JP2000109388A

JP2000109388A - 被覆粒状物、作物の栽培方法、及び土壌

Info

Publication number: JP2000109388A
Application number: JP10283038A
Authority: JP
Inventors: Toshio Fujita; 利雄藤田; Atsushi Sakamoto; 淳坂本
Original assignee: Chisso Corp
Current assignee: JNC Corp
Priority date: 1998-10-05
Filing date: 1998-10-05
Publication date: 2000-04-18

Abstract

(57)【要約】【課題】施肥窒素の利用率を向上させる資材、および
栽培方法の提供。【解決手段】ビューレットを含む粒子を被膜材料で被覆
した被覆粒状物、および該粒状物を用いた栽培方法。【効果】施肥された窒素肥料の、植物による利用率が向
上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は被覆粒状物に関す
る。更に詳しくは、ビューレットを含む粒子を被膜材料
で被覆した被覆粒状物に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、施肥窒素による環境汚染防止が、
肥料関連技術における重要課題として注目されてきてお
り、この課題を克服するために、肥効調節型肥料が開
発、実用化され、注目されている。肥効調節型肥料の中
には肥料成分の溶出速度を任意にコントロールできるも
のもあり、作物の養分吸収に合わせて肥料成分を供給す
ることも可能となった。肥効調節型肥料を用い、作物の
養分吸収に合わせて肥料成分を供給する栽培方法であれ
ば、従来の速効性肥料を用いる場合よりも施肥窒素が植
物により効率よく吸収され、環境に流亡する成分量が少
なくなる。しかしながら、現在、広く実施されている施
肥法においては、肥効調節型肥料を用いたとしても、施
肥窒素の多くは作物に利用されずに環境に流亡してお
り、施肥窒素の利用率を向上させる資材、および栽培方
法が望まれていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記従来
技術が包含する問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、
ビューレットを含む粒子を被膜材料で被覆した被覆粒状
物に、該粒状物を植物の根圏に施用することにより、施
肥された窒素肥料の、植物による利用率が向上するとい
う優れた効果を有することを知見し、この知見に基づき
本発明を完成した。以上の記述からも明らかなように、
本発明の目的は、植物の根圏に施用することにより、植
物による施肥窒素の利用率を向上させる被覆粒状物を提
供することにある。

【０００４】

【課題を解決しようとする手段】本発明は下記の（１）
〜（７）の構成を有する。ビューレットを含む粒子を被
膜材料で被覆した被覆粒状物。（２）ビューレットと窒素肥料とを含む粒子を被膜材料
で被覆した被覆粒状物。肥料成分が尿素である前記第２
項に記載の被覆粒状物。被膜材料が樹脂である前記第１
〜３項の何れか１項に記載の被覆粒状物。樹脂がオレフ
ィン重合体、オレフィン共重合体、塩化ビニリデン重合
体、塩化ビニリデン共重合体から選ばれた１種以上であ
る前記第４項に記載の被覆粒状物。前記第１〜５項の何
れか１項に記載の被覆粒状物を用いた作物の栽培方法。
前記第１〜５項の何れか１項に記載の被覆粒状物を施用
した土壌。

【０００５】本願第一の発明はビューレットを含む粒子
を被膜材料で被覆した被覆粒状物であり、本発明の必須
成分であるビューレットは、NH2CONHCONH2の化学式で示
される物質である。本発明において、粒子に含まれるビ
ューレットの含有率は、特に限定される物ではない。含
有率が高い分には特に問題はないが、含有率が低すぎる
と、施肥窒素の利用率向上のために多量の被覆粒状物を
施用することが必要になるため、ビューレットは粒子重
量に対し０．５重量％以上含まれることが好ましい。本
発明で言うところの施肥窒素利用率（％）とは、「（施
肥した窒素成分のうち植物に吸収された量／施肥窒素成
分の全量）×１００」の式で計算し、求めた値である。

【０００６】本発明のビューレットを含む粒子（以下
「芯粒子」と表記）は、ビューレットのみからなる粒子
であっても良いが、造粒の際に助剤、結合材を用いても
良い。造粒助剤としては、ベントナイト、クレイ、カオ
リン、セリサイト、タルク、酸性白土、軽石、珪砂、珪
石、炭酸カルシウム、ゼオライト、パーライト、バーミ
キュライト等の鉱物質や、モミガラ、オガクズ、木質
粉、パルプフロック、大豆粉、デンプン等の植物質を挙
げることができ、結合材としては、アラビアゴム、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、リグニンスルホン酸塩類、ポリビニルアルコール、
ポリエチレングリコール、界面活性剤類、流動パラフィ
ン等を挙げることができる。

【０００７】芯粒子の造粒法としては、押出し造粒法、
被覆造粒法、噴流造粒法、吸着造粒法等を用いることが
できる。助材、結合材を用いるときは押出し造粒法が簡
易であるが、ビューレットのみ、あるいは助材、結合材
の含有量が少ないときには、噴流造粒法が粒子の形状、
大きさの分布をそろえることができるので好ましい。

【０００８】芯粒子の粒径は特に制限はないが、好まし
くは１．０ｍｍ以上であり、より好ましくは１．５〜
４．０ｍｍである。粒径１．０ｍｍ未満では被覆が困難
である。製造の容易さ、さらには使用時の取扱い易さの
面から、特に２．０〜４．０ｍｍであることが好まし
い。該粒径は篩いを用いることにより容易に選択するこ
とができる。

【０００９】また、本発明の芯粒子は肥料成分を含むも
のであっても良く、窒素肥料を含む場合には、施肥窒素
の利用率がさらに向上し、好ましい。本発明に用いる窒
素肥料としては、硫酸アンモニア、硝酸ナトリウム、燐
酸アンモニア、硫酸苦土アンモニア、塩化アンモニア、
硝酸アンモニア、尿素、石灰窒素、イソブチルアルデヒ
ド加工尿素肥料、アセトアルデヒド加工尿素肥料、ホル
ムアルデヒド加工尿素肥料、グアニール尿素などを挙げ
ることができ、これ等のうちの１種以上、若しくは２種
以上の混合物を使用することが出来る。窒素肥料の中で
も、尿素を用いた場合には、施肥窒素の利用率が特に高
くなり好ましい。

【００１０】また、本発明の効果を損なわない範囲であ
れば、燐肥料や加里肥料を芯粒子に含有させても良い。
燐肥料としては、過燐酸石灰、苦土過燐酸石灰、重過燐
酸石灰、溶性燐肥、焼成燐肥、燐酸石灰などを挙げるこ
とができ、加里肥料としては、硫酸加里、塩化加里、粗
製加里塩、苦汁加里塩、硫酸加里苦土、重炭酸加里、フ
ミン酸加里、燐酸加里、硝酸加里などを挙げることがで
きる。更に、必要に応じ、鉄、マンガン、ホウ素、亜
鉛、銅、モリブデンなどの微量要素肥料、また、石灰質
肥料、珪酸質肥料等を含有させても良い。

【００１１】本発明に用いる芯粒子に窒素肥料を含有さ
せる場合の含有割合は、窒素肥料の種類にもよるが、通
常、芯粒子の全重量に対し１０〜９９．５重量％の範囲
であることが好ましい。１０重量％を上回る場合には、
窒素肥料の添加効果が明確に認められることから特に好
ましい。

【００１２】本発明に用いる被膜材料としては、無機
質、有機質の何れの被膜材料を用いても良い。無機質の
被膜材料としては硫黄を挙げることができ、有機質の被
膜材料としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂
を挙げることができる。このうち樹脂は、本発明の有効
成分であるビューレットの環境中への浸み出しを制御し
やすいことから好ましい材料である。更に、オレフィン
重合体、オレフィン共重合体、塩化ビニリデン重合体、
塩化ビニリデン共重合体を用いた場合には、ビューレッ
トの浸み出しをより精密に制御することが可能であり、
特に好ましい被膜材料である。

【００１３】オレフィン重合体としてはポリエチレン、
ポリプロピレン、及びポリスチレンを挙げることがで
き、オレフィン共重合体としてはエチレン・プロピレン
共重合体、ブテン・プロピレン共重合体、ポリイソブテ
ン、イソブテン・イソプレン共重合体、スチレン・ブタ
ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニト
リル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・一酸化炭素共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸
化炭素共重合体、エチレン・アクリレート共重合体、及
びエチレン・メタクリル酸共重合体等を挙げることがで
き、塩化ビニリデン共重合体としては塩化ビニリデン・
塩化ビニル共重合体を挙げることができる。

【００１４】更に、本発明の被膜材料として、有機質若
しくは無機質のフィラーや、界面活性剤を用いても良
い。有機質フィラーとしてはデンプン、セルロース及び
その誘導体、小麦粉、大麦粉、大豆粉、寒天末、コーン
スターチ等を挙げることができ、無機質フィラーとして
はタルク、炭酸カルシウム、クレイ、ゼオライト、ケイ
ソウ土、シリカ及びその塩、金属酸化物、イオウ等を挙
げることができる。また、界面活性剤としては高級脂肪
酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩類、高級アルコー
ル硫酸エステル塩類、高級アルキル・スルフォン酸塩
類、高級アルキル・ジスルフォン酸塩類、スルフォン化
高級脂肪酸塩類、高級アルキル燐酸エステル塩類等のア
ニオン界面活性剤、高級アルキル・アミン塩類、第４級
アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤、ポリオール
の脂肪酸エステル、ポリエチレン・オキサイド縮合型等
のノニオン界面活性剤を挙げることができる。前述のフ
ィラー及び界面活性剤の１種以上を用いることによって
も、ビューレットが外部の土壌環境へ徐々に浸み出す速
度（以下「浸出速度」と表記）を微調整することが可能
である。

【００１５】前述のフィラーを被膜に添加する際の被膜
内における該フィラーの添加割合は、特に限定されるも
のではないが、該フィラーの過剰な添加は被膜強度の低
下や、浸出速度の制御困難を招くことから、１０〜９０
重量％の範囲であることが好ましく。より好ましくは２
０〜８０重量％の範囲である。また、界面活性剤を被膜
に添加する際の被膜内における界面活性剤の添加割合
は、特に限定されるものではないが、被膜に親水性を付
与し水田施用時における、被覆粒状物の浮上防止が界面
活性剤の添加目的である場合には、０．０１重量％以上
であることが好ましく、より好ましい範囲は０．０５〜
１０重量％である。

【００１６】本発明における被膜の被覆方法は特に限定
されるものではない。転動状態、流動状態若しくは噴流
状態にある芯粒子表面に、溶解若しくは溶融した被膜材
料を噴霧若しくは塗布し、乾燥若しくは固化させること
によって被膜を形成させる方法でも良く、溶解若しくは
溶融した液状の被膜材料に芯粒子を浸漬させ、乾燥若し
くは固化させることによって被膜を形成させる方法であ
っても良い。

【００１７】好ましい一例を挙げるならば、樹脂を主成
分とする被膜材料を有機溶媒で溶解させた溶解液を噴流
状態にある芯粒子の表面に噴霧する一方、高速熱風流に
より該芯粒子表面の溶媒を除去乾燥し、被膜を形成させ
る方法を挙げることができる。該製造方法に使用し得る
被覆装置の一例について添付図面を参照しながら説明す
る。本発明の被覆粒状物の製造方法は、図１に示される
噴流層を用いて行うのが最も好ましい。この噴流層は、
噴流状態にある芯粒子３に対し、被膜材料の混合溶解液
（被覆液）を配管５経由させ、スプレーノズル２により
噴霧し、芯粒子３の表面に吹き付けると同時に、高速熱
風を噴流塔１に下部からガイド管６へ向けて流入させ、
該高速熱風流によって、該芯粒子表面に付着している混
合溶解液中の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させ、被膜を形成さ
せるものである。

【００１８】そのときの製造条件としては、噴霧する被
覆液の液滴径を、できるだけ細かくし、該被覆液を芯粒
子表面に均一に噴霧すると同時に、熱風で芯粒子表面に
付着した被覆液を瞬時に乾燥させ、これらを繰り返し行
って被膜を形成させるのがよい。被覆液の液滴径を細か
くするには被膜材料の濃度を低く抑え、被覆液の粘度を
下げれば良く、被覆液の被膜材料濃度を１〜１５重量％
の範囲にすることが好ましい。低粘度の被覆液はスプレ
ーで噴霧したときに噴霧液滴径が小さくなり、被覆率が
同一の場合、薄膜を繰り返し形成させることになるので
被膜欠陥が生じにくい。

【００１９】本発明における好ましい被覆粒状物の膜厚
は、芯粒子の粒径と密接に関係し、一義的に特定できる
ものではないが、例えば芯粒子の粒径が１．５〜４．０
ｍｍの範囲である場合には、１０〜１００μｍの範囲で
あることが好ましい。

【００２０】本願の第２の発明は、本願第１の発明であ
る被覆粒状物を使用する作物の栽培方法である。作物の
栽培の際に、直接土壌に施用する方法であっても良く、
また育苗培土の組成物の一つとして本発明の被覆粒状物
を添加すると云ったような方法であっても良い。施用量
は特に限定されるものではなく、作物によって適宜決め
ることが可能であるが、施肥する窒素肥料の全重量に対
してビューレットが０．５〜１０．０重量％になるよう
に施用するのが効果的である。また、施用する時期も限
定されるものではなく、育苗開始時に育苗箱や育苗ポッ
トなどの育苗容器に施用してもよく、苗を移植すると同
時に定植穴の中に投入してもよく、圃場へ播種するとき
に栽培土壌表面に散布してもよく、また全面全層施肥法
等用いてもよい。施用に際しては、本発明の効果を損な
わない範囲で、農薬をはじめとする農業用資材と併用し
ても良い。

【００２１】また、本発明の栽培方法は作物が限定され
るものではなく、食用作物、飼料作物、工芸作物等の圃
場作物、果樹、蔬菜、花卉等の園芸作物に用いることが
できる。例えば、食用作物としてはイネ、麦類、トウモ
ロコシ、イモ類、マメ類を挙げることができ、飼料作物
としてはイネ科、マメ科、飼料用根菜を挙げることがで
き、工芸作物としては嗜好料作物（茶等）、香辛料作物
（コショウ等）、油料作物（ゴマ等）、糖料作物（甜菜
等）、繊維作物（綿花等）を挙げることができ、果樹と
しては仁果類（リンゴ等）、核果類（モモ等）、柑橘
類、熱帯果樹（パイナップル等）を挙げることができ、
蔬菜としては葉菜類、根菜類、果菜類を挙げることがで
き、花卉としては１年草、２年草、宿根草、花木等を挙
げることができる。本発明の被覆粒状物を用いた栽培方
法であれば、施肥窒素の利用率が向上するため、環境中
への窒素の流亡量を低減することができ、また、必要に
応じて施肥する窒素量を少なくすることも可能になる。

【００２２】本願の第３の発明は、本発明の被覆粒状物
を施用した土壌であり、土壌の種類等は何れの条件、状
況であっても構わない。本発明の土壌を用いて作物を栽
培すれば、施肥窒素の利用率が向上するため、環境中へ
の窒素の流亡量を低減することができ、また、必要に応
じて施肥する窒素量を少なくすることも可能になる。

【００２３】被覆粒状物の施用方法は特に限定されるも
のではく、直接土壌に施用する方法であっても良く、ま
た育苗培土の組成物の一つとして本発明の被覆粒状物を
添加すると云ったような方法であっても良い。施用量は
特に限定されるものではなく、作物によって適宜決める
ことが可能であるが、施肥する窒素肥料の全重量に対し
てビューレットが０．５〜１０．０重量％になるように
施用するのが効果的である。また、施用する時期も限定
されるものではなく、育苗開始時に育苗箱や育苗ポット
などの育苗容器に施用してもよく、苗を移植すると同時
に定植穴の中に投入してもよく、圃場へ播種するときに
栽培土壌表面に散布してもよく、また全面全層施肥法等
用いてもよい。施用に際しては、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、農薬をはじめとする農業用資材と併用して
も良い。

【００２４】また、本発明の圃場、若しくは土壌で栽培
される作物は特に限定されるものではなく、食用作物、
飼料作物、工芸作物等の圃場作物、果樹、蔬菜、花卉等
の園芸作物に用いることができる。例えば、食用作物と
してはイネ、麦類、トウモロコシ、イモ類、マメ類を挙
げることができ、飼料作物としてはイネ科、マメ科、飼
料用根菜を挙げることができ、工芸作物としては嗜好料
作物（茶等）、香辛料作物（コショウ等）、油料作物
（ゴマ等）、糖料作物（甜菜等）、繊維作物（綿花等）
を挙げることができ、果樹としては仁果類（リンゴ
等）、核果類（モモ等）、柑橘類、熱帯果樹（パイナッ
プル等）を挙げることができ、蔬菜としては葉菜類、根
菜類、果菜類を挙げることができ、花卉としては１年
草、２年草、宿根草、花木等を挙げることができる。

【００２５】

【実施例】以下実施例によって本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により限定されるべきものではな
い。尚、以下の実施例における「％」は特に断りがない
限り「重量％」である。「本発明品の製造」芯粒子の造粒芯粒子の造粒は下記の２種類の方法で行った。助剤とし
てクレイ若しくはベントナイト、またはその両方を用い
るときは押出し造粒法で行い、助剤を用いないときは噴
流造粒法で行った。本実施例においては、栽培試験にお
いて該被覆粒状物を用いたときの施肥窒素の利用率を測
定するため、芯粒子に用いる窒素肥料、及び施肥する窒
素肥料として、窒素が放射性同位元素の¹⁵Ｎである尿素
または硫酸アンモニウム（以後「硫安」と記載する）を
用いた。押し出し造粒法表１に示した各組成の芯粒子材料混合物をニーダーで均
一に混合し、水分が２０重量％になるように加水し、混
練した。この混合物をスクリュー押し出し式造粒機（ス
クリーン径３．０ｍｍφ）で押し出し造粒し、一次造粒
物を得た。該造粒物を、回転円盤式整粒機（不二パウダ
ル製、マルメライザーＱＪ４００）に供給し、下記運転
条件で、円形度係数が０．７以上になるまで平滑化処理
を行った。ここで、円形度係数とは、円形度係数＝（４π×粒子の投影面積）／（粒子投影図
の輪郭の長さ）² の式で求められる値である。処理後、熱風循環乾燥機を
用い１００℃の条件下で乾燥し、更に、振動篩で分級し
て３．３５〜２．３６ｍｍの被覆に供すべき二次造粒物
（芯粒子）を得た。該芯粒子は、株式会社ピアス製のＰ
ＩＡＳ−ＩＶを用いて円形度係数を測定した。測定条件
は、ランダムに取り出した粒子１００個を用いて行っ
た。回転円盤整粒機運転条件運転方式：回分式運転時間：３ｍｉｎ目皿ピッチ：１ｍｍ回転数：７８８ｒ／ｍｉｎ仕込量：３ｋｇ（１回当たり）噴流造粒法噴流造流は図２に示した装置で行った。図２において、
７は造粒塔で塔径２５０ｍｍφ、下部逆円錐部先端のオ
リフィス径が４２ｍｍφで、その上方８３ｍｍの位置に
垂直に径８３ｍｍのガイド管８が置かれている。造粒塔
にはオリフィス部よりブロアー１１にて熱風が噴出され
る。オリフィス部中央部には噴霧用ノズルが設けられて
おり、溶液供給ポンプ１２より芯粒子材料のメチルアル
コール溶液が供給される。造粒塔は篩分器１４に連結さ
れている。篩分器は３段になっており、オーバーサイ
ズ、製品サイズ、アンダーサイズに分けられ、アンダー
サイズは再び造粒塔に戻るようになっている。オーバー
サイズは粉砕後、再び芯粒子の材料として用いることが
できる。先ず、表１に示した各組成の芯粒子材料混合物
５ｋｇのうち１００ｇを１００ｍｌのメチルアルコール
（和光純薬工業（株）製特級）に溶かし、この溶液を
５０℃のオーブンに入れ、メチルアルコール分を除去、
乾燥させ板状の結晶を得た後、この結晶を粗粉砕し、１
〜２ｍｍの粒状物を得た。該粒状物を図２に示した噴流
造粒装置に投入すると同時に、オリフィス部から熱風を
噴出させ噴流状態とし、噴流状態にある該粒子の表面に
残りの４．９ｋｇの芯粒子材料をメチルアルコール（和
光純薬工業（株）製特級）に１０重量％になるように
溶解させた溶液（噴霧液）を噴霧し、噴霧終了後、造粒
物を篩分器で分級し、３．３５〜２．３６ｍｍの被覆に
供すべき造粒物（芯粒子）を得た。なお、該芯粒子につ
いてもＰＩＡＳ−ＩＶを用いて円形度係数を測定し、円
形度係数が０．７以上であることを確認した。噴霧液の芯粒子材料濃度１０％粗粉砕粒状物投入量１００ｇ熱風温度８０℃ 熱風風量：４ｍ³／ｍｉｎ粗粉砕粒状物表面温度４０℃ 噴霧液流速：平均０．２ｋｇ／ｍｉｎ

【００２６】

【表１】ビューレット：東京化成工業（株）製クレイ：富士タルク工業（株）製ＦＡ−８０ベントナイト：和光純薬工業（株）製硫酸アンモニア：和光純薬工業（株）製 Ultra Pure¹⁵ N 硫酸アンモニア： Icon Services,Inc.製（¹⁵N：３
atom％）尿素：和光純薬工業（株）製 Ultra Pure¹⁵ N尿素：Icon Services,Inc.製（¹⁵N：３atom％）

【００２７】２．被覆粒状物の製造（実施例１〜１３、
比較例１、２）図１に示される噴流層被覆装置（塔径２５０ｍｍ、高さ
３０００ｍｍ）を用いて、前記の「芯粒子の造粒」によ
って得られた芯粒子を、被膜材料溶解液を用いて被覆
し、実施例１〜１３及び比較例１、２の被覆粒状物を得
た。製造方法は、以下の方法に準拠して行い、被覆率は
１０％とした。ここで云う被覆率とは、被覆粒状物の重
量（ａ）と被膜の重量（ｂ）との和を１００重量％とし
た被覆粒状物に対する被膜の重量（ｂ）の比率であり、
算式［ｂ×１００／（ａ＋ｂ）］で求めた値である。被
膜材料溶解液は表２に示す被膜材料をテトラクロロエチ
レンに８０℃で溶解撹拌して被膜材料が被膜材料溶解液
に対し２．５％となるよう調整した。未被覆の芯粒子：３ｋｇ熱風温度：１１０℃ 熱風風量：４ｍ³／ｍｉｎ噴霧液流速：０．２ｋｇ／ｍｉｎ被覆工程は流動中の芯粒子温度が７０℃に達した時点か
ら開始し、品温が７０℃一定になるように６５分間一流
体ノズルを用いて被膜材料溶解液を噴霧し、噴霧停止
後、噴流状態及び品温７０℃を維持しながら１０分間の
乾燥を行い被覆粒状物を得た。

【００２８】

【表２】ＰＥ：低密度ポリエチレンＭＩ＝２３ｄ＝０．９１
６ｇ／ｃｍ³ タルク：平均粒径５μm 富士タルク工業（株）製Ｐ
Ｋ−５０ＥＶＡ：エチレン−酢酸ビニル共重合体ＶＡｃ＝１５
重量％ＭＩ＝７．０

【００２９】３．ビューレット及び肥料の放出確認試験前記の「被覆粒状物の製造」によって得られた各被覆粒
状物（実施例１〜１３、比較例１、２）のビューレット
及び肥料の放出確認試験を実施した。ビューレットの放出確認試験放出されたビューレットの定量は、銅錯塩法（肥料分析
法の現行法）により行った。各被覆粒状物１００ｇを２
５℃の水２００ｍｌに入れ、水温を２５℃の一定条件に
保持しながら放置し、１０日間放置後、水中に放出され
たビューレットを含む水溶液に銅錯塩液を注加して発色
させ、波長５４０ｎｍの吸光度を測定した。得られた測
定値から１０日間放出率（Ｂ１）を求めた。同様の方法
で４０日間放出率（Ｂ２）も求めた。その結果を表２に
示す。

【００３０】肥料溶出確認試験放出確認試験は、各被覆粒状物１００ｇを２５℃の水２
００ｍｌに入れ、水温を２５℃の一定条件に保持しなが
ら１０日間放置し、２週間放置後、水中に溶出された窒
素成分の濃度をウレアーゼ蒸留法（肥料分析法の現行
法）により測定した。まず、放出された肥料成分を含む
水溶液のｐＨを５．６〜５．８にあわせ、ウレアーゼの
粉末を添加した（肥料成分が硫安のみのときはウレアー
ゼは無添加）。４５℃の水浴中に１時間浸し、肥料中の
尿素をアンモニアに分解した。その後水蒸気蒸留により
アンモニア成分を全て硫酸液中に留出し、標準水酸化ナ
トリウム溶液で滴定した。滴定値から放出された肥料成
分量を算出し、１０日間肥料成分溶出率（Ｆ１）を求め
た。同様に、４０日間肥料成分溶出率（Ｆ２）も求め
た。その結果を表２に示す。

【００３１】表２から、ビューレットを含む粒子を被膜
材料で被覆することにより、ビューレットのしみ出しを
制御しうることが示された。また、ビューレットと肥料
成分は同様の溶出を示し、該成分の溶出は、ビューレッ
トと肥料成分の含有量、クレイとベントナイトの有無、
造粒方法の違いに左右されないことが分かった。

【００３２】４．栽培試験実施例１〜６、８、１０〜１３及び比較例１、２の各被
覆粒状物を用いてトマトの栽培試験を行った。栽培は熊
本県水俣市湯出の圃場（黒ボク土）で行った。圃場より
採取した黒ボク土を用いて育苗した苗を、６月１５日に
圃場に定植した。栽培した品種は大豊で、定植は十分な
灌水を行った後行った。栽植距離は畦幅９０ｃｍ、株間
４０ｃｍとした。該粒状物及び窒素肥料は、定植時に定
植穴に施用し、リン酸及び加里は定植直前に全層に施肥
した。施肥量は１０ａ換算で窒素（Ｎ）１２ｋｇ、リン
酸及び加里は、リン酸（Ｐ₂Ｏ₅）１７ｋｇ、加里（Ｋ₂
Ｏ）１２ｋｇとした。圃場に施用する窒素肥料は、窒素
が放射性同位元素の¹⁵Ｎである硫安を用い、該粒状物及
び該硫安をビューレットを除く窒素分が１２ｋｇ／１０
ａとなるように施用した。リン酸は過燐酸石灰（Ｐ
₂Ｏ₅：１７．０％）、加里は塩加加里（Ｋ₂Ｏ：６３．
２％）を施用した。比較例４については、１０ａ換算で
窒素（Ｎ）１２ｋｇになるように比較例２の粒状物を施
肥し、比較例３については、比較例４と同量の比較例１
の粒状物を施用した。供試した該被覆粒状物、施肥窒素
に対するビューレットの割合、生育障害の有無を表３に
示す。

【００３３】５．利用率の測定８月１５日に植物体を採取し、液体窒素中で粉砕した。
粉砕物をデシケーターに入れ、７日間乾燥した。乾燥
後、２ｇを秤とり、サリチル硫酸と分解促進剤の入った
３０ｍｌの硫酸中に入れ、加熱して試料中のＮ化合物を
全てアンモニアにした。分解によってアンモニアになっ
た試料を蒸留法により硫酸液中に集めた。この液を逆Ｙ
字ガラス反応器の一方の袋に入れ、もう一方の袋にＮａ
ＯＢｒ溶液を入れた後、直空にし両者を混合して窒素ガ
スを発生させた。この窒素ガスを石英管に５ｍｍＨｇに
なるように封入し、¹⁵Ｎアナライザー（日本分光（株）
製）で ¹⁵Ｎの存在比率を求め、施肥窒素の利用率を算出
した。結果を表３に示す。

【００３４】

【表３】硫安：硫酸アンモニア窒素（Ｎ） Icon Services,In
c.製（¹⁵N：３atom％）

【００３５】実施例１２〜２６と比較例３〜４の結果を
比較すると、実施例１２〜２６における施肥窒素利用率
は全て比較例３〜４を上回っていた。したがって、本実
施例の結果から、ビューレットを含有する該被覆粒状物
には、施肥窒素の利用率を向上する効果があることが示
された。実施例２０と実施例１２、１３、１６、１９と
の施肥窒素利用率の比較から、該被覆粒状物に含まれる
ビューレットの含有量が０．５重量％以上である方が効
果的であることが明らかになった。また、実施例１４〜
１８では、施肥した窒素肥料の全重量に対するビューレ
ットの割合が０．５％以上であれば、施肥窒素の利用率
が顕著に向上し、１０％を超えると作物に生育が遅い傾
向が認められた。更に、窒素肥料を含まない該被覆粒状
物を用いた実施例１６、２１よりも、窒素肥料を含む該
被覆粒状物を用いた実施例２２〜２６の方が施肥窒素の
利用率が高いことから、該被覆粒状物に窒素肥料を含有
させれば、施肥窒素利用率がさらに向上することが明ら
かになった。更に、実施例２２と２３の比較から、該被
覆粒状物に含まれる窒素肥料は尿素である方が効果的で
あり、実施例１６、２４、２５、２６の結果から、その
含有量は１０重量％以上が効果的であった。

【００３６】

【発明の効果】従来よく行われる全層施肥法では、速効
性肥料や肥効調節型肥料を用いても、施肥窒素の多くは
作物に利用されずに環境に流亡していたが、ビューレッ
トを含有する本発明の被覆粒状物は、植物の根圏に施用
されることにより、施肥された窒素肥料の植物による利
用率を向上させうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】排気管噴流層被覆装置の概略縦断面図

【符号の説明】

噴流塔スプレーノズル被覆用芯粒子熱風導入管被膜材料導入管６．ガイド管

【図２】噴流層造粒装置のフローシート図

【符号の説明】

噴流造粒塔ガイド管気体噴出口溶液噴霧ノズル空気ブロワー溶液供給ポンプロータリーバルブ篩分器排気管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考） // Ｃ０９Ｋ 101:00 Ｆターム(参考） 4H026 AA07 AA11 AB04 4H061 AA01 AA04 BB01 BB15 DD04 DD16 DD18 EE25 EE35 FF08 FF15 HH02 HH03 HH05 JJ04 KK01 KK02 KK03 KK04 KK07 KK09

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ビューレットを含む粒子を被膜材料で被覆
した被覆粒状物。
【請求項２】ビューレットと窒素肥料とを含む粒子を被
膜材料で被覆した被覆粒状物。
【請求項３】窒素肥料が尿素である請求項２に記載の被
覆粒状物。
【請求項４】被膜材料が樹脂である請求項１〜３の何れ
か１項に記載の被覆粒状物。
【請求項５】樹脂がオレフィン重合体、オレフィン共重
合体、塩化ビニリデン重合体、塩化ビニリデン共重合体
から選ばれた１種以上である請求項４に記載の被覆粒状
物。
【請求項６】請求項１〜５の何れか１項に記載の被覆粒
状物を用いた作物の栽培方法。
【請求項７】請求項１〜５の何れか１項に記載の被覆粒
状物を施用した土壌。