2025年の航空
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/24 03:17 UTC 版)
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2024年の航空 - 2025年の航空 - 2026年の航空
2025年の航空(2025ねんのこうくう)では、2025年(令和7年)の航空業界、航空交通の状態や出来事をまとめる。
概観(通年)
旅客航空
航空の業界団体IATAが2025年6月2日に公表した数値によると、世界の旅客需要(RPK)は前年比 +5.8% 成長と予想され、2025年は約50億人(5.0 billion)になり、史上最多となる見通し[1]。
旅客収益は6930億ドルと予測され、前年比+1.6%で過去最高水準。これは、旅客単価(航空券+手数料含む)が 前年比–4% 減少しつつも、需要増により総収益が伸びる構図となっている[1]。
貨物航空
本年の貨物航空(エアカーゴ)の総貨物トンキロは+6 %の成長予測。長期的には拡大基調ではあるが中期的にはやや落ち着きを見せている状態にある 。貨物航空の収益は約1,420億ドル見込みで、前年より4.7 %減とやや縮小[2]。
SAFの利用
IATAが2025年6月に公表した数字によると、2025年の持続可能な航空燃料(SAF)の生産量は約200万トン(約25 億リットル)で、旅客+貨物合わせた航空燃料全体の0.7 %に相当[3]。
- EUとイギリスでのSAF義務割合
EU(欧州連合)は2025年から持続可能な航空燃料(SAF)について義務化する制度「ReFuelEU Aviation」が制定されており、本年は2%のSAF使用が義務である(ちなみに、2030年には6%、2035年20%、2040年34%...と義務の割合がすでに決められている)。これは欧州委員会の法令に基づいた制度であり、義務の対象者は、EU域内の空港に燃料を供給する燃料供給業者と、各航空会社である。
イギリスでも2025年から2%、2030年に10%、2040年に22%というSAF義務割合が法律化(国内制度)されている。
義務化された数値に航空業界が追いつこうとしているものの、現実は追いついておらず、SAFの需要の急増に対して供給が不足しておりその結果SAFの価格が高騰して、業界に強いストレスがかかっている状態である。航空業界の業界団体であるIATAの事務総長ウィリー・ウォルシュからは次のような指摘、およびEUに対する苦言ともとれる発言があった[4]。
SAF生産が2025年に200万トンへ倍増する見込みなのは喜ばしいことですが、それでも航空業界全体の燃料需要のわずか0.7%にすぎません。そしてその少量でさえ、世界全体の燃料費を44億ドル押し上げる見通しです。生産能力の拡大やコスト削減に向けた効率化を進めるスピードを速めなければなりません。SAFの多くは現在ヨーロッパ向けに使われており、EUおよび英国の義務付けは2025年1月1日から発効しています… 2025年にEUの義務を満たすために調達される見込みのSAF 100万トンは、市場価格で12億ドルと推定されます。さらにコンプライアンス目的の手数料が17億ドルと見込まれており、EUの義務措置はSAFの価格を従来型ジェット燃料の5倍に引き上げています。この価格高騰は、十分な市場環境が整っていない段階で義務化を実施することの問題を浮き彫りにしています… 欧州はこのやり方が機能していないと認識し、別の手段を見出す必要があります。[4]
- アメリカの状況
アメリカでは今のところブレンド割合(%)義務化はされていないものの、米国政府は米国エネルギー省(DOE)、運輸省(DOT)、農務省(USDA)の共同イニシアチブという形で「SAF Grand Challenge」(SAF大挑戦)と題して、次の目標を掲げている[5]。
2025年のアメリカではSAFの生産設備を急増させている状況であるものの、米国エネルギー情報局(EIA)の報告によると、2025年におけるアメリカのSAF混合比は「ジェット燃料消費量の2%未満(“less than 2%”)」とされている。EIAは2025年および2026年にかけてSAFの生産能力が拡大することを認めつつも、「絶対量が増えても、全体消費に占める割合は2025年に約2%、2026年も同程度」と予測している[6]。
出来事
- 3月20日 - 東京航空交通管制部で唯一残ってた首都圏周辺の上下分離を実施。高高度管制・洋上管制を福岡航空交通管制部に移管し、日本国内における管制区管制所の再編を完了した[7][8]。
- 4月1日 - 佐賀空港に航空管制官を配置[9]。同年7月1日には航空管制官による飛行場管制業務を開始した。
- 5月15日 - グローバル・エアラインズが商業運航を開始した。初便はグラスゴー国際空港からジョン・F・ケネディ国際空港だった[10][11]。
- 6月4日 - カノット・シャーク航空(キュアノット・シャーク航空)が釜山(韓国 )~タシケント(ウズベキスタン)線を開設[12][13]。
- 6月15日 - タイ・エアアジアが札幌(新千歳)~台北(桃園)(台湾)~チェンマイ(タイ)線を開設[14]。
- 6月30日 - オマーン航空が正式にワンワールドに加盟した[15]。
- 8月13日 - エア・カナダの客室乗務員約1万人がストライキを起こし、全てのエアカナダ便が欠航となった[16]。
- 9月8日 - カンボジアにあるプノンペン国際空港が運用を終了し、翌日新たにタクマウ・テチョ国際空港が開港した[17]。
- 9月29日 - アイスランドに本社を置くLCCのPLAY航空が全便運航停止した[18]。
- 10月29日 - ユナイテッド航空が東京(成田)-コロール(パラオ)線を週2便で就航した[19]。
- 11月28日 - 太陽フレアによる影響でコンピュータシステムに問題がでることを解決するため、世界全体の保有機数の約半数に相当する約6,000機のエアバスA320ファミリーが地上待機となり世界中でフライトに支障をきたした[20]。
- 12月1日 - 長崎・熊本進入管制区を福岡進入管制区に編入する形で廃止。長崎空港、熊本空港、大村飛行場、天草飛行場の進入・ターミナルレーダー管制を福岡空港事務所に移管 [21][22][23]。
- 12月2日 - IndiGoはインド政府民間航空総局(DGCA)が定めた新たな乗務員の勤務時間制限への対応が不十分だったことが原因で大規模な欠航便が出た[24]。
- 12月30日 - 2014年に消息を絶ったマレーシア航空370便の捜索が再開された[25]。
航空事故
- 1月8日 - パシフィック・アビエーションが運行するセスナ402Cがコロンビア・チョコ県のフラド空港からメデジンのオラヤ・エレーラ空港に向かっている際、アンティオキア県の樹木が生い茂った山腹に墜落し、乗員乗客10名全員が死亡した[26]。
- 1月10日 - アメリカ合衆国のアトランタ空港で離陸していたデルタ航空のB757がエンジントラブルで離陸を中断した。乗客208人中4名が負傷した[27]。
- 1月28日 - 韓国の金海国際空港で離陸準備中をしていた、エアプサン機が炎上した。乗員乗客176名は全員脱出した[28]。
→詳細は「エアプサン391便火災事故」を参照
- 1月29日
- 1月31日 - アメリカ東部ペンシルベニア州のノースイーストフィラデルフィア空港で離陸直後のリアジェット55が墜落した。当時メキシコ人の女児の患者を搬送しており、他に女児の母親・医師・救急救命士・パイロット2名の計6名が乗っていた[32]。
→詳細は「メドジェット056便墜落事故」を参照
- 2月6日 - アメリカ合衆国アラスカ州で10人が乗っていたベーリング・エアのセスナ 208が消息が途絶え、海に墜落しているのが見つかった。乗員乗客10名は全員死亡した[33]。
→詳細は「ベーリング・エア445便墜落事故」を参照
- 2月17日 - カナダのトロント・ピアソン国際空港で、デルタ・コネクション4819便(エンデバー航空)のボンバルディア CRJ900が着陸に失敗し機体がひっくり返った。乗員乗客80名全員が避難し無事だった[34]。
→詳細は「デルタ・コネクション4819便着陸失敗事故」を参照
- 2月25日 - スーダン空軍が運用するAn-26がスーダンのオムドゥルマンの住宅街に墜落し、乗員17名全員が死亡した。地上でも29名が死亡し、多数の負傷者が出た[35]。
- 3月14日 - アメリカ合衆国のデンバー国際空港でアメリカン航空機が着陸後エンジンから出火した[36]。
→詳細は「アメリカン航空1006便エンジン火災事故」を参照
- 3月17日 - ホンジュラス・ロアタン島のフアン・マヌエル・ガルベス国際空港からラ・セイバへ向かっていたジェットストリーム31がロアタン島沖の海へ墜落した。乗員乗客18人中5名が救助、少なくとも12名が死亡[37][38]。
→詳細は「アエロリネア・ランサ018便墜落事故」を参照
- 3月20日 - ロンドン・ヒースロー空港近くの変電所で火災が発生し、欠航が相次ぎ世界中の航空に支障をきたした[39]。
- 4月17日 - ベリーズシティ上空でトロピック航空711便が飛行中にナイフを持った乗客によるハイジャック未遂が発生した。緊急着陸後ハイジャック犯は乗客に射殺された[40]。
→詳細は「トロピック航空711便ハイジャック事件」を参照
- 5月3日 - スーダン内戦中にIBM航空が運用するボーイング737-290Cがニャラ空港でスーダン軍により撃墜され、乗員乗客20名全員が死亡した[41]。
→詳細は「2025年IBM航空ボーイング737墜落事故」を参照
- 5月17日 - フィンランドのエウラ付近でエウラヘリコプター空中衝突事故が発生、5人死亡[42]。
- 5月22日 - アメリカ合衆国ニュージャージー州のテターボロ空港からカリフォルニア州サンデイエゴのモントゴメリー・ギブス・エグゼクティブ空港へ向かっていた[注釈 1]セスナ 550が、濃霧で視界が悪い中、着陸寸前に米軍関係者の住宅街であるマーフィーキャニオンに墜落し全搭乗者6名が死亡、地上の8人が軽傷。死亡した搭乗者の1人はクリスチャン・ロック・バンド、デヴィル・ウェアーズ・プラダの元ドラマー、ダニエル・ウイリアムスだった[43]。
→詳細は「サンディエゴセスナ機衝突墜落事故」を参照
- 5月29日 - 韓国海軍のP-3が韓国・浦項近郊に墜落し、乗員4名全員が死亡した。[44]
- 6月12日 - アフマダーバード空港発ロンドン・ガトウィック空港着のエア・インディア171便が離陸直後に墜落し、乗員乗客242名中241名と地上の19名が死亡した。この事故はボーイング787初の全損、死亡事故である[45]。
→詳細は「エア・インディア171便墜落事故」を参照
- 7月21日 - バングラデシュ空軍の訓練中の戦闘機はダッカの学校に墜落。少なくとも19人が死亡[46]。
→詳細は「2025年ダッカ戦闘機墜落事故」を参照
- 7月24日 - ロシアのブラゴヴェシチェンスク空港からティンダ空港に向かっていたアンガラ航空のAn-24がティンダの手前に墜落し、乗員乗客48名全員が死亡した[47]。
→詳細は「アンガラ航空2311便墜落事故」を参照
- 8月6日 - ガーナ空軍のZ-9ヘリコプターはアクラからオブアシに向かう途中、アシャンティ州アダンシ・アクロフオム地区に墜落した。大臣2名を含む乗員乗客8名全員が死亡[48]。
→詳細は「2025年ガーナ空軍ヘリコプター墜落事故」を参照
- 9月23日 - 小型機がブラジル・マットグロッソ・ド・スル州内のパンタナルで墜落。4人死亡[49]。
→詳細は「2025年パンタナルセスナ機墜落事故」を参照
- 10月20日 - アール・マクトゥーム国際空港から、香港国際空港に向かっていたエミレーツ・スカイカーゴ9788便(Air ACTのB747-481BDSF)が着陸の際地上車両と衝突し、海に墜落。車両に乗っていた2名は死亡したが貨物機の乗員4名は救助された[50]。
→詳細は「エミレーツ・スカイカーゴ9788便着陸失敗事故」を参照
- 11月4日 - ルイビル国際空港発ダニエル・K・イノウエ国際空港行きのUPS航空2976便(MD-11)が離陸直後に墜落し、乗員3名と地上で13人が死亡した[51]。
→詳細は「UPS航空2976便墜落事故」を参照
- 11月11日 - アゼルバイジャン・ガンジャからトルコへ帰国中のトルコ軍の輸送機(C-130)がジョージア国境に入った直後に墜落。航空機に乗っていた乗員20名全員が死亡した[52][53]。
→詳細は「2025年トルコ空軍C-130墜落事故」を参照
- 11月18日 - 佐賀空港から大阪へ向かうプロペラ機が福岡県南部八女市星野村の山中に墜落。乗っていた3人全員が死亡した[54]。
- 11月17日 - エアジェット・アンゴラが運航していたERJ145が着陸に失敗し、滑走路を逸脱した。乗員乗客29名は全員脱出したが、機体は火災により全焼しした[55]。
→詳細は「エアジェット・アンゴラ100便着陸失敗事故」を参照
- 12月9日 - ロシア空軍が運用する最後のAn-22が修理後のテスト飛行中に墜落し乗員7人全員が死亡した[56]。
→詳細は「イヴァノヴォ州An-22墜落事故」を参照
- 12月18日 - 朝、グレッグ・ビッフルが所有するセスナ・サイテーションがノースカロライナ州のステーツビル地域空港からフロリダ州のサラソータに向かうが、離陸した直後に引き返して、着陸中に墜落した。ビッフルと家族ら7人が死亡[57]。
→詳細は「2025年ノースカロライナ州セスナサイテーション機墜落事故」を参照
- 12月23日 - トルコを公式訪問したリビア暫定政府の関係者5人を乗せた小型ジェット機(ダッソー ファルコン 50)がトリポリに向けてアンカラの空港を離陸した約15分後、電気系統に故障が発生したと緊急着陸を要請したが、直後に墜落した。乗員乗客全員死亡[58]。
→詳細は「ハーモニージェッツ185便墜落事故」を参照
脚注
注釈
- ↑ カンザス州ウィチタのコロネル・ジェームス・ジャバーラ空港で一度給油。
出典
- 1 2 “Airline Profitability to Strengthen Slightly in 2025 Despite Headwinds”. IATA(公式サイト). 2025年6月25日閲覧。
- ↑ “Air cargo volumes seen steady, revenues down in 2025: IATA”. Reuters (2025年6月2日). 2025年6月23日閲覧。
- ↑ “Policy Shortcomings Puts SAF Production at Risk”. 2025年6月23日閲覧。
- 1 2 “Policy Shortcomings Puts SAF Production at Risk”. 2025年6月23日閲覧。
- 1 2 3 “Sustainable Aviation Fuel Grand Challenge”. US Department of Energy(米国エネルギー省公式サイト). 2025年6月23日閲覧。
- ↑ “U.S. sustainable aviation fuel production takes off as new capacity comes online”. 2025年6月23日閲覧。
- ↑ 国土交通省 航空局 交通管制部 管制課長 工藤貴志. “航空管制の現状と今後について (2020年度ATCシンポジウム)” (PDF). 航空管制協会. 2023年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月28日閲覧。
- ↑ 国土交通省航空局交通管制部 坂野公治. “今後の我が国航空管制の課題と対応 (将来の航空交通需要増大への戦略)” (PDF). 一般社団法人航空交通管制協会. 2023年4月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月25日閲覧。
- ↑ 「佐賀空港に航空管制官を初めて配置へ 離着陸の増加に対応」『NHK NEWS WEB』2025年3月27日。2025年3月27日閲覧。
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- ↑ 「トルコで小型ジェット機墜落 リビア軍の参謀総長ら5人死亡」『毎日新聞』毎日新聞社、2025年12月24日。2025年12月24日閲覧。
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