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JP2000234029A - ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリエステルフィルムの製造方法

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Publication number
JP2000234029A
JP2000234029A JP11036897A JP3689799A JP2000234029A JP 2000234029 A JP2000234029 A JP 2000234029A JP 11036897 A JP11036897 A JP 11036897A JP 3689799 A JP3689799 A JP 3689799A JP 2000234029 A JP2000234029 A JP 2000234029A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling medium
sheet
film
roll
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11036897A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Sakamoto
純 坂本
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Katsutoshi Miyagawa
克俊 宮川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP11036897A priority Critical patent/JP2000234029A/ja
Publication of JP2000234029A publication Critical patent/JP2000234029A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属元素/リン元素比が小さいポリエステルフ
ィルムを生産性良く製造すること。 【解決手段】金属元素/リン元素比が小さいポリエステ
ル樹脂をシート状に押し出し、帯電したロールと冷却媒
体で挟み込みながらキャスティングし、製膜を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルフィ
ルムの製造方法に関し、さらに詳しくは、生産性、高速
キャスト性に優れたポリエステルフィルムの製造方法で
あり、特に優れた絶縁破壊電圧、絶縁抵抗を有した電気
コンデンサーに好適なフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のポリエステルフィルムの製造方法
においては、例えば、特公昭37−6142号公報に示
されるように、口金から溶融押し出ししたポリエステル
フィルムを該ポリエステル樹脂のガラス転移温度未満に
保たれた冷却媒体上に静電気を印加しながら密着させて
急冷し、表面が平滑であり、非晶質のキャストフィルム
を得、さらに必要に応じて引き続き一軸延伸または二軸
延伸する方法が取られている。
【0003】また、特公平5−18688号公報では、
冷却媒体に水膜を形成させてキャストする方法が提案さ
れており、さらにカレンダー成形方法と呼ばれるシート
製造方法では、溶融した樹脂をロール間で挟み込みなが
らバンクと呼ばれる樹脂溜まりを形成させ、ロール間隙
間からシートを成形している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法では、次のような欠点が存在した。
【0005】すなわち、電気コンデンサーに使用される
フィルムには高い絶縁破壊電圧と絶縁抵抗が求められ、
金属元素(M)とリン元素(P)の比M/Pが小さいポ
リエステル樹脂が用いられる。このように、ポリエステ
ル樹脂のM/Pが1以下など小さい場合、溶融ポリエス
テル樹脂に静電気を印加しても冷却媒体との密着力が十
分発現せず、このため冷却媒体とキャストフィルムの間
には空気などがかみ込みやすく、さらに最大限の密着力
を得るために静電気の電圧を増した場合、放電現象が起
こりやすく、フィルムに欠点を生じたりしていた。冷却
媒体に水膜を形成させてキャストする方法ではフィルム
に水滴痕が転写され、またカレンダー成形方法もバンク
が安定して形成できないポリエチレンテレフタレート樹
脂などの場合、キャスティング速度が30m/分以上と
することが難しく、生産性が不良であった。
【0006】すなわち、本発明の目的は、上記従来技術
の欠点を解消し、生産性・品質ともに優れたポリエステ
ルフィルム、特に電気コンデンサー用に好適なポリエス
テルフィルムを得ることのできる製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した問
題に鑑み、鋭意検討した結果、口金から押し出されたポ
リエステルフィルムを直流電位差の存在するロールおよ
び冷却媒体間で挟み込みながらキャスティングすること
で前記問題が解決できることを見出し本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明のポリエステルフィルム
の製造方法は、ポリエステル樹脂を溶融後、口金から溶
融シートを吐出させ、該シートを帯電ロールと冷却媒体
で挟み込みながら冷却させ冷却媒体上に密着冷却固化さ
せてキャストフィルムを製造するに際し、ポリエステル
樹脂として下記式(1)を満足するものを用いることを
特徴とするポリエステルフィルムの製造方法である。
【0009】さらに好ましくは、かかる本発明の方法に
おいて、溶融シートが接地する直前の冷却媒体上の表面
温度が該ポリエステル樹脂のガラス転移点Tg以上かつ
融点Tm以下であることを特徴とするポリエステルフィ
ルムの製造方法であり、あるいは、また好ましくは、上
記の本発明の方法において、キャストフィルムを延伸お
よび/または熱処理することを特徴とするポリエステル
フィルムの製造方法であり、あるいは、また好ましく
は、上記の本発明の方法において、製造されるフィルム
が電気コンデンサーに用いられるものであることを特徴
とするポリエステルフィルムの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施の
形態を説明する。
【0011】本発明においてポリエステル樹脂とは、分
子主鎖中にエステル結合を有する高分子化合物であり、
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレートおよびこれらの
共重合体を挙げることができ、中でもポリエチレンテレ
フタレートとポリエチレンナフタレートおよびこれらの
共重合体が好ましく、特にポリエチレンテレフタレート
およびその共重合体が好ましい。もちろん、これらのポ
リエステル樹脂には各種の添加剤、例えば、すべり材、
安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤、帯電防止剤、着色
剤、顔料などを併用することができる。
【0012】本発明で用いられるポリエステル樹脂は、
上記式(1)を満足するものであり、ポリエステル樹脂
に含有される金属元素量とリン元素量の比率には特定の
範囲がある。すなわち、該比率は0.4〜1.2の範囲
であることが重要であり、好ましくは0.45〜1.
1、特に好ましくは0.5〜1.0の範囲である。式
(1)に示す金属元素量とリン元素量の比率が0.4未
満である場合、キャストフィルムと冷却媒体との密着力
が低下し、フィルムの平滑性が悪化したりフィルムの幅
が変動したりするため、キャストが安定して行えなくな
る。一方、該比率が1.2を越える場合、製造されるフ
ィルムの絶縁破壊電圧および絶縁抵抗が低下することか
ら電気コンデンサー用途には不適切であり、さらにキャ
ストフィルムと冷却媒体との密着性がかえって低下し
て、フィルムの平滑性が悪化したりフィルムの幅が変動
したりするという問題がある。
【0013】ポリエステル樹脂が含有する金属元素やリ
ン元素は、主に触媒や安定剤に由来するものであるが、
式(1)を満足する限り、これらとは別個に添加あるい
は含有させてかまわない。金属元素としては、アルカリ
金属、アルカリ土類金属、Co、Mn、Znから選ば
れ、特にLi、Mg、Ca、Co、Mn、Znの酢酸塩
が好ましい。これら金属塩は、触媒として用いる場合に
はエステル化またはエステル交換反応前に添加するが、
必要に応じてこれらの反応後に添加してもかまわない。
一方、リン元素はリン酸、亜リン酸およびこれらのエス
テルやアルキルホスホン酸、フェニルホスホン酸および
これらのエステルや誘導体を好ましく用いることができ
る。これらリン化合物はエステル化反応後、エステル交
換反応後に添加することが好ましい。ポリエステルの重
合に際しては、重合触媒としてSb、Ge、Ti、A
l、Si化合物を用いることが好ましい。
【0014】本発明におけるポリエステルフィルムの製
造方法は、溶融したポリエステル樹脂を口金から押し出
した後、該溶融シートを帯電させたロールと冷却媒体で
挟み込みながらキャスティングする製造方法である。本
発明の方法によれば、シートに電荷を直接与えるため、
従来の静電印加キャスト方法よりも密着性が良く、電気
コンデンサー用に好適なM/P比率が小さいポリエステ
ル樹脂においても高速キャストが可能となる。さらに、
ロールと冷却媒体で挟み込むことで従来の高速キャスト
方法で問題となっていたシートと冷却媒体間の空気巻き
込みを抑制することができる。また、本発明の方法によ
れば、ロール間で成形するカレンダー成形法のようにバ
ンク形成の問題もない。
【0015】本発明のポリエステルフィルムの製造方法
において、ロールを帯電させるにはロール自身に直流電
圧を印加すればよく、冷却媒体はアース(接地)させれ
ばよい。ロールに印加する電圧は100V〜10KVが
好ましく、直流正電圧または負電圧をロールに印加す
る。また、溶融シートに流れる電流値を制限するため
に、アースと冷却媒体間に電気抵抗を挿入することもで
きる。
【0016】本発明では、帯電ロールと冷却媒体の間に
存在する電位差によってシートへ電荷を与え、冷却媒体
へ密着させているが、ポリエステル樹脂の溶融時の電気
特性によってはロールへ溶融シートが引き寄せられて表
面があれることがある。これを防止するには、ロールへ
溶融シートが接する前にロールと同極の電荷をあらかじ
めシートへ与えることが好ましい。電荷の与え方は、例
えば口金〜ロールの間にワイヤーをシート幅方向には
り、該ワイヤーへロールと同極の電圧を印加することで
ある。このための電極は特に限定はされないが、ここで
述べたワイヤー状電極やテープ状電極を好ましく用いる
ことができる。
【0017】本発明の製造方法では、シートへ電圧を直
接かけることに特徴があるが、これによれば、樹脂溶融
時の電気抵抗が大きい場合に特に有効に働く。そのた
め、例えば過冷却押出キャストに特に有効である。過冷
却押出とは、いったん、樹脂の融点Tm以上で溶融させ
た後に該融点Tm以下、該溶融結晶化温度Tmc以上に
冷却する、いわゆる過冷却状態で押出を行うことであ
る。このような過冷却状態での押出は、該樹脂の熱分解
・ゲル化を減少させる効果があるばかりか、低分子量オ
リゴマーの生成も少なくなるために、ドラム汚れも少な
くなりキャストしやすくなるという効果もある。
【0018】本発明の製造方法で使用されるロールは、
少なくともその表面の一部が導電性であることが必要で
ある。ロールとしては金属ロールを用いることが一番簡
単であるが、ゴムロールやセラミックロール、テフロン
ロールなどの表面上に導電性加工を施したものであって
もかまわない。さらにロール表面に金属部分とフッ素樹
脂などの非粘着性部分が混在したロールでもよい。この
ようなロールの場合には、溶融シートがロールに粘着し
にくいため、ロール冷却が必ずしも必要でなくなる。
【0019】ロールの表面粗度については、溶融シート
にロールが直接触れるため、その表面は平滑であること
が好ましく、例えば表面粗度として1S以下、好ましく
は0.5S以下である。また、ロールは溶融したシート
に触れるため、その表面温度が上昇する。このため、先
に述べたロール表面に金属部分とフッ素樹脂などの非粘
着性部分が混在したロールが好ましい。しかしながら、
ロール表面全体が金属素材である場合、ロール内部やロ
ール表面を冷却し、シートとの粘着を防止することが好
ましい。ロールの冷却は絶縁性の冷媒を用いることが必
要であり、シリコーンオイルなどの絶縁油や冷空気、代
替フロンなどから適宜選択できる。このときのロール表
面温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移点Tg未満である
ことが好ましい。さらに、ロールには駆動装置を設置
し、キャスティングドラムの速度に追随させることが表
面性の良好なシートを得る上で好ましいが、ロール表面
に金属部分とフッ素樹脂などの非粘着性部分が混在した
ロールなど冷却が不要なロールである場合、フリーロー
ルとしてもかまわない。
【0020】一方、本発明の製造方法に用いられ得る冷
却媒体は、溶融したシートを冷却し、非結晶性シートを
得るために必要である。形態としてはドラムが好まし
く、その内部には冷却水などを循環させ、ドラム表面温
度を一定に保つことが好ましい。ドラム表面は金属であ
ることが好ましく、例えばハードクロムメッキを施し
た、表面粗度が0.5S以下の表面を有するものが好ま
しい。
【0021】本発明の製造方法によれば、ロールと冷却
媒体間に電位差が存在するので、放電などに注意を払う
必要があり、特に少なくともロール表面の導電性部分が
キャストシート幅よりも10ミリ以上狭い必要がある。
また、キャストシートの後処理(例えば延伸処理など)
によってはシートエッジ部分をシート中央部よりも厚く
成形する必要もあり、この場合にはロールの面長自体を
キャストシート幅よりも狭くすればよい。ただし、この
場合にはフィルムエッジがドラムなどの冷却媒体に密着
しにくいため、フィルムエッジ部分を別の方法で密着さ
せることが好ましい。例えば、エッジ部分にのみ選択的
に静電気を印加する方法やエッジ部分に圧空を吹き付け
て押さえつける方法、エッジ部分があたるドラム面にの
み水などを塗布する方法等を採用することができる。
【0022】本発明によれば、ロールへ直流電圧を印加
するが、これらの絶縁処理としては、回転軸にセラミッ
ク軸受けを用いたり、回転軸にセラミックスリーブを被
せたり、軸受け台座に絶縁材を挿入する方法があり、さ
らに冷媒を循環させる場合には、ナイロン樹脂などから
なる絶縁性配管による接続など、装置により適宜絶縁方
法を取り入れることができる。
【0023】本発明のポリエステルフィルムの製造方法
では、これまで述べてきた方法に加え、溶融シートが接
地する直前の冷却媒体の表面温度を該樹脂のガラス転移
点Tg以上、融点Tm以下に保つことで、よりキャステ
ィング速度を高めることができる。冷却媒体の表面温度
をガラス転移点Tg以上とすることによってキャストシ
ートと冷却媒体との間に強力な粘着力が発生し、これら
の密着力が向上するためである。さらに、キャストフィ
ルムが剥離する部分での冷却媒体表面温度は、該樹脂の
ガラス転移点温度Tg未満であることが好ましく、キャ
ストフィルムの結晶化が抑制され、後に続く延伸が良好
に行える。さらに剥離点における粘着力を低下させるこ
とができるため剥離が容易になり、フィルム表面に剥離
跡などが残らず表面が平滑になる。
【0024】このように、溶融シートが接地するところ
の冷却媒体の表面温度をガラス転移点Tg以上にし、剥
離直前の冷却媒体の表面温度をガラス転移点Tg未満に
するには、固化したシートが冷却媒体から剥離してから
次の溶融体が接するまでの時間帯に、外部から強力な近
赤外、赤外、遠赤外などの輻射熱源にて冷却媒体表面を
加熱し、しかも冷却媒体内部には該樹脂のガラス転移点
Tg未満の冷却媒体、例えば水を循環させておくことに
より達成できる。冷却媒体としては、通常はドラムを用
いることが多いが、ベルトなどの他の形態でもよい。
【0025】また、冷却媒体内を通水する熱媒温度は、
熱可塑性樹脂のガラス転移点Tgより少し低温ではある
が、従来法で用いられてきた使用温度よりも少し高温に
しておくことにより、溶融シートが接するときの表面温
度がガラス転移点Tg以上に設定できるので好ましい。
シート端部はシート中央部に比較してシート厚みが厚い
が、本発明の方法のように密着力が強くなるキャスト方
法ではシート端部が冷却不足で結晶化するようなことは
ないのである。
【0026】本発明の方法によってキャストされたフィ
ルムは、必要に応じてさらに延伸および/または熱処理
を施すことができる。延伸は縦一軸延伸、横一軸延伸、
逐次二軸延伸、同時二軸延伸など、各種方法によって行
なうことができ、通常は二軸延伸することによって機械
的バランスのとれたフィルムを得ることができる。延伸
は周速度の異なるロール間で行う方法やクリップによっ
てシートを把持し、該クリップ間隔を変更するテンター
方式で行うことができる。延伸倍率は特に限定されない
が、一方向へ2〜8倍延伸することが好ましく、さらに
は3〜6倍程度が好ましい。なお延伸はTg以上の温度
で行なえばよい。熱処理は延伸後、必要に応じて所定の
温度で行なえばよく、必要なフィルム特性によって適宜
条件を設定すればよい。
【0027】本発明のポリエステルフィルムの製造方法
によれば、電気コンデンサーに好適な品質の高いフィル
ムを高速キャストによって生産性良く製造することがで
きるのである。
【0028】次に、本発明におけるポリエステルフィル
ムの製造方法をより具体的に示す。
【0029】原料として、式(1)を満たすポリエステ
ル樹脂、または必要に応じて他の化合物の添加ブレンド
した原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリエステル樹
脂、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステ
ル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリンなど
の無機化合物、エチレンビスステアリルアミド、イオン
性高分子化合物アイオノマー等の有機化合物等を添加し
た原料、いったん溶融させた原料、さらには本発明のシ
ートの回収原料などを混合した原料などを準備し、これ
を乾燥・脱水した後、一軸押出機、二軸押出機、ベント
押出機、タンデム押出機などの溶融押出機に供給し、分
子量、例えば固有粘度[η]を極力低下させないように
窒素気流下、あるいは真空下で溶融押出する。
【0030】もちろん、溶融温度は該ポリエステル樹脂
の融点Tm以上であることが普通であるが、いったん、
該樹脂の融点Tm以上で溶融させた後に該融点Tm以
下、該溶融結晶化温度Tmc以上に冷却する、いわゆる
過冷却状態で押出を行うこともできる。このような過冷
却状態での押出は、該樹脂の熱分解・ゲル化を減少させ
る効果があるばかりか、低分子量オリゴマーの生成も少
なくなるために、ドラム汚れも少なくなりキャストしや
すくなるという効果もある。なお、原料中の異物を除去
するために、溶融樹脂を適宜のフィルター、例えば、焼
結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等で濾過しな
がら押出ことが好ましい。
【0031】口金とキャストドラムの位置関係は特に限
定はしないが、溶融樹脂シートが鉛直方向へ押し出され
るように調整することが安定したキャスティングには好
ましい。さらに、該口金から溶融シートを押出すときの
ドラフト比(=口金リップ間隔/押出されたシート厚
み)は、好ましくは3以上、より好ましくは7〜20の
範囲とすることにより、厚みむらの小さい、平面性の良
いシートが得られやすい。
【0032】かくして溶融されたポリエステル樹脂を口
金から押し出すのであるが、溶融シートを100V〜1
0KVの電圧をかけたロールとキャスティングドラムで
挟み込むようにキャスティングし、冷却媒体のドラムに
密着させて急冷してキャストする。さらに好ましくは、
このとき、該溶融体の接地直前のドラムの表面温度を、
ポリエステル樹脂のガラス転移点Tg以上、融点Tm以
下にするととともに、剥離直前のドラムの表面温度をポ
リエステル樹脂のガラス転移点Tg未満にすることによ
り、安定した、強力な密着力を有したキャスト、すなわ
ち高速キャストが行える。
【0033】かくして得られたキャストフィルムは必要
に応じて延伸処理をおこなうが、例えば逐次二軸延伸法
であれば、キャストフィルムをまず予熱ロールによって
Tg以上に加熱し、周速度の異なるロールによって長手
方向へ2〜8倍延伸し、冷却ロールによってフィルムを
冷却する。次いで長手方向へ延伸されたフィルムはテン
ター式横延伸機に導かれ、シート両端をクリップによっ
て把持し熱風によってフィルムをTg以上に加熱する。
両端クリップの幅を広げることでフィルムを横方向へ2
〜8倍延伸し、さらに必要に応じて熱風によってフィル
ムを熱処理する。
【0034】このようにして得られたポリエステルフィ
ルムは表面が平滑であり、幅方向の厚みや品質の均質性
に優れており、さらに原料の金属元素/リン元素比率が
低いために電気コンデンサー用途に好ましく用いること
ができる。
【0035】
【物性の測定法】次に、本発明で使用した測定法につい
て以下に述べる。 1.ポリエステル樹脂中の金属元素、リン元素の定量 金属元素の定量は、ポリエステル2gをるつぼにとり、
電気炉で灰化させ、塩酸で溶かした後原子吸光法によっ
て測定した。リン元素の定量は、ポリエステルを硫酸と
過塩素酸の存在下で湿式灰化した後、硫酸酸性溶液中に
てモリブデン酸アンモニウム塩により発色させ、845
nmの吸光度を測定し、検量線で定量した。 2.ポリエステル樹脂の固有粘度[η] 25゜Cで、o−クロルフェノールを溶媒として次式よ
り求めた。
【0036】[η]=lm[ηsp/c] 比粘度ηspは、相対粘度ηr から1を引いたものであ
る。cは、濃度である。単位はdl/gで表わす。 3.キャスト密着性 キャストドラム上で空気などを噛み込んだり垂れ下がっ
たり、その他何らかのキャスト欠点の見えない場合を
○、何らかの欠点が肉眼で見える場合を×とした。 4.キャスト表面性 キャストされたシート表面10m2 以上に光を当て、そ
の反射光を肉眼で見てクレーターなどの表面凹凸の有無
で判定する。判定基準は次のとおり。
【0037】 全く表面に凹凸が見あたらない・・・○ 表面に凹凸があるが、深さが0.1μm未満と浅く、延
伸によって消失する・・・△ 全面に凹凸が見られる・・・× 5.キャスト剥離性 キャストドラムからの剥離のしやすさであり、判定基準
は次のとおり。
【0038】 キャストから自然に剥離するもの・・・○ 剥離できるが、剥離力が100g/cm以上のとき・・・△ 剥離が困難な場合・・・× 6.ポリエステルの熱特性 セイコー電子工業製DSC RDC220型を用い、ポ
リエステルを20mg秤量し、窒素ガス雰囲気下20℃
/分の速度で昇温して300℃になった時点でクエンチ
し、再度20℃/分の速度で300℃まで昇温しながら
ガラス転移点Tg、結晶化発熱ピーク温度Tcc、融点
Tmを測定した。300℃に到達したのちさらに20℃
/分の速度で降温させ、結晶化発熱ピーク温度Tmcを
測定した。 7.絶縁抵抗 0.1μFのコンデンサーサンプル1000個を23
℃、65%RHの雰囲気下において、YHP社製の超絶
縁抵抗計4329Aにて印加電圧500Vでの1分値と
して測定し、絶縁抵抗が5000MΩ未満のコンデンサ
ーサンプルを不良品として以下の基準で判定した。
【0039】 不良品が20個未満・・・○ 不良品が20個以上、50個未満・・・△ 不良品が50個以上・・・× 8.耐電圧性 1000個のコンデンサーサンプルについて、電圧を1
00V/秒の割合で昇圧しながら印加し、コンデンサー
に絶縁破壊が発生し、5mA以上の電流が流れたときの
電圧(破壊電圧)を測定する。得られた破壊電圧を誘電
体として使用したポリエステルフィルムの単位厚み当た
りの電圧に換算し、サンプル1000個の平均値として
耐電圧を求めた。なお、コンデンサーの容量が大きく、
充電電流のみで5mA以上の電流が流れる場合、該電流
値を充電電流と絶縁破壊電流と分離できる適切な値に設
定する。本発明において450V/μm以上の耐電圧の
コンデンサーについて合格とした。
【0040】
【実施例】実施例により、本発明をさらに詳細に説明す
る。
【0041】実施例1 (ポリエステル原料の重合)テレフタル酸86.5重量
部、エチレングリコール37.2重量部を混合してスラ
リー状とし、230℃まで昇温しながら撹拌してエステ
ル化反応を行なった。エステル化反応終了後に反応生成
物を重合装置へ移行し、正リン酸を0.05重量部添加
し、さらに酢酸マグネシウム4水塩を0.05重量部、
酢酸リチウム2水塩を0.002重量部、三酸化アンチ
モンを0.03重量部、平均粒子径が0.6μmである
合成炭酸カルシウム粒子を0.08重量部含有したエチ
レングリコールスラリーを添加した。重合装置内を2時
間かけて常圧から0.5mmHgまで減圧し、同様に反
応物を230℃から2時間かけて290℃へ昇温した。
このようにして重合反応を行い、撹拌翼の撹拌トルクが
所定の値となったところで重合を終了した。重合物はガ
ット状で重合装置から水槽へ吐出し、カッターによって
チップ化した。このようにして固有粘度0.62、ガラ
ス転移点Tg78℃、結晶化温度Tcc138℃、融点
Tm260℃、溶融結晶化温度Tmc205℃であるポ
リエステル樹脂を得た。該ポリエステルチップ中のM
g、Li、P量を定量化したところ、式1による金属/
リン比率は0.60となった。 (ポリエステルフィルムの製膜)先ほど重合したPET
樹脂の含水率が20ppm以下になるように乾燥した
後、スクリュー径250mmの溶融押出機に供給して2
85℃で溶融した後に10μmカットの繊維燒結金属フ
ィルターを通過させて濾過した後、Tダイ口金に導入
し、溶融体をシート状に押出した。押し出した溶融シー
トは、直径200ミリ、面長800ミリ、表面がハード
クロムメッキされた表面粗度0.1Sのロールと直径
1.5mの表面がハードクロムメッキされた表面粗度
0.1Sのキャスティングドラムで挟み込みながら、該
ドラムおよびロール表面速度を100m/分としてキャ
スティングした。このとき、ロールには電圧5KVの直
流正電圧を印加し、さらにドラムはアースに接地した。
また、ロールと口金の間に直径0.2ミリのタングステ
ン製ワイヤーをフィルム幅方向に張り、該ワイヤーには
正電圧を8KV印加した。なお、ドラムには冷却水を通
水し、ドラム表面温度を25℃とし、絶縁処理されたロ
ールには、温度コントロールされたシリコーンオイルを
循環し、その表面温度を25℃にコントロールした。さ
らにフィルムエッジ部分には針状電極から直流正電圧を
8KV印加してエッジ部分を密着させた。
【0042】このようにしてキャスティングした結果、
キャスト密着性、キャスト剥離性が良好であり、さらに
得られたシートの表面性も良好であった。
【0043】かくして得られたキャストシートは50μ
m、幅850ミリであり、厚みむらの小さい、平面性の
優れた、表面欠点のない、非晶性のシートであった。続
いて、該押出シートを公知のロール式長手方向多段延伸
機で延伸温度98℃で5倍延伸し、Tg以下に冷却し、
続いて該長手方向延伸シートの両端をクリップで把持し
ながらテンタに導き、延伸温度100℃に加熱された熱
風雰囲気中で幅方向に4.3倍延伸後、220℃で定長
熱固定、および150℃で幅方向に3%のリラックス熱
固定し、厚さ4μmの二軸配向積層ポリエステルシート
を、破れることなく安定な状態で約500m/分という
高速で巻取り製膜した。
【0044】かくして得られたシートは表面欠点が全く
ない平面性の優れたシートであった。 (コンデンサーの作成)得られた延伸フィルムの片面に
表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムを蒸着し
た。その際、長手方向に走るマージン部を有するストラ
イプ状に蒸着した。次に、各蒸着部の中央部と各マージ
ン部の中央に刃を入れてスリットし、左若しくは右に1
mmのマージンを有する全幅30mmのテープ状の巻き
取りリールとした。
【0045】得られたリールの左マージン及び右マージ
ンのもの各1枚ずつを重ね合わせて巻回し、静電容量
0.1μFのコンデンサー素子を得た。このコンデンサ
ー素子を130℃、20kg/cm2 の温度・圧力で5
分間プレスした。これに両端面にメタリコンを溶射して
外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して外装と
してエポキシ樹脂で硬化させて巻回型コンデンサーと
し、コンデンサーに直流800Vにて30秒の電圧処理
を1回行ない、さらに2本のリード線に印加する極性を
逆転させてもう1回行なった。コンデンサーとしての特
性を表1に示すが、良好であった。結果を表1に示す。
【0046】実施例2、4、5、比較例1 ポリエステルを重合する際の酢酸マグネシウム、酢酸リ
チウム、正リン酸の量を変更する以外は実施例1と同様
の方法と条件でポリエステル樹脂を重合し、さらに実施
例1と同様の方法と条件でキャスト、延伸、コンデンサ
ーの作成を行った。結果を表1に示すが、本発明の範囲
内である場合には、キャスト性が良好であり、かつコン
デンサーとしても優れたものであった。
【0047】実施例3 原料は実施例2で作成したポリエステル樹脂を用いた。
【0048】実施例2の製膜装置に加え、アースされた
キャスティングドラムを加熱できる出力60KWの近赤
外線ヒーターをキャスティングドラムのシート剥離部分
から接地部分の間に設置した。キャスティングドラムに
は49℃に保たれた温水を循環し、さらに近赤外線ヒー
ターによってドラム表面を加熱した。このようにして2
5℃に保たれたロールには6KVの正電圧を印加し、実
施例1と同様にキャスティングした。このとき、シート
が接地する直前のドラム表面温度は91℃であり、シー
トが剥離する部分でのドラム表面温度は49℃であっ
た。このようにしてキャスティングした結果、品質・生
産性ともに優れたシート製膜を行なうことができた。結
果を表1に示す。 比較例2 ロールに印加する電圧を0とする以外は実施例1と全く
同様にしてシートを製膜した。キャスト密着性および表
面性は不良であり、シート幅も変動が大きく、横延伸工
程でクリップはずれが頻発した。さらに延伸されたシー
ト表面には凹凸が存在し、品質・生産性ともに劣ってい
た。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】金属元素/リン元素比が小さいポリエス
テル原料を使用し、溶融したポリエステルフィルムを帯
電したロールと冷却媒体で挟み込みながらキャスティン
グすることでキャスティング速度が高速化でき、表面が
平滑なフィルムが生産性良く得られる。本発明の方法で
得られるフィルムは、電気コンデンサー用フィルムとし
て好適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA44 AH12 BB02 BB06 BB07 BB13 BC01 4F207 AA24 AG01 AH33 AM28 AM30 AR06 KA01 KA17 KK13 KK56 KK66 KL41 KL84 KW41 4F210 AD05 AD08 AG01 AH33 QA02 QA03 QC06 QD13 QD32 QD44 QG01 QG18 4J002 CF041 CF061 FD030 FD200

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル樹脂を溶融後、口金から溶融
    シートを吐出させ、該シートを帯電ロールと冷却媒体で
    挟み込みながら冷却させ冷却媒体上に密着冷却固化させ
    てキャストフィルムを製造するに際し、ポリエステル樹
    脂として、下記式(1)を満足するものを用いることを
    特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。 0.4≦(m/2+N+L)/P≦1.2 ……式(1) m:ポリエステル樹脂1トン当たりのアルカリ金属モル
    数 N:ポリエステル樹脂1トン当たりのアルカリ土類金属
    モル数 L:ポリエステル樹脂1トン当たりのMn、Co、Zn
    から選ばれる金属元素モル数 P:ポリエステル樹脂1トン当たりのリン元素モル数
  2. 【請求項2】溶融シートがロールへ接触する前に、該溶
    融シート表面へ該ロールと同極の電荷を印加することを
    特徴とする、請求項1に記載のポリエステルフィルムの
    製造方法。
  3. 【請求項3】溶融シートが接地する直前の冷却媒体上の
    表面温度が該ポリエステル樹脂のガラス転移点Tg以上
    かつ融点Tm以下であることを特徴とする請求項1に記
    載のポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】冷却媒体上で密着冷却固化されたポリエス
    テル樹脂キャストフィルムが冷却媒体上から剥離される
    際、剥離点における冷却媒体の表面温度がポリエステル
    樹脂のガラス転移点Tg以下であることを特徴とする請
    求項3に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】ロール表面の通電部分の幅がキャストフィ
    ルム幅よりも10ミリ以上短いことを特徴とする請求項
    1に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】キャストフィルムを、延伸および/または
    熱処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】製造されたフィルムが、電気コンデンサー
    に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010265459A (ja) * 2009-05-15 2010-11-25 Mitsubishi Polyester Film Gmbh 脱カルボキシル化触媒を含有する二軸延伸ポリエステルフィルム、その製造方法およびその使用
US9373737B2 (en) 2009-05-15 2016-06-21 Mitsubishi Polyester Film Gmbh Biaxially stretched polymer film comprising a decarboxylation catalyst, its use in electrical insulation applications, and process for its production

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