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JP2000087254A - 油分付着鋼材の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液 - Google Patents

油分付着鋼材の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液

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JP2000087254A
JP2000087254A JP11089982A JP8998299A JP2000087254A JP 2000087254 A JP2000087254 A JP 2000087254A JP 11089982 A JP11089982 A JP 11089982A JP 8998299 A JP8998299 A JP 8998299A JP 2000087254 A JP2000087254 A JP 2000087254A
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degreasing
oil
zinc
zinc phosphate
chemical conversion
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Hitoshi Ishii
均 石井
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Nihon Parkerizing Co Ltd
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Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油分の付着した鋼材の脱脂から化成を同一工
程で行うことを可能にし、もって、処理工程の短縮、省
スペース化、生産性の向上、薬剤コストの低減を達成し
得る、脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液を提供する。 【解決手段】 亜鉛イオン、リン酸イオンおよび化成促
進剤を含有し、かつHLB12〜17のポリオキシエチ
レンアルキルエーテルで乳化した鉱油0.1〜10g/
Lを含有する水溶液であることを特徴とする、油分付着
鋼材の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防錆油、プレス油、
切削油等の油分が付着した冷延鋼板、熱延鋼板、鋳物
材、鋼線、鋼管等の表面をリン酸亜鉛化成処理する処理
液に関する。より具体的には、脱脂工程と化成工程を同
一工程にて行うことが可能であり、かつ、従来通り脱脂
処理とリン酸亜鉛化成処理を別工程で行った場合と同等
の皮膜重量、皮膜外観を持つリン酸亜鉛化成処理皮膜を
形成することができる油分付着鋼材の脱脂兼リン酸亜鉛
化成処理液に関するものである。なお、本発明の処理液
を用いて形成されるリン酸亜鉛化成皮膜は、塗装下地、
塑性加工潤滑下地、防錆被膜等として機能する。
【0002】
【従来の技術】現在、鋼材に対して優れた防錆性、塗装
性、潤滑性を付与するために、リン酸亜鉛化成処理が広
く用いられている。一般的な処理工程としては(1)脱
脂−(2)水洗−(3)化成[リン酸亜鉛]−(4)水
洗−(5)乾燥の順であるが、(2)および(4)の水
洗工程は必要に応じて多段水洗工程にしたり、湯洗工程
にすることもある。
【0003】リン酸亜鉛化成皮膜が塗装下地として形成
される場合には、皮膜重量が2〜5g/m2程度の均一
かつ緻密な皮膜とすることが望ましい。皮膜結晶の均一
緻密化は、リン酸亜鉛化成処理工程での条件変動だけで
は達成が困難なため、リン酸亜鉛化成処理の直前にチタ
ンコロイド系の表面調整処理を行うことが多い。通常、
リン酸亜鉛化成処理は、リン酸イオン10〜20g/L
および亜鉛イオン1.5〜5.0g/Lを含有する処理
液を用いて、35〜60℃で鋼材表面にスプレーする
か、鋼材を浸漬して処理される。
【0004】潤滑下地皮膜として形成される場合には、
皮膜重量5〜20g/m2程度の厚膜タイプとすること
が望ましく、(4)の水洗工程後または(5)の乾燥工
程後に石鹸処理や固体潤滑処理のような潤滑処理が施さ
れる。リン酸亜鉛化成処理は、リン酸イオン10〜50
g/Lおよび亜鉛イオン5〜20g/Lを含有する処理
液を用いて、60〜90℃で鋼材を浸漬して処理され
る。また、防錆皮膜として形成される場合にも、ほぼ上
記潤滑下地皮膜形成の処理条件と同様であり、皮膜形成
後潤滑処理の代りに防錆油塗布のような防錆処理が施さ
れる。
【0005】いずれのタイプのリン酸亜鉛化成処理にし
ても、被処理材の表面には、防錆や前工程での切削、プ
レス加工等のために油分が付着している場合がほとんど
であり、このような場合には(1)の脱脂工程は必須工
程となる。
【0006】前記処理工程を用いて処理する場合の第1
の問題点として、全工程が非常に長くなる点が挙げられ
る。これによって処理設備が大掛かりになると共に、多
くのスペースが必要となる。上記工程は5または6工程
よりなっているが、アルカリ脱脂および水洗工程に関し
ては洗浄効率を向上させるために、多段処理を行うこと
が多いので、設備費用が掛かると共に、処理工程をすべ
て通過するのにかなりの時間を要するため生産性が低く
なる。
【0007】第2の問題点としては管理項目が多い点が
挙げられる。例えば脱脂がアルカリ脱脂であれば、脱脂
液のアルカリ度(全アルカリ度、遊離アルカリ度)、チ
タンコロイド系の表面調整を用いる場合は表面調整液の
濃度(全アルカリ度、チタン濃度)の管理というよう
に、管理すべき項目が多岐に亘り、操業上大きな負担と
なる。しかも、個々の工程で薬剤が消費されていくた
め、コスト負担もかなり大きい。なお、脱脂液は被処理
物に付着して次工程(水洗工程)へ持ち出されることに
より消費されると共に、定期的な廃棄更新時に消費され
る。表面調整液は、持ち出し、廃棄更新によって消費さ
れ、さらに、処理液の耐久性が低いために連続的な部分
更新(オートドレン)を行う場合が多く、これによって
も消費される。
【0008】第3の問題点としては、洗浄水洗水の排水
量が多くなる点が挙げられる。脱脂液が表面調整液やリ
ン酸亜鉛化成処理液に持ち込まれた場合、不具合を生じ
ることが多いため、脱脂工程後には必ず水洗工程が設置
される。また、リン酸亜鉛化成処理後についても、被処
理物表面に処理液が付着したままの状態では、防錆、塗
装下地、潤滑下地いずれの目的に用いた場合も不具合が
発生するので、水洗工程の設置は必須である。よって、
脱脂後、リン酸亜鉛化成処理後の2系統からの水洗水が
大量に排出されることになり、排水処理への負担がかな
り大きい。
【0009】設備の省コスト化、省スペース、管理の簡
略化、排水処理の負担軽減、いずれを取っても近年表面
処理業界に強く求められているテーマであり、これらの
課題を解決することによるメリットは計り知れない。
【0010】上記3つの問題点を解決するために、従来
から脱脂とリン酸亜鉛化成処理を同一工程で行う方法が
検討されてきた。例えば、特開昭63−227786号
公報に開示されている「亜鉛又は亜鉛合金メッキ鋼板成
形物を、Zn2+0.3〜1.0g/L、Ni2+0.4〜
3.5g/L、Mn2+0.1〜3.5g/L、PO3- 4
10〜20g/L、F-0.5〜1.5g/L、NO- 3
15g/L以下、界面活性剤0.7〜6g/L、促進剤
(NO- 2)濃度2〜6ポイントの酸性処理液に浸漬して
処理するとリン酸塩処理方法」が挙げられる。この方法
を用いると、脱脂と化成処理を同時に行い、カチオン電
着塗装性能の向上を図ることができるが、亜鉛含有金属
材料以外には適用できないという欠点がある。上記発明
を鋼材に対して適用した場合には、皮膜形成が不十分と
なり、要求性能を満足することはできない。
【0011】また、特開平8−302477号公報に
は、亜鉛イオンおよびリン酸イオンと、さらに50〜1
500ppmの有機過酸化物からなる化成促進剤と、必
要により界面活性剤とを含有する化成処理液、およびこ
れを用いて、金属材料表面上に、微細化された結晶を含
むリン酸亜鉛系化成皮膜を形成する方法が開示されてい
る。しかし、この方法によっても、油分付着鋼材に対し
て脱脂とリン酸亜鉛化成処理を同一工程で行う場合にお
いては、満足な皮膜形成が成されていないのが現状であ
る。
【0012】以上説明したように、現行の脱脂〜化成〜
乾燥からなる処理工程を短縮し、設備コスト、薬剤コス
トおよび処理液管理を簡素化しようとするニーズは従来
から高いものの、色々な技術的障害があるために、現状
では実現に至っていない。すなわち、脱脂兼リン酸亜鉛
化成処理の発想は従来からあるものの、鋼材に対して脱
脂性とリン酸亜鉛化成処理性を同時に満足する化成処理
液は得られていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の抱える問題点を解決するために成されたものであ
り、油分の付着した鋼材の脱脂から化成を同一工程で行
うことを可能にし、もって、処理工程の短縮、省スペー
ス化、生産性の向上、薬剤コストの低減を達成し得る、
脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、まずリン酸亜鉛化成処理液中に種々
の界面活性剤を添加し、これを用いて油分付着鋼材を脱
脂し、かつリン酸亜鉛化成処理することを試みた。その
結果、特定の構造を持った界面活性剤、具体的にはポリ
オキシエチレンアルキルエーテルを添加した場合に、脱
脂性と化成処理性の双方が、他の界面活性剤を添加した
場合と比べて、優れていることを見出した。
【0015】しかし、ポリオキシエチレンアルキルエー
テルを用いた場合でも、脱脂工程とリン酸亜鉛化成処理
工程を分けた場合と比較すると、脱脂性やリン酸亜鉛皮
膜の均一性、被覆性等の性能が十分とは言えなかった。
そこで本発明者らは、ポリオキシエチレンアルキルエー
テルのポリオキシエチレン付加モル数、アルキル炭素数
および油分濃度等について詳細な検討を行った。
【0016】その結果、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル中のポリオキシエチレン付加モル数とアルキル基
の炭素数によって決定されるHLBが12〜17の範囲
内にあることが上記諸性能を良好なものにするために必
要であることを見出した。さらに、油分付着鋼材を処理
したときに不可避的に混入する油分については、例えば
アルカリ脱脂剤に関していえば、通常少ないほど良好な
脱脂性を示す。しかしながら、本発明者らは、上記特定
HLB値のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有
する処理液にある濃度の鉱油を存在させる場合には、脱
脂性を損なうこと無く、均一なリン酸亜鉛化成皮膜を形
成できることを見出した。
【0017】かかる知見に基づいて完成された本発明
は、亜鉛イオン(Zn2+)、リン酸イオン(PO3- 4
および化成促進剤を含有し、かつHLB12〜17のポ
リオキシエチレンアルキルエーテルで乳化した鉱油0.
1〜10g/Lを含有する水溶液であることを特徴とす
る、油分付着鋼材の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液に関す
る。さらに、より良好な脱脂性を発揮させ、より均一な
リン酸亜鉛化成皮膜を析出させるためには、前記脱脂兼
リン酸亜鉛化成処理液は、前記ポリオキシエチレンアル
キルエーテルを0.5〜5.0g/L、および前記鉱油
をポリオキシエチレンアルキルエーテル100重量部に
対して20〜300重量部含有することが好ましい。本
発明の上記脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液は、塗装下地形
成用に使用する場合には、亜鉛イオン1.5〜5.0g
/Lおよびリン酸イオン10〜20g/Lを含有し、遊
離酸度が0.5〜4.0ポイントであることが好まし
く、潤滑下地または防錆皮膜形成用に使用する場合に
は、亜鉛イオン5〜20g/Lおよびリン酸イオン10
〜50g/Lを含有し、遊離酸度が4.0〜15ポイン
トであることが好ましい。化成促進剤として亜硝酸イオ
ンが用いられる場合には、酸の存在下でのその不安定性
を考慮して、本発明の処理液を二液型とすることができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の内容を詳しく説明
する。本発明の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液は、基本的
に亜鉛イオン、リン酸イオンおよび化成促進剤を含有す
るリン酸亜鉛化成処理液をベースに、HLB12〜17
のポリオキシエチレンアルキルエーテルで乳化した鉱油
を0.1〜10g/L含有している。なお、この含量
は、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含まな
い、鉱油としての含量である。上記ポリオキシエチレン
アルキルエーテルにおけるアルキル基は特に限定されな
いが、炭素数8〜14の直鎖もしくは分岐のアルキル基
であることが好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルのHLBが12を下回る場合は脱脂不良となり、
17を上回る場合はリン酸亜鉛皮膜の析出ムラを生じ
る。
【0019】鉱油としてはマシン油、灯油、軽油、切削
油剤、タービン油、防錆油、プレス油、スピンドル油等
が挙げられる。これらの具体例としては日本工業規格に
規定されている鉱油製品である、JIS K 2238
のマシン油、JIS K 2203の灯油、JIS K
2204の軽油、JIS K 2241の切削油剤、
JIS K 2213のタービン油、JIS K 22
46のさび止め油等が挙げられる。なお、防錆油やプレ
ス油には防錆添加剤や極圧添加剤が添加されている場合
もあるが、その場合でも本発明での使用に支障ない。鉱
油の濃度が0.1g/Lを下回る場合はリン酸亜鉛皮膜
の析出ムラを生じ、10g/Lを上回る場合は脱脂不良
となる。最も良好な濃度範囲は0.2〜7.5g/Lで
ある。
【0020】さらに、良好な脱脂性を保持し、より均一
なリン酸亜鉛皮膜を析出させるためには、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル濃度を0.5〜5.0g/Lに
すると共に、鉱油濃度はポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル100重量部に対して20〜300重量部の範囲
に調整することが好ましい。
【0021】化成促進剤は酸のエッチング力を高め、化
成反応を促進する。化成促進剤としては亜硝酸イオン、
ヒドロキシルアンモニウムイオン、塩素酸イオン、ニト
ロベンゼンスルホン酸イオン、過酸化水素等を使用でき
るが、亜硝酸イオンまたはヒドロキシルアンモニウムイ
オンが最も好ましい。化成促進剤の濃度範囲は一般に
0.05〜2.0g/Lが好ましく、特に亜硝酸イオン
の濃度範囲は50〜200mg/L、ヒドロキシルアン
モニウムイオンの濃度範囲は0.5〜2.0g/Lが好
ましい。亜硝酸イオンは亜硝酸ナトリウム、ヒドロキシ
ルアンモニウムイオンは硫酸ヒドロキシルアンモニウ
ム、リン酸ヒドロキシルアンモニウム等の形で添加でき
る。
【0022】本発明で用いるリン酸亜鉛化成処理液の中
には、金属表面の酸化膜を破壊し、エッチング反応を補
助するエッチング助剤、皮膜の密着性や酸、アルカリに
対する化学的安定性を向上させるための他の金属イオン
等の従来使用されてきた添加成分を含有させることがで
きる。エッチング助剤としてはフッ化物イオン、珪フッ
化物イオン等が挙げられる。これらはナトリウム塩、ア
ンモニウム塩または遊離の酸(フッ化水素酸、珪フッ化
水素酸等)として処理液中に含有させることができる。
エッチング剤の濃度は0.1〜2.0g/Lが好まし
い。他の金属イオンとしては、主として皮膜の密着性を
向上させるニッケルイオン(Ni2+)、銅イオン(Cu
2+)、コバルトイオン(Co2+)等および/または主と
して皮膜の化学的安定性(耐酸性、耐アルカリ性)を向
上させるマンガンイオン(Mn2+)、マグネシウムイオ
ン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)等を使用で
きる。これらは硝酸塩、リン酸塩等として処理液中に含
有させることができる。他の金属イオンの濃度は、銅イ
オンでは5〜50mg/L、その他の金属イオンでは
0.1〜3.0g/Lが好ましい。本発明の処理液中に
これらの成分が含有されていても、個々の成分が個々の
作用効果を十分に発揮することができるので、何ら問題
はない。
【0023】一般に、本発明の処理液中のリン酸イオン
の濃度は10〜50g/Lであるのが好ましく、亜鉛イ
オンの濃度は1.5〜20g/Lであるのが好ましく、
遊離酸度は0.5〜15ポイントであるのが好ましい。
しかしながら、本発明の処理液中のリン酸イオンおよび
亜鉛イオンの濃度、および遊離酸度は形成される皮膜の
用途によって以下のように設定するのがさらに好まし
い。すなわち、塗装下地処理として適用される場合は、
皮膜重量2〜5g/m2程度の薄膜タイプの均一緻密な
リン酸亜鉛皮膜を析出させることが望ましいので、リン
酸イオン10〜20g/Lおよび亜鉛イオン1.5〜
5.0g/Lであるのが好ましい。また、遊離酸度は
0.5〜4.0ポイント程度に調整するのが好ましい。
一方、潤滑下地皮膜として適用される場合には、皮膜重
量5〜20g/m2程度の厚膜タイプであることが望ま
しいので、リン酸イオン10〜50g/Lおよび亜鉛イ
オン5〜20g/Lであるのが好ましい。また、防錆皮
膜として適用される場合は、潤滑下地皮膜の場合のリン
酸イオンおよび亜鉛イオン濃度とほぼ同様で良い。ま
た、いずれの場合も遊離酸度は4.0〜15ポイント程
度、特に5.0〜13ポイント程度に調整するのが好ま
しい。
【0024】ここで遊離酸度とは、2〜3程度の低いp
Hを精度良くかつ再現性良く測定することはpHメータ
(ガラス電極)では困難であるため、処理液の酸性度を
表すのにpHの代りに一般に用いられる代用値であっ
て、処理液10mLを採取し、ブロムフェノールブルー
を指示薬として、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液で
中和滴定を行い、黄色から青色に変化するまでに要した
滴定液のmL数のことである。例えば遊離酸度1ポイン
トとは上記mL数が1mLであることを意味する。なお
本発明の処理液は、特に限定される訳ではないが、通
常、硝酸または水酸化ナトリウムによって所定の遊離酸
度に調整することができる。
【0025】本発明の処理液の調製方法についての制限
は特にない。例えばリン酸イオン、亜鉛イオンおよび化
成促進剤、および必要に応じエッチング助剤および/ま
たは他の金属イオン等を含有する水溶液に、HLB12
〜17のポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび鉱
油を添加して全体を乳化することによって調製すること
ができる。化成促進剤を乳化後に加えることも可能であ
り、化成促進剤として亜硝酸イオンを用いる場合はそう
するのが好ましい。亜硝酸イオンがリン酸亜鉛処理液の
ような酸性水溶液中で自然分解する性質があり、特に乳
化時の撹拌で分解が促進される恐れがあるからである。
【0026】化成促進剤として亜硝酸イオを用いる場合
には上記の不安定性を考慮して、本発明の処理液を、亜
鉛イオンおよびリン酸イオンを含有し、かつHLB12
〜17のポリオキシエチレンアルキルエーテルで乳化し
た鉱油0.1〜10g/Lを含有する水溶液と亜硝酸イ
オンを含有する水溶液とからなる二液型の、油分付着鋼
材の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液であって、両者を混合
した際に上記した一液型の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液
とすることができる、脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液とし
ても良い。この二液型タイプの脱脂兼リン酸亜鉛化成処
理液は通常ユーザーが使用時に混合して一液型として使
用する。
【0027】本発明の処理液を適用する対象物は、表面
に防錆油、プレス油等の油分の付着した冷延鋼板、熱延
鋼板、鋳物材、鋼線、鋼管等の鋼材である。鋼は普通鋼
であることが好ましく、ステンレス鋼のように合金成分
を多量に含有する合金鋼には適さない。付着油は鉱油、
植物油、動物油いずれでも良いが、鋼材に塗油される油
としては鉱油が最も一般的であり、処理液に含有する鉱
油の供給源ともなり得るので、鉱油であることが好まし
い。鋼材に付着した油分付着量は特に限定されない。ま
た、本発明の処理液は鋼材に対して特にその効果を発揮
するものであるが、亜鉛めっき材や亜鉛材、アルミニウ
ム材といった他の金属材料に対しても、その効果を十分
発揮するものである。
【0028】本発明の処理液を用いて油分付着鋼材を処
理する場合の処理方法としては、スプレー処理または浸
漬処理が好ましい。処理温度、処理時間および皮膜重量
は皮膜用途によって異なる。本発明の処理液を塗装下地
皮膜形成のために用いる場合には、皮膜重量2〜5g/
2程度の薄膜タイプの均一緻密なリン酸亜鉛皮膜を析
出させることが望ましい。処理時の処理液の温度は35
〜60℃であることが好ましい。35℃を下回る場合
は、脱脂不良またはリン酸亜鉛皮膜の析出不良となり、
60℃を超える温度は経済的に不利である。処理時間は
30秒〜10分が好ましい。30秒を下回る場合は、脱
脂、化成のいずれかが不十分となる可能性があり、10
分を上回る場合は、脱脂および化成反応が完全に終結
し、それ以上処理液と被処理物が接液していても、もは
や何ら反応の進行が見られないため、経済的に無駄であ
り、生産性の低下につながる。
【0029】本発明の処理液を潤滑下地皮膜形成のため
に用いる場合には、皮膜重量5〜20g/m2程度の厚
膜タイプのリン酸亜鉛皮膜を析出させることが望まし
い。処理時の処理液の温度は60〜90℃であることが
好ましい。60℃を下回る場合は、所望の皮膜重量が得
られず、90℃を超える温度に保持することは実質的に
困難なばかりか経済的にも不利である。処理時間は30
秒〜10分が好ましい。30秒を下回る場合は、脱脂、
化成のいずれかが不十分となる可能性があり、10分を
上回る場合は、脱脂および化成反応が完全に終結し、そ
れ以上処理液と被処理物が接液していても、もはや何ら
反応の進行が見られないため、経済的に無駄であり、生
産性の低下につながる。本発明の処理液を防錆皮膜形成
のために用いる場合の処理温度、処理時間および皮膜重
量は潤滑下地皮膜形成の場合とほぼ同様で良い。
【0030】本発明の処理液を用いて処理された鋼材
は、処理後に付着した処理液を洗い流すため、水洗また
は湯洗に付される。その後、必要に応じて乾燥後、塗装
が目的の場合には塗装処理を行い、潤滑が目的の場合に
は反応型の石鹸処理や固体潤滑剤の塗布を行う。防錆が
目的の場合には乾燥後そのまま使用するか防錆油を塗油
するのが一般的である。
【0031】
【作用】次に本発明の作用効果について説明する。本発
明は、油分付着鋼材に対し、脱脂とリン酸亜鉛化成処理
を同時に行うことを目的に、HLB12〜17のポリオ
キシエチレンアルキルエーテルで乳化した鉱油を含有す
るリン酸亜鉛化成処理液を用いることが最大の特徴であ
る。
【0032】油分付着鋼材に適用される脱脂液、特にア
ルカリ脱脂液における界面活性剤は、一般に油分に対す
る乳化性および分散油の再付着防止性を有するタイプが
使用される。脱脂は付着油の乳化分散から始まるもので
あり、乳化性は脱脂の基本性能と言える。さらに、乳化
分散した油分の再付着を防止することも脱脂性の優劣を
決定する重要な性能である。分散油の再付着防止機構
は、一度脱脂された金属表面に界面活性剤が単分子レベ
ルで吸着し、金属表面への油分再付着をブロックしてい
るものと考えられる。このように、乳化性と油分再付着
防止性が共に良好な界面活性剤こそ、脱脂液設計上優れ
た界面活性剤と言える。
【0033】一方、リン酸亜鉛化成処理液中に界面活性
剤を添加して、脱脂と化成を同時に行おうとした場合、
良好な乳化性は求められるものの、油分再付着防止性は
化成反応に対してかえって弊害となる。なぜならば、金
属表面への界面活性剤の吸着は、化成反応の開始反応で
ある素地金属のエッチングを抑制してしまうからであ
る。事実、吸着力の強い界面活性剤の中には腐食抑制剤
(インヒビター)として適用されているものもある。つ
まり、金属表面に付着する油分の乳化分散能力は有して
いるものの、金属表面への吸着力の極力小さい界面活性
剤こそ、脱脂兼リン酸亜鉛化成処理に対して最も有効な
界面活性剤ということになる。
【0034】特開昭63−227786号公報に開示の
技術が亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板にのみ有効であっ
たのは、亜鉛自体が鉄に比べてリン酸亜鉛化成処理液中
でエッチングされやすい金属であるがために、界面活性
剤の吸着によってエッチング反応が極端に抑制されるこ
とがなかったためと考えられる。また、特開平8−30
2477号公報に開示の技術では、強力な酸化剤の有機
過酸化物を用いることによってエッチング力を強化して
いるが界面活性剤の吸着によるエッチング抑制作用は免
れない。
【0035】しかし、本発明の処理液に含有されるHL
B12〜17のポリオキシエチレンアルキルエーテル
は、油分に対する強力な乳化力を有している反面、金属
表面への吸着力が微弱なため、エッチング反応への抑制
作用は少ない。すなわち、従来技術での対応が困難であ
った鋼材に対して、特別な酸化剤を用いなくても化成処
理を進行させるに十分なエッチング力を確保することが
できるのである。
【0036】ただし、上記界面活性剤をリン酸亜鉛化成
処理液中に添加するだけでは、エッチング反応は進行す
るものの、均一なリン酸亜鉛化成皮膜の析出には不十分
である。良好なリン酸亜鉛化成皮膜は、結晶性のリン酸
亜鉛微粒子が均一に析出している必要があるが、脱脂と
化成を同時に行った場合は、脱脂が完了した鋼材表面か
ら順次化成反応に移行するために、脱脂にかかるタイム
ラグがそのまま皮膜析出時のムラ、すなわち不均一皮膜
の原因となるのである。
【0037】本発明の処理液中には、上記界面活性剤と
共に特定濃度範囲の鉱油が必須成分として含有されてい
るが、これはまさに皮膜析出の均一化に寄与している。
処理液中の鉱油は上記界面活性剤によって乳化され、エ
マルジョンを形成する。このエマルジョンは界面活性剤
単体の場合と同様の脱脂性を有すると共に、脱脂された
金属表面に対し、微弱な吸着脱着を繰り返し、この微弱
かつ微細な吸着脱着反応が、リン酸亜鉛化成皮膜結晶の
均一析出に寄与するものと推定される。
【0038】また、特に薄膜の皮膜を得る場合は、比較
的低温で処理されることが多く、化成処理性をさらに強
化しておくことが好ましい。化成処理性を向上させるた
めにはエッチング力を強化する必要がある。化成促進剤
はエッチングに直接寄与する成分であるが、中でもヒド
ロキシルアンモニウムイオンおよび亜硝酸イオンは高い
エッチング力を有することから特に有効である。
【0039】
【実施例】次に実際の処理について幾つかの実施例と比
較例を示し、本発明の効果をより具体的に説明する。な
お、本発明はこれらの実施例によって何ら制約を受ける
ものではない。試験材料としては洗浄防錆油:NOX−
RUST530−40が1g/m2塗油された板厚0.
8mmの冷間圧延鋼板(SPCC−SD)およびプレス
油:NOX−RUST320が2g/m2塗油された外
径30mm、高さ34mmの円柱状炭素鋼鋼材(S45
C)を用いた。なお、上記2種の油は共にパーカー興産
株式会社製のものであり、鉱油をベースにしたものであ
る。
【0040】実施例および比較例に示す処理液のベース
となる5種の水溶液の組成を以下に示す。なお、各水溶
液は括弧内の成分を水道水に順次溶解させることにより
作製した。 −水溶液1− リン酸イオン :12g/L (75%リン酸を添加) 亜鉛イオン :1.7g/L(酸化亜鉛を添加) ニッケルイオン:1.0g/L(炭酸ニッケルを添加) 珪フッ化物イオン:1.2g/L(珪フッ化ナトリウム
を添加) 遊離酸濃度 :1.2ポイント
【0041】−水溶液2− リン酸イオン :15g/L (75%リン酸を添加) 亜鉛イオン :2.5g/L(酸化亜鉛を添加) コバルトイオン:0.5g/L(炭酸コバルトを添加) 遊離酸濃度 :1.5ポイント
【0042】−水溶液3− リン酸イオン :18g/L (75%リン酸を添加) 亜鉛イオン :4.5g/L(酸化亜鉛を添加) フッ化物イオン:0.3g/L(55%フッ化水素酸を
添加) 遊離酸濃度 :2.0ポイント
【0043】−水溶液4− リン酸イオン :13g/L (75%リン酸を添加) 亜鉛イオン :7.0g/L(酸化亜鉛を添加) 遊離酸濃度 :5.5ポイント
【0044】−水溶液5− リン酸イオン :40g/L (75%リン酸を添加) 亜鉛イオン :15g/L(酸化亜鉛を添加) 遊離酸濃度 :12ポイント なお化成処理液1〜5は、硝酸または水酸化ナトリウム
によって所定の遊離酸度に調整した。
【0045】次に、実施例および比較例の処理液を用い
た処理工程を以下に示す。 (1)実施例および比較例の処理液を用いた処理(条件
は下記実施例および比較例に記載した通りとする) (2)水洗[水道水] 常温、30秒、スプレー (3)脱イオン水洗[脱イオン水(電気伝導度:0.2
μS/cm)] 常温、20秒、スプレー (4)水切り乾燥 110℃熱風、180秒
【0046】皮膜重量は、75℃に加温した5%クロム
酸水溶液の中で15分間処理品を浸漬することにより皮
膜を剥離し、剥離前後の処理品の重量、および処理品の
表面積より算出した。
【0047】析出した皮膜結晶については走査型電子顕
微鏡(SEM)を用いて1000倍に拡大した像を観察
し、これにより、化成皮膜結晶の素地金属への被覆性
(素地に対する皮膜被覆面積率)を評価した。また、目
視による皮膜外観も同時に評価した。
【0048】実施例1 水溶液1にHLB12.3のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:0.9g/LとNOX−RUST530−
40:0.2g/L(界面活性剤100重量部に対して
22重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化し
た(6000rpm、5分間)。さらに、亜硝酸ナトリ
ウムを亜硝酸イオンとして100mg/L添加し、処理
液温度を55℃とした。上記処理液を用いて油分付着冷
間圧延鋼板を120秒間浸漬処理した。皮膜重量は2.
8g/m2、皮膜被覆面積率は90%、皮膜外観は均一
であった。
【0049】実施例2 水溶液2にHLB14.2のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:3.3g/LとNOX−RUST530−
40:9.7g/L(界面活性剤100重量部に対して
294重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化
した(6000rpm、5分間)。さらに、リン酸ヒド
ロキシルアンモニウムをヒドロキシルアンモニウムイオ
ンとして0.7g/L添加し、処理液温度を50℃とし
た。上記処理液を用いて油分付着冷間圧延鋼板を120
秒間浸漬処理した。皮膜重量は3.6g/m2、皮膜被
覆面積率は100%、皮膜外観は均一であった。
【0050】実施例3 水溶液3にHLB14.2のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:2.0g/LとNOX−RUST530−
40:2.0g/L(界面活性剤100重量部に対して
100重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化
した(6000rpm、5分間)。さらに、硫酸ヒドロ
キシルアンモニウムをヒドロキシルアンモニウムイオン
として1.5g/L添加し、処理液温度を58℃とし
た。上記処理液を用いて油分付着冷間圧延鋼板を90秒
間浸漬処理した。皮膜重量は3.2g/m2、皮膜被覆
面積率は100%、皮膜外観は均一であった。
【0051】実施例4 水溶液3にHLB16.6のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:4.8g/LとNOX−RUST530−
40:7.2g/L(界面活性剤100重量部に対して
150重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化
した(6000rpm、5分間)。さらに、亜硝酸ナト
リウムを亜硝酸イオンとして70mg/L添加し、処理
液温度を45℃とした。上記処理液を用いて油分付着冷
間圧延鋼板を40秒間スプレー処理した。皮膜重量は
3.0g/m2、皮膜被覆面積率は90%、皮膜外観は
均一であった。
【0052】実施例5 水溶液2にHLB14.2のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:0.6g/LとNOX−RUST530−
40:1.2g/L(界面活性剤100重量部に対して
200重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化
した(6000rpm、5分間)。さらに、亜硝酸ナト
リウムを亜硝酸イオンとして180mg/L添加し、処
理液温度を38℃とした。上記処理液を用いて油分付着
冷間圧延鋼板を180秒間浸漬処理した。皮膜重量は
3.4g/m2、皮膜被覆面積率は100%、皮膜外観
は均一であった。
【0053】実施例6 水溶液4にHLB12.3のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:1.2g/LとNOX−RUST320:
0.6g/L(界面活性剤100重量部に対して50重
量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化した(6
000rpm、5分間)。さらに、亜硝酸ナトリウムを
亜硝酸イオンとして120mg/L添加し、処理液温度
を80℃とした。上記処理液を用いて油分付着炭素鋼鋼
材を480秒間浸漬処理した。皮膜重量は7.5g/m
2、皮膜被覆面積率は100%、皮膜外観は均一であっ
た。
【0054】実施例7 水溶液5にHLB16.6のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:2.5g/LとNOX−RUST320:
7.0g/L(界面活性剤100重量部に対して280
重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化した
(6000rpm、5分間)。さらに、硫酸酸ヒドロキ
シルアンモニウムをヒドロキシルアンモニウムイオンと
して1.0g/L添加し、処理液温度を70℃とした。
上記処理液を用いて油分付着炭素鋼鋼材を300秒間浸
漬処理した。皮膜重量は12.5g/m2、皮膜被覆面
積率は100%、皮膜外観は均一であった。
【0055】比較例1 水溶液1にHLB14.2のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:3.6g/LとNOX−RUST530−
40:11.0g/L(界面活性剤100重量部に対し
て306重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳
化した(6000rpm、5分間)。さらに、亜硝酸ナ
トリウムを亜硝酸イオンとして100mg/L添加し、
処理液温度を55℃とした。上記処理液を用いて油分付
着冷間圧延鋼板を120秒間浸漬処理した。皮膜重量は
1.1g/m2、皮膜被覆面積率は10%、皮膜外観は
不均一であった。
【0056】比較例2 水溶液1にHLB13.6のポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル:2.0g/LとNOX−RUST5
30−40:2.0g/L(界面活性剤100重量部に
対して100重量部)を添加し、ホモジナイザーを用い
て乳化した(6000rpm、5分間)。さらに、亜硝
酸ナトリウムを亜硝酸イオンとして80mg/L添加
し、処理液温度を55℃とした。上記処理液を用いて油
分付着冷間圧延鋼板を120秒間浸漬処理した。処理後
水洗で水濡れはしていたものの、皮膜は全く析出してい
なかった。
【0057】比較例3 水溶液2にHLB11.5のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:1.0g/LとNOX−RUST530−
40:2.0g/L(界面活性剤100重量部に対して
200重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化
した(6000rpm、5分間)。さらに、亜硝酸ナト
リウムを亜硝酸イオンとして30mg/L添加し、処理
液温度を50℃とした。上記処理液を用いて油分付着冷
間圧延鋼板を90秒間浸漬処理した。処理後水洗を行っ
ても水はじきをしており、皮膜も全く析出していなかっ
た。
【0058】比較例4 水溶液3にHLB17.5のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル:0.3g/LとNOX−RUST530−
40:0.05g/L(界面活性剤100重量部に対し
て17重量部)を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化
した(6000rpm、5分間)。さらに、硫酸ヒドロ
キシルアンモニウムをヒドロキシルアンモニウムイオン
として0.4g/L添加し、処理液温度を33℃とし
た。上記処理液を用いて油分付着冷間圧延鋼板を40秒
間スプレー処理した。皮膜重量は0.6g/m2、皮膜
被覆面積率は10%、皮膜外観は不均一であった。
【0059】比較例5 水溶液4に亜硝酸ナトリウムを亜硝酸イオンとして12
0mg/L添加し、処理液温度を80℃とした。上記処
理液を用いて油分付着炭素鋼鋼材を480秒間浸漬処理
した。皮膜重量は1.5g/m2、皮膜被覆面積率は1
0%、皮膜外観は不均一であった。
【0060】実施例1〜7および比較例1〜5に用いた
処理液のベースとなる水溶液、亜鉛イオン濃度、リン酸
イオン濃度、促進剤の種類(亜硝酸イオンまたはヒドロ
キシルアンモニウムイオン)と濃度、界面活性剤(比較
例2を除きポリオキシエチレンアルキルエーテル)のH
LBと濃度、鉱油濃度、鉱油の界面活性剤に対する重量
比率、および処理液の温度を表1にまとめて記載した。
また、処理条件(処理方法と処理時間)および皮膜性状
(皮膜重量、皮膜被覆面積率、皮膜外観)を表2にまと
めて記載した。
【0061】これらの結果から分るように、本発明の処
理方法を適用した実施例1〜7では、油分の付着した鋼
材に対して、均一なリン酸亜鉛化成皮膜の析出が得られ
ることが確認された。これに対し、鉱油濃度が上限を上
回り、界面活性剤に対する鉱油比率が上限を上回る比較
例1、界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテルを用いた比較例2、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテルのHLBが下限を下回る比較例3、界面
活性剤に対する鉱物油比率、処理液温度のいずれも下限
を下回り、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHL
Bが上限を上回る比較例4、および処理液中に鉱油も界
面活性剤も含有しない比較例5については、皮膜が析出
しないか、皮膜が析出しても十分な皮膜重量が得られ
ず、皮膜外観も不均一であった。
【0062】さらに、実施例および比較例の処理液によ
って得られた皮膜の機能性を確認するために、以下に示
す2つの試験を実施した。第1の試験としては塗装下地
皮膜としての性能試験、つまり塗装後の耐食性評価試験
を実施した。実施例1〜5および比較例1〜4で処理さ
れた冷間圧延鋼板を関西ペイント社製カチオン電着塗料
「エレクロンNo.9200」を用いて塗膜厚20μm
となるように塗装し、鋭利なカッターでクロスカットし
た後、1000時間の塩水噴霧試験を行った。さらに、
クロスカット部をテープ剥離し、剥離幅を測定した。そ
の結果、実施例1〜5によって処理された冷間圧延鋼板
は、いずれもクロスカットからの剥離幅は3mm未満で
あったのに対し、比較例1〜4によって処理された冷間
圧延鋼板は、いずれも3mmを超える膨れ幅であった。
実施例1〜5の処理方法によって得られるリン酸亜鉛化
成皮膜は、塗装下地皮膜としての性能を十分満足してい
ることが分る。
【0063】また、第2の試験としては潤滑下地皮膜と
しての性能試験、つまり塑性加工性試験を実施した。実
施例6、7および比較例5で処理された炭素鋼鋼材を、
日本パーカライジング社製のナトリウム石鹸系潤滑処理
剤「パルーブ235」を用いて、7%水溶液、80℃の
条件で、3分間浸漬処理し、後方せん孔押出し試験を実
施した。後方せん孔押出し試験は、冷間鍛造における塑
性加工性を調査する試験であり、今回は、パンチ材質:
HAP40、パンチ径:21.21mm、パンチ先端
R:6mm、ストローク速度:30spm、せん孔深
さ:44mm、減面率:50%の条件下で試験した。そ
の結果、実施例6、7によって処理された炭素鋼鋼材は
傷つき無く良好な加工性を示したのに対し、比較例5に
よって処理された炭素鋼鋼材はパンチにより強度の傷つ
きが発生しており、今回の試験条件では加工不可能であ
った。つまり、実施例6、7の処理によって得られたリ
ン酸亜鉛化成皮膜は良好な潤滑下地皮膜として機能して
いることが分る。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【発明の効果】本発明の処理液を油分の付着した鋼材に
適用する場合には、脱脂処理とリン酸亜鉛系化成処理を
同時に行うことができる。したがって、この処理液を用
いることにより、大幅な処理工程の短縮、処理設備の簡
略化、省スペース化、生産性の向上、薬剤コストの低
減、薬剤管理の簡略化等、多岐に亘るメリットが期待で
きる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛イオン、リン酸イオンおよび化成促
    進剤を含有し、かつHLB12〜17のポリオキシエチ
    レンアルキルエーテルで乳化した鉱油0.1〜10g/
    Lを含有する水溶液であることを特徴とする、油分付着
    鋼材の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液。
  2. 【請求項2】 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテ
    ルを0.5〜5.0g/L、および前記鉱油を前記ポリ
    オキシエチレンアルキルエーテル100重量部に対して
    20〜300重量部含有する請求項1に記載の脱脂兼リ
    ン酸亜鉛化成処理液。
  3. 【請求項3】 亜鉛イオン1.5〜5.0g/Lおよび
    リン酸イオン10〜20g/Lを含有し、遊離酸度が
    0.5〜4.0ポイントである、塗装下地形成のための
    請求項1または2記載の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液。
  4. 【請求項4】 亜鉛イオン5〜20g/Lおよびリン酸
    イオン10〜50g/Lを含有し、遊離酸度が4.0〜
    15ポイントである、潤滑下地または防錆皮膜形成のた
    めの請求項1または2記載の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理
    液。
  5. 【請求項5】 亜鉛イオンおよびリン酸イオンを含有
    し、かつHLB12〜17のポリオキシエチレンアルキ
    ルエーテルで乳化した鉱油0.1〜10g/Lを含有す
    る水溶液と亜硝酸イオンを含有する水溶液とからなる二
    液型の、油分付着鋼材の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液で
    あって、両者を混合した際に請求項1〜4のいずれかに
    記載の脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液とすることができ
    る、脱脂兼リン酸亜鉛化成処理液。
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