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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
7章 組織を作ろう
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83話 トレジャーハンターなおっさん少女

 田畑が周りに広がる道。広がる道にはポツンポツンと錆びた車両が放置されている。田舎道だからなのだろう。車両は道路を塞ぐほども存在していなく、生者が存在しない道路を一台のトラックが移動していた。


 ガタンゴトンと揺られながら、歩兵輸送用トラックに乗っている面々は荷場所に座りながら談笑している。


「静香殿が言うその場所は、儂の友人の家じゃな。槍の使い手として儂らの間では有名じゃった。まぁ、金に飽かせて色々と収集癖のある友人じゃった」


 うんうんと頷きながら、腕を組み話してくるのは水無月史郎である。爺さんはいつも通りの超常の力をもつ流水刀を腰にさして話している。


「へ~。お金持ちだったんですね。槍の使い手って珍しいですね」


 同乗しているナナが、ほぉ~、有名な槍の使い手ですかと感心して返答する。


「なんの。おぬしの古武術もかなりのもんじゃ」


 カッカッカッと爺さんらしい笑いをしてナナを褒める爺さん。ここに来る前に組打ちを軽く行った二人である。


 それを見ながら、絶好調ですな。爺さん。とうんざりした表情で二人を見やる遥。レキぼでぃにて移動中だ。


「お金持ちにはお金持ちの人脈があるのね。羨ましいわ」


 お金持ちに反応する静香が興味津々な表情で話に加わる。お金大好きすぎである。


「いや、湯川は最初は資産家ではなかった。昔からの老舗であるおでん屋をやっていたのだ。資産家になってもおでん屋は続けていたぞ。資産家になったのは儂の投資アドバイスのおかげだし、槍も儂が勧めたから始めたのだ」


 投資のアドバイスを受けて金持ちになったらしい。羨ましい限りである。


 是非自分も崩壊前に爺さんの知り合いになりたかったと思う遥。


 そしてその湯川さんとやらも儲けさせてもらったら槍を勧められたら断れないだろうとも考える。このパターンで爺さんは武術振興協会でもやっていたんじゃないのかとも疑う。


「老舗のおでんですか? 美味しかったんですか?」


 ナナが爺さんに聞いてみる。庶民的な店だけど、おでん屋はなかなか入ったことが無いなと遥は思った。なぜなら、おでん屋は微妙に高い感じがする。おでんの具一個で180円とかするのだ。コンビニのおでんとどうしても金額を比較してしまい、店に入ることはなかなかない。それに価格の割にはコンビニのおでんより少し美味しい程度である感じがするのだ。


 うむ、大根がよく味が染みており美味かったぞ、そうそう餅巾着も絶品でなと答える元気な爺さんを見やりながら、気になることを突っ込んだ。


「どうして爺さんとナナさんがついてきたんですか?」


 なぜついてきたのかは聞いているが、納得できない遥はもう一度二人に問いかける。


「仕方あるまい。儂の紹介で訪れる場所じゃ。ついていくのは人として当たり前であろう」


 うむうむと重々しく頷きながら爺さんが答える。


「一般人を危険な場所に行かせることはできません。私も護衛としてついていきます!」


 ナナが結構ありそうな胸をはり、遥に元気に声を張り上げて主張してくる。


「そういうことだから、もう諦めたら? お嬢様」


 ニヤニヤとした表情でからかうように伝えてくる静香。


 タタタと同乗しているツヴァイがゾンビを撃破していく銃声を聞きながら、はぁ~と溜息をついて肘をついて遥は近づいてくる目標地点を見るのであった。




 静香は南部に武器を売りに行ったときに爺さんからこの場所を聞いたらしい。収集家の場所を色々聞きまわっていたら爺さんが教えてくれたのだ。


 その場所は遥の基地から東部、すなわち面倒で手を付けていなかった場所である。しかし遥の基地から発生する浄化能力のために弱体化しており、一般人でもなんとか探索できるレベルに落ち込んでいたのだ。


 この場合の一般人とは練度の高い兵士のことを言う。


 そして静香がうきうきと向かった先で問題が発生していた。

 

 生存者はいなかったので問題はないが、その場所は変異していたのだ。


 すなわちダンジョン化していたのだ。でかい豪邸がある場所は丘ができており、鬱蒼とした森となっていたのだ。敵もゾンビではなく銃弾が効きにくい接近戦タイプが多いのであるそうな。


 仕方なく静香は他の面々に任せることにした。きっちりとこの変異を解決するだろうレキに依頼をしにきたのである。もはや考え方がどっかの女泥棒そのまんまである。


 聞いたときから嫌な予感しかしないミッションである。聞いたとたんにサクヤからミッション発生の報告を受けた。


 湯川の森ダンジョンをクリアせよ。exp5000報酬スキルコアである。簡単そうなミッションである。見た目はだが。多分裏ミッション発生の予感がビシバシとしたおっさん少女。この予感は的中すると信じている。


 それに加えて、湯川の情報を教えた爺さんがついていくとごねり、それを聞きつけたナナがついていくと言い始めたのがこのメンツが結成されたのだった。


 仕方ないので、歩兵輸送用トラックを持ち出して、護衛にアインとツヴァイ2名、運転にもツヴァイと8名の大所帯で来たのである。


 まぁ、見た目は経験値も少ないし簡単そうである。ナナ達が死なないように気を付けるだけだ。ヒールがあるので、HPが1残っていればいいよね、そうしたら回復するしの攻略スタイルであるおっさん少女の護衛はその心中を知ったら二人とも恐怖するだろう。


 そんなこんなで目的地に到着した面々である。目の前には聞かされたとおりに丘が存在し、森で覆われている。多分頂上には湯川の豪邸があるのだろう。


 これは宝箱を探さなくてはなるまいと誓うおっさん少女。物欲センサー丸出しである。


 見た目は庇護欲を喚起させるいつも眠たそうな目をしている小柄な可愛い美少女レキである。そんなことを考えているとは周りは露とも思っていまい。


「アイン。ツヴァイたちを連れて私たちとは反対の探索を開始してください。やられないように敵に注意しながなら進んでくださいね」


 アインもツヴァイも大事な家族であるので、十分に気を付けるように注意する。


「了解っ! まかせなっ。ご期待通りに探索してくるぜ」


 片手を折り曲げてニカッと笑いアインが頷く。


「ツヴァイ1たちも問題なく行動をいたします」


 3機のツヴァイたちも了解とガッシャガッシャとパワーアーマーの駆動音をたてながら移動を開始する。


 大丈夫かなぁと不安な遥である。壊されそうならすぐさま救援に行くつもり満々である。アインたちは常にHP満タンを希望するのだ。護衛の人間より待遇がいいマシンドロイドである。


「それじゃ、私たちもいこう~」


 おぉ~と手を上げながら、異様にテンションの高いナナが掛け声をだし、爺さんも同意して拳を上げる。爺さんにとっては大好物なミッションなのだろう。何しろこういうイベントが大好きなオタク爺さんなのであって。


 それを見て、ダンジョンに入る前から肩をおとして疲れる遥。


「ふふふ、お宝が待っているわよ。お嬢様」


 うきうきとした表情で静香もナナ達を追いかけてダンジョンに入っていく。


 大丈夫だろうかと色々不安なおっさん少女であった。





 鬱蒼と木が生い茂る森に入る一行。狭い小道を移動しているとすぐにミュータントに出会った。


 木の上からの不意打ちをしてきたのだ。


 なんかファンタジー江戸時代にでそうなからくり忍者たちだ。木の歯車でできており、カタカタと音を立てながらいくつもの手裏剣を投げてくる。その手裏剣は結構な速さである。当たったらかなり痛そうだ。


「ガードビットの出番ね」


 ほいっと機械でできているメカニカルなボールを静香がいくつか取り出して起動させる。


 ちゅいーんと機動音が聞こえて、空中に浮いたガードビットは接近する手裏剣に向けて衝撃波を放った。あっさりとその衝撃波で勢いを失くし地面にポトリと落としていく。すごいSFっぽい武器である。それ私も欲しいです。後でもらえないかなぁとうらやましがる遥。ロマン溢れる武器なんて男心をくすぐるのだ。今は少女ではあるが。


「水無月史郎、参る!」


 ノリノリでその様子を見た爺さんが叫んで、からくり忍者に突撃していく。素早く流水刀を振りかざし、からくり忍者を切り裂いていく。ピュンピュンと風を切る音がして剣速が恐ろしく速い。


 そしてからくり忍者は木でできているはずなのに、流水刀で斬った後は滑らかだ。続けて現れるからくり忍者も爺さんはバターでも斬るようにスパスパと斬り倒していく。


 ナナも負けてはいない。アサルトライフルを撃ち込もうとする。タタタと乾いた音がしてからくり忍者に銃弾が迫る。だが、銃弾の勢いはそこまでであった。勢いを失くしポテポテと落ちていく。


「ご主人様、このミュータントは――」


 サクヤの声にかぶせる遥。


「からくり忍者だろ?」


 それを聞いて図星だったらしい。私の名付けの役目を取らないでくださいと口を尖らせてブーブーと不満を言うサクヤ。不満顔も可愛い銀髪メイド。


 それを見て、予想過ぎる名づけが悪いんでしょ? と苦笑いをしたおっさん少女である。


「それとこのダンジョンには火薬系銃の無効概念が発生していますので、大した効果はありませんが気を付けてください。ナナさんたちが死んでご主人様が悲しむのは嫌ですので」


 真面目な表情で遥を気遣う可愛いことを言うサクヤに、了解と笑顔で返答する。


 ナナは銃弾が無効であることに気づいて、すぐさまサスマタを構えてからくり忍者に突撃していく。手裏剣が静香のガードビットに無効化されると判断したからくり忍者は背中に背負っている忍者刀を抜いて、ナナとの接近戦に入る。


 ピュンと風を切る音がして、ナナに忍者刀を振り下ろす。ナナはその攻撃を見切り、ぎりぎりで身体を捌き回避する。ナナの回避した際の踏み込んだ足から砂煙が発生する。そのままからくり忍者の足の間にサスマタを差し入れて、ていやっと思い切り引き上げる。


 引き上げられたからくり忍者はその身体をひっくり返す。そのまま一気に倒れこんだからくり忍者の胴体に力強くサスマタをつきこみ破壊したナナである。素晴らしい体捌きである。スキルの補佐もなくこれができるナナは凄すぎる。おっさんでは訓練してもできないであろう。


「ここ、弱い銃弾だと無効化されるのよ。困るでしょう?」


 爺さんとナナの戦いを見ながら困った感じを見せない静香が頬に手を当てて遥に伝えてくる。高い銃弾なら問題ないが赤字になる可能性があるのでやらないそうだ。


 なるほどなるほどと、高価な銃弾を使うのは嫌だと同意するケチなおっさん少女。


 そして、まだまだからくり忍者は森の木陰やら木の上から出てくるので、自分も戦いに加わるのであった。


 そうしてしばらくダンジョンを探索した遥達一行。あれから、からくり侍が日本刀を振りかざして爺さんに切り伏せられたり、からくり女中が小型の爆弾をぽいぽいと投げてきて、ナナがホームランバッターよろしくサスマタで撃ち返して倒したりして進んでいく。


 そしておっさん少女は自分では自然、周りにとっては不自然な動きで部屋の中に宝があるとカクカクと両手両足をそろえて歩き近づいて手を宝箱に翳して取っていく。明らかに不自然だったが、皆はレキだからなぁということでスルーしてくれた。優しいメンバーである。


 数時間後、ようやくマップの3割は埋めたと思っていたら、アインから連絡が入った。


「ボス、地図の6割は埋めたよっ。宝箱もばっちり回収したよ。ライトクリスタルばっかだったけどね」


 さすがアインたちである。ソロの時と違い遅い移動しかできないこちらとは違うと感心した。後で報酬をあげようと決心する。


 そしてこちらの宝箱の中身も同じようなものである。がっかりしたが、まぁ、低レベルだから仕方ない。


「それでは、こちらとそちら、重なっていない場所を探索します。残りは頂上の豪邸のみです。恐らくは場所的にボスの可能性があるので、アインたちはこれにて退避しておいてください」


 澄ました表情で眠たそうな目で次の命令を下すおっさん少女。もはや宝箱がないこのダンジョンには価値が無いのである。後はボスを倒すことと収集されたお宝がどこにあるか確認するだけである。


「え~! 私たちも合流して戦うよっ。援護はまかせなよっ。そこの人間たちでは援護なんてできないぜ?」


 アインが口を尖らせて抗議してくる。ツヴァイたちも同じく抗議してくる。


 ふむとそれを聞いて考える遥。確かにこの先はボス戦の可能性が高い。アインたちがいた方がナナたちを任せることができて楽だろう。


「わかりました。それでは合流しましょう。豪邸正門前にて集合です」


 了解だっと凄い輝く笑顔で答えるアイン達と通信を終わりながら、合流する旨をメンバーに伝えた。


 30分後、豪邸の前に到着した面々。アインたちも心配した破損もないようだ。こちらも主人公な面々なので怪我もないし、疲れもそんなにないようである。


「では、ボス戦となると思いますので、皆さん準備はいいですか?」


 問いかける遥に皆は頷く。目の前に聳え立つ200坪はありそうな豪邸の正門。なんか重厚な木でできており、時代劇の城門に置いてありそうな門構えである。そして正門後ろは平屋づくりなのだろう。一階しかないとおもわれる和風な贅沢な豪邸が見える。


 とりゃぁと、力を込めてちっこいおててを木の門にあてて開けようとする遥。ぎぎぃと音が鳴り門が開いていく。


 その門の後ろには敵はいなかった。肩透かしを受けて、中に移動する。


 ごめんくださーいと声を上げて、これまた時代劇の武家の家みたいな襖でできた正面玄関をスラッと軽い音をたてて開けて中に入る遥たち。


 中はがらーんとした広大な空間となっていた。畳敷きであり、サッカーが2面でできそうな広さである。


 そして、からくり侍が複数名、後ろには武者らしきものが十文字槍をもっており身構えていた。


「よくぞきた。強者たちよ。我こそは武士斬りの槍の使い手、湯川なり! いざ尋常に勝負せよっ」


 吠えて威圧感を出す武者。ゾンビではなさそうである。一本角が武者装備の頭から生えているので鬼なのだろうか。そして尋常にと言ったのに、からくり侍が全員動き出す。


「ここまでよくぞ来た。強者たち」


 身構えて応戦しようとする遥たちに武者の後ろから現れた者が話しかけてくる。


 それは巨大な3メートルはありそうな馬に乗った、これまた巨大な西洋騎士であった。同じく背丈は3メートルはあろうか。8メートルはある長大な西洋の騎士槍も構えている。


「我こそは老舗の騎士。その名もオデン! 我のグヲニルの槍の前に立ちふさがることができるかな?」


 恐らくフルフェイスの兜の中で笑ったのだろう。フハハハハと笑い巨大な槍を構えて言ってきた。


「ご主人様、隠しミッション発生です。2つのエリアの支配者老舗の騎士。オデンを撃破せよ。exp10000.報酬スキルコアです!」


 ウィンドウからサクヤが伝えてくる。


 その内容を聞いて、オデンの騎士をみて、そういうのはいいんだけどなぁと気が抜けるおっさん少女であった。


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