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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
6章 お侍と遊ぼう
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64話 おっさん少女と武士な人々

 テッテケと敵から逃げるため、全力で走っている風なレキぼでぃである。その隣には巫女が二人いる。なぜ全力風かというと、全力だと尋常ではない身体能力をもっていそうな二人でも、軽くぶっちぎるからである。なので一生懸命ついていきますと可愛いおててをふって、コンパスの短い可愛い足を一生懸命に動かしている演技をしているおっさん少女。


 足軽ゾンビと武者ゾンビに囲まれて大ピンチ、私は絶体絶命! という時に助けてくれた魔法らしき技を使う女性二人であった。


 住宅地を移動しながら後ろを見ると足軽ゾンビは追ってきてはいなかった。恐らく煙に翻弄されて動けないのであろう。脆い兵隊である。武者ゾンビは不慮の事故でお亡くなりになりました。


 そう、朝倉レキ15歳はたった一人でこの崩壊した世界を銃を頼りに生きていたところを助けられた可愛い少女なのである! と、おっさん少女は一生懸命設定を考えようとしていた。やっぱり一人で生き残っていたというのがポイント高いかもと思って考えている。


 おっさんが設定を考えても、ほとんど確実に破綻するのだが学習能力は無いので仕方ない。


「ご主人様、今の術は超能力です。それも恐らくはミュータントが作った道具です。それを奪取して使用していると思いますよ?」


 サクヤが魔法の正体をサクッと教えてくる。

 

 遥もそれは思った。今まで超常パワーの持ち主は、女武器商人こと五野静香しかいなかったのだ。後、符とか言ってたから、道具を使っているみたいだなぁ。敵も戦国風だしその可能性はあると思っていたのだ。


 でも、聞こえないふりをする。ふぁんたじぃなのだ。魔法なのだ。あーあー、サクヤの声は聞こえないな。もしかしたら混線しているかも、と現実逃避した。だって巫女さんだよ? そうだよ、巫女服はどうなるの? と一縷の希望を持つおっさん少女。


「マスター、あれは巫女服に見えますが、ミュータントが作成したと思われる特殊な服ですね。あれも敵から奪取したのではないのでしょうか?」


 その一筋の希望も壊そうとナインが答えを教えてくるので、ナインさん、もう少し希望を持たせてよと涙目になるレキぼでぃ。


 魔法にあこがれていたのだ。魔法使いにはなる資格がなかったから、なれる人がいるのか興味があったのだ。


 そんなダメダメな考えを持ちながら、魔法という希望を砕かれた遥は落ち込みながら、巫女についていく。


 ある程度、移動して振り切ったと思ったのであろう。周辺を確認した後に立ち止まり、巫女さんがレキぼでぃに話しかけてきた。


「もう大丈夫みたいですね。私の名前は水無月 穂香と申します」


 穂香が丁寧に自己紹介をしてくるので、遥はいつも通り観察する。少女なら女性を観察しても警察官が、ちょっとお話をと聞いてこないのだ。穂香は大体15、16歳だろうか? 髪型は黒髪、ストレートロング、髪の先をリボンで結んでいる背丈が160センチぐらいの切れ長の目をした、いかにもな美人な巫女さんであった。


「僕の名前は水無月 晶だよ、よろしくね」


 快活に自己紹介をする晶。こちらも15、16歳ぐらいであろうか。髪型は黒髪、ふわっとしたボブカットで背丈は140センチぐらい。目元も子犬みたいな元気そうな可愛い目をしている。元気そうな可愛い巫女さんだ。


 そしてなんと僕っ子である。初めて僕っ子を見た遥。恥ずかしくないのであろうか? 現実のその歳で僕っ子はいないと思う失礼な遥。


 その反応を見たのだろう、晶が真っ赤に顔を染めた。


「いやね、これはちょっと事情がありまして…」

 

 何か理由があるらしい。今までの経験からしょうもない理由でないこと祈るおっさん少女。


「とりあえず、私たちの拠点まで行きましょう。ついてこれますか?」


 真面目な顔で聞いてくる穂香。はい、余裕ですとは言わない遥。


 「だ、大丈夫です。ついていきます!」


 健気な少女を演じている遥。まだまだ演技を頑張るらしい。


 テクテクと逃げ切った住宅地を抜ける遥。移動中も足軽ゾンビは数体見つけた。しかし、巫女さんたちが瞬殺である。


 しかも符を使わずに、錫杖らしきものを背負っていたので、その錫杖を振るい次々とあっさり倒していく。


 これには遥もびっくりした、異常なパワーである。そして巫女が装備している巫女服や錫杖に警戒する。さっきまでのおちゃらけた感じは無くなり鋭いかどうかはわからないが、眠たそうな可愛い目でその装備を観察する。


 あの武器を奪取したということは、あのレベルの装備を生み出せる敵がいるということだ。そしてその敵が最高レベルのボスでない可能性は高い。なぜならそこまでのレベルの敵を倒したならば、少しでも浄化は進んでいるはずである。


 珍しく明日は熱がでるかもしれないほど、おっさん少女は考えた。ついに知力のステータスが項目に生まれたのであろうか。


 そして、遂に装備品を落とす敵が現れたかと喜んでいた。巫女さんたちがいなかったら、踊っていただろう。しかも遥の好きな戦国系である。


 きっと村正とか正宗をドロップする敵がいるかも知れないとワクワクドキドキ期待ものである。魔術師風ダンジョンゲームでは侍を最初から入れて使っていたのである。ボーナスポイントが高く侍ができるまで、ポチポチ一時間以上ボーナスポイントのやり直しをしていたおっさんである。


 おっさんは物欲センサーが強いのか、幾ら敵を倒しても落とさなかった経験があるが、課金してレアアイテムドロップ率を上げているのだ。きっと大丈夫だよねと安心したい遥。


 でも、まぁ、レキぼでぃ様ならなんとかしてくれるでしょう。今は巫女を私は愛でましょうとすぐに思考するのをやめたので、いつもどおりかもしれなかった。


 何時間歩いただろうか? 住宅地を抜けて、最早周辺は畑だらけになっており、足下の感触はアスファルトから土へといつの間にか変わっていた。田舎に来たんだなぁと感じる。そうして日が沈む夕方ごろに、周辺に森が形成されはじめた頃、山のふもとについた。


 階段がふもとから山の中に続いている。階段前には鳥居がありこの上は神社だろう、さすが巫女さんとテンションが上がるおっさん少女。


「この上だよ。もう少し頑張ってね!」


 晶が疲れた感じも見せずに、こちらを見て両腕をぐっと折り曲げて、頑張ってねと言ってくる。


 すごい体力だなぁ、いや、装備の力かな? と思いながら、自分は相変わらず汗一つかかないレキぼでぃ。だが、一応疲れた感じを見せてみる。実際は全く疲れていないのだが。


「はい、頑張ります」


 頑張ってますけど、少し辛いですという表情をレキぼでぃで見せながら答える遥。


 しかし汗一つかかないのは、やばいんじゃないのかなぁと今更になって思うおっさん少女。だって昼間から歩きづづけてきて夕方になっているのだ。数時間は歩いたのに、汗をかかないのはまずいのではなかろうか。


 でも、可愛いレキぼでぃなのだ、美少女は汗をかかないと答えようと考えるおっさん。


 昔のアイドルはトイレも行かないし、汗もかかないとか言ってたから大丈夫かもしれないという精神である。やはり遥に知力の項目が表記されることは無いと思われる。


 のんびりと長い階段をテクテクと登っていくレキぼでぃ。後ろを振り返り地上を見ると、長閑な畑が広がって見えた。日が沈む光景も相まって普通にキレイだと感じる遥。珍しく感傷的になってしまう。


 だが、畑のあちこちにもゾンビの姿が見える。やはり長閑ではないなと正面に視線を戻す。そして、到着した場所は、100人はいるだろうか。生存者たちが生き残っていたのである。


 サクヤの言う通り、どうやら山の奥や寂れた村ならば、この様子なら生き残れそうである。




 到着した遥は、まず指導者である爺さんに会うことになった。どうやら巫女さんたちの祖父らしい。テクテクと歩いているとチラチラと生存者の注目を受けるなか移動する。


 移動中に生存者たちを見るが、そんなに汚い恰好もしていないし、痩せてはいるが血色はまぁまぁ良さそうだ。ここは自給できているコミュニティなんだなと感じる遥。


 社務所の奥の部屋にいた爺さんは、眼光鋭い長い白髭をしているいかにもなお爺さんで武士だった。多分60代ぐらいだろう。背筋をビシッと伸ばしており、元気そうである。座布団の上に座っており、ここは戦国かな?豪族と話が合いそうだと遥は思う。


「嬢ちゃん、良く生き残っていたな。儂の名は水無月 志朗、このコミュニティの指導者をしている」


 薄く凄みのある笑顔を見せる爺さん。武士っぽいから、もう武士で良いよねと心の中で思う遥。


 なんと驚いたことに、この爺さん、日本刀を腰に差している。武士にしても銃刀法違反である。すごいなこのコミュニティと感心するおっさん少女。すごいぜ、まるでアニメの世界だとわくわくした。


 ここのコミュニティに俄然興味が出てきた遥である。自分の設定をどう話そうかと迷っていると、レキぼでぃが何かに反応し、ゆらりと動いた。


 まるで遥は気づかなかったが、自分の眼前で日本刀から放たれた刃をレキぼでぃがちっこい人差し指と親指でそっと掴んでいた。 


「何をするんでしょうか?」


 静かな眠たそうな可愛い目で冷静に声をかけるレキぼでぃ。


 なんじゃなんじゃと遥は驚くが、どうやら居合を受けたらしい。油断してたと思い、ますますアニメっぽいなとわくわくする遥。


 今の攻撃をレキぼでぃが防いだのに、まったく危機感を感じていないおっさん少女である。レキぼでぃを信頼しているのだ。


「ふん、やはり見た目の可愛さとは違う力をもっていそうじゃな。嬢ちゃんは何者だ?」


 居合を放った姿で刃を掴まれたまま、警戒した武士がこちらに問い詰めてくるのだった。


 

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