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朝日新聞デジタル

鰊御殿に招かれたような、くつろぎの一夜 小樽平磯温泉「料亭湯宿 銀鱗荘」(北海道)

INTERESTS
2026.01.16

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明治建築の鰊(にしん)御殿を移築した銀鱗荘(ぎんりんそう)の本館=小樽平磯温泉「料亭湯宿 銀鱗荘」

明治建築の鰊(にしん)御殿を移築した銀鱗荘(ぎんりんそう)の本館=小樽平磯温泉「料亭湯宿 銀鱗荘」

  • 石井宏子
    温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト

    日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)。

北海道・石狩湾を見渡す岬に立つ鰊(にしん)御殿の宿とはどんなところなのか? しかも絶景の温泉があると知って、小樽の「料亭湯宿 銀鱗(ぎんりん)荘」に泊まってみたいと憧れていました。

10年ほど前に初めて滞在し、それから数回訪れていますが、ずっと変わらない落ち着けるたたずまい、宿の方々の笑顔、湯のぬくもりに癒やされて、いつも「また来ます」と宿を後にします。

2023年には国の登録有形文化財となり、丁寧に磨かれた本館も一層輝いているように感じられます。

【動画】シャチホコののれんがゆれる宿の玄関(無音です)

連載「楽しいひとり温泉」は、国内外の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する筆者が、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

鰊御殿の面影残す登録有形文化財の宿

かつてニシン漁が盛んだったころ、余市町の大網元・猪俣安之丞(いのまた やすのじょう)氏が明治時代に建てた鰊御殿を移築して料亭旅館となった銀鱗荘は、当時の繁栄を表すような風格ある建築です。

石狩湾や小樽の街や港を見渡す平磯岬の高台に建ち、大屋根の中央には立派なシャチホコが守る天守閣のような望楼があって今も登ることができます。かつてはここから海を見渡し、ニシンが産卵のために大群で押し寄せて海が乳白色に染まるという群来(くき)を追ったそうで、その高揚感が残っているような気持ちになります。

猪俣氏が故郷の越後から宮大工を呼び寄せて建築した
猪俣氏が故郷の越後から宮大工を呼び寄せて建築した

到着すると、番頭さんが駆け寄ってきて荷物を運んでくれました。入(い)り母屋(もや)造りの玄関を入ると太い梁(はり)の吹き抜け空間に圧倒されます。大広間には大網元の時代を感じさせる神棚や囲炉裏があり、にぎわいが聞こえてくるようです。

レトロな内湯と絶景露天風呂

海を描いたステンドグラスや雪の結晶の意匠が北海道らしい
海を描いたステンドグラスや雪の結晶の意匠が北海道らしい

数寄屋建築の中に、北海道や海を感じさせる意匠や小樽らしい色ガラスで描いたモチーフが随所にあってロマンチックな雰囲気。

大浴場の壁にはタイのステンドグラス
大浴場の壁にはタイのステンドグラス

大浴場もタイや貝などのステンドグラスがすてき。さらに、内湯の真ん中に鎮座する古代ローマ風の湯口に目が釘付けです。雄羊の口から温泉が流れ、下の柱にはメドゥーサの顔。活力や富を象徴する雄羊と、魔よけや守護をつかさどるメドゥーサのパワーが注がれる温泉なんて、精神と肉体に大きな力をもらえそうです。

古代ローマ風のあたたまる温泉でパワーをもらう
古代ローマ風のあたたまる温泉でパワーをもらう

岬の突端ならではの開放的な露天風呂は、石狩湾の潮風を浴びて入るのが爽快。泉質は、ナトリウム-塩化物泉、成分総計16.99g/kgある塩の濃い高張性の温泉です。体の芯までしっかりと温まって発汗、塩の成分が塩被膜となって肌の上をベールのようにおおい、ぽかぽかと温まりが持続します。

海絶景の露天風呂は深めで首まですっぽり入れる
海絶景の露天風呂は深めで首まですっぽり入れる

天空から石狩湾を見渡すような客室

岬の上に建つ客室は海に浮かんでいるような気分になる
岬の上に建つ客室は海に浮かんでいるような気分になる

今回は鰊御殿の世界にひたりたくて、本館2階の和室「花月」へ。今回は2人旅でしたが、ひとり宿泊ができる部屋があるほか、この部屋でひとり宿泊ができる日もあります。

岬の高台にあるので、まるで天空に浮かんでいるような感覚です。広縁の窓からは小樽の街と港の風景、ベッド側の窓からは石狩湾の海岸線が見えました。お茶菓子は余市にあるニトリ観光果樹園のアップルパイ、さっそくコーヒーをいれておやつタイムです。

海岸線のカーブにそって列車が走る
海岸線のカーブにそって列車が走る

窓を開けて景色を眺めていたら、列車の汽笛が聞こえてきました。海岸線のカーブに沿って走るJR函館線の列車が近づくカタンコトンという音まで間近に聞こえてきてビックリ。宿が立つ岬の下を通って小樽の街へと入っていきます。

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