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JP2000319790A - 燃料容器用表面処理鋼板とそのための塗料組成物 - Google Patents

燃料容器用表面処理鋼板とそのための塗料組成物

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JP2000319790A
JP2000319790A JP12740999A JP12740999A JP2000319790A JP 2000319790 A JP2000319790 A JP 2000319790A JP 12740999 A JP12740999 A JP 12740999A JP 12740999 A JP12740999 A JP 12740999A JP 2000319790 A JP2000319790 A JP 2000319790A
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pigment
steel sheet
resin layer
resin
weight
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JP12740999A
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Katsu Takahashi
克 高橋
Kenji Ikishima
健司 壱岐島
Kiyoyuki Fukui
清之 福井
Shinya Hikino
真也 引野
Toshiharu Oshiba
敏春 大芝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ZnまたはZn合金めっき鋼板を素材として、有
機酸を含有する劣化ガソリンに対する耐食性に優れ、か
つ高度の溶接性を備え、成形性も良好な、自動車の燃料
タンク用に適した表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 ZnまたはZn合金めっき鋼板に、化成処理
を施した後、変性エポキシ樹脂中に、Ni、AlおよびNi−
Al合金から選ばれた1種もしくは2種以上の金属顔料A
と、リン化鉄およびフェロシリコンから選ばれた1種も
しくは2種の顔料Bを含有する熱硬化型樹脂層を、3〜
10 g/m2 の付着量で形成する。樹脂層中の顔料合計量を
10〜70重量%、顔料A/顔料Bの重量比を90/10〜30/
70、各顔料の平均粒径が 0.5〜15μmとすることが好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガソリンを燃料と
する自動車の燃料容器 (燃料タンク) 用に適した、亜鉛
系めっき鋼板を素材とする表面処理鋼板に関し、特に腐
食性の高いギ酸等の有機酸を含んでいる、劣化したガソ
リンに対しても高い耐食性を示すと同時に溶接性にも優
れた表面処理鋼板、および該表面処理鋼板の製造に用い
られる塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般のガソリンを燃料とする自動車や二
輪車 (以下、自動車と総称) 用の燃料タンク用材料に
は、内外面の耐食性、特に内面側の燃料 (ガソリン) に
対する耐食性、プレス成形性、および溶接性が要求され
る。
【0003】このような性能を満たす燃料タンク用材料
として、従来はターンシートと呼ばれる、Pb−10〜25%
Sn合金めっき鋼板が広く使用されてきた。しかし、主に
環境問題から、人体に有害なPbを含有しない材料が求め
られるようになった。また、燃料に対する耐食性につい
ても、有機酸を含む劣化ガソリン環境での性能が求めら
れるなど、より高度なレベルが要求されている。
【0004】この要請に対し、Alめっき鋼板 (例えば、
特開平9−156027号公報) 、Sn−Znめっき鋼板 (例え
ば、特開平8−269733号公報) などが代替品として開発
されている。このうち、Alめっき鋼板は、溶接やハンダ
付け等の接合性に問題があり、加工メーカー等での使い
勝手が向上した材料が望まれている。この点、Sn−約8
%Zn合金めっき鋼板は、性能的なバランスがよいとされ
ているが、めっきそのものの用途がほぼ燃料タンクに限
定されるため、市場規模が小さく、安定供給や価格面に
問題がある。従って、一般に広く用いられている、比較
的安価な亜鉛系めっき (即ち、Znめっき又はZn合金めっ
き) を燃料タンク用に適用することができれば、経済的
に有利である。
【0005】Zn系めっき鋼板を自動車用燃料タンク用途
に適用する技術としては、特開平10−137681号公報があ
る。この公報には、クロメート処理したZn系めっき鋼板
の上に、内面側にはNiおよびAl金属粉を含有するアミン
変性エポキシ樹脂層を被覆し、外面側にはワックスを含
有するシリカ含有樹脂層を被覆した表面処理鋼板が提案
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平10−137681号公
報に記載された表面処理鋼板では、樹脂層中のNiおよび
Al金属粉末により、タンク内部の耐食性を発現させてい
るが、皮膜の抵抗値が大きく、溶接性に劣るため、ユー
ザー (燃料タンクの製造者) での使い勝手が悪いことが
判明した。また、この公報では、無鉛ガソリン/500 pp
m ギ酸水溶液の1/1混合液、即ち、ギ酸濃度として25
0 ppm で内面耐食性を試験しているが、劣化ガソリン中
のギ酸濃度は1000 ppm程度に達することもあり、より高
度の内面耐食性が求められるようになってきている。
【0007】Zn系めっき鋼板を使用して、経済的で、し
かも劣化した有機酸を含有するガソリンに対する高度の
耐食性 (以下、劣化ガソリン耐食性と称する) を備え、
さらに安定した溶接性を確保できる、低コストで性能バ
ランスのよい燃料タンク材料を得ることはこれまで容易
ではなかった。本発明は、このような燃料タンク材料を
開発することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、素材とし
てZn系めっき鋼板を用いて、劣化ガソリン耐食性と溶接
性とを高度にバランスさせるべく鋭意検討した結果、Zn
系めっき鋼板の上層に、Ni、Al、Ni−Al合金から選んだ
金属顔料に加えて、さらにリン化鉄とフェロシリコンか
ら選んだ顔料を含有させた樹脂層を特定の付着量で形成
することにより、タンク内面の劣化ガソリン耐食性と溶
接性が良好な燃料容器用鋼板が得られることを見出し
た。
【0009】本発明は、亜鉛系めっき鋼板の少なくとも
片面の上層に、Ni、AlおよびNi−Al合金から選ばれた1
種もしくは2種以上の金属顔料Aと、リン化鉄およびフ
ェロシリコンから選ばれた1種もしくは2種の顔料Bと
を、顔料A/顔料Bの重量比が90/10〜30/70の範囲、
かつ顔料合計量が樹脂層の15〜70重量%の範囲となる量
で含有する熱硬化型樹脂層を3〜10 g/m2 の付着量で有
することを特徴とする、燃料容器用表面処理鋼板であ
る。
【0010】別の面からは、本発明は、樹脂と溶媒に加
えて、Ni、AlおよびNi−Al合金から選ばれた1種もしく
は2種以上の金属顔料Aと、リン化鉄およびフェロシリ
コンから選ばれた1種もしくは2種の顔料Bとを含有す
る塗料組成物であって、顔料A/顔料Bの重量比が90/
10〜30/70の範囲、かつ顔料合計量が該塗料組成物の固
形分重量に対して15〜70重量%の範囲となる量であるこ
とを特徴とする、燃料容器用表面処理鋼板の製造用塗料
組成物である。
【0011】好ましくは、各顔料の平均粒径は 0.5〜15
μmの範囲であり、樹脂層中の樹脂成分は変性エポキシ
樹脂である。
【0012】
【発明の実施の形態】母材 めっき鋼板の母材としては、通常用いられている一般的
な冷延鋼板でよい。但し、燃料タンク用途の鋼板は一般
に厳しいプレス成形加工を受けるため、例えば、極低炭
素で、かつTi、Nb、Bが添加された成分系とすることが
好ましい。
【0013】めっき 本発明の表面処理鋼板の素材は、経済性を考えて、比較
的安価で大量生産されている、Znめっき鋼板またはZn合
金めっき鋼板 (これらを、本発明では亜鉛系またはZn系
めっき鋼板と総称する) である。Zn合金めっきの例とし
ては、Zn−Al、Zn−Al−Si、Zn−Ni、Zn−Fe、Zn−Cr、
Zn−Co、Zn−Mg、Zn−Sn等が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。なお、Zn合金は、Zn−55%Al合
金めっきのように、Znが50%をやや下回る (例、40〜50
%) 合金も包含する。めっき方法は、溶融めっき法、電
気めっき法、蒸着めっき法等のいずれでもよい。めっき
は、両面めっきが原則であるが、内面側だけの片面めっ
きとすることも不可能ではない。
【0014】本発明で使用できるめっき鋼板の例として
は、電気Znめっき鋼板、溶融Znめっき鋼板、電気Zn合金
(例、Zn−Ni) めっき鋼板、溶融Zn合金 (例、Zn−Al)
合金めっき鋼板、合金化溶融Znめっき鋼板等がある。め
っき付着量は、耐食性の観点から、片面当たり10 g/m2
以上が好ましく、さらに好ましくは15 g/m2 以上であ
る。
【0015】顔料含有樹脂層 上述したZn系めっき鋼板の少なくとも片面に、本発明に
従って顔料含有樹脂層を形成する。この樹脂層は、特に
劣化ガソリン耐食性に優れたものであるので、タンク内
面側に相当する片面だけに形成するのでもよいが、外面
側に対しても十分な耐食性を有しているので、両面とも
に本発明に従った顔料含有樹脂層を形成してもよい。
【0016】内面用の樹脂の必要性能としては、内面の
劣化ガソリン耐食性、下地処理との密着性、および溶接
性である。これらの性能を全て高いレベルで満たすため
に、本発明では、Zn系めっき鋼板の上層に、Ni、Al、Ni
−Al合金から選ばれた1種または2種以上の金属顔料
(以下、顔料A) と、リン化鉄とフェロシリコンから選
ばれた1種または2種の顔料 (以下、顔料B) とを含有
する樹脂層を、乾燥後の付着量が3〜10 g/m2 となるよ
うに形成する。従って、樹脂層の形成に使用する塗料組
成物は、樹脂と溶媒に加えて、この顔料Aと顔料Bとを
含有する。
【0017】樹脂層中の金属顔料A、即ち、Ni粉、Al粉
およびNi−Al合金粉のうち、Ni粉は主に劣化ガソリン耐
食性の発現とある程度の溶接性の確保のために添加す
る。一方、Al粉は、劣化ガソリン耐食性の改善を目的と
して添加する。ガソリンが劣化してくると、ギ酸、酢酸
等の有機酸が発生し、腐食環境として厳しくなるが、こ
のような環境においてAl粉は特に有効である。Ni粉とAl
粉の両者を併用してもよい。Ni−Al合金粉を使用した場
合にも、Ni粉とAl粉を併用した場合と同様に、内面の劣
化ガソリン耐食性とある程度の溶接性とが得られる。
【0018】しかし、従来技術に関して説明したよう
に、樹脂層中に金属顔料Aを配合しただけでは、樹脂層
の皮膜抵抗が大きすぎ、鋼板使用ユーザーが満足できる
使い勝手を与える、高度の溶接性を確保できない。そこ
で、本発明者らは、高度な溶接性を確保すべく、樹脂層
に含有させる顔料種について鋭意研究を重ねて、劣化ガ
ソリン耐食性を損なわずに、より高度のスポット溶接性
を確保するには、顔料Aに加えて、リン化鉄および/ま
たはフェロシリコンからなる顔料Bを樹脂層に添加する
ことが有効であることを見いだした。
【0019】顔料Aと顔料Bの合計量は、樹脂層全体の
(従って、塗料組成物の固形分重量に対して) 15〜70重
量%、特に20〜50重量%を占める量とすることが好まし
い。15重量%未満では、十分な溶接性を確保することが
できない。一方、70重量%を超えると、鋼板表面への均
一な塗布が非常に困難になったり、顔料の量が多すぎ
て、プレス成形時に顔料の脱離が生じるため、成形性に
劣るようになる。
【0020】顔料Aと顔料Bの割合は、劣化ガソリン耐
食性と溶接性を高度にバランスさせるために、顔料A/
顔料Bの重量比が90/10〜30/70、特に90/10〜40/60
の範囲とすることが好ましい。この重量比が90/10より
大きくなると、顔料Bの量が少なすぎて、溶接性がやや
不足し、30/70より小さくなると、顔料Aが少なすぎ
て、劣化ガソリン耐食性がやや不足する。
【0021】本発明の樹脂層は、劣化ガソリンに含まれ
る腐食促進成分を鋼板から遮断する機能と、これまでに
説明した顔料のバインダとしての機能を果たすことが求
められる。従って、樹脂自体がガソリン成分に対して溶
解、膨潤もしくは透過を起こしにくい緻密な皮膜を形成
することが必要である。この目的に適した樹脂種は、架
橋により皮膜が緻密化する熱硬化性樹脂である。具体的
には、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、、ポリエ
ステル系、フェノール系樹脂等が適当な樹脂種として挙
げられる。
【0022】本発明で樹脂層に使用するのに特に適した
樹脂は、アミノ変性およびウレタン変性といった変性エ
ポキシ樹脂であり、中でもウレタン変性エポキシ樹脂が
好ましい。ウレタン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂
を二塩基酸と反応させてエポキシエステル樹脂とした
後、この樹脂の末端カルボキシル基をポリイソシアネー
ト化合物と反応させてウレタン化した樹脂である。得ら
れた樹脂は、エポキシ樹脂と同じ骨格を有し、末端の一
部がウレタン化されている。樹脂層のベース樹脂として
のウレタン変性エポキシ樹脂は、数平均分子量が約5000
〜50,000の範囲のものが好ましい。これより低分子量側
では、ガソリンに対して膨潤しやすくなり、高分子量側
のものは製造が困難であることのほかに、劣化ガソリン
に含まれる腐食促進成分の耐透過性にも劣る。
【0023】ベース樹脂がエポキシ樹脂または変性エポ
キシ樹脂である場合には、硬化剤を使用する必要があ
る。適当な硬化剤の例としては、フェノール樹脂、メラ
ミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が例示される。劣化
ガソリン耐食性を考慮すると、より高分子量の樹脂層を
形成できるフェノール樹脂が硬化剤として好ましい。
【0024】(変性)エポキシ樹脂/硬化剤の重量比は
50/50〜98/2の範囲が好ましい。硬化剤が多すぎると
皮膜が硬く、脆くなり、加工性が低下する。硬化剤が少
なすぎると、硬化が十分に進行せず、耐劣化ガソリン性
が低下する。この重量比は、より好ましくは70/30〜90
/10、さらに好ましくは75/25〜85/15である。なお、
硬化剤を使用する場合、硬化剤の量も樹脂量の中に含め
る。硬化剤を配合した各種エポキシ樹脂液が市販されて
おり、それに上記の顔料AおよびBを配合して、本発明
の樹脂層の形成に使用することができる。
【0025】この顔料A、Bを含有する熱硬化性樹脂層
の付着量は、3〜10 g/m2 、好ましくは4〜7g/m2の範
囲とする。この付着量が3g/m2未満ではガソリン環境で
の耐食性に劣り、10 g/m2 を超えると効果が飽和し、コ
ストが上昇する上、本発明での顔料Bを用いても十分な
溶接性が得られないようになる。
【0026】本発明で樹脂層に含有させる上記顔料Aお
よび顔料Bの粉末形状は特に制限されない。即ち、粒
状、鱗片状、針状、不規則形状等のいずれでもよい。各
顔料は、平均粒径 (粒状以外の場合は最大粒径の平均
値) が 0.5〜15μmの範囲のものが良好である。樹脂層
の付着量が5g/m2以上となる場合には、より好ましく
は、平均粒径が、樹脂厚み (樹脂層の比重から算出する
か、SEM等により実測することができる) の5〜150
%の範囲で、かつ上記の 0.5〜15μmの範囲となること
がより好ましい。なお、樹脂層の付着量が3〜5g/m2
場合も、顔料の平均粒径は、樹脂厚みの150 %を超えな
いことが好ましい。顔料の平均粒径が小すぎると、樹脂
層の導電性が低下し、大きすぎると、溶接時の重ね合わ
せ部において顔料同士の物理的距離が遠くなるため、い
ずれも溶接性に劣る。
【0027】なお、Al粉の大きさは、化学作用による耐
食性改善効果の意味からは、特に規定されない。ただ
し、特開平10−137682号公報にあるように、10μm程度
の鱗片状の形状であると、物理的な遮蔽効果が期待され
るので、より好ましいと考えられる。
【0028】樹脂層中には、上記の導電顔料Aと導電顔
料Bに加えて、任意成分として、例えば、着色顔料、防
錆顔料 (例、アルカリ土類金属クロム酸塩) 、他の導電
顔料、シリカ、シランカップリング剤等を、劣化ガソリ
ン耐食性、溶接性、加工性等の樹脂層の性能を著しく悪
化させない範囲で含有させることができる。
【0029】樹脂層は、溶媒中に樹脂を溶解ないし分散
させた樹脂液中に導電顔料AおよびBと所望により他の
成分を所定量づつ添加し、均一に分散または溶解させて
塗料組成物を調製し、この塗料組成物をめっき鋼板に塗
布した後、加熱して塗膜を焼付けて樹脂を硬化させるこ
とにより形成することができる。塗布法や焼付け温度は
特に制限されず、当業者であれば適当に選択できる。な
お、樹脂がウレタン変性エポキシ樹脂である場合の焼付
け温度は 170〜250 ℃の範囲が好ましい。塗料は、水系
塗料と溶剤系塗料のいずれでもよい。
【0030】その他 Zn系めっき鋼板に上記樹脂層を形成する前に、樹脂層の
密着性向上およびめっき鋼板の耐食性向上を目的とし
て、周知のクロメート処理やリン酸塩処理といった下地
処理を施すことは、本発明の効果をなんら減じるもので
はない。クロメート処理は、塗布型、反応型、電解型の
いずれの方式でもよい。下地処理は、付着量が大きすぎ
ると、溶接性を阻害する恐れがあるので、あまり過大に
しないことが好ましい。
【0031】燃料タンク用途の鋼板は、一般に厳しいプ
レス成形加工を受けるので、プレス加工を支障なく行う
ため、特にタンク外面側の表面の潤滑性を高めることが
望ましい。そのため、本発明の樹脂層を鋼板の両面に形
成した場合には、特に外面側の上層に、固形潤滑剤の皮
膜を形成することができる。ただし、その後の外面の塗
装性が確保されることが必要で、アルカリ脱脂等で除去
される脱膜型の潤滑皮膜の方が、取り扱い上有利であ
る。また、内外両面の表面に防錆油を塗布したり、成形
加工時に潤滑油を塗布することもできる。
【0032】或いは、本発明の樹脂層を内面側の片面だ
けに形成し、外面側には他の樹脂皮膜、好ましくは潤滑
性 (成形性) と耐食性 (特に加工後耐食性) に優れた樹
脂皮膜とすることもできる。また、外面側はめっき (ま
たはめっき+下地処理) のままとし、これに直接塗装を
施してもよい。
【0033】
【実施例】以下の実施例は本発明を例示するものであっ
て、本発明を制限する意図はない。なお、実施例中のめ
っき、下地処理、樹脂層の付着量は、いずれも片面当た
りの付着量である。
【0034】(実施例1)両面Zn−13%Ni電気めっき鋼板
(めっき付着量30 g/m2)の両面に、塗布型クロメート処
理を、Cr付着量60 mg/m2となるように施した。
【0035】このクロメート処理Zn−Ni合金電気めっき
鋼板の片面に、数平均分子量30,000の熱硬化性ウレタン
変性エポキシ樹脂をベース樹脂とし、その樹脂液 (溶
媒:シクロヘキサノン) に表1に示す割合で下記顔料の
1種以上を分散させた塗料を、乾燥後の樹脂層の付着量
が6g/m2となるようにバーコータで塗布し、230 ℃で50
秒間焼き付けて、顔料含有樹脂層を形成した。
【0036】使用した顔料 Ni粉:平均粒径0.8 μmの粒状 Al粉:平均粒径13μmの鱗片状 Ni−Al合金粉:平均粒径3μmの粒状 リン化鉄:平均粒径6μmの粒状 フェロシリコン:平均粒径4μmの粒状 こうして作成した、片面だけに樹脂層を有する表面処理
鋼板について、燃料タンク用途として必要な下記に示し
た特性に対する評価試験を行った。なお、いずれも評価
が「○」までが合格である。試験結果を、樹脂層の組成
と併せて、表1に示す。
【0037】試験方法 (1) 劣化ガソリン耐食性 (内面耐食性) 下記の絞り条件で、供試材の樹脂層を形成した面 (樹脂
面) が内面となるようにカップ絞りを行い、成形された
カップの中に、ギ酸3000 ppmの水溶液10 cc とガソリン
20 cc とを入れて密閉し(従って、試験液中のギ酸濃度
は1000 ppm) 、50℃に保持した。評価は、20日後の腐食
生成物 (液のにごり) 状況で、下記の通りに判定した。
【0038】絞り条件 ブランク径:100 mm、 パンチ径:50 mm (5R)、 ダイス径:52.5 mm (5R)、 絞り高さ:25 mm、 潤滑油使用、絞り成形後にアルカリ脱脂。
【0039】評価基準 ◎ :ほとんど変化なし; ○ :上から見て10〜40%程度のにごり発生; △ :上から見て40〜70%程度のにごり発生(底面の観
察がかなり困難) ; × :ほぼ液全体に赤錆が浮遊 (底面、側面の観察がか
なり困難) 、またはカット部等から内面樹脂の剥離、膨
れが認められる。
【0040】(2) 溶接性 2枚の供試材を、合わせ面に樹脂面がくるように重ねた
後、下記条件で溶接を行い、溶接部断面のミクロ観察で
評価した。
【0041】溶接条件 加圧力:300kgf、 通電:3cycles、休止:2cycles、 電流:13 kA 、 速度: 2.5 mpm。
【0042】評価基準 ◎ :溶着良好; ○ :微小なブローホールあるが実用上問題なし; △ :ブローホールあり; × :未溶着部あり。
【0043】(3) 成形性 劣化ガソリン耐食性の試験と同様の条件でカップ絞りし
たサンプルについて、絞り内面側の壁の塗膜密着性を、
粘着テープでの剥離状況から目視で次のように評価し
た。
【0044】評価基準 ◎ :剥離なし; ○ :テープでやや顔料の付着あり; △ :テープで明らかに剥離が認められる; × :ほぼ全面にわたって剥離が認められる。
【0045】
【表1】
【0046】表1からわかるように、Ni、Al、Ni−Alか
ら選んだ顔料Aだけを樹脂層に存在させた比較例では、
内面耐食性 (劣化ガソリン耐食性) と成形性は良好であ
るが、溶接性が不十分であり、特にNiを含有させない
と、溶接性は非常に悪かった。これに対し、顔料の合計
量は同じままで、金属顔料Aの一部を、本発明に従って
顔料B (リン化鉄および/またはフェロシリコン) に変
更すると、良好な内面耐食性と成形性を保持したまま、
溶接性が向上し、劣化ガソリンに対する耐食性と溶接性
および成形性が高度にバランスした燃料タンク用表面処
理鋼板を得ることができた。
【0047】(実施例2)両面Zn−55%Al溶融めっき鋼板
(めっき付着量60 g/m2)の両面に、反応型クロメート処
理を、Cr付着量20 mg/m2となるように施した。数平均分
子量25,000の熱硬化性アミン変性エポキシ樹脂をベース
樹脂とする樹脂液 (溶媒:シクロヘキサノン) に、下記
顔料とシリカ (気相法で製造された乾式シリカ) を下記
割合で分散させ、得られた塗料を、上記のクロメート処
理めっき鋼板の片面に、乾燥後の樹脂層の付着量が 0.5
〜20g/m2の付着量となるようにバーコータで塗布し、20
0℃で45秒間焼き付けて、樹脂層を形成した。
【0048】樹脂層組成 アミン変性エポキシ樹脂 60重量部 Ni粉 (粒径0.8 μm粒状) 10重量部 Al粉 (粒径13μm鱗片状) 12重量部 フェロシリコン (粒径4μm粒状) 8重量部 シリカ (粒径0.2 μm粒状) 10重量部 作成した表面処理鋼板の性能を実施例1と同様に評価し
た結果を、樹脂層の付着量と一緒に表2に示す。樹脂層
の付着量が3g/m2未満であると、十分な劣化ガソリン耐
食性が得られず、この付着量が10g/m2を越えると、樹脂
層が厚くなりすぎ、十分な溶接性が得られない。
【0049】
【表2】
【0050】(実施例3)両面電気Znめっき鋼板 (めっき
付着量50 g/m2)の両面に、浸漬型リン酸亜鉛処理を付着
量1.5 g/m2となるように施した。実施例2で使用したの
と同じアミン変性エポキシ樹脂をベース樹脂とし、顔料
粒径と各顔料の含有量および顔料合計量を表3に示した
ように変化させた塗料を作成した。この塗料を、乾燥後
の樹脂層の付着量が約6g/m2となるように、上記の浸漬
型リン酸亜鉛処理めっき鋼板の片面に塗布し、240 ℃で
80秒間焼き付けて、樹脂層を形成した。こうして作成し
た表面処理鋼板の性能を実施例1と同様に調べた結果を
表3に併せて示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3に示すように、樹脂層中の顔料の合計
量が15重量%より少なくなると、溶接性が不足し、顔料
の合計量が70重量%を超えると、樹脂層中の顔料比率が
高すぎ、成型時に顔料の脱落が生じるようになり、成形
性が不十分となる。
【0053】(実施例4)両面Zn−10%Fe合金化溶融めっ
き鋼板 (めっき付着量45 g/m2)の両面に、浸漬型リン酸
亜鉛処理を、付着量1.5 g/m2となるように施した。実施
例2で使用したのと同じアミン変性エポキシ樹脂をベー
ス樹脂とし、顔料A (Ni、Al、Ni−Al合金の中から少な
くとも1種) と顔料B (リン化鉄あるいはフェロシリコ
ンより少なくとも1種) を、顔料合計量は樹脂重量の30
重量%と一定で顔料A/顔料Bの重量比を 100/0〜0/10
0 の間で変化させて添加した塗料を作成した。この塗料
を、乾燥後の樹脂層の付着量が約5g/m2となるように、
上記の浸漬型リン酸亜鉛処理めっき鋼板の片面に塗布
し、240 ℃で80秒間焼き付けて、樹脂層を形成した。こ
うして作成した表面処理鋼板の性能を実施例1と同様に
調べた結果を、樹脂層の組成と共に表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】表4に示すように、顔料A/顔料Bの重量
比が90/10を超えるようになると溶接性が低下するよう
になり、この重量比が30/70より小さくなると、内面の
劣化ガソリン耐食性が劣化するようになる。溶接性と劣
化ガソリン耐食性のバランスを考慮すると、より好まし
い顔料A/顔料Bの重量比は80/20〜40/60の範囲であ
る。
【0056】
【発明の効果】本発明により、比較的安価で大量生産さ
れているZn系めっき鋼板を素材として、劣化ガソリン耐
食性に優れ、かつ高度の溶接性を備え、成形性も良好
な、自動車の燃料タンク用に適した、燃料容器用表面処
理鋼板が提供され、ユーザーの使い勝手がよい高品質の
燃料タンクを比較的安価に供給することが可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/08 C09D 7/12 Z 7/12 163/00 163/00 175/04 175/04 B60K 15/02 A (72)発明者 壱岐島 健司 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 福井 清之 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 引野 真也 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 (72)発明者 大芝 敏春 大阪市北区大淀北2丁目1番2号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 3D038 CA05 CA06 CB01 CC19 4D075 AE03 CA33 DA06 DB05 DC13 EA19 EB33 EC10 EC11 EC30 EC53 EC54 4J038 DB391 DB481 DG161 DL032 HA066 HA386 JC30 KA05 KA08 KA20 NA03 PB04 PB07 PC02 4K044 AA02 AB02 BA06 BA10 BA14 BA15 BA17 BA19 BA21 BB02 CA11 CA13 CA16 CA18 CA53 CA62

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面の上
    層に、Ni、AlおよびNi−Al合金から選ばれた1種もしく
    は2種以上の金属顔料Aと、リン化鉄およびフェロシリ
    コンから選ばれた1種もしくは2種の顔料Bとを、顔料
    A/顔料Bの重量比が90/10〜30/70の範囲、かつ顔料
    合計量が樹脂層の15〜70重量%の範囲となる量で含有す
    る熱硬化型樹脂層を3〜10 g/m2 の付着量で有すること
    を特徴とする、燃料容器用表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 各顔料の平均粒径がいずれも 0.5〜15μ
    mの範囲である請求項1記載の燃料容器用表面処理鋼
    板。
  3. 【請求項3】 樹脂層中の樹脂成分が変性エポキシ樹脂
    である請求項1または2記載の燃料容器用表面処理鋼
    板。
  4. 【請求項4】 樹脂と溶媒に加えて、Ni、AlおよびNi−
    Al合金から選ばれた1種もしくは2種以上の金属顔料A
    と、リン化鉄およびフェロシリコンから選ばれた1種も
    しくは2種の顔料Bとを含有する塗料組成物であって、
    顔料A/顔料Bの重量比が90/10〜30/70の範囲、かつ
    顔料合計量が該塗料組成物の固形分重量に対して15〜70
    重量%の範囲となる量であることを特徴とする、燃料容
    器用表面処理鋼板の製造用塗料組成物。
  5. 【請求項5】 各顔料の平均粒径がいずれも 0.5〜15μ
    mの範囲である請求項4記載の塗料組成物。
  6. 【請求項6】 樹脂層中の樹脂成分が変性エポキシ樹脂
    である請求項4または5記載の塗料組成物。
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