlのエッペンドルフ試験管に移し、液体N2およ
び37℃で3サイクルの凍結−融解を用いて500μlのReporter LysisBuffer
(Promega)で抽出した。溶解産物を、室温でエッペンドルフ試験管中で14,
000rpmで10分間遠心分離し、上清を新しい試験管に移した。ペレットは
、最終的にDNA抽出に用いた。抽出物を液体N2で冷凍し、−70℃で保存し
た。タンパク質濃度は、Quantify Protein Assay System(Promega)で測定した
。ルシフェラーゼ活性は、Berthold LB 96 Pルミノメーターの速度論モードで9
6穴マイクロタイタープレート(Berthold)でLuciferase Assay System(Promega
)を用いて、抽出物の10μl分量で測定した。ルシフェラーゼ活性を、器官試
料、すなわち気管、左および右肺であって、投与を行ったマウスから取り出した
ものについて測定した。リポーターリーシス緩衝液(Promega)中でハイブリダイ
ゼーションおよびリーシスを行った後、10または20μlの分量を基質(Luci
ferase Assay System,E1501,Promega)100μlと混合する。製造業者のプ
ロトコールに従って、ルミノメーター上で1分間隔の読みを記録した。ルシフェ
ラーゼ活性を、負の組織抽出物で希釈した精製酵素(Promega)で確立したル
シフェラーゼ標準曲線を用いてRLU/mgタンパク質またはfgルシフェラー
ゼ/mgタンパク質として計算した。
結果
気管内投与:図8は、電荷比5:1でpCMVlucDNAと複合体形成する
のに用いた補助脂質DOPEを用いて処方した様々なカチオン性脂質(DC−C
hol、スペルミジン−chol、スペルミン−chol)を用いる実験をまと
めている。カチオン性脂質:DOPEの比は、重量で1:1である。この実験に
おける脂質−DNA複合体を調製し、複合体のトランスフェクション効率を減少
させることがある大きな凝集体の形成を回避するため、直ちに試験動物にi.t
.投与した。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェラーゼ遺伝子を含む組換えアデノ
ウイルスをコントロールとして用いて、i.t.投与から1、2および3日後に
投与を行ったマウスから取り出した器官試料、すなわち気管、右および左肺につ
いて前に記載した方法で測定した。
ルシフェラーゼ活性は、24および48時間後にDC−Chol/DOPEま
たはスペルミン−Chol/DOPEと複合体形成したDNAについて検出する
ことができた。遊離DNAおよびこの実験においてスペルミジン−Chol/D
OPEと複合体形成したDNAについては、活性は見られなかった。
添加剤を含む押出し複合体:次の組の実験では、画定された粒度と処方後に安
定性が増加した脂質−DNA処方物を試験した。このために、平均粒度が約20
0nmの粒子を生成する押出しによって、複合体を調製した。これらの処方物に
おける脂質−DNA複合体の1成分としてのDSPE−PEG2000の添加も
、試験した。
スペルミジン−Chol/DOPEを、10モル%DSPE−PEG2000
の存在下で、5:1の電荷比で25μgのpCMVlucと複合体形成した。カ
チオン性脂質:DOPEの比は、重量で1:1であった。試料を、直接気管内投
与により6周齢のC57 Black/10マウスに投与するか、または投与前
に押出しにより分粒した。48時間後に、動物を屠殺し、それぞれの動物の気管
(T)、左(PG)および右(PD)肺でルシフェラーゼ活性を測定した。図9
は、スペルミジン−Chol/−DOPE−pCMVluc複合体をマウスに投
与した後のルシフェラーゼ活性を示す。マウス11には、25μgの遊離pCM
VlucDNAを投与した。48時間後に、ルシフェラーゼ活性は検出されなか
った。マウス13および14には、押出しを行わなかった複合体を投与し、マウ
ス17、18、19および20には、押出し後の複合体を投与した。気管で活性
を示さなかったマウス18を除き、総てのマウスの気管および肺について100
0〜7000PLU/mgタンパク質の範囲のルシフェラーゼ活性が測定された
。
電荷比および安定化添加剤の効果:スペルミジン−Chol/DOPE−pC
MVluc複合体の電荷比、およびこれらの複合体のDSPE−PEG2000
の濃度の影響も検討した。電荷比が5:1、2.5:1および1:1のスペルミ
ジン−Chol/DOPE−pCMVluc複合体を調製した。それぞれの電荷
比について、DSPE−PEG2000を10、5または2モル%まで加えた。
C57 Black/10マウスにi.t.投与から48時間後に、ルシフェラ
ーゼ活性をこれらの動物の気管および肺で測定した。表1に、この実験の結果を
まとめる。表1:電荷比およびDSPE−PEG2000濃度のスペルミジン−Chol/ DOPE−pCMVluc複合体のi.t.活性に対する影響 *少なくとも2匹の独立したマウスの少なくとも3回の独立した測定のRLU/
mgタンパク質SD
肺でのルシフェラーゼ活性を、電荷比が5:1の複合体を投与した後に測定し
た。DSPE−PEG2000が10から2モル%に減少すると、この実験内で
はルシフェラーゼ活性が増加した。より低い電荷比では、ルシフェラーゼ活性は
、肺では最早検出されなかった。気管では、電荷が減少すると、ルシフェラーゼ
活性は増加した。DSPE−PEG2000濃度は、この活性に影響を与えるも
のと思われる。
これに対する一つの説明は、DSPE−PEG2000が、どの程度しっかり
とDNAがカチオン性脂質に結合されておりかつこれによって被覆されているか
についてカチオン性脂質−DNA複合体を不安定化することがあることである。
この効果は、より低い電荷比については一層重要となる。この効果により、高電
荷比を有する複合体だけが、肺細胞に到達してトランスフェクションを行うのに
十分な安定性を有する。より低い電荷比では、複合体は不安定になり、投与部位
に隣接する気管では細胞を効率的にトランスフェクションすることができるが、
肺にまで十分深く浸透して、肺組織をトランスフェクションすることはない。
静脈内投与:i.v.送達について処方物に対する様々な電荷比の影響および
DSPE−PEG2000の存在を試験するため、75μgのpCMVlucD
NAを、10%DSPE−PEG2000の存在および非存在下で電荷比1:2
、1:4および1:6でDC−Chol/DOPEと複合体形成し、400μl
の容積でi.v.投与した。カチオン性脂質:DOPEの比は、重量で1:1で
あった。複合体は、押出しを行わなかった。
ルシフェラーゼ活性を、肺、肝臓、心臓、骨格筋、および脾臓で7日後に測定
した。結果を、図10に示す。ルシフェラーゼ活性活性は、処方物当たり4匹の
独立したマウスの群についてのRLU/mgタンパク質+/−(標準偏差)とし
て示される。ルシフェラーゼ活性は、筋肉および脾臓には見ることはできない。
電荷比1:4(800μgの総脂質(400μgDC−Chol):75μgD
NAおよび1:6(1200:75)については、低活性が心臓および肝臓に見
られる。肺では、1:2(400:75)の電荷比+10%DSPE−PEG2
000で出発して、比較的高値が得られる。
脂質対DNAの比をこれらの実験で変化させ、イン・ビボでのトランスフェク
ションに対するこのパラメーターの影響並びにDSPE−PEG2000の存在
を評価した。脂質の量の増加の根拠は、DNAがイン・ビボで一層安定であり、
かつ一層正の電荷比により複合体の向性が改質されることであった。この実験か
ら、電荷比が高くなれば、一層ばらつきのないトランスフェクションが得られる
と思われる。DSPE−PEG2000が含まれることにより、添加剤を含まな
い総ての製剤で形成された目に見える沈澱が防止されることも重要である。
実施例4:カチオン性グリセロ脂質pcTG56を含むカチオン性脂質−核酸 複合体の調製
A. カチオン性グリセロ脂質pcTG56の合成
pcTG56を、下記のプロトコールに従って調製した(図15も参照された
い)。シアノ酸1
アクリロニトリル(9.6ml,146ミリモル)を1,4−ジオキサン(5
0ml)に溶解したものを、グリシン(10.0g,132ミリモル)と1N水
酸化ナトリウム(133ml)を水および1,4−ジオキサン(200ml)の
1/1混合物に氷冷溶解したものに滴加した。反応を0℃で1時間攪拌し、室温
で更に4時間攪拌した。次に、ジ第三ブチルジカーボネート(35.0g,15
9ミリモル)を1,4−ジオキサン(100ml)に溶解したものを滴加し、反
応混合物を室温で2時間攪拌した。エーテル(2×100ml)で抽出した後、
水相を1N塩酸で酸性にし、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。合わせ
た有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空濃縮した。シアノ酸1(24.4g
,収率81%)が白色固形生成物として得られ、これを更に精製することなく用
いた。融点=87−89℃。
1H NMR(200MHz,D2O):d3.88および3.87(2S,2
H,−CH2−CO2H),3.48および3.45(2t,J=6.3Hz,2
H,−CH2−N(BOC)−),2.58および2.56(2t,J=6.3
,6.4Hz,2H,−CH2−CN),1.30および1.24(2s,9H
,t−Bu−)。アミノ酸2
シアノ酸1(11.5g,50.4ミリモル)を水酸化ナトリウム(4.04
g,100ミリモル)を含むエタノール(100ml)に溶解したものを、ラネ
ーニッケル(3.2g)の存在下にて、室温で18時間水素化した。混合物をセ
ライト上で慎重に濾過し、触媒をメタノール(2×30ml)で洗浄した。濾液
を10%塩酸水溶液で酸性にし、真空濃縮して白色固形生成物を得て、これをク
ロロホルム(50ml)に溶解して、塩化ナトリウムのほとんどを沈澱させた。
濾過を行い、濾液を真空濃縮し、四塩化炭素中で再結晶した後、アミノ酸2(1
0.4g,89%)を得た。融点=201〜202℃。
1H NMR(200MHz,D2O):d3.53(S,2H,−CH2−C
O2H),3.17(t,J=6.6Hz,2H,−CH2−N(BOC)−),
2.83(t,J=7.5Hz,2H,−CH2−NH2),1.69(quin
t.,J=7Hz,2H,−CH2−),および1.26および1.21(2s
,9H,t−Bu−)。
シアノ酸3
1についてと同様な処理により、2からシアノ酸3を得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3):d4.00〜3.85(m,2H
,−CH2−CO2H),3.55〜3.43(m,2H,−CH2−CH2−CN
),3.31(t,J=7.2Hz,4H,−CH2−N(BOC)−),2.
61(m,2H,−CH2−CN),1.78(quint.,J=7.2Hz
,2H,−CH2−),1.47および1.44(2s,18H,t−Bu−)
。
アミノ酸4
アミノ酸4(収率87%;シリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにより精
製,溶離剤:メタノール/ジクロロメタン3/7,次に6/4)を、アミノ酸2
と同様な処理により、3から得た。融点=189〜190℃。
1H NMR(200MHz,D2O):d3.57および3.54(2S,2
H,−CH2−CO2H),3.2〜3.0(m,6H,−CH2−N(BOC)
−),2.80(t,J=7.7Hz,2H,−CH2−NH2),1.80〜1
.50(m,4H,−CH2−),1.27および1.22(2s,18H,t
−Bu−)。
シアノ酸5
1についてと同様な処理により、4からシアノ酸5を得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3):d3.85(br s,2H,−
CH2−CO2H),3.47(t,J=6.6Hz,2H,−CH2−CH2−C
N),3.35〜3.05(m,8H,−CH2−N(BOC)−),2.60
(m,2H,−CH2−CN),1.85〜1.6O(m,4H,−CH2−),
1.46および1.44(2S,27H,t−Bu−)。
アミノ酸6
アミノ酸6(収率83%;シリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにより精
製,溶離剤:メタノール/ジクロロメタン3/7,次に6/4)を、化合物2と
同様な処理により、5から得た。
1H NMR(200MHz,D2O):d3.76および3.73(2s,2
H,−CH2−CO2H),3.25〜2.75(m,12H,−CH2−N(B
OC)−および−CH2−NH2),1.85〜1.50(m,6H,−CH2−
),1.28および1.23(2S,27H,t−BU−)。シアノ酸7
1についてと同様な処理により、6からシアノ酸7を得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3):d3.95および3.87(2b
r s,2H,−CH2−CO2H),3.47(t,J=6.5Hz,2H,−
CH2−CH2−CN),3.40〜3.05(m,12H,−CH2−N(BO
C)−),2.61(m,2H,−CH2−CN),1.90〜1.60(m,
6H,−CH2−),1.47および1.44(3s,36H,t−Bu−)。
アミノ酸8
アミノ酸8(収率71%;シリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにより精
製,溶離剤:メタノール/ジクロロメタン1/9,次に3/7)を、化合物2と
同様な処理により、7から得た。
1H NMR(200MHz,D2O):d3.76および3.73(2S,2
H,−CH2−CO2H),3.25〜2.75(m,12H,−CH2−N(B
OC)−および−CH2−NH2),1.85〜1.50(m,6H,−CH2−
),1.28および1.23(2s,27H,t−Bu−)。
酸9
CH2Cl2(5ml)に溶解したジ第三ブチルジカーボネート(1.19g,
5.45ミリモル)を、化合物8(3.20g,4.55ミリモル)およびトリ
エチルアミン(0.95ml,6.83ミリモル)をCH2Cl2(45ml)に
溶解したものに加えた。混合物を室温で16時間攪拌した後、5%HClで酸性
にしてpH3とし、CH2Cl2(30ml)で抽出した。有機相を水(20ml
)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して無色油状生成物を得て、これ
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン5/95
、次いで10/90)によって精製し、化合物9(3.37g,92%)を
得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3):d3.85(2S,2H,−CH2
−CO2H),3.45〜3.05(m,16H,−CH2−N(BOC)−)
,1.85〜1.60(m,8H,−CH2−),1.45,1.44および1
.43(3s,36H,t−Bu)。
エステル10
ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.53g,2.59ミリモル)を乾燥ジ
クロロメタン(1ml)に溶解したものを、酸9(1.60g,1.99ミリモ
ル)、(S)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−メタノー
ル(0.34g,2.59ミリモル)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(
24mg,0.2ミリモル)を乾燥ジクロロメタン(4ml)に溶解したものに
加えた。反応混合物を、室温で16時間攪拌した。次いで、ジシクロヘキシル尿
素の沈澱を濾去し、濾液を真空濃縮し、シリカゲルカラム上でクロマトグラフィ
ー(溶離剤:エーテル/ヘキサン5/5、次いで6/4)処理を行い、エステル
10(1.73g,95%)を得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3):d4.35〜4.04(m,4H
),3.99〜3.92(2s,2H,−CH2−CO),3.74(m,1H
),3.30〜3.00(m,16H,−CH2−N(BOC)−),1.85
〜1.55(m,8H,−CH2−),1.46,1.45,1.44および1
.42(4s,48H,t−BuおよびMe−),1.36(s,3H,Me−
)。
ジヒドロキシエステル11
エステル10(1.55g,1.69ミリモル)および1N塩酸(0.68m
l)をメタノール(29ml)に溶解したものを、室温で16時間攪拌した。次
に、トリエチルアミン(1ml)を溶液に加えて、中性とした。真空留去および
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:メタノール/ジクロロメタン5
/95)により、ジヒドロキシエステル11(1.23g,83%)を無色油状
生成物として得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3):d4.25(m,2H,−CH2
−OCO−),4.00〜3.40(m,5H,CH−OH,−CH2OHおよ
び−CH2−CO2−),3.40〜3.00(m,116H,−CH2−N(B
OC)−),1.90〜1.6(m,8H,−CH2−),1.46,1.45
,1.44および1.42(4s,45H,t−Bu−)。
トリエステル12
ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.71g,3.42ミリモル)を乾燥ジ
クロロメタン(1ml)に溶解したものを、ジヒドロキシエステル11(1.0
0g,1.14ミリモル)、オレイン酸(0.97g,3.42ミリモル)およ
び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(14mg,0.11ミリモル)を乾燥ジク
ロロメタン(3ml)に溶解したものに加えた。反応混合物を、室温で16時間
攪拌した。次いで、ジシクロヘキシル尿素の沈澱を濾去し、濾液を真空濃縮し、
シリカゲルカラム上でクロマトグラフィー(溶離剤:エーテル/ヘキサン4/6
)処理を行い、無色油状生成物としてトリエステル12(754mg,47%)
を得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3):d5.34(m,4H,−CH=
),5.26(m,1H,CH−OCO−),4.40〜4.05(m,4H,
−CH2OCO−),3.95および3.89(2m,2H,−N(BOC)−
CH2−CO2−),3.35〜3.00(m,16H,−CH2−N(BOC)
−),2.31(t,J=7.5Hz,4H,−CH2−CO2−),2.01(
m,8H,アリルH),1.85〜1.50(m,12H,−CH2−),1.
46,1.44,1.43および1.41
(4s,45H,t−Bu−),1.30および1.27(2br s,44H
,−CH2),0.88(t,J=6.4Hz,6H,Me−)。
カチオン性グリセロ脂質pcTG56
トリエステル12(0.52g,0.37ミリモル)を乾燥ジクロロメタン(
1ml)に溶解したものを、トリフルオロ酢酸と乾燥ジクロロメタンとの1/1
混合物(74ml)で0℃で3時間処理した。次に、ヘキサン(100ml)を
加え、混合物を真空留去したところ、薄膜が残り、これを蒸留エーテルに懸濁(
攪拌)した。濾過により、白色粉末を得て、これをエーテルで洗浄し、真空乾燥
し、脂質13(510mg,93%)を得た。
1H NMR(200MHz,CDCl3−CF3CO2D):d5.36(m,
5H,−CH=およびCH−OCO−),4.60〜4.15(m,4H,−C
H2−OCO−),4.00(s,2H,−NH2 +−CH2−CO2−),3.4
5〜3.10(m,16H,−CH2−NH2 +−),2.41(t,J=7.5
Hz,4H,−CH2−CO2−),2.28(m,8H,−CH2−CH2−NH2 +
−),2.01(m,8H,アリルH),1.61(m,4H,−CH2−C
H2−C02−),1.30および1.27(2s,44H,−CH2−),0.
87(t,J=6.4Hz,6H,Me−)。
B. pcTG56を含むDNA−脂質複合体の処方
DNA−脂質複合体を、電荷比5(カチオン性脂質が有する正電荷とDNAが
有する負電荷との比)の0.5または1mg/mlDNAの最終濃度で、等モル
量のジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を用いて調製
した。添加するカチオン性脂質の量は、その分子量、分子当たりの正電荷の数、
および所望な電荷比に基づいて決定した。一例として、電荷比5およびDNA最
終濃度0.5mg/mlでpcTG56/DOPEの複合体を得るには、下記の
計算を適用する。
0.5mg/mlDNAは、0.5/330ミリモル/mlの濃度=1.5ミ
リモル/ml負電荷(330Daをヌクレオチドの平均分子量とする)に相当す
る。電荷比5で複合体を得るには、正電荷の濃度は、7.5ミリモル/ml(ト
リフルオロ酢酸塩の形態でのpcTG56の分子量:1476g/モル;5正電
荷/分子)または1.5ミリモル/mlpcTG56(2.2mg/ml)でな
ければならない。等モル濃度を得るため、DOPE1.5ミリモルを加えた(分
子量:744g/モル;最終濃度1.1mg/ml)。平均分子量が5000D
aのポリエチレングリコール(PEG5000)にカップリングしたジステアロ
イル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)(Avanti Polar Lipids,
アラバスター,アラバマ,米国;Ref.880220)(平均分子量を5750g/モ
ルとした)を加えて、脂質の総量に関して所要最終濃度2、5または10モル%
を得た。
脂質を、クロロホルム/メタノール(1/1)中でそれぞれの溶液から混合し
た。脂質溶液を、攪拌(40回転/分)(Labconco,Rapidvap,Uniequip,マル
チンスリード,ドイツ国)しながら乾燥し(200ミリバール,45℃,45分
)、脂質フィルムをジメチルスルホキシド(DMS0)/エタノール(1/1)
に吸収させた。例えば、pcTG56 2.2mgとDOPE1.1mgを、4
5mlのジメチルスルホキシド/エタノールに吸収させた。20mMの(N−[
2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])(HE
PES),pH7.5 175mlを加え、カチオン性脂質の最終濃度を10m
g/mlとした。プラスミドDNA(pTG11033;1mg/ml 10m
M(トリス)[ヒドロキシメチル]アミノメタン)(Tris),1mMエチレ
ンジアミン四酢酸(EDTA),pH7.5)500mlを、20mM HEP
ES,pH7.5 280mlで希釈した。上記の脂質懸濁液220mlを、迅
速吸引−ピペッティング(10回)によってこの溶液に加え、DNA濃度0.5
m
g/mlおよび電荷比5の最終複合体1mlを得た。1mg/mlのDNAのD
SPE−PEG5000を含むおよび含まない製剤を、DNA、脂質および安定
剤の量を相応して調節することによって同じ方法を用いて再構成した。得られた
脂質−DNA複合体を、4℃で保存した。
結果
カチオン性脂質核酸複合体の粒度を光子相関分光分析法によって測定し、規格
化された平均重量値として示す(実施例1を参照されたい)。表2に、この実験
の結果をまとめる。表2:DNA濃度およびDSPE−PEG5000の百分率の粒度安定性に対 する影響 上記の結果は、
a) 脂質−DNA複合体は、高濃度のDNA(1mg/ml)(以前は0.
2mg/ml)で形成することができ、
b) DSPE−PEGは、カチオン性グリセロ脂質(pcTG56)のよう
な他の構造の種類の脂質と適合性であり、
c) DSPE−PEG5000をDSPE−PEG2000の代わりに用い
ることができる
点で以前の知見を敷衍するものである。
更に、本発明の方法は、DMSOのような他の添加剤と適合性であり、イン・
ビボでの遺伝子トランスファーを増加させることができることを示している。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. a) 1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補助脂質、および1 種類以上の安定化添加剤を組合せて脂質懸濁液を形成し、 b) 脂質懸濁液を核酸と組合せて複合体または粒子を形成し、場合によっ ては、 c) 複合体または粒子に整粒処理を施す ことを含んでなる、安定な脂質−核酸複合体または粒子の均質な懸濁液の製造法 。 2. 脂質懸濁液に整粒処理を施し、均質な粒度の粒子の懸濁液が形成される ようにする段階をも含んでなる、請求項1に記載の方法。 3. 方法が、段階c)を含んでなり、整粒処理が脂質−核酸複合体または粒 子の押出しを含んでなる、請求項1または2に記載の方法。 4. 脂質−核酸複合体または粒子を、細孔度が50〜500nmの範囲であ る膜を通して押出す、請求項3に記載の方法。 5. 均質に整粒した懸濁液の脂質−核酸複合体または粒子の粒度が500n m以下である、請求項1に記載の方法。 6. 均質に整粒した懸濁液の脂質−核酸複合体または粒子の粒度が200n m以下である、請求項1に記載の方法。 7. カチオン性脂質または脂質類が、スペルミジン−コレステロール、スペ ルミン−コレステロール、3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン) −カルバモイル]コレステロール、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン、 およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 8. 補助脂質が、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンである、請 求項1に記載の方法。 9. 安定化添加剤が、脂質核酸複合体に配合することができる残基にカップ リングしたポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。 10. 安定化添加剤が、複合体に配合することができる残基にカップリング した過フッ化または部分フッ素化アルキル鎖からなる群から選択される、請求項 1に記載の方法。 11. 安定化添加剤が、複合体に配合することができる残基にカップリング したポリグルクロン酸である、請求項1に記載の方法。 12. 安定化添加剤が、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン− ポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。 13. 残基がリン脂質である、請求項9に記載の方法。 14. 残基が双性イオン性リン脂質である、請求項13に記載の方法。 15. 核酸が、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、RNA、mRNA、 リボチーム、アンチセンスRNA、およびオリゴヌクレオチドからなる群から選 択される、請求項1に記載の方法。 16. 核酸がプラスミドを含んでなる、請求項15に記載の方法。 17. a) 1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補助脂質、および 1種類以上の安定化添加剤を組合せて脂質懸濁液を形成し、 b) 脂質懸濁液を核酸と組合せて複合体または粒子を形成し、場合によっ ては、 c) 複合体または粒子に整粒処理を施す ことによって製造される、安定な脂質−核酸複合体または粒子の均質な懸濁液。 18. 脂質懸濁液に更に整粒処理を施して、均質な粒度の粒子の懸濁液が生 成するようにする、請求項17に記載の懸濁液。 19. 段階c)の整粒処理と追加の整粒処理都が、脂質−核酸複合体または 粒子の押出しを含んでなる、請求項17または18に記載の懸濁液。 20. カチオン性脂質が、カチオン性脂質の混合物を包含する、請求項17 に記載の懸濁液。 21. 均質に整粒した懸濁液の複合体または粒子の粒度が500nm以下で ある、請求項17に記載の懸濁液。 22. 均質に整粒した懸濁液の複合体または粒子の粒度が200nm以下で ある、請求項17に記載の懸濁液。 23. 1種類以上のカチオン性脂質、1種類以上の補助脂質、1種類以上の 安定化添加剤、および核酸成分を含んでなる、脂質核酸複合体。 24. 複合体の粒度が500nm以下である、請求項23に記載の複合体。 25. 複合体の粒度が200nm以下である、請求項23に記載の複合体。 26. 請求項17に記載の懸濁液と薬学上許容可能なキャリヤーとを含んで なる、組成物。 27. 請求項23に記載の複合体と薬学上許容可能なキャリヤーとを含んで なる、組成物。 28. 請求項26または27に記載の組成物を核酸を必要とするヒトの細胞 へ投与することを含んでなる、核酸を必要とするヒトへの核酸の送達法。 29. 核酸が、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、RNA、mRNA、 リボチーム、アンチセンスRNA、およびオリゴヌクレオチドからなる群から選 択される、請求項28に記載の方法。 30. 核酸がプラスミドを含んでなる、請求項29に記載の方法。
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