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JP2000313940A - 二相ステンレス鋼材およびその製造方法 - Google Patents

二相ステンレス鋼材およびその製造方法

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Publication number
JP2000313940A
JP2000313940A JP12041899A JP12041899A JP2000313940A JP 2000313940 A JP2000313940 A JP 2000313940A JP 12041899 A JP12041899 A JP 12041899A JP 12041899 A JP12041899 A JP 12041899A JP 2000313940 A JP2000313940 A JP 2000313940A
Authority
JP
Japan
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stainless steel
duplex stainless
steel material
steel
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12041899A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Matsuyama
宏之 松山
Shinji Tsuge
信二 柘植
Yoshio Taruya
芳男 樽谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP12041899A priority Critical patent/JP2000313940A/ja
Publication of JP2000313940A publication Critical patent/JP2000313940A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性と耐生物付着性に優れた二相ステンレ
ス鋼材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 C≦0.05%、Si≦2.0%、Mn
≦2.0%、Cr:16〜30%、Ni:3.0〜9.
0%、Mo:0.2〜2.0%、Cu:1.0%超え
5.0%以下、Al:0.005〜0.05%、N:
0.10〜0.35%を含有し、表面にFe、Cr、N
iおよびCuの合計に対するCuの比率が原子%で3%
以上のCuイオン供給源を備えた二相ステンレス鋼材。
Cuイオン供給源として、長径が0.01〜0.5μm
であり、Cu析出物を鋼材のフェライト相表面100μ
2 あたり10個以上備えるか、鋼材表面から深さ50
オングストロームまでの深さの領域のCu含有量が4原
子%以上であるCu富化層がよい。この鋼は上記化学組
成を有する二相ステンレス鋼を550〜900℃で0.
1〜8時間保持するか、酸化性雰囲気中で850〜11
50℃に加熱した後酸洗して表面の酸化スケールを除去
することにより容易に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性が求められ
る貯水槽や排水浄化処理装置、食品製造装置等、あるい
は耐生物付着性が求められる海洋構造物や海水等を利用
して冷却する熱交換器等の素材に好適な二相ステンレス
鋼材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】海洋構造物や海水等を利用して冷却する
熱交換器等では、使用中に鋼材表面にフジツボや貝類等
の海洋生物が付着、繁殖して、鋼材表面に隙間が形成
され、腐食事故の原因になる、管内が閉塞され冷却水
の流通が妨げられる、熱交換効率が低下する等の問題
が生じる。
【0003】このような海洋生物の付着防止対策とし
て、軟鋼、Zn等を犠牲陽極とする電気防食を施した
り、塩素注入やスポンジボール洗浄などの処理などがお
こなわれているが、これらの処理にはZnによる環境汚
染やメンテナンスコストが嵩む等の弊害がある。
【0004】また、医療関係機器や厨房機器等に使用さ
れるステンレス鋼材には、院内感染や食中毒防止対策と
してステンレス鋼素材自体が抗菌性を備えることを望ま
れている。
【0005】抗菌性を備えたステンレス鋼として、特開
平8−60301号公報には表層部のCu濃度が0.1
原子%で、かつ、下地鋼のCu濃度の0.2倍以上であ
るマルテンサイト系ステンレス鋼が、特開平8−603
02号公報には表面のCu濃度が同様の範囲にあるオー
ステナイト系ステンレス鋼が、特開平8−60303号
公報には表面のCu濃度が同様の範囲にあるフェライト
系ステンレス鋼が開示されている。また上記各公報には
素材ステンレス鋼を交番電解処理するその製造方法が開
示されている。
【0006】また、特開平9−170053号公報には
Cuを0.4〜3重量%含有するフェライト系ステンレ
ス鋼が、特開平9−176800号公報にはCuを1〜
5重量%含有するオーステナイト系ステンレス鋼が、特
開平9−195016号公報にはCuを0.4〜5重量
%含有するマルテンサイト系ステンレス鋼が開示されて
いる。これらのステンレス鋼はいずれもそのマトリック
ス中にCuリッチ相が0.2体積%以上析出しているも
のである。
【0007】特公平1−24206号公報には二相ステ
ンレス鋼にCuを含有させた鋼が開示されているが、C
uを含有させる目的が耐食性改善であり、抗菌性や耐生
物付着性に関する技術は示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】海洋構造物や海水等を
利用して冷却する熱交換器等には、耐孔食性、耐粒界腐
食性あるいは耐応力腐食性等が重要とされている。フェ
ライト相とオーステナイト相からなる二相ステンレス鋼
材は優れた強度特性と対海水耐食性を有していることか
ら、これらの構造部材の素材として多用されている。ま
た、従来の方法では、構造部材にフジツボや貝類等の海
洋生物が付着、繁殖し、構造物の耐食性や性能が劣化す
るのを避けるために電気防食や定期的な洗浄処理などの
付帯作業を必要としている。しかしながら、これらの付
帯作業は膨大な経費と工数を要するうえその効果も必ず
しも十分なものではなかった。このため、効率よく生物
付着を防止できる方法が求められていた。
【0009】本発明の目的はこのような問題点を解決す
る方法を提供することにあり、具体的には抗菌性と耐生
物付着性に優れた二相ステンレス鋼材およびその製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、二相ステ
ンレス鋼材の抗菌性と耐生物付着性の改善を目的として
種々研究を進めた結果、以下に述べるような新たな知見
を得た。
【0011】a.耐生物付着性は、二相ステンレス鋼の
表面における生物の付着し難さの指標であるために抗菌
性に比例し、抗菌性が優れるものを耐生物付着性に優れ
るものと考える。鋼材表面に付着した微生物にCuイオ
ンが接触するとCuイオンは細胞膜に到達し、タンパク
質に吸着される。吸着されたCuイオンは、細胞の構成
成分であるたん白質のSH基のラジカルなどを破壊し、
微生物のエネルギー代謝機能を不能にするという抗菌作
用を発現する。
【0012】b.しかしながら耐生物付着性の改善に
は、耐抗菌性に必要なCuイオン濃度に比較してはるか
に濃度の高いCuイオンを供給できることが必要であ
る。二相ステンレス鋼材表面でのこのような高濃度のC
uイオン源としては、その表面に、Fe、Cr、Niお
よびCuの合計に対するCuの比率が原子%で3%以上
のCuを含有する部分を鋼材表面に備えさせればよい。
【0013】その方法としては、フェライト相表面に所
定の大きさのCu析出物を配するか、鋼材表面に上記濃
度のCuを含有する層(以下、単に「Cu富化層」とも
記す)を備えさせるのが好適である。
【0014】c.このような鋼は、フェライト相の固溶
限を超えてCuを含有する二相ステンレス鋼を素材とし
て用い、その鋼材の表面にCu析出物を露出させるため
の熱処理を施すこと、あるいは、その鋼の表層部にCu
富化層を形成するように、熱処理と酸洗を施すことで容
易に製造できる。
【0015】本発明は上記のような知見を基にして完成
されたものであり、その要旨は下記(1)〜(3)に記
載の抗菌性と耐生物付着性に優れた二相ステンレス鋼材
および(4)、(5)に記載のその製造方法にある。
【0016】(1)重量%でC:0.05%以下、S
i:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16〜
30%、Ni:3.0〜9.0%、Mo:0.2〜2.
0%、Cu:1.0%超え5.0%以下、Al:0.0
05〜0.05%、N:0.10〜0.35%を含有す
る二相ステンレス鋼材であって、その表面にFe、C
r、NiおよびCuの合計に対するCuの比率が原子%
で3%以上であるCuイオン供給源を有することを特徴
とする抗菌性と耐生物付着性に優れた二相ステンレス鋼
材。
【0017】(2)前記Cuイオン供給源が、鋼材の少
なくともフェライト相表面に、長径が0.01〜0.5
μmであり、その密度が100μm2 あたり10個以上
のCu析出物であることを特徴とする上記 (1) に記載
の二相ステンレス鋼材。
【0018】(3)前記Cuイオン供給源が、鋼材表面
から深さ50オングストロームまでの深さの領域のF
e、Cr、NiおよびCuの合計に対するCuの比率が
原子%で3%以上であるCu富化層であることを特徴と
する上記 (1) に記載の二相ステンレス鋼材。
【0019】(4)上記 (1) に記載の化学組成を有す
る二相ステンレス鋼を550〜900℃で0.1〜8時
間保持する熱処理を施すことを特徴とする上記(2)に
記載の二相ステンレス鋼材の製造方法。
【0020】(5)上記 (1) に記載の化学組成を有す
る二相ステンレス鋼を、酸化性雰囲気中で850〜13
50℃に加熱した後酸洗して表面の酸化スケールを除去
することを特徴とする上記(3)に記載の二相ステンレ
ス鋼材の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の二相ステンレス鋼
材およびその製造方法について詳細に説明する。なお、
以下に示す化学組成の%表示は、特に断らない限り重量
%を意味する。
【0022】鋼の化学組成: C:Cは鋼中で炭化物となって析出し、鋼材の延性を損
ない耐食性をも劣化させるので、少ないほうがよい。靱
性、延性および耐食性を確保するためにC含有量は0.
05%以下とする。
【0023】Si:Siは必須元素ではないが、溶鋼の
脱酸作用と共に鋼材の耐食性を改善する作用があるので
含有させてもよい。Siは微量であっても上記効果が得
られるが、これらの効果をより顕著に発揮させるには
0.10%以上含有させるのが好ましい。Si含有量が
2.0%を超えると溶接性および加工性が損なわれるの
でその含有量は2.0%以下とする。
【0024】Mn:Mnは必須元素ではないが、溶鋼の
脱酸作用と共に、Sを硫化物として固定し熱間脆性を抑
制する作用を有するので含有させてもよい。Mnは微量
であっても上記効果が得られるが、これらの効果をより
顕著に発揮させるには0.50%以上含有させるのがよ
い。Mnが2.0%を超えると鋼の耐食性が劣化するの
でMn含有量は2.0%以下とする。
【0025】Cr:Crには鋼材の耐食性を向上させる
作用があり、きわめて重要な元素である。耐海水鋼とし
て良好な耐食性を確保するためには16%以上含有させ
る必要がある。好ましくは18%以上である。Cr含有
量が30%を超えると、鋼の加工性および溶接性が劣化
する。また、Crを過剰に含有させると、フェライト相
とオーステナイト相からなる二相組織を得るのに必要な
Niを増す必要があり、コストが高くなる。従ってCr
含有量は30%以下とする。好ましくは25%以下であ
る。
【0026】Ni:鋼の機械的性質、加工性および一般
耐食性を向上させると共に、鋼の組織をオーステナイト
・フェライトの二相組織とするためにNiを3.0%以
上含有させる。好ましくは4%以上である。Ni含有量
が9.0%を超えるとコストに見合う性能改善効果が得
られないのでNi含有量は9.0%以下とする。好まし
くは7%以下である。
【0027】Mo:鋼材の耐海水性を向上させるために
Moを0.2%以上含有させる。好ましくは0.8%以
上である。その含有量が2.0%を超えると、Cu析出
物を析出させる熱処理時にσ相が析出し鋼が脆化するの
でMo含有量は2.0%以下とする。好ましくは1.5
%以下である。
【0028】Cu:Cuは本発明の二相ステンレス鋼材
において抗菌効果および耐生物付着効果を発現させるた
めに最も重要な合金元素である。本発明の鋼材表面に
は、原子%で4%以上のCuイオン供給源が備えられて
いる。大気中の水分や海水に接した鋼材表面のCuイオ
ン源から溶出するCuイオンが、表面に付着した大腸
菌、黄色ブドウ球菌などの菌類の成長、増殖を抑制する
ことにより、抗菌効果や海洋生物の付着を妨げる効果
(耐生物付着性)が発揮される。
【0029】鋼材表面に上記所望の濃度のCuイオン源
を備えさせるために、鋼には1.0%を超えるCuを含
有させる。好ましくは1.5%以上である。Cu含有量
が5.0%を超えると製造コストが高くなるうえ、熱間
圧延での割れや500℃近傍での脆化が著しくなるなど
の問題が生じるので好ましくない。従ってCu含有量の
上限は5.0%とする。好ましくは2.5%以下であ
る。N:NはNiと同様にオーステナイト形成元素であ
る。また、溶接部の耐食性を向上させる作用もあるので
これらの効果を得るために0.10%以上含有させる。
N含有量が0.35%を超えると溶接部でクロム窒化物
が析出し、耐食性が損なわれることがあるのでN含有量
は0.35%以下とする。好ましくは0.20%以下で
ある。
【0030】Al:Alは溶鋼の脱酸作用があるので脱
酸元素として含有させる。十分な脱酸効果を得るために
Al含有量は0.005%以上とする。0.05%を超
えるとAlNとしての析出量が増し耐食性を損なうと共
に靱性も悪化させのでAl含有量は0.05%以下とす
る。
【0031】Ca、Zr、希土類元素:これらの元素
は、必須元素ではないが、鋼の熱間加工性を向上させる
作用があるので、1種または2種以上を含有させてもよ
い。しかしながら過剰に含有させると靱性が損なわれる
ことがあるため、含有させる場合でもその上限は、Ca
およびZrにおいてはそれぞれ0.01%以下、希土類
元素においては0.10%以下とするのがよい。
【0032】Nb、Ti、V:必須元素ではないが、こ
れらの元素は、鋼の耐食性を一層向上させる作用がある
ので1種または2種以上を含有させてもよい。しかしな
がら過剰に含有させても耐食性向上効果が飽和するの
で、含有させる場合でもそれぞれ0.05%以下とする
のがよい。
【0033】残部はFeおよび不可避的不純物である。
不可避的不純物の中でもPは鋼の溶接性や熱間加工性を
阻害する。従ってP含有量は0.03%以下とするのが
好ましい。また、Sは鋼の耐食性、延性および靱性を劣
化させるので、その含有量は0.01%以下とするのが
好ましい。
【0034】Cu析出物:Cuイオン供給源としては、
鋼材表面にFe、Cr、NiおよびCuの合計に対する
Cuの比率が原子%で3%以上であるCu析出物および
/またはCu富化層が好適である。
【0035】Cu析出物としては、所定量のCuを含有
させた二相ステンレス鋼材に熱処理を施し、固溶してい
るCu原子を、鋼中や鋼表面にランダムに析出させたも
のがよい。Cu析出物は、Cuのみから構成されるもの
でもよいし、Cuの他に金属間化合物を形成するNi、
Ti、Fe、Si、PまたはSを含むものであってもよ
い。Cu析出物は、鋼中に存在するものもあれば、鋼表
面に露出しているものものもあるが、本発明が規定する
のは鋼材表面に露出しているCu析出物である。
【0036】Cuの固溶限はオーステナイト相よりもフ
ェライト相の方が小さいので、Cuの析出はオーステナ
イト相にもわずかに見られるが、フェライト相の方が優
先して析出する。Cu析出物の大きさや形状は、熱処理
温度または熱処理時間によって調整できる。熱処理条件
が低温短時間であれば10nm程度の粒状析出物とな
り、高温長時間であれば長径が1μm以下の棒状析出物
として析出する。本発明で規定する析出密度は、フェラ
イト相に析出したCu析出物を鋼材表面で観察して測定
されるものである。
【0037】本発明で規定するCu析出物の析出密度
は、少なくともフェライト相表面において、長径が0.
01〜0.5μmの範囲のものが、100μm2 あたり
10個の割合で析出しているのがよい。抗菌性および耐
生物付着性に対しては析出物の数よりも大きさがより強
く影響し、析出物が大きいほど抗菌性および耐生物付着
性の改善効果が優れている。
【0038】その長径が0.01μm未満では十分な抗
菌性が得られない。他方、長径が0.5μmを超える大
きな析出物を得るためには高温で長時間の熱処理を施す
必要があるが、後述する異相の析出による鋼が脆化する
という問題がある。したがって、Cu析出物の大きさ
は、長径が0.5μm以下とするのがよい。
【0039】少なくともフェライト層表面におけるCu
析出物の密度が100μm2 あたり10個の割合に満た
ない場合には十分な抗菌性および耐生物付着性が得られ
ない。オーステナイト相における析出物は大きさ、密度
ともに任意である。
【0040】Cu析出物の長径は、鋼から薄膜試料を採
取し、透過型電子顕微鏡で観察することにより得られる
長径であり、球状または円盤状の時はその直径を、棒状
の時はその長さを長径とする。またCu析出物の密度
は、二相ステンレス鋼100μm2 に存在するフェライ
ト相中におけるCu析出物の個数である。
【0041】Cu富化層:Cuイオン供給源としてのC
u富化層におけるCu濃度は、所望の抗菌性および耐生
物付着性を得るために、鋼鋼材表面から深さ50オング
ストロームまでの深さの領域のFe、Cr、Niおよび
Cuの合計に対するCuの比率が原子%で3%以上とす
る。鋼材表面から深さ50オングストロームを超える部
分については、鋼材表面でのCuイオン濃度にあまり影
響しないので任意である。Cu富化層のCuの原子比率
はX線光電子分光法(XPS)で求めることができる。
【0042】Cuイオン供給源としてCu析出物とCu
富化層を共に備えさせるとさらに優れた耐抗菌性や耐生
物付着性表面が得られる。
【0043】製造方法:本発明の抗菌性と耐生物付着性
に優れた二相ステンレス鋼材は、母材として上述の化学
組成を備えた鋼を圧延し、公知の方法で熱処理して得ら
れるフェライト、オーステナイト組織を有する二相ステ
ンレス鋼を用いる。
【0044】Cuイオン供給源としてCu析出物を利用
する場合には、上記母材としての二相ステンレス鋼を5
50〜900℃に加熱し、0.1〜8時間保持するCu
析出処理を施すのがよい。加熱温度が550℃に満たな
い場合には所望のCu析出物が得られない。好ましくは
600℃以上である。加熱温度が900℃を超えると、
析出したCuが再固溶するのでよくない。望ましくは8
50℃以下とするのがよい。保持時間が0.1時間に満
たない場合にはCu析出物の成長が不十分である。従っ
て保持時間は0.1時間以上とするのがよい。保持時間
が8時間を超えるとσ相析出により鋼が著しく脆化する
ので保持時間は8時間以下とするのがよい。
【0045】Cu析出処理時の雰囲気は任意であり、大
気でも構わない。析出処理後の冷却方法は、500℃近
傍で徐冷されることによる脆化もあるため、水冷などに
よる急冷がよい。
【0046】Cuイオン供給源としてCu富化層を表面
に備えさせる場合には、母材としての二相ステンレス鋼
を850〜1350℃に加熱して鋼の表面にFeやCr
を含有する酸化スケールを生成させ、その後、酸洗して
酸化スケールや母材の一部を溶解、除去し、鋼中のCu
を鋼材表面に電気化学的に析出、濃化させたものがよ
い。酸化雰囲気としては大気が好ましい。酸洗は特に限
定するものではないが通常用いられる硝弗酸酸洗がよ
い。Cuイオン供給源としてCu析出物とCu富化層を
共に備えさせる場合にはCu析出処理後に上記の酸洗を
おこなうのが効率的である。
【0047】
【実施例】(実施例1)表1に示す種々の化学組成を有
する鋼を真空高周波炉で溶解して鋼塊とし、これを厚さ
が6mmの鋼板に熱間圧延し、1050℃に20分間保
持した後水冷して固溶化処理を行い、母材としてのフェ
ライト・オーステナイト組織を有する二相ステンレス鋼
板を作製した。
【0048】
【表1】
【0049】これらの母材を大気中で800℃に加熱し
て1.5時間保持した後水冷し、硝弗酸溶液を用いて酸
洗した後、Cuイオン供給源として主としてCu析出物
を備えた処理材を得た。上記処理材から得た薄膜試料に
ついて透過電子顕微鏡観察をおこない、各処理材のフェ
ライト相表面に認められるCu析出物の密度と大きさを
測定した。
【0050】上記処理材の抗菌性試験を以下の方法で評
価した。試験に使用した菌は、Escherichia coli IFO 3
301 (大腸菌)とStaphylococcus aureus (黄色ぶどう
球菌)である。2種類の菌を普通寒天培地にて培養した
後、滅菌精製水で500倍に希釈した普通ブイヨン培地
に均一に分散させて菌数2.5×105 個/ミリリットルの菌
液を調製した。各処理材から50mm角の試験片を切り
出し、表面を#600エメリーペーパーで研磨し、その
表面に各菌液を0.5ミリリットルずつ塗布し、試験片と同じ
大きさのポリエチレンのフィルムを載せ、35℃、相対
湿度90%以上で24時間静置した後菌液を拭き取り、
拭き取った菌液を希釈液中に振り出した。所定量の振り
出し液を計測用培地に混釈し、37℃で48時間培養を
行い、発生した集落数を計測し、菌数が2.5×103
個/ミリリットル以下になったものは減菌率99%以上で優れ
た抗菌性が有すると判断した。得られた結果を表2に示
す。
【0051】耐食性を、ASTMD−114152に規
定される条件に準じた30℃の人工海水中に3ヶ月浸漬
して、その腐食減量を測定して評価した。また、長さ5
5mm×幅10mm×板厚5mmの試験片にVノッチを
付与し、JIS−Z2242に規定される条件に準拠し
て靱性を測定し、0℃において衝撃値で20J/cm2
以上有するものを靱性に優れていると判断した。得られ
た結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】表2からわかるように、鋼1〜5の表面に
は、0.01〜0.5μmのCuの相が10個/100
μm2 以上の密度で析出していた。一方、Cu含有量が
本発明の規定する範囲よりも少なかった鋼A、BではC
u析出物が形成されていたものの密度は10個/100
μm2 未満であり、鋼EではCu析出物が検出されなか
った。抗菌性試験結果では、鋼1〜5および鋼Cは培養
後の発生集落数が180以下で優れた抗菌性を示した。
しかし、鋼A、BおよびEでは、1.0×106 以上に
増菌しており抗菌効果はなかった。鋼DはMo含有量が
多く、σ相が析出して耐食性が低下し、撃値が低く靱性
もよくなかった。鋼CはCu含有量が多すぎ、鋼FはA
l含有量が多すぎたために発錆が認められ、また靱性も
よくなかった。
【0054】(実施例2)実施例1に記載した鋼3を熱
間圧延し焼鈍して得た厚さが6mmの二相ステンレス鋼
を大気中で種々の温度に保持する熱処理をおこない、C
uイオン供給源として主としてCu析出物を備えた鋼板
を作製した。これらの鋼板から得た試験片について、実
施例1に記載したのと同様の方法で、フェライト相表面
のCu析出状況、抗菌性、耐食性および靱性を調査し
た。結果を表3に示した。
【0055】
【表3】
【0056】表3からわかるように、加熱温度が好まし
い範囲であった試験片は所望の析出密度のCu析出物が
得られており、抗菌性、耐食性および靱性共に良好であ
った。析出物が大きかったものは特に抗菌性が優れてい
た。他方、500℃または1000℃で熱処理した試験
片はCuの析出状態が良くなく抗菌性および靱性は不良
であった。
【0057】(実施例3)実施例1に記載した鋼3を熱
間圧延、酸洗、冷間圧延して厚さ1mmの冷間圧延鋼板
とし、大気中において様々な温度と時間で熱処理し、1
0%硝酸と2%フッ酸の混合酸液による酸洗をおこな
い、Cuイオン供給源として鋼材表面に種々の濃度のC
u富化層を備えた試験片を得た。これらの試験片表面の
Cu富化状況をX線光電子分光法(XPS)で調査し
た。また、実施例1に記載したのと同様の方法で各試験
片の抗菌性を調査した。得られた結果を表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】表4からわかるように、好ましい条件で熱
処理したものは所望のCu富化層が得られており、抗菌
性が良好であった。好ましくない熱処理条件で析出処理
したものはCu富化状況が良くなく抗菌性が良くなかっ
た。
【0060】なお、上記実施例1の試番3、5、7と同
様の試験片、実施例2に記載の試番26と同様にCu析
出物が検出されなかった試験片、および、実施例3の試
番33、36に記載したのと同様にCu富化層のCu濃
度が異なる試験片を岸壁にて海水中に3ヵ月浸漬し、フ
ジツボの付着状況を観察した。試番3、5および33と
同様の試験片ではフジツボの付着が認められず、良好な
耐生物付着性を示していた。しかしながら試番7、26
および36と同様の試験片ではフジツボが付着してお
り、耐生物付着性はよくなかった。
【0061】
【発明の効果】本発明の二相ステンレス鋼材は、抗菌性
と耐生物付着性に優れており、しかも耐食性にも優れて
いる。貯水槽タンクや海水を用いる熱交換器などの素材
として使用して優れた性能を発揮し得る。また本発明の
鋼板は容易に製造することができるので、産業上極めて
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樽谷 芳男 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K053 PA03 PA12 QA01 RA16 RA17 TA02 TA03 TA04 TA16 TA24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.05%以下、Si:
    2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16〜30
    %、Ni:3.0〜9.0%、Mo:0.2〜2.0
    %、Cu:1.0%超え5.0%以下、Al:0.00
    5〜0.05%、N:0.10〜0.35%を含有する
    二相ステンレス鋼材であって、その表面にFe、Cr、
    NiおよびCuの合計に対するCuの比率が原子%で3
    %以上であるCuイオン供給源を有することを特徴とす
    る抗菌性と耐生物付着性に優れた二相ステンレス鋼材。
  2. 【請求項2】 前記Cuイオン供給源が、鋼材の少なく
    ともフェライト相表面に、長径が0.01〜0.5μm
    であり、その密度が100μm2 あたり10個以上のC
    u析出物であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌
    性と耐生物付着性に優れた二相ステンレス鋼材。
  3. 【請求項3】 前記Cuイオン供給源が、鋼材表面から
    深さ50オングストロームまでの深さの領域のFe、C
    r、NiおよびCuの合計に対するCuの比率が原子%
    で3%以上であるCu富化層であることを特徴とする請
    求項1に記載の抗菌性と耐生物付着性に優れた二相ステ
    ンレス鋼材。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化学組成を有する二相
    ステンレス鋼を550〜900℃で0.1〜8時間保持
    する熱処理を施すことを特徴とする請求項2に記載の抗
    菌性と耐生物付着性に優れた二相ステンレス鋼材の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の化学組成を有する二相
    ステンレス鋼を、酸化性雰囲気中で850〜1350℃
    に加熱した後酸洗して表面の酸化スケールを除去するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の抗菌性と耐生物付着性
    に優れた二相ステンレス鋼材の製造方法。
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