【発明の詳細な説明】
レクチン様性質を有する化合物およびその生物学的応用
本発明は、レクチン様性質を持つ化合物、並びに、その生物学的応用に関する
。
特に、ザルコレクチン(sarcolectin)型の蛋白またはポリペプチドに関する
。
本用語は、大量に存在するヒトの骨原性肉腫または(Moloney肉腫ウイルス接
種後の)ハムスターに誘発されるものから同定されるレクチンを称するのに使用
されてきたことが知られている。しかし、ザルコレクチン(SCL)類は、脊椎動物
(霊長類、ゲッ歯類、鳥類)の多様な正常もしくは腫瘍組織にも認められる。
また、ヒトまたは動物由来の正常または形質転換細胞の表面でも検出できる。
ザルコレクチン類の精製製剤はすでに記述済みで、その性質は報告済みである
。
最も標準的な特徴である物理化学的性質は次の通りである:
−プロテアーゼ(トリプシン、プロナーゼR)に対する感受性があるが、一定
条件下でのペプシンによる制御処理に耐性も示す;
−温度変動への耐性(-20℃〜+100℃);
−pH変動への耐性(2〜8);
−SDSおよびジチオスレイトールなどの分解への耐性;
−分子量範囲65〜55kdにおいて、SDS-PAGEゲル中で、蛋白が遊走する。
その生物学的性質は、順に次の3種である(明細書の最後に示す参考文献(1)
−(8)参照、下記の他の参考文献について書類「Bibliographic references(参考
文献集」に示す):
−正常または形質転換細胞の凝集(細胞膜レベルでの活性)。細胞凝集は、単
糖類に対するザルコレクチンの親和性によって阻害できる。
−ヒトTおよびBリンパ細胞、ダウディ(Daudi)類リンパ球(細胞)、L929
マウス細胞などの基質に付着する細胞、形質転換ラット線維芽細胞(Fr3T3)およ
びヒト線維芽細胞(FS4)の増殖刺激。従って、ザルコレクチンは、特異的な未確
定の細胞増殖プロモーターとして働く;
−インターフェロン(IFN)によって予め確立された抗ウイルス状態の減少また
は抑制、並びに、細胞におけるウイルスへの初期感受性の回復。抗ウイルス耐性
が確立された後、SCL類は、蛋白キナーゼおよび2-5Aシンテターゼなどのインタ
ーフェロン依存性蛋白の合成持続を阻害する。初期状態の回復は、SCLの用量に
依存し、それをほぼ完全にする事ができる。細胞が回復されると、SCL類か他の
増殖因子によって増殖刺激
され、他方で、抗ウイルス耐性を再度生じるために、IFNで細胞を再処理する事
が可能である。
本発明は、55kd蛋白を解読(コードcode)するcDNAクローンの単離に到る方法
の開発を可能にしたSCLの高度精製製剤の取得に基づくもので、その研究は、予
想外の生物学的性質を明らかにした。
本発明に先行するこれまでのすべての試みは、SCLの生物学的性質を有する分
子として、65kd蛋白を維持した点に注目すべきである。アクリルアミドゲル上電
気泳動とそれに続くウェスタンブロットに基づいた同定の際、65kd領域(region)
の主バンドが、事実、全ての生物学的性質を保有するとして保持されてきた:55k
dバンドは、一定して認められるのではなく、さらに、いずれの場合も、明らか
に軽微である。ここで、驚くべき事に、65kdバンドは、アルブミン上の数個のSC
L分子の固定から生じる人為的なものに相当するが、ザルコレクチン型の性質を
有する分子は、実際には、分子の生体発現の原因となる全遺伝情報を含有する55
kd蛋白であるようだ。
そのため、本発明の目的は、55kd SCLに結合する各種生成物、即ち、特に、蛋
白、ポリペプチドまたはその断片、これらの蛋白またはこれらのポリペプチドま
たはその断片を解読し、あるいは、他方で、それらの発現を阻害するDNA配列、
並びに、これらの蛋白、ポリペプチドまたはその断片に対する抗体を提供する
事である。
ザルコレクチンまたはSCLという用語は、以後、本明細書で使用するのである
が、本発明に従って規定するレクチン様性質を有する限り、蛋白、ポリペプチド
およびこれらの化合物の断片、あるいはそれらの誘導体を区別なく指す。
本発明は、これらの各種生成物の取得法にも関する。
別の観点によれば、本発明は、これらの生成物の生物学的応用にも関する。
本発明に記載のヌクレオチドの配列は、それらの自然環境から単離される配列
であり、それらが、必要ならば1個以上のヌクレオチドが修飾されるSEQ ID N°
1 配列の少なくとも一部を含有する点を特徴とし、これらの配列は、ザルコレク
チン類、即ち、蛋白、ポリペプチドまたはこれらの化合物の断片、あるいは、レ
クチン様性質を有する誘導体を解読できると解される。
SEQ ID N°1 配列は、本明細書の最後に示し、以下で言及する他の配列は、「
List of sequences (塩基配列表)」と題した文書に示す。
レクチン様性質という用語は、SCL類の正常または形質転換細胞を凝集させる
能力、それらの細胞増殖刺激作用と文献(8)で述べる条件下でインターフェロン
によって誘発される抗ウイルス作用を阻害する作用を
意味する。
従来の組換えDNA技術に従って使用するこのような配列は、蛋白またはポリペ
プチド、もしくは、それらの断片を解読でき、レクチン様活性を有し、必要なら
ば1個以上のアミノ酸を修飾されたSEQ ID N° 1 で示す少なくとも1本鎖のア
ミノ酸から成る。
これらの配列は、さらに、ザルコレクチンの遺伝情報の少なくとも一部を保有
するSEQ ID N° 1 の少なくとも1個の断片とハイブリダイズできる点を特徴と
する。このハイブリダイゼーションは、厳重な条件下だけでなく、文献(10)で述
べる緩やかな条件下でも実施できる。
本発明は、特に、SEQ ID N° 1 中の62位から1469位までに及ぶオープンリー
ディングフレームに相当するヌクレオチド配列に関する。
この配列では、上述のレクチン様性質を有する断片の遺伝情報を含有する場合
、5’末端および/または3’末端のドメインが特に望ましい。
この観点から、SEQ ID N° 2 で表すSEQ ID N° 1 の62位から467位に到る約4
05bpの配列が特に望ましい。
これらの5’および3’ドメインは、セリン、スレオニン、チロシンのような
リン酸化できる大部分のアミノ酸を含有する事を特徴とする。
上述の各種配列は、除去して、数種のヌクレオチド
鎖は、取り出して、成熟SCLの発現に到るイントロンによって分離できるため、
ゲノム配列またはゲノムタイプであると思われる。
対応するmRNA配列または上記の配列に対応するアンチセンス配列、並びに、こ
れらの各種配列の相補的配列も、本発明の範囲内である。
これらの各種のヌクレオチド配列は、さらに、それらが、哺乳類、感染物質、
プリオンおよび他の天然産物材料のDNAを含有しない点を特徴とする。
上記の通り、本発明は、SEQ ID N° 1 に由来する配列にも関する。
これらの誘導配列は、SEQ ID N° 1 の又クレオチドの1個以上、あるいは、S
EQ ID N° 1 の断片の修飾、置換、改変、突然変異または遺伝的および/または
化学的欠失によって取得され、それらは、SEQ ID N° 1 によって解読されるポ
リペプチドが示すレクチン様活性(これは、必要ならば増加する)の少なくとも
一部を保持するSCLを解読するための遺伝情報を有すると理解される。
望ましくは、これらの修飾は、上記の配列をある種のベクターまたは宿主で
の発現に適応させ、解読されたポリペプチドの細胞透過を促進し、あるいは、そ
の活性を高める事を可能にする。
本発明は、適切なプロモーターの制御下で上記のヌクレオチド配列を少なくと
も1個含有する発現ベクタ
ーにも関する。特に、SEQ ID N° 1 かSEQ ID N° 2 の全部または一部、あるい
は、それらのアンチセンス配列を含有するベクターに関する。
発現された組換え蛋白を含有するこれらのベクターによってトランスフェクト
された宿主細胞も、本発明の一部である。
トランスフェクションに使用する細胞は、従来、真核細胞(真核生物)または
原核細胞か植物形細胞である。
本発明は、新規化学物質として上述のレクチン様性質を有するSCL類にも関す
る。
従って、本発明は、レクチン様活性を有し、上記のヌクレオチド配列の1種に
よって解読される配列のアミノ酸鎖の少なくとも一部を含有し、蛋白、ポリペプ
チドまたはそれらの断片、あるいは、それらの誘導体のレクチン様性質に修飾が
悪影響を与えない限り、必要ならば1個以上のアミノ酸を修飾する点を特徴とす
る、蛋白、ポリペプチドまたはそれらの断片、あるいは、それらの誘導体に関す
る。
これらの蛋白は、アルブミンと混同される可能性のある要素を含まない。
本発明は、特に、SEQ ID N° 3 またはSEQ ID N° 4 中のアミノ酸鎖を有する
SCL類に関する。
配列SEQ ID N° 1 のオープンリーディングフレームに相当するSCLは、469個
のアミノ酸を含有し、か
つ55kdと算定される分子量を有する。
SEQ ID N° 3 の5’および/または3’領域の配列、特にSEQ ID N° 4 に相
当する5’領域の配列は、本質的に上記のSCL類のレクチン様機能の原因になる
。
他の、特に望ましいペプチド配列は、SEQ ID N° 1 またはN° 4 の41位から5
5位までに到るSEQ ID N° 4 の構造に相当する構造を有するペプチドに相当する
。
それは、配列SEQ ID N° 5 を有するペプチドまたはこの配列から誘導される
ペプチドで、SEQ ID N° 1 と反応する事ができるモノクローナル抗体(それら
自体の抗体)によって認識されるが、SEQ ID N° 1 中の81から95までのペプチ
ド断片に対する抗体とは反応しない点を特徴とする。
他の望ましいペプチド配列は、SEQ ID N° 1 中の81位から95位に到る配列の
それらに相当する構造を有するSEQ ID N° 6 のペプチドに相当する。
それは、SEQ ID N° 6 配列を有するペプチドか、この配列から誘導されるペ
プチドであり、この断片に対する抗体が上述の41−55の断片を認識しない点を特
徴とする。
ペプチド誘導体は、1個以上のアミノ酸が異なる(特に、修飾、置換、欠失に
よる)配列を意味するが、固有の配列と同一の抗体によって認識される点を忘れ
てはならない。
ペプチドSEQ ID N° 5 およびSEQ ID N° 6 およびその誘導体は、イン・ビト
ロin vitro(試験管内)で感受性細胞に固定すると、完全分子の固定を阻害し、
その機能の発現を妨害でき、その作用は、ペプチドSEQ ID N° 6 またはその誘
導体のほうが顕著でない。
本発明のSCL類は、さらに、それらが上記の種類のDNA配列を含有する発現ベク
ターの組換えDNA技術に従った適当な宿主中での発現、発現されたSCLの回収、お
よび精製によって取得される点を特徴とする。
本発明の他のSCL類は、上記のレクチン様性質を少なくとも部分的に維持する
限り、断片または配列SEQ ID N° 3 またはSEQ ID N° 4 の修飾によって得られ
る誘導体である。
ヌクレオチド配列と関連して指摘したように、修飾という用語は、アミノ酸鎖
のレベルで直接得られる、あるいは、解読ヌクレオチド配列を修飾する事によっ
て間接的に得られる1個以上のアミノ酸の変異、欠失、置換及び/又は付加を意
味する。
他のSCL類は、組織抽出物からの精製によって得られるものである。
本発明は、特に、以下の操作によって組織抽出物から得られるものなどの精製
SCL類に関する:
−レクチン様活性を維持しながら、少なくとも大部
分の混入蛋白、特にアルブミンの除去を可能にする条件下での制御によるレクチ
ン含有組織抽出物のペプシン処理あるいは、酸性pHでの処理;
−セファクリル(Sephacryl)S-200でのクロマトグラフィー
−DEAE‐セルロース、CM‐トリスアクリルなどのイオン交換樹脂でのクロマト
グラフィー;
−リガンドとしてN-アセチルノイラミン酸などの糖を使ったアフィニティーク
ロマトグラフィー、SCL類の純度は、逆相PLCで証明する。
高純度SCL類は、それらが、明らかに、ほぼ完全にアルブミンを含まない点を
特徴とする。単一HPLCピークを示し、SDS PAGEゲルでのクロマトグラフィー
および変性後、推定サイズ65kd、55kdおよび≦14kdの蛋白から形成される3種の
特徴的バンドを示す。
本発明は、特に、規定分子量のポリペプチドとの比較によってSDS-PAGEで推定
した場合、約55kdの分子量を特徴とするSCLに関する。
SCLは、7種の中皮抗サイトケラチンモノクローナル抗体によって認識される
が、従来の中間フィラメント群とは異なる構造および機能性を有する。
事実、SCLは、モノマー、おそらくはダイマーの形をとるが、中間フィラメン
トは、一般にテトラマーやさらに高次ポリマーに重合化する。SCLは、イン・ビ
ボin vivo(生体内)およびイン・ビトロで分泌される細胞外蛋白であるが、中
間フィラメントは、細胞内在であるか、構造の維持に関与する。
SCL類は、レクチン様性質を有する。即ち、IFNの作用を阻害し、細胞合成刺激
能と細胞凝集能を有する。これらの性質は、DNA合成刺激機能を抑制できるペプ
シンによる消化で裏付けられる通り、本質的に5'‐末端によって付与され、サ
イズ保持とSDS-PAGEでの沈降を伴う。
本発明は、高度精製SCLを提供する事によって、一方で、分子を特徴付け、他
方で、十分な純度を持つ抗体を取得し、SCL類の抗原構造を特徴付ける事を可能
にする。
本発明は、上記のヌクレオチド配列およびSCL類の取得方法にも関する。
ヌクレオチド配列を得るために、従来の技術に従った合成手段で操作できる。
特に、SEQ ID N° 1 またはSEQ ID N° 2 型の配列の少なくとも一部を取得する
ための変異体として、上述し、かつ、実施例でさらに詳細に述べた精製55kd蛋白
に対する抗体またはmRNAのような特異的プローブを使って、cDNAバンクをスクリ
ーンする。当該配列を単離し、必要ならば、期待される応用法に従って希望通り
に修飾し、1回以上の精製処理に供する。
本発明のSCL類を得るために、宿主細胞のトランス
フェクションを目的として、プロモーターの制御下でこれらの配列を適当な発現
ベクターに導入すると、有利である。
レクチン様活性を有する当該SCLの発現を得るのに必要な条件を応用する事に
よって、後者を合成し、細胞溶解後、あるいは、単に分泌後、組換え型で回収し
、少なくとも1回の精製段階を行う。
SCL類の産生には、細菌などの原核生物系、昆虫細胞などの真核生物(バキュ
ロウイルス(Baculovirus)系)、あるいは、酵母を使用するが、市販のものを
使用すると、有利である。CHOハムスター細胞や適当な遺伝子でトランスフェク
トした霊長類細胞などの動物細胞も使用できる。
本発明のSCL類は、合成によっても取得できる。
上述の方法は、生物学的性質を維持しながら、SCL分子の精製を可能にする。
本発明は、特に、組織抽出物からの高純度SCLの取得方法に関するもので、レ
クチン含有組織抽出物を制御下でペプシンにより、あるいは、酸性pHで処理した
後、レクチン様活性を維持しながら、少なくとも大部分の混入蛋白、特にアルブ
ミンを除去できる条件下でクロマトグラフィーにかける段階から成る事を特徴と
する。
これらのクロマトグラフィー段階は以下の項目から成る:
−前処理した組織抽出物をセファクリルS-200に
かける;
−細胞凝集検査で測定したレクチン様活性の大半を含有する分画を回収する
;
−この分画をイオン交換樹脂、特にDEAE−セルロースおよびCM−トリスアク
リルにかける;
−レクチン様活性の大半を含有する分画をリガンドとしてN-アセチルノイラ
ミン酸などの糖を含有するカラムにかける。
この一連の段階が、混入アルブミンを分離する問題を技術的に解決し、SCLと
同様のサイズ、SCLと同様の数種の物理−化学的性質を有し、アルブミンとSCLの
間の相互作用が予想されるにもかかわらず、アルブミンの除去を可能にする。組
織抽出物の処理段階は、ペプシンを使って、制御条件下で実施する。それぞれの
濃度は、組織抽出物に対して4−8%のオーダー、望ましくは約6%、また、2500
−2700 単位/mgのオーダーの活性を有するペプシンに対して0.5−2mg/ml、望
ましくは約1mg/mlである。
有利であると判明した組織抽出物処理の条件は、約37℃、pH2で約1時間30分
−2時間30分、特に2時間の反応混合物の培養を必要とする。
次に、pHを中性近くまで上げて、酵素活性を停止する。
そのように処理した抽出物を、一連のクロマトグラフィー段階に移す。
1.セファクリルによるクロマトグラフィー
望ましくは、この抽出物を、予め遠心分離し、上清をセファクリルS-200ゲル
で濾過する。活性分画を、PBSなどの緩衝液による15−25ml/時での溶出によって
回収する。
2.DEAE‐セルロースによるクロマトグラフィー
回収した分画を貯留し、最大レクチン様活性を示す分画を、予め、中性付近の
pH、特に7.6のオーダーのpHの緩衝液で膨潤、平衡化したDEAE−セルロースでの
クロマトグラフィーにかける。
溶出は、pH7.6−4.0の直線グラジェントを示す0−0.5Mの範囲のモル濃度の塩
添加緩衝液で実施する。申し分のない溶出速度は、20ml/時のオーダーである。
3.CM−トリスアクリルによるクロマトグラフィー
回収した活性分画を、pH4.2の緩衝液、特に0.04M酢酸ナトリウム緩衝液で平衡
化したCM‐トリスアクリルでクロマトグラフィーにかける。
望ましくは、活性分画を、予め、酢酸緩衝液で透析し、CM‐トリスアクリルカ
ラムに静置し、同緩衝液で洗浄する。
アルブミンを除去するには、操作を1時間で実施できるpH5、0.1Mの第1緩衝
液を使用する。pH・4.2、1Mの第2緩衝液の使用で、大半のSCL類を溶出できる
。この操作は、約20分以内で実施できる。活性分画を
糖に接触させる前に、pH7.2の0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液を使って、透析可能
分子を除去するために透析を実施するのが有利である。
4.リガンドとして糖を使ったアフィニティークロマトグラフィー:
糖は、アガロースゲルアフィニティークロマトグラフィーカラム、特に、ヘキ
サメチレン−ジアミンポリアクリルアミド−アガロースのリガンドを構成する。
このゲルは、非吸着物質を除去するため、最初NaClなどの0.5M緩衝液で、次に蒸
留水で洗浄し、最後に低速で遠心分離する。pH4の糖溶液、例えば0.1M N-アセ
チルノイラミン酸、をゲルに添加した後、カルボジアミドなどの物質溶液を添加
する。
pHは、室温で4.5−5のオーダーの数値で約1時間維持するのが有利で、次に
、10−15時間穏やかに攪拌する。
ゲルは、数回洗浄して、非保持不純物を除去する。
例えば、洗浄は、1M NaCl、次に0.1M酢酸、最後に2回蒸留水で行う。
この調製液を充填したカラムは、pH7.2に平衡化する。0.01Mリン酸ナトリウム
緩衝液の使用が適している事が証明されている。
前段階の活性試料をカラムに静置し、予めリン酸緩衝液で平衡化すると有利で
ある。
カラムをこの緩衝液で洗浄した後、少なくとも2種
類の緩衝液(一方はSCLを溶出し、他方は他の蛋白を除去し、カラムを再生する
)で溶出する。
第1緩衝液(I)は、0.15M NaClを含有するpH7.2のリン酸ナトリウム0.01M溶
液から成るのが有利である。これは、大半のSCLを含有する単一ピークを生じる
。第2緩衝液(II)は、エチレングリコールも、特に約40−60%、望ましくは5%含
有する。これは、大半の不純物を含有する別のピークを生じる。
次に、カラムをリン酸ナトリウム緩衝液で洗浄する。
5.純度の確認
回収したSCLを、従来の水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸系を使ったHPLC
で分析し、次に、メインピークに相当する分画をSDS-PAGEで分析する。
従って、本発明は、非常に高純度の生成物を単離し、ほぼすべてのアルブミン
を除去した生成物を提供する方法を示す。
そのようにして得られた精製SCL類と上記のヌクレオチド配列の発現産物に相
当するSCL類を検討すると、それらが、非常に興味深いレクチン様性質を有する
事が認められる。
1.これらのSCL類は、インターフェロンと直接作用しないが、インターフェ
ロンが誘発する二次エフェクター蛋白の合成を阻害する。
誘発されるこれらのエフェクター蛋白数は、あるイ
ンターフェロンイソ型蛋白から別のイソ型蛋白まで様々である。さらに、同一分
子形は、様々な細胞で必ずしも同一エフェクター蛋白を誘発しない。SCL類は、
すべてのIFN-依存性二次蛋白の合成を阻害する事によって、細胞を初期状態まで
回復させる。その結果、細胞は、その他の点ではインターフェロンに阻害される
増殖刺激への応答能を回復する。
2.血清無添加で増殖の直接剌激が得られ、免疫適格の有無にかかわらず、多
数の細胞に影響を与える。この刺激は、細胞がこの物質の反復誘発の影響を受け
ない状態の発生をもたらすレトロ阻害作用なしに得られる。
その結果、従来の免疫刺激物質と違って、本発明のSCL類は、必要ならば相乗
作用が可能な特異的増殖因子と合わせて、反復投与できる。一例は、T‐リンパ
球が予め、レクチンや他の抗原によって活性化されない限り、T‐リンパ球の増
殖を剌激できないインターロイキン-2(IL-2)である。従って、ザルコレクチンは
、IL-2レセプターの生理的活性化因子(activator)として働くと思われる。他
の例では、ザルコレクチンは、生じる相乗作用による増殖の増幅を目的に、各種
のインターロイキンまたは増殖因子と結合する。
3.発癌性のメカニズムは、少なくとも一部は解明されていると思われる。一
般に、悪性形質転換は、良性増殖から開始する漸進的段階において、高発癌細胞
の選択で終わる方法の結果であると仮定される。プロトオンコジーンは、増殖因
子として、あるいは、対応するレセプターとして、もしくは、増殖方法に関与す
る代謝連鎖に関与する事によって、正常な増殖方法に関与する遺伝子である。本
発明のSCL類、特に、SEQ ID N° 3 またはSEQ ID N° 4 か誘導配列に相当するS
CL類は、特異的増殖因子の作用を準備する細胞DNAの合成開始に関与する。特に
、上述の55kd SCLは、細胞外の培地に分泌され、非特異的に増殖を刺激する構成
糖蛋白である。ザルコレクチン類と増殖因子の作用は相加的であるので、それは
、一方で、細胞増殖へのそれ自身の作用と増殖因子との相乗作用による、他方で
、インターフェロンの抗‐増殖機能への阻害作用によるコオンコジーン(coonco
gene)であると見なす事ができる。すべてのレクチンの場合のように、ザルコレ
クチンの生物学的機能は、特異的糖によって阻害される。
上述の性質を考慮して、本発明は、特に、SCL類の以下の応用に関する。
そのため、本発明は、組織増殖に寄与する、特に、損傷を受けた組織の再生お
よび創傷治癒の加速に寄与する増殖補因子としてのSCL類の使用に関する。
この点で、SCL類は、局所または全身投与の著効治療薬となる。
増殖因子として、SCL類は、イン・ビトロの細胞培
養用に使用できる。
この点で、特に望ましい生成物は、ヒト組換えSCL類で構成される。
実際、健康者から取り出したばかりのリンパ球を培養すると、インターロイキ
ン-2の存在下でその増殖を刺激できる。
血清無添加のH1培地中で連続操作した後、細胞は、IL-2だけの存在下で複製す
る。しかし、培地中に分泌される唯一の蛋白は、二量体の形のSCLである。
H9連続T系では、細胞によって生成され分泌されるSCLによって、細胞増殖が
確実になる。事実、両方の場合とも、SCLは、SDS-PAGEとウェスタンブロッティ
ングによって培地中に検出される唯一の主要蛋白である。
適当な量のSCLを添加して試験すると、細胞増殖に対する良好な作用が認めら
れる。
そのため、本発明は、免疫系を刺激する治療薬として、特に特異的免疫性の刺
激剤としてのSCL類の使用にも関する;必要ならば、SCL類は、抗原、例えば、イ
ンターロイキンのような増殖因子と合わせて使用する。
そのため、SCL類は、Tリンパ球増殖の生理的活性化因子として、インターロ
イキン(ILs)、特にIL-2に対するレセプターの合成を活性化する事ができる。細
胞内でのSCL類の連続発現は、細胞がインターフェロ
ンの反復誘発に影響されない状態を、明らかに阻害し、細胞はIFN機能を発現で
きないが、各誘発時にインターフェロンの持続産生を招く。
本発明は、特に、細胞を初期状態に回復し、そのインターフェロンへの正常な
感受性を回復する方法で、二次エフェクター蛋白の合成を阻害する作用を利用す
る事によるインターフェロン治療での使用に関する。
従って、SCL類またはそれらの阻害剤は、例えば、AIDS感染の最終段階や紅斑
性狼瘡などの自己免疫疾患の際など、感染症に由来する病理状態を治療するため
のIFNの反復投与プロトコールで使用するのが有利である。
数種の適格細胞、特にPBLの細胞に組換えSCLを添加すると、1型または2型の
インターフェロンの凝集および合成を引き起こす。
本発明のSCL類は、免疫適格細胞増殖を高める能力により、ワクチン接種アジ
ュバントとしても使用できる。
別の側面によれば、本発明は、天然ザルコレクチンを阻害する化合物を同定す
る手段としての本発明のSCL類の使用に関する。
特に、本発明は、競合によってそのレクチン様活性を阻害する化合物、抗体ま
たは糖、あるいは、アミノ酪酸や他のブチロイドのような拮抗剤でも、それらの
化合物を選択するためのSCL類の使用に関する。
上述の様々な治療上の使用において、SCL類は、必要ならば、安定化のため、
遅延作用ベヒクル(vehicle)を生成するか、組織でのSCL類の拡散およびSCL類
の機能の発現を促進するためにアルブミンに固定される。
上述の阻害化合物から開発される医薬品(当該阻害を得るために賦形剤と合わ
せて有効量のこれらの化合物を含有する)も、本発明の範囲に入る。
阻害作用の糖は、細胞膜上に存在する特異的糖である。それらは、単糖または
N-アセチルガラクトサミン、ガラクツロン酸ナトリウム、N-アセチルノイラミン
酸などのアセチル化糖、α‐またはβ‐ラクトース、ガラクトース、ノイラミン
ラクトースなどの複合糖である。
これらの糖は、細胞膜に固定する事によって、SCLの固定を妨害する。これら
の観察に基づき、複合酪酸誘導体は、ガラクトース、ラクトース、NANA、グルコ
サミン、ガラクトサミン、N-アセチルガラクツロン酸をこれらの酪酸誘導体また
は、例えば、オクタルブチレートやPEGブチレート(PEG=ポリエチレングリコール
)を含有するエステルなどの他の酪酸誘導体に固定する事によって取得できる。
概して、これらの阻害剤の大多数は、インターフェロンの発現誘発を間接的に
高め、正常増殖の様々な段階で、あるいは、腫瘍形成方法で、内在インターフェ
ロンの発現を高める。
ブチロイド(butyroid)は、増殖阻害剤として使用できる;それらは、異なる
メカニズムでインターフェロン様作用を生じる。その作用は、SCL類によって直
接阻害されないが、異なるメカニズムによってSCL類の拮抗作用として働く。
1-バリンt−ブチルエステルのような疎水性−親水性アミノ酸から形成される
酪酸誘導体は、親水性機能によって細胞に固定し、疎水性機能によって、膜と接
触する分子を維持する。
アミノ酪酸には、α−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸およびγ−アミノ酪酸
(GABA)がある。これらの化合物は、特に形質転換細胞に高い親和性を示し、マ
ウスで、肉腫TG180細胞(または他の細胞の)の移植生着を阻害する。
これらの阻害剤または拮抗剤の結果として、インターフェロンの過剰もしくは
持続的な抗生理的産生は、特定の慢性ウイルス感染症(HIV)や免疫疾患によって
誘発される免疫障害と戦うために、(SCL類の働きを阻害する事によって、あるい
は、拮抗剤を使ってそれらの作用に対立する事によって)再平衡化できる。
阻害化合物は、IFNによって誘発される抗ウイルス耐性をかなり増加でき、IFN
治療を含むプロトコールで使用すると役に立つ。抗癌療法でも使用できる。
本発明は、特に、corynebacterium parvum等の免疫
モジュレーターと併用した治療でのこれらの阻害剤の使用に関するものであるの
で、SCLの成分産生がない場合、SCLの代わりにできる。
競合によって本発明のSCL類の活性を阻害できる他の生成物は、抗体から成る
。本発明のSCL類に対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、従来法
に従って産生するのが有利である。新規生成物として、それらは、本発明の次の
目的である。
治療薬では、本発明の抗−SCL抗体は、癌、慢性ウイルス性疾患または自己免
疫疾患などの病理状態において、過剰に産生されるSCL類の作用を阻害するのに
特に価値がある薬剤である。
これらの抗体から開発される医薬品は、目的とする適用に応じた有効量のこれ
らの抗体を不活性な製剤用賦形剤と併用して含有する事を特徴とする。
これらの医薬品は、特に抗腫瘍治療に適している。
診断薬では、これらの抗体は、すべての免疫反応、特にELISAおよびウェスタ
ンブロットに使用でき、患者から得た生体抽出物中のSCLの存在を質的、量的に
決定する事ができる。
従って、本発明は、イン・ビトロSCL類、特に、上述の方法に従って精製した
、あるいは、SEQ ID N° 1 によって発現された蛋白に相当する、あるいは、合
成によって取得した55kd SCLの検出法に関する。
上述の方法は次の項目から成る;
−患者から得た分析対象生体試料または細胞を、SCL類が試料や細胞中に存在
すれば、SCL類と抗原−抗体複合体を産生する適切な条件下、固体支持体上に固
定された抗SCL抗体製剤かFab断片と接触させ、
次に
−このような抗原−抗体型の複合体の形成を常法に従って有利に検出する。
例えば、サイトフルオロメトリー法を使用する。
この検出法は、被験試料中のSCLの存在を高感度、高スピードで検出でき、ど
んな抗原−抗体型の反応も検出できる。
本発明は、この検出法を実施するために使用できるキットにも関する。このキ
ットは、以下の項目から成る事を特徴とする:
−支持体として働く適切な固相、
−遊離または固定された抗SCL抗体製剤またはFab断片
−緩衝液および免疫反応および検出反応用の適切な試薬。
これらの方法とキットで使用する抗体は、上記のペプチドSEQ ID NO 5または
それらの誘導体に対する抗体が有利である。
変法として、本検出法は、SCL類を解読する遺伝子の存在に関するもので、以
下の項目から成る
−患者から得る分析対象の生体試料または細胞中に
SCL類を解読する遺伝子が存在する場合、ハイブリダイゼーション複合体の産生
に適した条件下で、上記のプローブにその試料または細胞を接触させる段階の実
施
−ハイブリダイゼーション複合体の検出とこれらの遺伝子によるSCL類の発現
の定量。
本発明は、この方法で使用できるキットに関するものでもあり、前述のプロー
ブ、緩衝液、ハイブリダイゼーション反応実施に有用な試薬から成る。
本発明のSCL類の他の阻害剤は、上記のアンチセンスヌクレオチド配列から成
る。これらのアンチセンス配列は、例えば骨原性肉腫の場合、SCLの発現を遮断
できる。
本発明に記載のSCL類の他の適用法は、その細胞凝集能と単糖類への親和性に
基づく。
これらの性質は、診断薬や治療薬に活用される。
本発明の他の特徴と長所を以下の実施例で示す。
それぞれ、以下の点を表す図1−5を参考とする。
図の簡単な説明を行う。
−図1:前処理した組織抽出物のセファクリルでのクロマトグラフィー後に取
得した、DEAE−セルロースでクロマトグラフィーにかけたSCL分画の溶出プロフ
ァイル。
−図1Aおよび1B;DEAE−セルロースで収集したSC
L類の生体活性分画のCM‐トリスアクリルでの溶出プロファイル。
−図2Aおよび2B;リガンドとして糖を使ったクロマトグラフィーによって取得
した分画の溶出プロファイルと逆相HPLCによる活性分画の分析。
−図3Aおよび3B;抗65kdおよび抗55kd抗体を使った各種精製段階のSDS-PAGEゲ
ルとウェスタンブロットによる証明。
−図4Aおよび4B;制御ペプシン処理前後のSCL調製液のSDS-PAGE電気泳動と、
本発明の蛋白とアルブミンによる抗65kdモノクローナル抗体の反応を示すウェス
タンブロット写真。
−図5;各種試料の検査に抗55kd抗体を使ったウェスタンブロット写真。
次に本発明の実施例を挙げる。
実施例1:ザルコレクチンの精製法
本手法概要は、以下の通りである。
第I段階−生体材料の調製と凍結乾燥
第II段階一材料の水和とペプシンかpH5による前処理
第III段階−セファクリルS-200でのクロマトグラフィー
第IV段階−イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー:DEAE‐セルロースまたは
CM‐トリスアクリル
第V段階−糖でのアフィニティークロマトグラフィ
ー
第VI段階−逆相HPLC(配列決定):
C18カラムH2O/アセトニトリルグラジェント
C4カラムH2O/アセトニトリルグラジェント
(I)生体材料の調製と凍結乾燥
微量の血液をすべて除去するまで、組織試料を入念に最少イーグル(Eagle)
培地中で洗浄し、次に凍結乾燥し、-20℃で乾燥状態を保つ。さらに、乾燥組織
を粉砕し、粉末とし、これの重量を計り、(抗生物質を添加した)MEM培地で6%の
濃度(乾燥重量、g)まで水和する。懸濁液を+4℃で20時間攪拌し、4000rpmの低
速で20分間遠心分離し、透明にした後、90,000g、27,000rpmで2時間遠心分離
する(Spinco L3超遠心分離機を使用すると有利である)。
ザルコレクチンを含有する上清を、滅菌ガーゼと1.2μmミリポアフィルター
で濾過した後収集し、2.5mlのピルボックス(丸薬入れ)に分配し、凍結乾燥し
た後、-80℃で保存する。
(II)材料の水和と前処理
使用時、凍結乾燥生成物を2.5mlの2回蒸留水の添加により完全溶解させる。
次に、調製液をペプシン処理か、pH5(SCLの等電点)で処理する。
(A)ペプシン処理
制御ペプシン処理により、物理−化学的特性(ゲル中での遊走(migration))
を保持する事ができ、組織
抽出物の生物学的活性は破壊しないが、調製液に混入する他の蛋白は破壊する。
組織抽出物(濃度6%)を2回結晶化したペプシン溶液(2,675単位/mg)で処理し
、最終濃度を1mg/mlとする。反応混合物をpH2に調整し(ペプシン活性の至適p
H)、37℃で2時間培養する;大量の沈殿が生じる。次に、pHを7.3に調整し、Ini
prol(Choay)105単位/mgプロテアーゼを一晩、4℃で添加して、酵素作用を停止
する。
試料を遠心分離し、上清を取り出した後、セファクリルS-200ゲルで濾過する
。
(B)pH5での処理
組織抽出物の調製液を1N-HClを添加してpH5に調整した後、室温で15分間放
置する。大量の沈殿が生じ、これを4,000rpmで15分間遠心分離する。傾瀉後、上
清がセファクリルS-200ゲルでの濾過段階の試料になる。
(III)セファクリルS-200ゲルでのクロマトグラフイー
使用するカラム(Pharmacia2×30cm)は、予め緩衝液で膨潤させたセファクリル
S-200ゲル(Pharmacia)を含有する。試料をカラムに2.5mlの容量で導入し、溶出
液(PBS)の流速を20ml/時、各分画の容量を1.35mlとする。濾過した試料の分子量
は、既知分子量の蛋白の範囲を参考に計算する。
分子量の推定値は、溶出液量(Ve)と分子量の対数の間に存在する直線関係に基
づく。
次に、各分画の生物学的活性(細胞の凝集能)を検査する。最大生物学的活性
が存在する分画の流出液量に基づいて、検量線を参考にして、190−200kdの分子
量を決定できる。
(IV)イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー
・DEAE セルロース
予め膨潤させ、20mM NaCl、0.1mM EDTA、15mMβ‐メルカプトエタノール、20m
Mトリス‐酢酸の緩衝液pH7.6で平衡化したジエチルアミノエチルセルロース(DEA
E52、Whatman、英)をカラムに充填する。試料(セファクリルS-200で濾過した後
に得られる貯留生物学的活性分画)をカラムに導入し、同一緩衝液でその後入念
に洗浄する。
蛋白は、0−0.5Mの範囲のモル濃度のNaClを添加しておき、pH7.6−4.0の直線
グラジェントを示す緩衝液の存在下で4時間溶出する。溶出速度は、20ml/時で
ある。記録したプロファイルを図1に示す。ピークIIIは、アルブミンと微量のS
CLを含有するが、ピークIV(斜線部)は、生物学的活性に相当し、大部分のSCLを
含有する。後者は、0.25Mナトリウム緩衝液で溶出する。
この段階は、HPLCを使ったMono Qカラムでのクロマトグラフィーで代用できる
(グラジェント:20mM
L‐ヒスチジンpH5.5−6.0/1M NaCl)。
・CM−トリスアクリル
Pharmaciaカラム(1×15cm)にCM‐トリスアクリル-M(IBF、仏)を充填した後
、0.04M 酢酸ナトリウム緩衝液pH4.2で平衡化する。
ザルコレクチンの活性分画を含有する試料は、予め、0.04M酢酸緩衝液、pH4.2
で透析した後、カラムに静置し、次に同一酢酸緩衝液で1時間洗浄する。
溶出プロファイルは2種類の緩衝液を含む:
−第1緩衝液:0.1M酢酸ナトリウム、pH5、アルブミンをほとんど除去する;
溶出は約1時間かかる;(図1A参照、ここで、ピーク15はアルブミンを含み、ピ
ーク50(斜線部)はSCLを含む、細胞凝集活性(CA)で表す。
−第2緩衝液:1M酢酸ナトリウム、pH4.2、ザルコレクチンをほとんど溶出
する;溶出は20分かかる(1分画当たり4分)(図1B参照)。
分画40−50は、ザルコレクチンを含み、0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2
で透析し、これを次の段階で使用する。
(V)リガンドとしてN−アセチルノイラミン酸を使ったアフィニティークロ
マトグラフィー(N.A.N.A.と略す)
Ultragel-HMD-Aca34、IBF code 2461 61(ヘキサメチレン‐ジアミンポリアク
リルアミド アガロース
)9mlを0.5MNaCl緩衝液25mlで3−4回、次に、2回蒸留した水で少なくとも2
回洗浄し、最後に低速で遠心分離する。
pH4.7に調整したN-アセチルノイラミン酸の0.08M溶液(IV型、Sigma)4mlをゲ
ルに添加する。
次に、0.1M EDCL、pH6(1‐エチル-3、3−ジメチル‐アミノ‐プロピル−カル
ボジアミド、Sigma)5mlを添加し、pHを実験室内温度で4.5−5に1時間維持する
。その後、混合物を一晩穏やかに攪拌する。ゲルを1M NaClで数回、次に、2倍
容量の0.1M酢酸で洗浄し、2回蒸留した水で濯ぐ。この調製液をPharmaciaカラ
ム(1×15cm)に充填し、0.01M リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2で平衡化する。
予め、リン酸ナトリウム緩衝液で平衡化しておいたザルコレクチン試料を導入し
、3回再循環させる。同一緩衝液でカラムを1時間濯いだ後、非保持不純物を除
去し、次に、溶出を2種類の緩衝液で実施した:
−緩衝液E1=0.01Mリン酸ナトリウム、pH7.2、+0.15M NaCl、ザルコレクチン
を溶出する(図2Aの斜線部ピーク)、光学濃度(O.D.)記録と生物学的活性の測
定(文献(8)で述べる操作法による細胞凝集)によって示す;
−緩衝液E2=0.01Mリン酸ナトリウム、pH7.2+0.15M NaCl+50%エチレングリコ
ール、他の蛋白を除去し(ピーク15−20)、カラムを再生する。
次に、カラムを0.01M リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2で濯ぐ(図2A)。
(VI)逆相HPLC
使用する装置は、LKB製「HPLC Controller 2152」で、C18カラム(Waters)で逆
相分離を行う。
従来の水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸、0.1%、系を使用し、220−280nm
で検出する。
グラジェントは次の通りにプログラムする:
時間 液量 アセトニトリル%
0 1ml 0
40 1ml 50
60 1ml 80
70 1ml 80
80 1ml 0
アセトニトリルグラジェント75%に位置する主要ピークが記録される(図2B)
。
対応するSDS-PAGE分画をSDS-PAGEゲルで分析する。ウェスタンブロットは、抗
55kd血清を使って、3本のバンドを示す:65kd、55kdおよび≦14kdの各位置。抗
65kd血清に一貫してアルブミンが混入しているという点で、抗65kd血清は使用し
ない。
得られる結果
SCL類の2種の特徴的機能、即ち、1)血清無添加培地で24時間培養したヒトH9
T細胞でのDNAの合成を刺
激する能力、並びに、2)細胞を凝集する能力、に関して、各種の精製段階をモニ
ターする。最後の3精製段階の結果を表1に示すが、3[H]チミジンの1分当た
りのカウント数(cpm)、刺激%および細胞凝集(単位/0.05ml)を表す。 これらの結果を検証すると、最終の3精製段階が実際に純粋な蛋白を得る事が
分かる。
初期蛋白レベルに基づくと、精製は、16,500倍のオーダーである。上述の手法
の最後に得られる精製蛋白は、HPLC分析後、単一ピークを示す。
これらの同細胞を凝集する能力は、不変のままであると分かる。硝酸銀で染色
したSDS-PAGEゲルでのクロマトグラフィーと変性後、3本の特徴的バンドが認め
られ、そのサイズは、連続して、65kd、55kdおよび≦14kdと推定された。(図3A
の傾き7を参照。この図では、他のスロープは、SDS-PAGE、即ち、1)セファクリ
ルS-200、2)DEAE‐セルロース、3)CM‐トリスアクリル(アルブミンのピーク1
)でのクロマトグラフィーによって立証される各種精製段階に相当し、4)はサイ
ズ標準点、5)CM‐トリスアクリルでのクロマトグラフィーに相当し(SCLのピー
ク2)、6)NANAでのアフィニティークロマトグラフィーに相当し、7)PLCに相当
する。)
これらのバンドを、切断し、凍結乾燥後、粉砕し、ウサギに注入して、免疫処
置とする。
サイズが近似し、物理−化学的性質が類似しているため、抗65kd血清は、アル
ブミンとも反応する。一方、抗55kd血清は、完全に均質であると思われる。抗65
kd血清も、抗55kd血清も、ウェスタンブロッティングの分析によれば(図3B)、
2種類の他の分子
量の蛋白を認識し、その場合、傾き1と3は、抗65kd抗体の使用に、傾き2と4
は、抗55kd抗体の使用に相当する。
実施例2:迅速精製法
以下の通りに操作を進める事によって、診断目的で特定の生体抽出物について
、迅速に精製できる(例えば、1/10に希釈した血清):
−培地のpHを30分間pH5に下げる;
−この場合、大量の沈殿が認められ、これを遠心分離で除去する;
−pH7.4に再調整する;上清は、65kdと55kdの蛋白を含有し、特異的抗体を使
ったウェスタンブロットで認識できる。その力価は、同一抗体を使って、ELISA
で推定できる。
イン・ビボでは、アルブミンに強く結合したSCL類が認められる。これは、今
まで知られなかった事実である。モノクローナル抗体を使うと、この蛋白の明ら
かに検出可能なバンドが、ウェスタンブロッティングによって検出できる(図4A
参照;クーマシーブルー染色によるSDS-PAGE電気泳動)。アルブミンを含有する
67kdの主バンドの直下に、65kdの小バンドがある。ペプシンによる調製液の制御
処理はアルブミンを消化するが、小バンドを保持する;図4B:同一調製液を使っ
たウェスタンブロットは、65kdの小バンドを鮮明に標識する。55kd蛋白によって
間接的にのみ標
識されたアルブミン上のマーカーの拡散に注意する。
これらの結果は、65kdバンドの正体に関して普及した解釈に対する根拠となる
。従って、本発明は、この分子が、実際は、アルブミンへの55kdのSCL分子の固
定に関係する人為的なものであるという新事実の暴露を可能にした。本文に添付
した図4aと4bに、この観察が明確に図解されている。また、それは、SCL蛋白の
5’配列が増殖するアルブミンとの類似体を含有すると見なすFU YUE ZENGら(12
)の論文によっても裏付けられる。
同様に、血清なしで細胞を増殖させる培地を使って、SCLと認める単一の蛋白
バンドが検出され、類人猿vero、ヒト骨原性肉腫、PBLからのTリンパ球、ある
いは、連続培養のH9細胞の各細胞によって分泌される。蛋白をほとんど含まない
これらの培養液で、SCLは、増殖を調節する上で重要な役割を果たすに違いない
。
実施例3:ヒトザルコレクチン遺伝子のクローン化と同定
使用するcDNAバンクは、34週のヒトの胎盤に由来する市販品である。これらの
cDNAを、gt11λファージのガラクトシダーゼ遺伝子のEcoRI部位でクローン(clo
ne)化した。
実施例1で述べる通りの65kd蛋白と55kd蛋白に対して別個に取得した抗ザルコ
レクチン抗体を平行して
使って、選択を行った。要約すると、バンドを単離し、切断、凍結乾燥し、粉砕
した後、ウサギの免疫処置に使用した。
抗65kd血清は、対応する蛋白を認識し、また、ある程度、アルブミンも認識す
る。一方、抗55kd抗体は、明らかに、特異的である。この2種類の抗体を、順位
を定めた1つの孔で平行して使用した。表2は、4種のクローンの単離に採用し
た方法の一覧を示す。 ・クローンの同定
バンクを拡大し、約105から106個のクローンを得た。中空クローンは、ガ
ラクトシダーゼ-1を生じる。それらを、IPTG+X-galで処理した後、青色染色する
。クローン化された遺伝子をガラクトシダーゼのEcoRI部位に挿入し、このよう
にして得られる融合蛋白は無色である。次に、無色のコロニーを特異的血清で処
理し、そこに、DABで可視化したペルオキシダーゼと結合させた抗ウサギ抗血清
を添加する。これが無色コロニーの可視化を可能にする。
表2で述べるように、特異的抗体(a)によって、初回の操作で10個のクローン
が単離された。
2回目の操作中、各単離クローンの子孫の半数を抗65kd抗体(a)で、他の半数
を抗55kd抗体(b)でサブクローン化した。
3回目のクローン化操作中、この手法を使用する事によって、5として知られ
るクローンが抗体bで、6と呼ばれるクローンが抗体bで、クローン9が抗体bで
、最後に、クローン10が抗体aで単離された。従って、この手法によって、合計
4種のクローンを単離するに至った。
4回目のクローン化操作では、抗55kd抗体(b)のみを使用し、得られた全クロ
ーンは、抗体(a)で単離されても、抗体(b)で単離されても、上記の通り、はるか
に特異的な抗体bによって認識された。配列を分
析すると、事実上、3種類の異なるクローンが単離され、配列決定後、クローン
9と10は全く同一であると判明したので、クローン5およびクローン6と名付け
られた。
従って、これらの3種のクローンがその2種の異なる抗体(a)および(b)で単離
された点が注目される;それらの実体は、蛋白が共有するエピトープに相当する
2種の血清間の抗原関係を示唆する。そのため、これらの蛋白は、ある科の構成
要素であると思われる。
・クローン5で得られる結果
クローンの構造と特徴付け
単離されるcDNAは、1.8kbの長さを持つ。469個のアミノ酸の遺伝情報を含む1
407bpのオープンリーディングフレームを含有する。その構造は、SEQ ID NO 1に
示される。ATG開始とTGA終了の配列は、それぞれ、62位と1469位にある。
実施例4:55kd蛋白の検討
1)標準ヒト骨原性肉腫(MG 63)またはHOSに由来する2種の細胞系を培養した
。これらの細胞の培養は、1%ウシ胎児血清とRPMI培地の存在下で実施した。実
施例1の手法に従った精製後に培地中に分泌される蛋白を分析した。ウェスタン
ブロッティング後、65kdのバンドと55kdのバンドが得られた。
両蛋白は、培地に分泌された。
2)2回目の一連の実験では、すべての残存アルブ
ミンを除去するため、2回の速続操作中に、血清無添加の合成Whittaker培地(Ul
tra Doma MDCK)中でこれらの同一細胞を培養した。全体で、これらの培地はごく
わずかの蛋白しか含有しない(2−5ng/ml)。細胞は、H9細胞を凝集できるレ
クチンを分泌する(10%ホルムアルデヒドで処理した連続系のTリンパ球)。ウェ
スタンブロッティング(55kd蛋白に対する単一特異性抗体と7型サイトケラチン
に対する市販のモノクローナル抗血清を使用)後、55kd領域に単一バンドが得ら
れた。これは、SDS-PAGEおよびクーマシーブルー染色後に検出でき、抗55kd血清
と市販の中皮抗サイトケラチンモノクローナル抗体の両方によって認識され得る
唯一のバンドである。そのため、55kd蛋白は、おそらくそのレクチン様機能によ
ってアルブミンに固定され、SCLに実際にもそうである高分子量を有する外観を
与える事ができると考えられる。
この仮説は、若干低めの分子量を持つ第2バンドが、市販のモノクローナル抗
血清によって、高度に精製(99%)された市販のウシアルブミン中に検出されると
いう事実によっても裏付けられる。アルブミン調製液のペプシン処理後、このバ
ンドは持続するが、アルブミンは、消化される(図4Aおよび4B参照)。アルブミ
ンとSCLの関係は、単に偶然であるのかもしれず、あるいは、生体中でのSCLの拡
散に、
また、その安定性の維持に重要であるのかもしれない。
3)実施する全試験において、一般に、細胞内に存在する中間フィラメントと違
って、大部分のSCL類は培地に分泌される。
4)概して、得られる蛋白配列は、次の通りに図示できる。 DNA中、約320bpに相当するドメインAは可変的である;それは、蛋白内のβシ
ートに翻訳される。この領域は、ガラクトシドを結合する蛋白の14kdレクチン中
に認められるものと80−100%相同の12ブロックを含有する(140/320bp)。このド
メインは、分子のレクチン様機能の必須部分を含有する。全体で、これらのブロ
ックの少なくとも30は、主として、末端に位置する。
ドメインBは、4本のαラセンから形成される。次のDNA相同性を有する:
56kdヒトケラチン:814bpの長さで78%相同
ヒトビメンチン:625bpの長さで52%相同
ヒト神経フィラメント:589bpの長さで55%相同
ドメインCは、これもレクチン様配列を有するβシートに翻訳された短配列を
含有する。
5)C.Glassら(9)は、ある遺伝子を単離し、この分子を中皮サイトケラチンの名
称で中間フィラメントとして分類した。この同定は、上述の、また、分子の安定
αラセンに関連する配列類似性に基づく。
一方、本発明は、βシートを形成する可変的な5'断片が分子のレクチン様機
能を含有する事を確立する。ドメインBを占める4本のαラセンの安定ドメイン
は、分子の安定性を確保すると思われる。この55kd分子の生物学的意義は、彼ら
が述べた分子について、先の著者らが開示したものと根本的に異なる。さらに
、本発明のSCLは、上述の通り、培地に分泌される。この性質は、サイトケラチ
ンの一部として、細胞内構造の安定性への寄与に不可欠な役割を果たす中間フィ
ラメントにとってまれである。SCL類は、モノマーの形で、あるいは、特定の場
合に、ダイマーの形で発現される。一方、中間フィラメントは、ポリマーに重合
化される。
6)精製SCLのpH2でのペプシンによる制御処理は、SDS-PAGEゲル中での分子の
遊走やサイズを変化させる事なく、SCLの刺激機能を破壊する。同様に、細胞の
凝集力が保持される。事実、ペプシンが(芳香族アミノ酸のスレオニンとチロシ
ンのレベルで)分子の5'末端レベルに位置する部位を最初に破壊する事が知ら
れており、これが、一部、生物学的機能の喪失の説明になる。
実施例5:生物学的活性の検討
I.SCLに関する糖の阻害作用の検討
細胞凝集に対する単糖類の作用
ゲッ歯類か霊長類に由来する多様な細胞を試験した。凝集は、血清無添加のME
M培地に細胞を懸濁させて得た。試験は、2通りの方法、細胞の50%が凝集する濃
度を確認する事によって、または、細胞レセプターへの各種糖類の親和性を確認
する事によって、base2等比数列によるザルコレクチン希釈範囲の存在下で実施
するのがよい。
提示した実施例では、Crocker TGI80肉腫を移植したスイスマウスの腹水に由
来するマウスザルコレクチンは、Tリンパ球に由来し、10%ルムアルデヒドで固
定したH9細胞を凝集する32単位を含有する。
以下の表は、2凝集単位の存在下での各種糖類へのレセプターの親和性を示す
。
D-ガラクトース: 親和性 0.28mM
β‐ラクトース: 0.25mM
α‐ラクトース: 0.125mM
N.A.N.A: 0.0075mM
マウスザルコレクチンの場合、親和性は、β−ラクトースに対する方が、α−
ラクトースに対するよりも高いが、ヒト胎盤に由来するSCL類では、逆が認めら
れる。ヒト組織に対する最高親和性は、N.A.N.A.である。他の阻害剤の糖類には
、N-アセチルグルコサミンやガラクツロネート(主として、ハムスターの場合)
があるが、このリストは決して完全ではない。
阻害性糖類は、細胞凝集を防止するだけでなく、ザルコレクチン類の各種の生
物学的作用、特に増殖刺激を妨げる。
この作用は、SCLレセプターに対する親和性が増加するにつれ、一層顕著にな
る。
そのため、非常に高い阻害作用を持った糖類を選択する事を可能にし、増殖へ
の間接的作用を活用する本発明のSCL類の長所に関する評価を行う事になる。
すでに強調したように、SCL類に関する糖類のこの阻害作用は、IFNの抗ウイル
スおよび抗増殖機能の増加を可能にする。
阻害性糖類の間接的抗ウイルス作用
使用するモデルは、いくぶん変動するが、比較的短い培養時間後に、ほぼ全例
において、マウスを殺傷する脳心筋炎ウイルス(EMC)である。
雄マウス(平均体重:2.5g、生後8−10週)にガラクツロン酸ナトリウム、グ
ルコサミンおよびN-アセチルノイラミン酸を腹腔内注入した(100mM糖を含有す
る5−10%溶液)。その後24時間目、EMCウイルスの100回致死量(50%)を同一経路
で注入する。1時間後、マウスインターフェロンを注入する(0.5ml中20,000単位
の用量)。表3は、全被験動物中、生存した動物数、%、統計的有意性を示す。 これらの結果を調べると、SCLを阻害する糖の使用は、天然ザルコレクチンの
拮抗作用を減少させる事を可能にし、そのレベルは、ウイルスにより免疫性が刺
激されるために増加し、Tリンパ球でのマクロファージの合成を増加させる事が
立証される。
インターフェロンだけで治療されたマウスでは、120匹中6匹のみが生存する
が、総生存率の増加は、インターフェロンをN.A.N.A.、グルコサミンまたはガラ
クツロン酸塩と併用すると、非常に大幅である。
本発明は、イン・ビトロ試験用モデルとして働くSCL類を提供する事によって
、当該阻害作用を持つ糖類を選択し、顕著に有効な抗ウイルス療法のために、有
効成分としてそれらを適量含有する医薬品を開発する事を可能にする。
SCLを阻害する糖類の抗腫瘍作用
ザルコレクチンによって誘発される増殖刺激作用を妨害する阻害性糖類の能力
は、イン・ビボの腫瘍発症に間接的に影響を与えると思われる。本発明に記載し
たイン・ビトロで示すように、SCL類は、増殖因子と相乗作用し、間接的に細胞
増殖を促進すると思われる。そのため、天然SCL類は、インターフェロンの作用
を遮断する事によって、発癌性を促進できるだろう。
従って、増殖阻害剤に有利になるように、組織発達の平衡を促進するため、天
然SCL類の作用を阻害する
長所の評価を行う。
SCLを阻害する糖類の抗腫瘍能を検討するため、化学的代謝阻害剤に耐性を示
す腫瘍に由来するTG-180腫瘍細胞を移植した。20gのスイスマウスに腹腔内注入
した細胞濃度3×106個で、10日で検出でき、21−25日でほぼ100%の動物を殺傷す
る腹水腫瘍が得られる。
平行して行った試験では、接種後3日目に、各種動物群に特異的糖(グルコサ
ミン、ラクトース、ガラクツロネート、N.A.N.A.、ノイラミン‐ラクトース)を
5−10%溶液(糖濃度100mM)で投与し、あるいは、同療法を、マウス1匹当たり
200μgの用量で免疫刺激剤(corynebacterium parvum抽出物、Merieux、仏)イ
ンターフェロン、あるいはその両方の注入と併用した。
実験1回当たり、4群のマウスを使用した。
得られた結果を表4に示す。結果は、10日目に現れた腫瘍発現率(%)、動物の
平均生存期間(日)(MST)、最終生存率(%)で評価した。 N-アセチルグルコサミンやグルクロネートなどの他の糖類は、同等の抗腫瘍作
用を有する。
移植後10日目に、単独、あるいは、corynebacterium parvum(CP)またはIFNと
の併用での全被験糖類の投与は、腫瘍の発現率をかなり低下させる。平均生存率
は、グルコサミンおよびガラクトウロネートによって、特に増加する。CP単独に
よる免疫刺激の場合、総生存率は、グルコサミン(53%)およびラクトース(43%)に
よってかなり増加する。IFNの併用は、特にラクトースの場合、平均生存率を増
加させる。
II−SCLに関するアミノ酪酸の阻害作用の検討
アミノ酪酸の間接的抗腫瘍作用
酪酸塩を使用した以外、前表の場合と同一の実験手順を用いた:γ‐アミノ酪
酸(GABA)、α‐アミノ酪酸、α‐アミノイソ‐酪酸および対照培地である。
得られた結果を表5に要約する。 先の試験でザルコレクチンを阻害する糖類に関するものと同一の条件下で、γ
‐アミノ酪酸とα‐アミノイソ酪酸は、発癌性を有意に阻害する。全群で、腫瘍
の出現は遅延され、平均生存率の増加が得られる。CP単独の注入は、動物の最終
生存率の有意な増加も引き起こし、これは、インターフェロンの併用で一層増加
する。
阻害性糖類の場合のように、本発明のSCL類は、アミノ酪酸の抗腫瘍作用の検
討と治療プロトコールの作成に対して、特に重要なモデルである(表5)。
III−細胞DNA合成の刺激に対するザルコレクチンの直接作用
各種の免疫適格細胞のDNA合成に対するザルコレクチンの作用を立証した。H9
Tリンパ球、Daudi Bリンパ球、U937単球、並びに、以下の細胞を平行して試験し
た:牌臓由来の正常TおよびBリンパ球、マウスL929細胞、ヒトHeLa細胞。
全例において、実施例1に従って取得したように、増殖培地は血清を含まず、
高度精製ザルコレクチンのみを含んだ。
24時間後、同一培地で、ザルコレクチンによらずに処理した対照細胞を比較す
る事によって、各種細胞群のDNA合成を分析した。
DNA合成は、特にH9、DaudiおよびU937細胞の場合に有意な増加が、正常Tおよ
びBリンパ球とHeLa細胞
で若干低めの増加が、それぞれ、認められたが、マウス細胞では、増加は、非固
定系と同一レベルのままであった。これらの結果は、ザルコレクチンが増殖に対
する独自の刺激作用を有し、これが、ザルコレクチンと結合するより特異的な増
殖因子とは無関係である事を立証している。
乳児における骨原性肉腫の切除中に取り出した生検標本では、抗55kd抗血清を
使ったウェスタンブロッティングテストによって、断片が無血清培地にかなりの
SCLを分泌した。
この同一レクチンは、マウスでのTG180肉腫の移植中に得た腹水にも認められ
(図5のスロープ4)、スロープ1−3は非癌性疾患に、スロープ5−8はヒト
骨原性肉腫の血清に相当する。
IV−インターフェロンの二次エフェクター蛋白の合成に対するザルコレクチンの
阻害作用
インターフェロンの働きに対するザルコレクチンの拮抗作用は、細胞をインタ
ーフェロンで5−6時間処理し、培地を除去し、それをザルコレクチンで18時間
置き換える事によって評価できる。SCLの拮抗作用は、5時間目以降に現れ、最
後にインターフェロン処理の前に細胞を初期状態に回復すると思われる。ザルコ
レクチンは、ポリ(I)(C)かNewcastleウイルスが誘発するIFNの作用を阻害する事
もできる。これらのデータは、インターフェロンの作用(ポリ(I)(C)によって
誘発)が、その産生に影響を与える事なく、SCLによって阻害され、レトロ阻害
の減少または完全消失をきたす可能性のある事を示唆している。
これらの条件下で、増殖に対するポリ(I)(C)自体の作用がはっきりと現れる。
IFNとSCLは、平衡状態にあり、その発現を変える事によって、ポリ(I)(C)にも作
用する;方法全体は、三角形の平衡状態を生じる。
V−診断薬でのザルコレクチンの使用
ザルコレクチンは、DNA合成を刺激し、インターフェロンの二次エフェクター
蛋白を阻害するので、その存在は、腫瘍でも、各種生体分泌物、血清、腹水、胎
盤などで検査できる。
診断技術には、迅速な精製法が必要である。
ヒトまたは動物の血清のザルコレクチンレベルは、例えば、次の方法で取得で
きる:
−血清の1/10への希釈
−室温で30分間の培地pHのpH5への低下
−pH7.4への再調整;その後、かなりの沈殿が認められるが、これは、10,000r
pmで30分間の遠心分離によって除去しなければならない。
−得られた上清のpHのpH7.4への再調整。
精製された調製液は、65kdのバンド1本のみを含む。しかし、高濃度では、モ
ノクローナル抗体か抗ザルコレクチン単一特異性抗体を使ったウェスタンブロッ
ティングによって、55kdのバンドを検出できる。
VI−細胞凝集によるザルコレクチンの検出
例として、ヒトTリンパ腫に由来し、10%ホルムアルデヒド処理したH9細胞を
使用する事ができる。この細胞は、特別に注意を払わずに、リン酸緩衝液中で保
存できる。ザルコレクチンの濃度は、固定細胞の浮遊液を添加したマイクロタイ
タープレート中で、一定範囲の等比希釈、一般にはベース(base)2、によって
推定できる。4℃で凝集が起こり、細胞の約50%を凝集させる希釈によって、限
界を推定する。
VII−細胞DNA合成の増加によるザルコレクチンの分析
被験細胞浮遊液は、任意に選択した量の3H‐チミジンと培養させなければなら
ない。試験期間中、一般には24時間の間、培地が血清を含まない事が重要である
。
VIII−抗腫瘍療法におけるSCL類の使用
上述のように、予めSCLの成分産生がない状態では、抗腫瘍療法におけるSCLの
使用を期待できる。
この応用は、胎児のような増殖が正常で、急速な組織の発達の分析に基づく。
胎盤血液は、一方で、増殖因子とDNA合成を刺激するSCL類を、他方では、細胞分
化を促進する事によってそれを阻害するインターフェロンを含有する。
これらの3種類の因子の型は、改変(alternation)で現れ、断続的増殖を招
く。
Lamplらの文献(11)によれば、爆発的増殖は、短時間、突然で、24時間持続し
、その後、30−60日の休止期に入る。
この情報に基づいて、提案する治療法は次の通りである:
1. 血中の白血球の増殖を有意に増加させるのに十分な用量のSCLの非経口投与
による増殖の単回刺激。この機能は、アスパラギン酸塩(24mM/kg)の最初の3日
間に平行した投与によって増強できる。アスパラギン酸塩をシメチジンに代えて
もよい。
同等な条件下で組換えインターロイキン-2を併用する事もできる。
2. 4−5日休薬した後、標的の治療は、IFN、特にαまたはβ群のIFN、の48
時間毎、1ヶ月間の非経口投与(一般に、1回の注入当たり3 106−5×106単
位)である。この治療法は、第1期に生成された細胞のより良い分化を確保する
。IFNの作用は、上段で検討したアミノ酪酸(5g/kg)によってかなり増加でき
る。
3. インターフェロンの作用は、上述の糖類の併用で増加できる。特に、例え
ば、ラクトース(αまたはβ)、D-ガラクトース、N−アセチルノイラミン酸(N.
A.N.A.)を選択する。それらの性質は、種や組織の点で変動する場合がある。例
えば、乳児の骨原性肉腫では、これらの概念に基づいた局所投与を、SCL-アスパ
ル
テートとそれに続くIFN、α−ラクトースおよびN.A.N.A.を併用する事によって
外科治療に補うと有用であると思われる。
IX−組換えSCLで不可欠な生物学的機能の再生
クローン化分子を、2種類のプロモーター(そのうちの一方は、ヘキサメサゾ
ンによる誘発可能な転写プロモーター)を含有するプラスミドに導入した。この
系の選択は、SCLが実際に今日まで検討されたすべての細胞に存在するという事
実によって正当化され、宿主細胞に存在する機能の原点になり得る。
クローン化遺伝子を含有するプラスミドで、マウスL細胞をトランスフェクト
した。抗インターフェロン機能は、インターフェロンのデベロッパー(小水庖性
口内炎ウイルス)増殖阻害能によって検討した。次に、インターフェロン機能を
マウス細胞で定量した(インターフェロン可変濃度使用、ならびに、抗ウイルス
状態を完全に阻害する希釈限界を検討)。小水庖性口内炎は、未処理(virgin)細
胞で、全細胞群を破壊する。
得られた結果を表6に示す。
インターフェロンと共に5時間培養した細胞の存在下で、抗ウイルス機能が発
現される事が注目される。5時間目から、インターフェロンを、次の18時間の間
、SCLに置き換え、対照細胞では、注意してSCLを培地に置き換える;組換えSCL
は、抗ウイルス作用状態
を遮断するが、培地で処理した対照では、すでにレセプター上で固定されたイン
ターフェロンは、その機能全部を正常に発現する。
第2の一連の実験で、感受性細胞をインターフェロン200 IUで5時間処理した
。次に、base2まで等比スケールに従って希釈して、減量しながらSCLを添加した
。選択例では、1/32希釈が、インターフェロンの作用を完全に遮断しており、ウ
イルス増殖が正常に再開される限界である。
表6
組換えSCLによるインターフェロン(IFN)の作用の阻害
A.IFN力価 32単位
B.SCL力価*
*抗ウイルス状態を100%阻害するSCL濃度
IX−オリゴペプチドSEQ ID N 0 5またはSEQ ID N 0 6 に対する抗体の誘発
標準技術に従って操作して、SEQ ID NO 5 ペプチドまたはSEQ ID NO 6 ペプ
チドに対する抗体の形成を誘発する。これらの抗体の特異的特徴を表7に示す。
SEQ ID N° 5 ペプチド(SEQ ID N° 1 中オリゴペプチド41−55)とSEQ ID N°
6 ペプチド(SEQ ID N° 1 中オリゴペプチド81−95)それぞれによって誘発さ
れる抗体は、そのペプチドのそれぞれに特異的である。
骨原性肉腫ESSによって排泄されるSCL類は、抗ペプチド41−55抗体に強く認識
される。
XI−T(リンパ)細胞におけるDNA合成の24時間に渡る刺激
SCLは、血清無添加で24時間維持したPBMCによって、H-1培地中に排泄される。
得られた結果を表8に示す。
SCLは、クーマシーブルー(Coomassie blue)染色後に電気泳動で検出される唯
一の蛋白で、SCLのものとして知られるウェスタンブロットを使ったモノクロー
ナル抗体によって同定される。
表8の結果を調べると、細胞から排泄されるSCLは、24時間に渡って、DNA合成
を刺激する事が明らかである。
この刺激は、N.A.N.A.やオリゴペプチド41−55(SEQ ID N O 5)によって阻害さ
れる。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 43/00 A61K 31/00 643L
A61K 38/00 39/395 D
39/395 C07K 7/08
C07K 7/08 14/47
14/47 16/18
16/18 17/02
17/02 C12Q 1/68 A
C12N 5/10 G01N 33/53 D
C12Q 1/68 C07K 1/36
G01N 33/53 C12N 5/00 B
// C07K 1/36 A61K 37/02
(72)発明者 カバ アブバカール
フランス国 ノワジ ル グラン 93160
グランド アレー デ ゾー バトン
8
(72)発明者 シャニ フルニエ フランソワーズ
フランス国 16 セデクス パリー
75781 リュ デュ ドクトゥール ブラ
ンシュ 34
(72)発明者 セルッチ イタリーナ
フランス国 ラ ヴァレンヌ サン ティ
レール 94210 リュ ジョルジュ クレ
マンソー 47
(72)発明者 シャニ シャルル
フランス国 16 セデクス パリー
75781 リュ デュ ドクトゥール ブラ
ンシュ 34