韓国の南東部、慶尚南道(キョンサンナムド)の咸安(ハマン)郡で毎年行われている火祭り「咸安落火ノリ」を鑑賞してきました。昨年10月の日本の観光客限定「ジャパンデー」が好評だったことから今年は規模を拡大して開催。旅行会社のツアーなどで咸安を訪れた約1000人が、池全体に火の粉が舞い落ちる幻想的な光景に魅了されました。
取材協力:韓国観光公社
3000本の落火棒、舞い落ちる火の粉
舞い落ちる火の粉が花のように美しいことから“落ちる火のノリ”(ノリ〈놀이〉は韓国語で「遊び」の意味)と名付けられている「咸安落火ノリ」。朝鮮王朝時代の17世紀から民の安寧を祈願して毎年お釈迦(しゃか)様の誕生日(旧暦4月8日)に開催されてきた韓国の地方伝統の火祭りです。
韓国国内ではドラマの印象的なシーンで登場するなどしてSNSを中心に話題となり、ここ数年で急激に人気が高まったそう。2023年には予想をはるかに超える見物客が押し寄せて大混乱となったため、2024年からは事前予約制での開催となっていますが、予約がとれないほどの人気です。
咸安落火ノリは、池の上に放射状に張られたロープに木炭粉の入ったいくつもの落火棒を吊(つ)り下げ点火し、火の粉が静かに舞い落ちる風景を楽しむ火祭りです。今年のジャパンデーには年中行事で行われるときと同じ約3000本の落火棒が用意されました。
すべての落火棒に点火が終わると会場内の照明が落とされます。池の上に火の粉が静かに落ちていく様子は、まるで夢の中にいるかのような不思議な光景。その雰囲気をさらに盛り上げるのが韓国伝統音楽チームによる演奏です。今年のジャパンデーでは「青い珊瑚礁(さんごしょう)」や「雪の華」など、日本人になじみのある全5曲が演奏され、目の前の風景とリンクしたような優しい旋律に酔いしれました。
時間をかけてゆっくり燃え続ける落火棒ですが、風が吹くと周囲がパァっと明るくなるほど一気に燃える瞬間があります。風の強さや向き、湿度や振動、木炭粉の密度などによって、一瞬たりとも同じ光景はありません。
またドラマチックな瞬間をあえて作り出す演出も。落火棒が吊るされているロープを棒でたたく「チュルチギ」です。見物客全員の「ハナ、トゥル、セッ(韓国語で1、2、3)!」のカウントダウンで、ナイアガラ花火のような情景を数秒だけ見ることができます。
同じ火を使ったお祭りでも、迫力ある打ち上げ花火とはひと味違うひとときを味わえる咸安落火ノリは何度見てもいいものでした。今回のような日本人観光客を対象としたスペシャルデーは来年以降も開催されるかもしれません。「いつか見てみたい!」と思っている人は、旅行会社のツアー情報を時々チェックしてみてくださいね。
【動画】火の粉が舞う幻想的な「咸安落火ノリ」

















