JP2000073182A - 耐摩耗部材とその製造法及び用途 - Google Patents
耐摩耗部材とその製造法及び用途Info
- Publication number
- JP2000073182A JP2000073182A JP24469498A JP24469498A JP2000073182A JP 2000073182 A JP2000073182 A JP 2000073182A JP 24469498 A JP24469498 A JP 24469498A JP 24469498 A JP24469498 A JP 24469498A JP 2000073182 A JP2000073182 A JP 2000073182A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wear
- base material
- coating layer
- transfer
- iron
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
- Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】摺動体において、従来よりも低コストで表面処
理を行い、なおかつ摺動部特有の“なじみ”時の摩耗を
軽減する 【解決手段】金属表面を該金属よりも耐摩耗性の優れた
材料で被覆する方法として金属と金属の摺動時の塑性流
動による移着を利用する。
理を行い、なおかつ摺動部特有の“なじみ”時の摩耗を
軽減する 【解決手段】金属表面を該金属よりも耐摩耗性の優れた
材料で被覆する方法として金属と金属の摺動時の塑性流
動による移着を利用する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は互いに接触し滑りを
伴い相対運動をし、無潤滑及び潤滑中で用いられる機械
部品において高なじみ性を有する合金層もしくは膜を形
成した耐摩耗部材とその製造法及び用途に関する。
伴い相対運動をし、無潤滑及び潤滑中で用いられる機械
部品において高なじみ性を有する合金層もしくは膜を形
成した耐摩耗部材とその製造法及び用途に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭用及び業務用電気製品並びに自動車
部品等の金属と金属が摺動する部分には、耐摩耗性の点
から鋳鉄,窒化及び浸炭の表面処理材等が使用されてい
る。このように耐摩耗性を向上させるための手段として
は一般に材料自体もしくは表面層を硬化させることが有
効である。材料自体の硬化法としては焼入れ処理があ
る。また、表面層を硬化する方法としては、前述した窒
化,浸炭、さらに高周波焼入れ,溶射,溶接等がある。
さらに、成膜技術としてはCVD,PVD及びメッキ等
がある。これらの技術は製品の耐摩耗性向上の観点から
盛んに用いられている。しかしながら、一般にコスト高
になる。また、熱処理,溶射及び溶接等においては熱に
よる変形等の問題も生じる。さらに、いずれの方法で製
造した材料においても“なじみ”段階で自身及び相手材
にかなりの摩耗が発生することが懸念される。
部品等の金属と金属が摺動する部分には、耐摩耗性の点
から鋳鉄,窒化及び浸炭の表面処理材等が使用されてい
る。このように耐摩耗性を向上させるための手段として
は一般に材料自体もしくは表面層を硬化させることが有
効である。材料自体の硬化法としては焼入れ処理があ
る。また、表面層を硬化する方法としては、前述した窒
化,浸炭、さらに高周波焼入れ,溶射,溶接等がある。
さらに、成膜技術としてはCVD,PVD及びメッキ等
がある。これらの技術は製品の耐摩耗性向上の観点から
盛んに用いられている。しかしながら、一般にコスト高
になる。また、熱処理,溶射及び溶接等においては熱に
よる変形等の問題も生じる。さらに、いずれの方法で製
造した材料においても“なじみ”段階で自身及び相手材
にかなりの摩耗が発生することが懸念される。
【0003】特開平5−98459号公報には鋼材の表面にZ
n,Al又はこれらの合金の層を摩擦によって形成する
ことによって耐食性を高めること、特開昭63−246505号
公報にはセラミックス部材表面に金属の潤滑層を摩擦に
よって形成することが開示されている。
n,Al又はこれらの合金の層を摩擦によって形成する
ことによって耐食性を高めること、特開昭63−246505号
公報にはセラミックス部材表面に金属の潤滑層を摩擦に
よって形成することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】摺動部の摩耗過程にお
いては、摩擦係数の高い状態から低い状態へ移る“なじ
み”と呼ばれる現象が存在する。これは、表面が平滑化
または化学的に安定化される過程で起こるものである。
一般に、摺動部材の摩耗は摺動部材同士が“なじむ”ま
でに初期摩耗をへて定常摩耗へと移行する。初期摩耗は
定常摩耗に比べかなり激しい摩耗であることが分かって
いる。従って、摺動前から摺動面が耐摩耗材料で平滑化
されていれば、“なじみ”時の摩耗は軽減できると考え
られる。
いては、摩擦係数の高い状態から低い状態へ移る“なじ
み”と呼ばれる現象が存在する。これは、表面が平滑化
または化学的に安定化される過程で起こるものである。
一般に、摺動部材の摩耗は摺動部材同士が“なじむ”ま
でに初期摩耗をへて定常摩耗へと移行する。初期摩耗は
定常摩耗に比べかなり激しい摩耗であることが分かって
いる。従って、摺動前から摺動面が耐摩耗材料で平滑化
されていれば、“なじみ”時の摩耗は軽減できると考え
られる。
【0005】しかし、これらの公報には鉄系部材に対し
て耐摩耗性を有する被覆層を形成させること、更にその
界面に合金層を形成させることは開示されていない。
て耐摩耗性を有する被覆層を形成させること、更にその
界面に合金層を形成させることは開示されていない。
【0006】本発明の目的は、摺動体において、摺動部
特有の“なじみ”時の摩耗を軽減する耐摩耗部材とその
製造方法及び用途を提供することにある。
特有の“なじみ”時の摩耗を軽減する耐摩耗部材とその
製造方法及び用途を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、鉄系基材表面
に該鉄系基材より軟かく、かつ低摩擦係数の被覆層が摩
擦により移着形成されていることを特徴とする耐摩耗部
材。前記被覆層は前記基材と被覆層との界面に前記基材
と被覆層とからなる合金層が形成され、前記基材表面に
凝着によって移着していることが好ましい。
に該鉄系基材より軟かく、かつ低摩擦係数の被覆層が摩
擦により移着形成されていることを特徴とする耐摩耗部
材。前記被覆層は前記基材と被覆層との界面に前記基材
と被覆層とからなる合金層が形成され、前記基材表面に
凝着によって移着していることが好ましい。
【0008】前記被覆層はAl,Sb,Pb,Sn,A
g,Cu,Zn,In、それらの合金、及び黒鉛の少な
くとも1つであることが好ましく摩擦係数として0.3
以下、特に0.15〜0.31が好ましい。
g,Cu,Zn,In、それらの合金、及び黒鉛の少な
くとも1つであることが好ましく摩擦係数として0.3
以下、特に0.15〜0.31が好ましい。
【0009】前記基材は炭素鋼,オーステナイト系ステ
ンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の少なくと
も1つであることが好ましい。
ンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼の少なくと
も1つであることが好ましい。
【0010】本発明における被覆層は0.5 〜5μmの
厚さが好ましい。
厚さが好ましい。
【0011】本発明は、鉄系基板表面に該鉄系基材より
も軟かく、かつ低摩擦係数の被覆層を摩擦により移着形
成させる耐摩耗部材の製造法であって、前記鉄系基材及
び被覆層となる部材とを互いに加圧接触させて少なくと
も一方を回転させ、好ましくは前記基材と被覆層との界
面に前記基材と被覆層との合金層を形成させるとともに
前記被覆層を前記基材表面に凝着によって移着させるこ
とが好ましい。
も軟かく、かつ低摩擦係数の被覆層を摩擦により移着形
成させる耐摩耗部材の製造法であって、前記鉄系基材及
び被覆層となる部材とを互いに加圧接触させて少なくと
も一方を回転させ、好ましくは前記基材と被覆層との界
面に前記基材と被覆層との合金層を形成させるとともに
前記被覆層を前記基材表面に凝着によって移着させるこ
とが好ましい。
【0012】本発明は、モータに連動して回転するシャ
フトと、該シャフトの回転によって偏心運動するローラ
と、該ローラを収納するシリンダーと、前記ローラの運
動に伴って往復運動するように前記シリンダーに設けら
れたベーンとを備えたロータリ圧縮機において、前記ロ
ーラは鉄系部材よりなり、該鉄系基材表面に該鉄系基材
より軟かく、かつ低摩擦係数の被覆層が摩擦により移着
形成され、好ましくは前記被覆層は前記基材と被覆層と
の界面に前記基材と被覆層とからなる合金層を有し、前
記基材表面に凝着によって移着していることが好まし
い。
フトと、該シャフトの回転によって偏心運動するローラ
と、該ローラを収納するシリンダーと、前記ローラの運
動に伴って往復運動するように前記シリンダーに設けら
れたベーンとを備えたロータリ圧縮機において、前記ロ
ーラは鉄系部材よりなり、該鉄系基材表面に該鉄系基材
より軟かく、かつ低摩擦係数の被覆層が摩擦により移着
形成され、好ましくは前記被覆層は前記基材と被覆層と
の界面に前記基材と被覆層とからなる合金層を有し、前
記基材表面に凝着によって移着していることが好まし
い。
【0013】先ず、移着プロセスの概念を示す。図3は
基材1に移着材2を接触させた図である。図1は移着試
験後の基材1の断面で基材1の表面に基材1と移着材2
の合金層3が形成された図である。図2は移着試験後の
基材1の断面で基材1の表面に移着材の膜4が形成され
た図である。
基材1に移着材2を接触させた図である。図1は移着試
験後の基材1の断面で基材1の表面に基材1と移着材2
の合金層3が形成された図である。図2は移着試験後の
基材1の断面で基材1の表面に移着材の膜4が形成され
た図である。
【0014】即ち、本発明は、上記の目的を達成するた
めに、本発明の耐摩耗部材の製造方法として以下の手法
を用いる。
めに、本発明の耐摩耗部材の製造方法として以下の手法
を用いる。
【0015】摺動部材の特有現象である“なじみ”によ
る初期摩耗を軽減するために、少なくとも回転している
摺動体表面に、一方の材料として摺動体材料より高なじ
み性あるいは耐摩耗性を有する材料を用いて合金層もし
くは膜を形成することにより、少なくとも一方の摺動面
が平滑化され実可動状態において何も施さない状態より
も、摩擦係数が小さく、“なじみ”による初期摩耗を軽
減することができる。この方法により製作した摺動部材
は、低コストで実可動時における摩耗を軽減でき製品の
寿命延長及び信頼性向上に大きく貢献することができ
る。
る初期摩耗を軽減するために、少なくとも回転している
摺動体表面に、一方の材料として摺動体材料より高なじ
み性あるいは耐摩耗性を有する材料を用いて合金層もし
くは膜を形成することにより、少なくとも一方の摺動面
が平滑化され実可動状態において何も施さない状態より
も、摩擦係数が小さく、“なじみ”による初期摩耗を軽
減することができる。この方法により製作した摺動部材
は、低コストで実可動時における摩耗を軽減でき製品の
寿命延長及び信頼性向上に大きく貢献することができ
る。
【0016】一般に、摺動部は潤滑状態で使用される。
潤滑には油潤滑,グリース,エマルション,固体潤滑、
及び気体潤滑があり摩耗の軽減や噛り及び焼付の防止に
寄与している。
潤滑には油潤滑,グリース,エマルション,固体潤滑、
及び気体潤滑があり摩耗の軽減や噛り及び焼付の防止に
寄与している。
【0017】金属材料同士が摺動すれば、摺動部の特有
現象である“なじみ”による初期摩耗が生じる。この
“なじみ”による初期摩耗は摺動体同士の接触面の凹凸
により生じるものである。従って、摺動面同士が高なじ
み性あるいは耐摩耗性を有する材料で最初から極力平滑
化されていれば初期摩耗は軽減される。
現象である“なじみ”による初期摩耗が生じる。この
“なじみ”による初期摩耗は摺動体同士の接触面の凹凸
により生じるものである。従って、摺動面同士が高なじ
み性あるいは耐摩耗性を有する材料で最初から極力平滑
化されていれば初期摩耗は軽減される。
【0018】本発明では摺動する2つの面において、一
方の金属摺動面に低融点及び軟質金属で初期“なじみ”
や耐摩耗性を向上させるために、低融点及び軟質金属で
摩擦係数を小さくする効果のあるAI,Sb,Pb,S
n,Ag,Cu,Zn,ln,Sn,黒鉛の板材を加圧
接触させ表面閃光熱及び表面塑性流動を利用し合金層も
しくは膜を形成する。この過程において、2つの摺動面
に噛りや焼き付きが生じないよう適正な荷重や速度を選
定しなければならない。初期の機械加工面より粗くなる
と“なじみ”時の摩擦係数が高くなり摩耗が増大する原
因になる。
方の金属摺動面に低融点及び軟質金属で初期“なじみ”
や耐摩耗性を向上させるために、低融点及び軟質金属で
摩擦係数を小さくする効果のあるAI,Sb,Pb,S
n,Ag,Cu,Zn,ln,Sn,黒鉛の板材を加圧
接触させ表面閃光熱及び表面塑性流動を利用し合金層も
しくは膜を形成する。この過程において、2つの摺動面
に噛りや焼き付きが生じないよう適正な荷重や速度を選
定しなければならない。初期の機械加工面より粗くなる
と“なじみ”時の摩擦係数が高くなり摩耗が増大する原
因になる。
【0019】以上のような方法にて製作した摺動部材は
コストも安く実運転において、少なくとも一方の摺動体
表面に該摺動体組成と移着材による合金層もしくは移着
材の膜が形成されており“なじみ”性が向上し摩耗が軽
減される。
コストも安く実運転において、少なくとも一方の摺動体
表面に該摺動体組成と移着材による合金層もしくは移着
材の膜が形成されており“なじみ”性が向上し摩耗が軽
減される。
【0020】
【発明の実施の形態】(実施例1)表1に試験に供した
移着材を示す。図4に移着試験に用いた卓上型軸受け試
験機の試験部概要を示す。試験チャンバー5内に基材1
となる試験片をセットし、トルクアーム7に取り付ける
固定試験片治具に移着材2を取り付け、荷重負荷バネ6
で所定の荷重を掛け、所定の回転速度で基材1を回転さ
せて試験をする。ここで基材1は機械構造用炭素鋼S4
5Cを用いた。移着材2はAl,Sb,Pb,Sn,A
g,Cu,Zn,In,黒鉛,Cu+Pb,Sn+P
b,Sn+Sb,Sn+Pb+Zn,Sn+Cu+S
b,Zn+Al+Cuである。試験は荷重5kg〜30k
g,回転速度200rpm(0.31m/s)〜1000rpm
(1.57m/s)で大気中にて行った。試験後目視に
おいて、基材1のS45C表面には各々の移着材が凝着
によって均一に皮覆されていた。これらの面をEPMA
で面分析したところ、表1の各々の供試移着材の組成が
検出された。また、移着断面を研磨しEPMAにより面
分析したところ端面から数μmの部分に各移着材の成分
が検出された。この分析結果から皮膜の厚みを測定した
値を表2に示す。なお、実施例No.8のS45C断面端
面部においては、InのほかにC,Feの成分も検出さ
れた。従って、この移着境界部は摺動時の摩擦熱により
合金化した合金層であることが分かる。他のものについ
ては界面に合金層が形成されていた。
移着材を示す。図4に移着試験に用いた卓上型軸受け試
験機の試験部概要を示す。試験チャンバー5内に基材1
となる試験片をセットし、トルクアーム7に取り付ける
固定試験片治具に移着材2を取り付け、荷重負荷バネ6
で所定の荷重を掛け、所定の回転速度で基材1を回転さ
せて試験をする。ここで基材1は機械構造用炭素鋼S4
5Cを用いた。移着材2はAl,Sb,Pb,Sn,A
g,Cu,Zn,In,黒鉛,Cu+Pb,Sn+P
b,Sn+Sb,Sn+Pb+Zn,Sn+Cu+S
b,Zn+Al+Cuである。試験は荷重5kg〜30k
g,回転速度200rpm(0.31m/s)〜1000rpm
(1.57m/s)で大気中にて行った。試験後目視に
おいて、基材1のS45C表面には各々の移着材が凝着
によって均一に皮覆されていた。これらの面をEPMA
で面分析したところ、表1の各々の供試移着材の組成が
検出された。また、移着断面を研磨しEPMAにより面
分析したところ端面から数μmの部分に各移着材の成分
が検出された。この分析結果から皮膜の厚みを測定した
値を表2に示す。なお、実施例No.8のS45C断面端
面部においては、InのほかにC,Feの成分も検出さ
れた。従って、この移着境界部は摺動時の摩擦熱により
合金化した合金層であることが分かる。他のものについ
ては界面に合金層が形成されていた。
【0021】また、基材1のS45C表面を鉄塊を用い
てブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記
と同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上し
た。
てブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記
と同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上し
た。
【0022】
【表1】
【0023】次に、本発明により製作した試験片の摩擦
係数及び焼付き時間を求めた。摩擦係数測定試験は図4
に示した卓上型軸受け試験機を用いた。可動片となる基
材1には移着試験後のS45Cを用い、固定片には同じ
くS45Cを用いた。また比較のため可動片に移着試験
前のS45Cを用いた試験も行った。試験は荷重2kg,
回転速度500rpm(0.79m/s)で大気中で焼付く
まで行った。表2に摩擦係数測定及び焼付時間の結果を
示す。ここで、摩擦力が急激に高くなる所を焼付き時間
とした。各移着処理材の摩擦係数はS45C機械加工の
ままの面に比べ小さい。また、摩擦係数が急激に高くな
る各移着処理材の焼付き時間はS45C機械加工のまま
の試験片よりも長時間であった。
係数及び焼付き時間を求めた。摩擦係数測定試験は図4
に示した卓上型軸受け試験機を用いた。可動片となる基
材1には移着試験後のS45Cを用い、固定片には同じ
くS45Cを用いた。また比較のため可動片に移着試験
前のS45Cを用いた試験も行った。試験は荷重2kg,
回転速度500rpm(0.79m/s)で大気中で焼付く
まで行った。表2に摩擦係数測定及び焼付時間の結果を
示す。ここで、摩擦力が急激に高くなる所を焼付き時間
とした。各移着処理材の摩擦係数はS45C機械加工の
ままの面に比べ小さい。また、摩擦係数が急激に高くな
る各移着処理材の焼付き時間はS45C機械加工のまま
の試験片よりも長時間であった。
【0024】また、基材1のS45C表面を鉄塊を用い
てブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記
と同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上し
た。
てブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記
と同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上し
た。
【0025】
【表2】
【0026】(実施例2)表3に試験に供した移着材を
示す。基材1はオーステナイト系ステンレス鋼のSUS304
を用いた。試験条件は実施例1と同じである。試験後目
視において、基材1のSUS304表面には各々の移着材が凝
着によって均一に皮覆されていた。これらの面をEPM
Aで面分析したところ、表3の各々の供試移着材の成分
が検出された。また、移着断面を研磨しEPMAにより
面分析したところ端面から数μmの部分に各移着材の成
分が検出された。この分析結果から皮膜の厚みを測定し
た値を表4に示す。なお、実施例No.8のS45C断面
端面部においては、InのほかにC,Fe,Cr,Ni
の成分も検出された。従って、この表面は合金層である
ことが分かる。また、他のものは界面に合金層が形成さ
れていた。
示す。基材1はオーステナイト系ステンレス鋼のSUS304
を用いた。試験条件は実施例1と同じである。試験後目
視において、基材1のSUS304表面には各々の移着材が凝
着によって均一に皮覆されていた。これらの面をEPM
Aで面分析したところ、表3の各々の供試移着材の成分
が検出された。また、移着断面を研磨しEPMAにより
面分析したところ端面から数μmの部分に各移着材の成
分が検出された。この分析結果から皮膜の厚みを測定し
た値を表4に示す。なお、実施例No.8のS45C断面
端面部においては、InのほかにC,Fe,Cr,Ni
の成分も検出された。従って、この表面は合金層である
ことが分かる。また、他のものは界面に合金層が形成さ
れていた。
【0027】
【表3】
【0028】次に、本発明により製作した試験片の摩擦
係数及び焼付き時間を求めた。摩擦係数測定試験は図4
に示した卓上型軸受け試験機を用いた。可動片となる基
材1には移着試験後のSUS304を用い、固定片には同じく
SUS304を用いた。また比較のため可動片に移着試験前の
SUS304を用いた試験も行った。試験条件は実施例1と同
じである。表4に摩擦係数測定及び焼付時間の結果を示
す。各移着処理材の摩擦係数はSUS304機械加工のままの
面に比べ小さい。また、摩擦係数が急激に高くなる各移
着処理材の焼付き時間はSUS304機械加工のままの試験片
よりも長時間であった。
係数及び焼付き時間を求めた。摩擦係数測定試験は図4
に示した卓上型軸受け試験機を用いた。可動片となる基
材1には移着試験後のSUS304を用い、固定片には同じく
SUS304を用いた。また比較のため可動片に移着試験前の
SUS304を用いた試験も行った。試験条件は実施例1と同
じである。表4に摩擦係数測定及び焼付時間の結果を示
す。各移着処理材の摩擦係数はSUS304機械加工のままの
面に比べ小さい。また、摩擦係数が急激に高くなる各移
着処理材の焼付き時間はSUS304機械加工のままの試験片
よりも長時間であった。
【0029】また、基材1のSUS304表面を鉄塊を用いて
ブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記と
同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上した。
ブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記と
同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上した。
【0030】
【表4】
【0031】(実施例3)表5に試験に供した移着材を
示す。基材1はマルテンサイト系ステンレス鋼のSUS403
を用いた。試験は実施例1及び2と同じである。試験後
目視において、基材1のSUS403表面には各々の移着材が
凝着によって均一に皮覆されていた。これらの面をEP
MAで面分析したところ、表5の各々の供試移着材の成
分が検出された。また、移着断面を研磨しEPMAによ
り面分析したところ端面から数μmの部分に各移着材の
成分が検出された。この分析結果から皮膜の厚みを測定
した値を表6に示す。なお、実施例No.8のS45C断
面端面部においては、InのほかにC,Fe,Crの成
分も検出された。従って、この表面は合金層であること
が分かる。他のものは界面に合金層が形成されていた。
示す。基材1はマルテンサイト系ステンレス鋼のSUS403
を用いた。試験は実施例1及び2と同じである。試験後
目視において、基材1のSUS403表面には各々の移着材が
凝着によって均一に皮覆されていた。これらの面をEP
MAで面分析したところ、表5の各々の供試移着材の成
分が検出された。また、移着断面を研磨しEPMAによ
り面分析したところ端面から数μmの部分に各移着材の
成分が検出された。この分析結果から皮膜の厚みを測定
した値を表6に示す。なお、実施例No.8のS45C断
面端面部においては、InのほかにC,Fe,Crの成
分も検出された。従って、この表面は合金層であること
が分かる。他のものは界面に合金層が形成されていた。
【0032】
【表5】
【0033】次に、本発明により製作した試験片の摩擦
係数及び焼付き時間を求めた。摩擦係数測定試験は図4
に示した卓上型軸受け試験機を用いた。可動片となる基
材1には移着試験後のSUS403を用い、固定片には同じく
SUS403を用いた。また比較のため可動片に移着試験前の
SUS403を用いた試験も行った。試験条件は実施例1及び
2と同じである。表6に摩擦係数測定及び焼付時間の結
果を示す。各移着処理材の摩擦係数はS45C機械加工
のままの面に比べ小さい。また、摩擦係数が急激に高く
なる各移着処理材の焼付き時間はSUS403機械加工のまま
の試験片よりも長時間であった。
係数及び焼付き時間を求めた。摩擦係数測定試験は図4
に示した卓上型軸受け試験機を用いた。可動片となる基
材1には移着試験後のSUS403を用い、固定片には同じく
SUS403を用いた。また比較のため可動片に移着試験前の
SUS403を用いた試験も行った。試験条件は実施例1及び
2と同じである。表6に摩擦係数測定及び焼付時間の結
果を示す。各移着処理材の摩擦係数はS45C機械加工
のままの面に比べ小さい。また、摩擦係数が急激に高く
なる各移着処理材の焼付き時間はSUS403機械加工のまま
の試験片よりも長時間であった。
【0034】また、基材1のSUS403表面を鉄塊を用いて
ブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記と
同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上した。
ブラスト処理を施し表面あらさを1〜4μmにし上記と
同じ移着試験をしたところ、さらに移着性が向上した。
【0035】
【表6】
【0036】(実施例4)図5に冷蔵庫用ロータリ圧縮
機の全体構造を示す。図6に図5の冷蔵庫用圧縮機の圧
縮部の断面を示す。主な部品構成は、チャンバー8内に
シャフト9を支持する上軸受13,下軸受14及びロー
ラ12のジャーナル軸受とベーン11とシリンダー10
及びベーン11とローラ12のスラスト軸受から成って
いる。これらの軸受は製品の小型化及び高性能化にとも
ない部品間では、面圧の増大と潤滑油膜の減少,冷媒希
釈による冷凍機油の粘度低下が起る。特にベーン対ロー
ラ,ローラ対シャフト,軸受対シャフト間の摩耗条件は
厳しくなり優れた耐摩耗性や耐焼付き性が要求される。
機の全体構造を示す。図6に図5の冷蔵庫用圧縮機の圧
縮部の断面を示す。主な部品構成は、チャンバー8内に
シャフト9を支持する上軸受13,下軸受14及びロー
ラ12のジャーナル軸受とベーン11とシリンダー10
及びベーン11とローラ12のスラスト軸受から成って
いる。これらの軸受は製品の小型化及び高性能化にとも
ない部品間では、面圧の増大と潤滑油膜の減少,冷媒希
釈による冷凍機油の粘度低下が起る。特にベーン対ロー
ラ,ローラ対シャフト,軸受対シャフト間の摩耗条件は
厳しくなり優れた耐摩耗性や耐焼付き性が要求される。
【0037】実施例1〜3の方法により基材にFC25
0を用いて製作した部材を冷蔵庫用圧縮機のローラの全
面に適用し、ローラ対ベーンの実機試験を行った。ま
た、比較のため、無処理のFC250をローラ材として
用いている従来の圧縮機についても試験を行った。試験
の雰囲気は冷媒HAF134a とエステル油である。運転時間
は2,000 時間とした。その結果、従来の圧縮機のF
C250にはアブレッシブな摩耗痕が観察されたが、本
発明材の表面には摩耗痕等は発生せず、ほぼ試験前の様
相を呈しており、本発明材の効果が確証できた。
0を用いて製作した部材を冷蔵庫用圧縮機のローラの全
面に適用し、ローラ対ベーンの実機試験を行った。ま
た、比較のため、無処理のFC250をローラ材として
用いている従来の圧縮機についても試験を行った。試験
の雰囲気は冷媒HAF134a とエステル油である。運転時間
は2,000 時間とした。その結果、従来の圧縮機のF
C250にはアブレッシブな摩耗痕が観察されたが、本
発明材の表面には摩耗痕等は発生せず、ほぼ試験前の様
相を呈しており、本発明材の効果が確証できた。
【0038】なお、本発明は冷蔵庫用圧縮機について説
明しているが、摺動部を有する他の機械装置等に適用す
ることにより、さらに優れた機能が発揮できる。
明しているが、摺動部を有する他の機械装置等に適用す
ることにより、さらに優れた機能が発揮できる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、金属と金属を摩擦する
ことで低コストで簡便に一方の金属表面に潤滑の良好な
合金層もしくは膜を形成でき、これらにより摺動する部
分を有する機械装置において、初期“なじみ”が良好で
耐焼付き性が高く、耐摩耗性に富み機械装置の寿命延長
化に寄与できる。
ことで低コストで簡便に一方の金属表面に潤滑の良好な
合金層もしくは膜を形成でき、これらにより摺動する部
分を有する機械装置において、初期“なじみ”が良好で
耐焼付き性が高く、耐摩耗性に富み機械装置の寿命延長
化に寄与できる。
【図1】移着試験後の基材断面図。
【図2】移着試験後の基材断面図。
【図3】移着プロセスの概念図。
【図4】移着試験及び摩擦係数測定に用いた卓上型摩耗
試験機の構成図。
試験機の構成図。
【図5】冷蔵庫用ロータリー圧縮機全体構造を示す部分
断面斜視図。
断面斜視図。
【図6】冷蔵庫用ロータリー圧縮機の圧縮部の断面図。
1…基材、2…移着材、3…合金層、4…移着材膜、5
…試験チャンバー、6…荷重負荷バネ、7…トルクアー
ム、8…チャンバー、9…クランクシャフト、10…シ
リンダー、11…ベーン、12…ローラ、13…上軸
受、14…下軸受。
…試験チャンバー、6…荷重負荷バネ、7…トルクアー
ム、8…チャンバー、9…クランクシャフト、10…シ
リンダー、11…ベーン、12…ローラ、13…上軸
受、14…下軸受。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田口 真実 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 3H029 AA01 AA04 AA15 AB01 AB03 BB44 BB50 CC05 CC38 4K044 AA02 AA03 BA06 BA08 BA10 BA18 BC01 CA51
Claims (5)
- 【請求項1】鉄系基材表面に該鉄系基材より軟かく、か
つ低摩擦係数の被覆層が摩擦により移着形成されている
ことを特徴とする耐摩耗部材。 - 【請求項2】請求項1において、前記被覆層はAl,S
b,Pb,Sn,Ag,Cu,Zn,In、それらの合
金、及び黒鉛の少なくとも1つであることを特徴とする
耐摩耗部材。 - 【請求項3】請求項1又は2において、前記基材は炭素
鋼,オーステナイト系ステンレス鋼及びマルテンサイト
系ステンレス鋼の少なくとも1つであることを特徴とす
る耐摩耗部材。 - 【請求項4】鉄系基材表面に該鉄系基材よりも軟かく、
かつ低摩擦係数の被覆層を摩擦により形成させる耐摩耗
部材の製造法であって、前記鉄系基材及び被覆層となる
部材とを互いに加圧接触させて少なくとも一方を回転さ
せ、前記基材表面に前記被覆層を移着させることを特徴
とする耐摩耗部材の製造法。 - 【請求項5】モータに連動して回転するシャフトと、該
シャフトの回転によって偏心運動するローラと、該ロー
ラを収納するシリンダーと、前記ローラの運動に伴って
往復運動するように前記シリンダーに設けられたベーン
とを備えたロータリ圧縮機において、前記ローラは鉄系
部材よりなり、該鉄系基材表面に該鉄系基材より軟か
く、かつ低摩擦係数の被覆層が摩擦により移着形成され
ていることを特徴とするロータリ圧縮機。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24469498A JP2000073182A (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | 耐摩耗部材とその製造法及び用途 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24469498A JP2000073182A (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | 耐摩耗部材とその製造法及び用途 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000073182A true JP2000073182A (ja) | 2000-03-07 |
Family
ID=17122556
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24469498A Pending JP2000073182A (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | 耐摩耗部材とその製造法及び用途 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000073182A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN107061289A (zh) * | 2017-01-24 | 2017-08-18 | 广东美芝制冷设备有限公司 | 压缩机活塞以及压缩机 |
| JP2019119915A (ja) * | 2018-01-09 | 2019-07-22 | 日本製鉄株式会社 | 摺動部材およびその製造方法 |
-
1998
- 1998-08-31 JP JP24469498A patent/JP2000073182A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN107061289A (zh) * | 2017-01-24 | 2017-08-18 | 广东美芝制冷设备有限公司 | 压缩机活塞以及压缩机 |
| JP2019119915A (ja) * | 2018-01-09 | 2019-07-22 | 日本製鉄株式会社 | 摺動部材およびその製造方法 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JPH0483914A (ja) | すべり軸受材料 | |
| JP3642077B2 (ja) | 斜板式コンプレッサーの斜板 | |
| JP2004346417A (ja) | 溶射皮膜摺動材料、摺動部材および摺動部品並びにそれが適用される装置 | |
| JP2016503863A (ja) | 滑り軸受複合材料 | |
| JPH0694037A (ja) | 多層すべり軸受および軸受組立体 | |
| JP2003278757A (ja) | すべり軸受及びその製造方法 | |
| WO2012071639A1 (en) | Tribological pair and process for surface treatment in tribological pairs | |
| JP2003013163A (ja) | 粉末アルミニウム合金製摺動部材及びシリンダとピストンリングの組み合わせ | |
| JPH02271106A (ja) | すべり軸受装置 | |
| JP5199728B2 (ja) | ロータリ圧縮機 | |
| US5816207A (en) | Tappet roller bearing | |
| JPH0118985B2 (ja) | ||
| JP2001343022A (ja) | 複層摺動材料 | |
| JP3472198B2 (ja) | すべり軸受 | |
| JP2013204810A (ja) | すべり軸受 | |
| JP3972326B2 (ja) | スクロール圧縮機 | |
| JP2013204807A (ja) | すべり軸受 | |
| JPH09202978A (ja) | 耐磨耗性が優れた耐磨耗部材とその製造方法 | |
| JP2007527953A (ja) | 焼結された滑り軸受け材料、滑り軸受け複合体材料並びにその用途 | |
| JP2000073182A (ja) | 耐摩耗部材とその製造法及び用途 | |
| JP3422994B1 (ja) | 潤滑剤、摺動部材及び固形潤滑剤 | |
| JP2002147459A (ja) | オーバレイ層を改質したすべり軸受 | |
| JP6481798B2 (ja) | 転がり軸受 | |
| JP2020125838A (ja) | 摺動部材 | |
| JP2004060619A (ja) | 内燃機関用ピストンリングの組合せ |