【発明の詳細な説明】
連続キャスティングダイ及び連続キャスティングダイ用のシール部材
この発明は連続キャスティングダイの振動キャスティングチューブと固定式の
ハウジング部材との間の環状の隙間をシールするためのシール部材に関する。ま
た、この発明は少なくとも一つのそのようなシール部材を備えた連続キャスティ
ングダイに関する。
金属のストランドの連続キャスティングにおいては、ストランドがキャスティ
ングチューブの冷却された内壁にくっつかないようにするために、ダイに対して
キャスティングの方向に振動が加えられる。ダイに対するこうした振動は、たと
えば、数ヘルツの周波数及び10mmよりも大きい振幅を有し、その振動マス(osc
illating mass)は数トンにも達する。したがって、ダイを振動させるためには極
めて高いエネルギー消費が必要となる。このため、振動マスはできるだけ小さく
維持することが望ましい。
従来の振動装置は振動テーブルを有し、その振動テーブルの上には連続キャス
ティングダイがユニットとして配置される。しかしながら、国際特許出願WO 95/
03904には一体状の振動レバーを備えた固定式のハウジングが設けられたダイが
開示されている。キャスティングチューブは振動レバーによってこのダイに支持
されるとともに、二つの弾性変形可能なリング状のシール膜によって外部の固定
式のハウジングに結合されている。この場合において、キャスティングチューブ
はハウジング内においてキャスティングの軸に沿って振動できるように設定され
ている。キャスティングチューブの回りにおいては、リング状のシール膜が冷却
剤用のリング状の圧力チャンバをシールしている。このダイの場合、振動される
べき部材のマスが劇的に低下し、それによって、エネルギー消費も低減されてい
る。
特許出願WO 95/03904は金属及び弾性材のリング状の膜を提案している。これ
らのリング状の膜は極めて複雑な機械的応力を受ける。第1に、それらは少なく
と
も5気圧の冷却水の圧力に耐えなくてはならない。この圧力はリング状の膜に対
して顕著な引張応力として作用する。また、これらのリング状の膜は毎分数百回
の振動数を有する振動応力を受ける。キャスティングチューブに対する縦の振動
はリング状の膜に引張応力の高いピークを形成する。さらに、ストランドはキャ
スティングチューブに対して水平の引張力を付与する。この引張力はリング状の
膜を緊張させ得る力である。こうした複雑な応力が加わる状態の下では、リング
状の膜に疲労の兆候が比較的急速に現れることが予想される。
この発明の目的は、連続キャスティングダイの振動キャスティングチューブと
固定式のハウジング部材との間の環状の隙間をシールするための改良されたシー
ル部材を可撓性の材料で形成することである。
この目的は、シール部材が環状膨出部を有し、シール部材が取り付けられた状
態において、膨出部の凸状側が圧力側に配置されるように構成されていることに
よって達成される。
この発明のシール部材は、連続キャスティングダイ内に発生する極めて複雑な
機械応力を従来の平板状のシール膜に比べて一層効率的に吸収できる設計に関す
る。このシール部材は、疲労の兆候の発生が遅く、寿命が長い。この技術的内容
は以下に説明される。キャスティングチューブが固定式のハウジング部材に対し
て軸方向に移動するとき、シール部材の変形が発生する。この変形は基本的には
膨出部の平坦化である。結果的に、この発明によるシール部材は従来の平板状の
リング状の膜に比べて仲びの範囲が極めて小さく、加えられる引張応力も小さい
。さらに、圧力はシール部材の環状の膨出部の凸状側に作用し、したがって、こ
のシール部材内に、実質的に引張応力ではなく圧縮応力を発生する。
この発明によるシール部材は、好ましくは、リング状のシール膜として設計さ
れている。このシール膜は連続キャスティングダイ内に水平に取り付けられる。
この発明におけるシール膜には膨出部が形成されているので、キャスティングチ
ューブが軸方向に移動するとき、リング状のシール膜の構成材料は半径方向又は
周方向に著しく引き伸ばされることはない。しかしながら、この発明によるシー
ル部材はチューブ状の連結片として設計することもできる。この連結片は連続キ
ャスティングダイ内にキャスティングの軸と同軸状に取り付けられる。しかしな
がら、チューブ状の連結片としての実施例においては、シール部材の材料は膨出
部の領域内において周方向に僅かながら引張力を受ける。
この発明によるシール部材は、好ましくは、エラストマ、ゴム等の弾性材で形
成される。また、シール部材は、好ましくは、積層繊維層等の補強層を有する。
チューブ状の連結片としての実施例においては、そのような積層繊維層はその周
方向に不連続部が形成されており、周方向への膨張を許容している。
この発明は、また、振動キャスティングチューブと、固定式のハウジング部材
と、振動キャスティングチューブと固定式のハウジング部材との間に形成された
冷却剤用のリング状の圧力チャンバをシールするための少なくとも一つの可撓性
を有するシール部材とを備えた連続キャスティングダイに関する。可撓性を有す
るシール部材は、上記のように、周方向の膨出部を有し、その凸状側がリング状
の圧力チャンバに面している。
このようなダイは、好ましくは、振動手段及び支持構造を有し、支持構造が振
動手段を支持し、振動装置がキャスティングチューブを支持している。このよう
にして、キャスティングチューブの重量が振動装置によって受けられ、シール部
材がキャスティングチューブの重量によってさらに応力を受けることはない。別
の支持部材がハウジングとキャスティングチューブとの間に設けられる必要はな
い。小型の振動装置には振動レバーが設けられている。振動レバーは支持構造に
対して継手連結されるとともにキャスティングチューブに対して継手連結されて
いる。この振動装置は、好ましくは、アクチュエータとして油圧シリンダを有す
る。また、キャスティングチューブはバネ部材によってそのハウジング内に弾性
的に懸架され得る。その場合、振動装置は支持機能を発揮せず、振動エネルギを
キャスティングチューブに伝達するだけのものでなくてはならない。
この発明はこの発明によるシール部材を連続キャスティングダイに適宜配置す
るためのいくつかの方法を提案する。
第1の実施例においては、ダイにはこの発明によるアッパー及びロワーシール
部材が設けられている。これらのシール部材はキャスティングチューブの回りに
冷却剤用のリング状の圧力チャンバを形成している。このリング状の圧力チャン
バはリング状の弾性シール膜を有する内部シール装置によってリング状のアッパ
ー及びロワーコレクタに適宜分割されている。これらのコレクタはそれぞれ冷却
剤供給パイプ及び冷却剤リターンパイプにそれぞれ連結されている。水案内ジャ
ケットがキャスティングチューブの回りに取り付けられ、それによってキャステ
ィングチューブに沿って環状ギャップが形成されている。この環状ギャップは一
方においてロワーコレクタに開口するとともに他方においてアッパーコレクタに
開口している。
第2の実施例においては、ダイには可撓性を有するリング状のアッパー及びロ
ワーコレクタが設けられている。これらのコレクタはキャスティングチューブの
上端部及び下端部をそれぞれ取り囲んでいる。これらのリング状のコレクタはそ
れぞれこの発明による二つのシール部材を有し、これらのシール部材はそれらの
間に冷却剤用のリング状の圧力チャンバが形成されるように対向状に配置されて
いる。第1の実施例と比較した場合、この第2の実施例においては、ダイの冷却
水容量は低下している。さらに、冷却水の外側において、可撓性を有するリング
状のアッパー及びロワーコレクタの間に電磁式攪拌装置を配置することができる
。
また、第2の実施例におけるダイにおいては、水案内ジャケットがキャスティ
ングチューブの回りに取り付けられ、それによってキャスティングチューブに沿
って環状ギャップが形成されている。この環状ギャップは一方において可撓性を
有するリング状のロワーコレクタに開口するとともに他方において可撓性を有す
るリング状のアッパーコレクタに開口している。この水案内ジャケットはリング
状のコレクタ間の圧力ジャケットとして設計されている。
全てのダイにおいて、キャスティングチューブに作用する水平方向の力を吸収
するために、少なくとも一つのガイド部材を振動キャスティングチューブと固定
式のハウジングとの間に取り付けて、キャスティングチューブの横方向への移動
のうち少なくとも第1の方向への移動が制限されるようにすることも可能である
。このガイド部材が少なくとも一つの回り継手によって振動キャスティングチュ
ーブ又は固定式のハウジングへ適宜連結されている。ガイド部材内の引張応力を
防止するために、この回り継手は、たとえば、ガイド部材を水平方向の動作のう
ち第1の方向に対向する第2の方向への移動させる水平方向の動作ができるよう
になっている。また、ガイド部材が弾性圧縮可能なスリーブを有する少なくとも
一つの回り継手に支持され得る。また、ガイド部材は伸縮可能に設計することも
可能である。ガイド部材はほぼ水平に取り付けられるとともにその一端において
固定される板バネであってもよい。
この発明の実施例は添付の図面を参照して説明される。
図1はこの発明のシール部材を二つ備えたダイの縦略断面図である。
図2はこの発明のシール部材を四つ備えたダイの縦略断面図である。
図3はこの発明のシール部材及びガイド部材の断面図であって、図1の拡大詳
細図である。
図4から6はこの発明のシール部材の可能な固定構造を示す図である。
図7から9はガイド部材用の可能な回り継手構造を示す図である。
図10は別の態様におけるガイド部材の平面図である。
図1は第1実施例における連続キャスティング用のダイを示している。ダイは
キャスティングチューブ10を有する。キャスティングチューブ10は溶融金属
が導入されるキャスティング溝12を形成している。このキャスティングチュー
ブ10は、たとえば、純銅又は銅合金で形成されたワンピース型の銅チューブ1
4であり、その下端部にはロワーフランジ16が設けられ、その上端部にはアッ
パーフランジ18が設けられている。ロワーフランジ16とアッパーフランジ1
8とは縦の支柱20によって連結され、それによって、キャスティングチューブ
の剛性が強化されている。なお、当然のことながら、キャスティングチューブ1
0はワンピース型の銅チューブ14に限られるものではなく、ダイプレートを組
み合わせて形成されたものでもよい。その場合、ダイプレートは枠体によって支
持され、チューブ状に形成される。また、ダイはキャスティングによって形成さ
れる製品、たとえば、ビレット(billets)、ビームブランク(beam blanks)、スラ
ブ(slabs)、薄スラブ(thin slabs)等の種類に応じて様々に設計変更可能である
。
キャスティングチューブ10は外側の冷却ボックス22によって囲まれている
。この冷却ボックス22はロワーフレーム24及びアッパーフレーム26を有す
る。冷却ボックス22は図1に示されているような固定式の支持構造、たとえば
、梁部材28によって支持されている。キャスティングチューブ10は振動レバ
ー30によって支持されている。この振動レバー30は円筒状の回り継手32を
介して固定式の冷却ボックス22に連結されている。第2の円筒状の回り継手3
4がキャスティングチューブ10を振動レバー30の自由端に連結している。振
動レバー30の他端は、たとえば、数ミリメートルの振幅及び数ヘルツの周波数
を有する振動を発生させる油圧シリンダに連結されている。こうした振動はレバ
ー30によってキャスティングチューブ10に伝達される。
キャスティングチューブ10のロワーフランジ16はこの発明による可撓性を
有する第1のシール部材36によって冷却ボックス22のロワーフレーム24に
連結されている。キャスティングチューブ10のアッパーフランジ18はこの発
明による可撓性を有する第2のシール部材38によって冷却ボックス22のアッ
パーフレーム26に連結されている。したがって、リング状のチャンバがこの発
明の二つのシール部材36,38によってキャスティングチューブ10の回りに
おいて軸方向にシールされ、キャスティングチューブ10はキャスティングの軸
に沿って冷却ボックス22内で自在に振動可能である。
この発明による二つのシール部材36,38は可撓性を有する材料、好ましく
は、積層繊維で強化された弾性材(elastomeric material)で形成されている。シ
ール部材36,38のそれぞれはリング状の膜であり、それらの外端縁は冷却ボ
ックス22のアッパー及びロワーフレーム26,24にそれぞれクランプされ、
それらの内端縁はキャスティングチューブ10アッパー及びロワーフランジ18
,16にそれぞれクランプされている。
全てのシール膜の代表として、図3を参照して、シール膜36について説明す
る。シール膜36は環状の膨出部40を形成しており、その凸状側はリング状の
圧力チャンバに面している。シール膜はこの膨出部40の両側にリング状の平坦
部42,44を形成しており、膨出部40に対して隙間なく結合されている。シ
ール膜の壁厚及び強化用の繊維は適宜に設計及び選定され、リング状の圧力チャ
ンバが加圧された後においても環状の膨出部40がその凸状側を圧力チャンバに
面した状態で保持できるように設定される。キャスティングチューブ10がある
量+y(実際には、通常、約5から10mm)だけ下方にシフトされたとすると(
矢印参照)、シール膜36は破線で示されるようにその形状が変形するであろう
。明らかなように、シール膜の変形は膨出部40の平坦化、すなわち、その曲率
半径の変化をもたらす。ここで注意すべき点は、キャスティングチューブ10が
軸方向に移動するとき、シール膜36の材料はその半径方向又は周方向にそれほ
ど顕著に引き仲ばされず、したがって、振動によってシール膜内に顕著な引張応
力が生じないという点である。さらに、リング状の圧力チャンバ内の圧力はシー
ル部材36の環状の膨出部40の凸状側に作用し、本質的にこのシール部材36
内に圧縮応力を発生させる。このようにしてシール部材36に対して予め加えら
れる応力はシール部材の振動負荷に関して明らかな効果を有する。その理由は、
この応力は振動中に発生する残留引張応力との間で相互作用して、シール部材の
構成材料内のピーク引張応力のレベルを低減するためである。
図3から5から明らかなように、シール膜36の内端縁及び外端縁には断面円
形のリング状のビード44,44が設けられている。このリング状のビード44
,44はキャスティングチューブ10のフランジ16の環状溝内及び冷却ボック
ス22のフレーム24の環状溝内にそれぞれ嵌入され、保持フランジ16’,2
4’によってクランプされている。図4において、リング状のビード44’はほ
ぼ長方形の断面を有するとともに2本の環状溝を有し、これらの環状溝にはフレ
ーム24及び保持フランジ24’にそれぞれ形成されているビードが係合されて
いる。参照番号48はビード44’にボルトを挿通するための貫通孔である。図
4においては、リング状のビード44’は平たい形状を有しているけれども、図
6に示されているリング状のビード44”は幅よりも高さの方が大きい形状を有
している。
図3に示されるように、シール膜36に沿って少なくとも一つのガイド部材5
0が差し渡されている。このガイド部材50はストランドによってキャスティン
グチューブ10に加えられる水平方向の力をキャスティングチューブ10からロ
ワーフレーム24を介して支持構造28へ伝達する(図1参照)。図3において
、ガイド部材50は円筒状又は球状の回り継手51,52によってフランジ16
及びフレーム24に連結されている。図7に一層明瞭に示されるように、回り継
手52はガイド部材50を回り軸Oの回りに回転可能にしているだけでなく、ガ
イド部材50をある量xだけ右方向に移動可能にしている。この場合において、
x≧L−(L2−ymax2)0.5
L:ガイド部材50の長さ
ymax:最大振幅(正又は負)
このようにして、ガイド部材50はキャスティングチューブ10の縦の振動に
対して顕著な抵抗を示さない。換言すれば、キャスティングチューブ10の振動
はガイド部材50内に引張応力も曲げ応力も発生させない。水平方向の力がキャ
スティングチューブ10からフレーム24に伝達されるとき、ガイド部材50は
矢印54の方向へ単独で作動し、圧縮応力を受ける。このように、ガイド部材5
0は、図3において、キャスティングチューブ10が矢印54の方向に移動する
のを防止する。キャスティングチューブ10の対向側に配置されている第2のガ
イド部材56(図1参照)はキャスティングチューブ10が矢印54で示される
方向とは反対の方向に移動するのを防止する。なお、さらに別のガイド部材を、
たとえば、図面の紙面に直交する方向に配置することも可能である。
図8に示されている回り継手の構造は、ガイド部材50の円筒状の回りピン6
0にスライドブッシュ58が設けられている点を除き、図7に示されている回り
継手の構造と同一である。図9はガイド部材50の回り継手の別の構造を示して
いる。この構造においては、二つの横方向のジャーナル(bearing Journals)60
のそれぞれに対して、たとえばゴムで形成された弾性圧縮可能なスリーブ62が
取り付けられている。また、ジャーナル60のそれぞれが取付ブラケット64の
軸受けボア内に嵌め込まれている。弾性圧縮可能なスリーブ62が設けられてい
るため、ガイド部材50’がキャスティングチューブ10の縦の振動に対して顕
著な抵抗を示すことはない。図7及び8に示されるガイド部材50と異なり、図
9に示されているガイド部材50’は圧縮応力及び引張応力の双方を伝達するこ
とができる。ガイド部材50をバネ部材(たとえば、板バネ)として形成するこ
とも可能である。この場合、バネ部材の一端は堅固にクランプされ、他端は図7
,8又は9に示されている回り継手によって支持される。このような構造におい
ては、キャスティングチューブ10の振動によって、バネ部材内に曲げ応力が生
成されるが、圧縮応力は生成されない。ガイド部材50を伸縮ロッドとして形成
し、ブロック手段によって伸縮ロッドに対する軸方向の押付作用が制限されるよ
うにすることも可能である。良好なガイド作用がダイの上端部においてレバー3
0によって達成されるけれども、ガイド手段をアッパーフランジ18とアッパー
フレーム26との間に配置することももちろん可能である。
図10はガイド部材の別の態様を示している。このガイド部材50”は半径方
向に楔形の開口150を有する弾性を有する金属製のリング状の膜として設計さ
れている。別の言い方をすると、ガイド部材50”には弾性を有するウェブ15
6によって相互に連結された環状のアウターフランジ152及び環状のインナー
フランジ154が設けられている。環状のアウターフランジ152はフレーム2
4にクランプされている。環状のインナーフランジ154はキャスティングチュ
ーブ10のフランジ16にクランプされている。
図1において、参照番号70はシール手段を示している。シール手段70はキ
ャスティングチューブ10と冷却ボックス22の間のリング状のチャンバをアッ
パーコレクタ72とロワーコレタタ74とに分割している。この場合において、
冷却ボックス22内でのキャスティングチューブ10の軸方向の自由な動作は確
保されている。このシール手段70は好ましくはキャスティングチューブ10に
対向するインナーリングプレート76及び冷却ボックス22に対向するアウター
リングプレート78より成り、両プレート76,78は可撓性を有するリング状
のシール膜80によって連結されている。この可撓性を有するリング状のシール
膜80には好ましくは環状の膨出部が形成されている。そして、この膨出部はそ
の凸状側が内部圧力が最も高い方のコレクタ(図1においては、ロワーコレクタ
74)に面するように形成されている。ロワーコレクタ74には供給パイプ82
を通じて冷却水が供給される。この冷却水は環状の供給スロット84を経て環状
ギャップ86内へと流される。環状ギャップ86は水案内ジャケット88によっ
てチューブ14の回りに形成されている。冷却水は環状のリターンスロット90
を経てアッパーコレクタ72へと流され、最終的には、リターンパイプ92を通
じてダイから排出される。
スプレーノズルを備えたリング状の本管120,126がそれぞれリング状の
シール膜36,38の上下の外側に配置されている。スプレーノズルはリング状
のシール膜36,38の面のうち冷却水を有する圧力チャンバに面していない方
の面に噴霧する。このようにして、比較的厚くて伝導性に乏しいリング状のシー
ル膜36,38の内外両面が比較的均一に冷却され、それによって、リング状の
膜の早期劣化が防止される。
図2はこの発明による四つのリング状のシール膜100,102,104,1
06を備えた連続キャスティング用のダイの実施例を示している。この実施例は
図1に示されている実施例とは本質的に異なる。つまり、この実施例においては
、図1に示されるアッパー及びロワーコレクタ72,74がそれぞれ融通性を有
するリング状のコレクタ72’,74’として形成されており、コレクタ72’
,74’の上下には対を成す二つのシール膜100,102及び104,106
がそれぞれ配置されている。これらのリング状のシール膜100,102,10
4,106は上記のように設計されるとともに固定されている。
したがって、図2に示されているダイにおいては、実際の冷却ボックス22は
不要となっている。キャスティングチューブ10は単に支持構造108によって
取り囲まれて支持されている。支持構造108にはリング状のシール膜100,
102及び104,106を連結するための2対のリング状のプレート110,
112及び114,116が設けられている。各対のリング状のプレート110
,112及び114,116はそれぞれ外側の圧力ジャケット111,115に
よって結合されている。一方の対のリング状のプレート110,112及び圧力
ジャケット111はリング状のロワーコレタタ74’の固定された外殻を形成し
ている。他方の対のリング状のプレート114,116及び圧力ジャケット11
5はリング状のアッパーコレクタ72’の固定された外殻を形成している。支柱
118がアッパーコレクタ72’の固定された外殻をロワーコレタタ74’の固
定された外殻に連結するとともに、リング状のコレクタ72’,74’の間に電
磁式攪拌装置200用の空間を軸方向に形成する。なお、リング状のコレクタ7
2’,74’の間には、水案内ジャケット88’が設けられており、これは圧力
ジャケットとして構成されている。これは、この場合においても、冷却水の圧力
に耐えなくてはならないからである。図2に示されるように、リング状のシール
膜100,106にはガイド部材及びスプレーノズルを備えたリング状の本管1
20,122,124,126が差し渡されている。そして、スプレーノズルは
リング状のシール膜100,102,104,106の上下に配置されている。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年1月8日(1998.1.8)
【補正内容】
請求の範囲
1.振動キャスティングチューブ(10)と、固定式のハウジング部材(22)
と、振動キャスティングチューブ(10)と固定式のハウジング部材(22)と
の間に形成された冷却剤用のリング状の圧力チャンバをシールするための少なく
とも一つの可撓性を有するシール部材とを備えた連続キャスティングダイであっ
て、
可撓性を有するシール部材(36,38,80,100,102,104,1
06)がその周方向に延びる環状の膨出部(40)を有し、その凸状側がリング
状の圧力チャンバに面している連続キャスティングダイ。
2.シール部材がリング状のシール膜(36,38,80,100,102,1
04,106)として設計されている請求項1に記載の連続キャスティングダイ
。
3.シール部材がチューブ状の連結片として設計されている請求項1に記載の連
続キャスティングダイ。
4.シール部材(36,38,80,100,102,104,106)が実質
的に弾性材で形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の連続キャス
ティングダイ。
5.振動手段及び支持構造を有し、支持構造が振動手段を支持し、振動装置がキ
ャスティングチューブ(10)を支持している請求項4に記載の連続キャスティ
ングダイ。
6.振動手段が振動レバー(30)を有し、振動レバーは支持構造に対して継手
連結されるとともにキャスティングチューブ(10)に対して継手連結されてい
る請求項5に記載の連続キャスティングダイ。
7.キャスティングチューブの上端部及び下端部がそれぞれ請求項1から4のい
ずれか1項に記載の可撓性を有するシール部材(36,38)によって固定式の
ハウジング(22)に連結され、冷却剤用の圧力チャンバ(72,74)がキャ
スティングチューブ(10)の回りに形成されている請求項1から6のいずれか
一項に記載の連続キャスティングダイ。
8.リング状のチャンバが内部のシール手段(70)によってリング状のアッパ
ー及びロワーコレクタ(72,74)に分割され、これらのリング状のアッパー
及びロワーコレクタ(72,74)がそれぞれ冷却剤供給パイプ(82)及び冷
却剤リターンパイプ(92)に連結されている請求項7に記載の連続キャスティ
ングダイ。
9.内部のシール手段(70)がリング状の弾性シール膜(80)を有する請求
項8に記載の連続キャスティングダイ。
10.水案内ジャケット(88)がキャスティングチューブ(10)の回りに取
り付けられ、それによってキャスティングチューブ(10)に沿って環状ギャッ
プ(86)が形成され、この環状ギャップは一方においてロワーコレクタ(74
)に開口するとともに他方においてアッパーコレクタ(72)に開口している請
求項8又は9に記載の連続キャスティングダイ。
11.キャスティングチューブ(10)の上端部及び下端部を取り囲む融通性を
有するリング状のアッパー及びロワーコレクタ(72’,74’)を有し、これ
らの融通性を有するリング状のコレタタ(72’,74’)がそれぞれ請求項1
から4のいずれか1項に記載の対向状に対を成す二つの可撓性を有するシール部
材(100,102)(104,106)を有し、これらのシール部材はそれら
の間に冷却剤用のリング状の圧力チャンバが形成されるように配置されている請
求項1から6のいずれか一項に記載の連続キャスティングダイ。
12.水案内ジャケット(88’)がキャスティングチューブ(10)の回りに
取り付けられ、それによってキャスティングチューブ(10)に沿って環状ギャ
ップ(86’)が形成され、この環状ギャップは一方において融通性を有するリ
ング状のロワーコレクタ(74’)に開口するとともに他方において融通性を有
するリング状のアッパーコレクタ(72’)に開口し、この水案内ジャケット(
88’)はリング状のコレクタ(72’,74’)の外側の圧力ジャケットとし
て設計されている請求項11に記載の連続キャスティングダイ。
13.電磁式攪拌装置(200)が融通性を有するリング状のアッパー及びロワ
ーコレクタ(72’,74’)の間に配置されている請求項12に記載の連続キ
ャスティングダイ。
14.冷却水スプレー装置(120,122,124,126)が少なくとも一
つの可撓性を有するシール部材の圧力チャンバに面していない側に配置され、可
撓性を有するシール部材のこの側に冷却水が噴霧されるように設定されている請
求項1から13のいずれか一項に記載の連続キャスティングダイ。
15.少なくとも一つのガイド部材(50,50’,50”)が振動キャスティ
ングチューブ(10)と固定式のハウジング(22)との間に配置され、キャス
ティングチューブ(10)の横方向への移動のうち少なくとも第1の方向への移
動を制限している請求項1から14のいずれか一項に記載の連続キャスティング
ダイ。
16.ガイド部材(50,50’)が少なくとも一つの回り継手(51,52)
によって振動キャスティングチューブ(10)又は固定式のハウジング(22)
へ連結されている請求項15に記載の連続キャスティングダイ。
17.ガイド部材(50)が水平方向への所定量の動作を許容する少なくとも一
つの回り継手(52)を有し、これによってガイド部材(50)が水平方向の動
作のうち第1の方向に対向する第2の方向へ移動できるようになっている請求項
16に記載の連続キャスティングダイ。
18.ガイド部材(50’)が弾性圧縮可能なスリーブ(62)を有する少なく
とも一つの回り継手に支持されている請求項16に記載の連続キャスティングダ
イ。
19.ガイド部材が伸縮可能に設計されている請求項15又は16に記載の連続
キャスティングダイ。
20.ガイド部材がほぼ水平に取り付けられる板バネ(50”)として設計され
ている請求項15,16又は17に記載の連続キャスティングダイ。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年1月30日(1998.1.30)
【補正内容】
シール部材を有する連続キャスティングダイ
この発明は連続キャスティングダイに関する。さらに詳しくは、この発明は振
動キャスティングチューブと、固定式のハウジング部材と、振動キャスティング
チューブと固定式のハウジング部材との間に形成された冷却剤用のリング状の圧
カチャンバをシールするための少なくとも一つの可撓性を有するシール部材とを
備えた連続キャスティングダイに関する。
金属のストランドの連続キャスティングにおいては、ストランドがキャスティ
ングチューブの冷却された内壁にくっつかないようにするために、ダイに対して
キャスティングの方向に振動が加えられる。ダイに対するこうした振動は、たと
えば、数へルツの周波数及び10mmよりも大きい振幅を有し、その振動マス(osc
illating mass)は数トンにも達する。したがって、ダイを振動させるためには極
めて高いエネルギー消費が必要となる。このため、振動マスはできるだけ小さく
維持することが望ましい。
従来の振動装置は振動テーブルを有し、その振動テーブルの上には連続キャス
ティングダイがユニットとして配置される。しかしながら、国際特許出願WO 95/
03904には一体状の振動レバーを備えた固定式のハウジングが設けられたダイが
開示されている。キャスティングチューブは振動レバーによってこのダイに支持
されるとともに、二つの弾性変形可能なリング状のシール膜によって外部の固定
式のハウジングに結合されている。この場合において、キャスティングチューブ
はハウジング内においてキャスティングの軸に沿って振動できるように設定され
ている。キャスティングチューブの回りにおいては、リング状のシール膜が冷却
剤用のリング状の圧力チャンバをシールしている。このダイの場合、振動される
べき部材のマスが劇的に低下し、それによって、エネルギー消費も低減されてい
る。
特許出願WO 95/03904は金属及び弾性材のリング状の膜を提案している。これ
ら
のリング状の膜は極めて複雑な機械的応力を受ける。第1に、それらは少なくと
も5気圧の冷却水の圧力に耐えなくてはならない。この圧力はリング状の膜に対
して顕著な引張応力として作用する。また、これらのリング状の膜は毎分数百回
の振動数を有する振動応力を受ける。キャスティングチューブに対する縦の振動
はリング状の膜に引張応力の高いピークを形成する。さらに、ストランドはキャ
スティングチューブに対して水平の引張力を付与する。この引張力はリング状の
膜を緊張させ得る力である。こうした複雑な応力が加わる状態の下では、リング
状の膜に疲労の兆候が比較的急速に現れることが予想される。
この発明の目的は、振動キャスティングチューブと、固定式のハウジング部材
と、振動キャスティングチューブと固定式のハウジング部材との間に形成された
冷却剤用のリング状の圧力チャンバをシールするための少なくとも一つの可撓性
を有するシール部材とを備えた連続キャスティングダイにおいて、そのシール部
材を改良することである。
この目的は、シール部材が環状膨出部を有し、シール部材が取り付けられた状
態において、膨出部の凸状側が圧力側に配置されるように構成されていることに
よって達成される。
この発明のシール部材は、連続キャスティングダイ内に発生する極めて複雑な
機械応力を従来の平板状のシール膜に比べて一層効率的に吸収できる設計に関す
る。このシール部材は、疲労の兆候の発生が遅く、寿命が長い。この技術的内容
は以下に説明される。キャスティングチューブが固定式のハウジング部材に対し
て軸方向に移動するとき、シール部材の変形が発生する。この変形は基本的には
膨出部の平坦化である。結果的に、この発明によるシール部材は従来の平板状の
リング状の膜に比べて伸びの範囲が極めて小さく、加えられる引張応力も小さい
。さらに、圧力はシール部材の環状の膨出部の凸状側に作用し、したがって、こ
のシール部材内に、実質的に引張応力ではなく圧縮応力を発生する。
この発明によるシール部材は、好ましくは、リング状のシール膜として設計さ
れている。このシール膜は連続キャスティングダイ内に水平に取り付けられる。
この発明におけるシール膜には膨出部が形成されているので、キャスティングチ
ューブが軸方向に移動するとき、リング状のシール膜の構成材料は半径方向又は
周方向に著しく引き伸ばされることはない。しかしながら、この発明によるシー
ル部材はチューブ状の連結片として設計することもできる。この連結片は連続キ
ャスティングダイ内にキャスティングの軸と同軸状に取り付けられる。しかしな
がら、チューブ状の連結片としての実施例においては、シール部材の材料は膨出
部の領域内において周方向に僅かながら引張力を受ける。
この発明によるシール部材は、好ましくは、エラストマ、ゴム等の弾性材で形
成される。また、シール部材は、好ましくは、積層繊維層等の補強層を有する。
チューブ状の連結片としての実施例においては、そのような積層繊維層はその周
方向に不連続部が形成されており、周方向への膨張を許容している。
また、この発明によるダイは、好ましくは、振動手段及び支持構造を有し、支
持構造が振動手段を支持し、振動装置がキャスティングチューブを支持している
。このようにして、キャスティングチューブの重量が振動装置によって受けられ
、シール部材がキャスティングチューブの重量によってさらに応力を受けること
はない。別の支持部材がハウジングとキャスティングチューブとの間に設けられ
る必要はない。小型の振動装置には振動レバーが設けられている。振動レバーは
支持構造に対して継手連結されるとともにキャスティングチューブに対して継手
連結されている。この振動装置は、好ましくは、アクチュエータとして油圧シリ
ンダを有する。また、キャスティングチューブはバネ部材によってそのハウジン
グ内に弾性的に懸架され得る。その場合、振動装置は支持機能を発揮せず、振動
エネルギをキャスティングチューブに伝達するだけのものでなくてはならない。
この発明はこの発明によるシール部材を連続キャスティングダイに適宜配置す
るためのいくつかの方法を提案する。
第1の実施例においては、ダイにはこの発明によるアッパー及びロワーシール
部材が設けられている。これらのシール部材はキャスティングチューブの回りに
冷却剤用のリング状の圧力チャンバを形成している。このリング状の圧力チャン
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,
MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK
,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,
VN
(72)発明者 ストンプ,フーバート
ルクセンブルク大公国 エル―2545 ハワ
ード,リュ・スパイア 11
(72)発明者 カエル,ノーバート
ルクセンブルク大公国 エル―4625 ディ
ファーダンジ,リュ・メイナージュ 34
(72)発明者 クレッパー,ガイ
ルクセンブルク大公国 エル―3561 ジュ
ートランジュ,リュ・ダ・リンディペンダ
ンス 13