ユギ
ユギ
Japan
何もしていないのに精神が壊れた
何もしていないのに精神が壊れた
Currently Offline
☆☆☆概要☆☆☆
・感想の言語化と評価のアウトプットを行うことで知見を定着させたいと思っている
・しかし主張が正当か否かに関わらず他者の作品の批評には一定の責任が伴うとも思っているので、全てのレビューを「おすすめします」にすることで許してもらおうとしている
Favorite Game
69
Hours played
38
Achievements
Review Showcase
3.4 Hours played
フェアすぎてアンフェアな、あの頃と同じ信条で作られたFPS

概要
まずバイオハザード5みたいで楽しげなPVは詐欺ぎみというか、こういう戦い方は基本できない。
全力ダッシュは全然できないしバカスカ撃ち合おうとすればするほど早く死ぬゲームデザインなので、こういう戦い方でも普通にクリアできるのはチュートリアル以降ほぼない。


受け継がれたXOPSの遺伝子
本作「BTD:BTD」は全23ステージ+チュートリアルステージで構成される、ミッションクリア型のシングルプレイTPS/FPS。
2003年に公開され主に日本の一部PCユーザーから熱い支持を経ていたフリーのFPS「X operations」の開発者により、rucsgames名義で発売されたという、「あの頃」を過ごした人々にとっては特別な意味を持つ作品だ。

同じ作者ということでXOPSとの共通点が複数見られ、
・短編ミッションを個別に遊ぶ、シングルプレイ主体の内容
・恒常的な育成・強化要素や装備選択機能などがない
・カバーアクションやリーン、匍匐、息止めなどの追加要素のない比較的単純な操作スタイル
・プレイヤーの移動能力と体力が貧弱
・弾丸はプロジェクタイルで表現され、集弾性や弾道の概念がある
・プレイヤーだけでなく敵にも所持武器とその残弾数の概念があり、撃っている敵が弾切れを起こしたりする
・敵の挙動は自身の視界のみに頼っており、比較的フェアな思考で動く
・途中セーブ機能やマップなどのプレイヤーへの救済措置は無し
など、システム部分にはその思想の多くが継承されている。

とはいえ20年越しの新作ということでXOPSから進化した点も多く、
・リッチになったグラフィック
・一貫した世界観設定(急にゾンビで街が滅んだりターミネーターが会社を占拠したりはしない)
・装備品枠が2つ→4つに増加
・それによる装備重量システムや、スタミナ制限といった現実的要素の追加
・ダッシュやしゃがみ操作の追加によるもっさり感の軽減
・TPS/FPS切り替え機能
・2勢力から生存者・盗賊・怪物の3勢力の戦いへと増加
・NPCを好きに調整して各種マップで対戦する簡易的なエディット機能の追加
・ミッションのクリア記録・実績対応
・遠距離爆発武器(グレネードランチャー)のデフォルト実装
などなど、さまざまな点で強化が図られている。

反面XOPSから退化した点もそれなりに多く、
・(おそらく)製作コスト増加によるマップのバリエーションの減少
・それによるマップ構造の単純化
・アドオン機能などの拡張性の廃止
・NPCバリエーションの減少
・それによるミッションのバラエティの豊かさの低下
・会話やスクリプト演出のかなりの簡素化・排除
・TPSモードを増やしたことによるそもそもの触り心地の微妙さ
など、残念ながら時が経ち改良を加えたことによる犠牲も多く見られる。


本作を特徴づける「リアルさ」
本作はストアページ概要からも読み取れる通り、「リアルさ」を最大の売りにしたゲームだ。

プレイヤーの挙動はかなり現実寄りで、ジャンプは低く、走れば疲れ、撃たれればすぐに死ぬ。重い装備を持てばすぐに疲れるし、救急キットを使用してもすぐに元気にはならない。(効果的に機能しているかは正直体感ではあまり分からないが)部位ごとのダメージ量を計算するシステムも実装されており、敵も自分も当たった部位や角度に応じて負傷の度合いが異なるなど、プレイヤーの弱さに関してはかなり気合いが入っている。

弾丸はきちんとプロジェクタイルで処理されており、銃口から発射され現実的な計算のもとリアルに飛んでいく。ただこれは要するに「あなたが撃った弾が外れるシステムを考え得る限り増やしてみました」ということで、それが有利に働くこともあれば不利に働くこともあり…たいていの場合は当たらずにイラだつことになるだろう。ヒットスキャンは絶対悪ではない。

敵AIは本作の最も素晴らしい点で、見て、聞いた情報だけを元に自律的に行動を行う。ボイスは未実装のため全員無言で連携も取らないという点はHALF-LIFE未満だが、前述の所持弾数計算システムも相まって「公平さ」の向上に繋がっている非常に優れた要素だと言えるだろう。
ただし、賢いは賢いのだがそれはあくまで戦闘中のみで、待機中に居眠りしたり休憩したり雑談したりといった「それっぽさ」は存在しない。また、人間NPCの行動パターンはすべて同じであり、無辜の人々が怯えて両手を上げる…といったXOPSにあったシチュエーションもなくなってしまっている(これはそもそもそういう世界観ではあるのだが)。

グラフィックはタルコフやSTALKERなどに通じる荒廃した東欧風の世界を採用しており、ライティングや木々の表現はしっかりとしている。水たまりに入った時は音が鳴るなど、現代の基本的な基準には達している感じ。そういう雰囲気が好きなら楽しめるが、梯子やこまごまとした各種アイテムといったものはないので密度感やロケーションという点では寂しめ。

銃器はサブマシンガンがやたら多く、それ以外もピストルやマグナム、ショットガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、手榴弾といった具合によくある武器種はだいたい全て揃っている。東欧武器が多めで、このあたりもそういったゲームの影響を感じるラインナップ。ブレが多くて使いにくいサブマシンガンやピストルが基本装備で運が良いとショットガンやアサルトライフルが持てるという塩梅になっているが、ここらへんもそういうバランスの世界といった感じだろう。


フェア故のアンフェアさ
プレイヤーにできないことは敵にできず、敵にできない事はプレイヤーにできない、というのが本作の(恐らく)ゲームデザインの信条だ。
昨今のゲーム業界では「プレイヤーは勝率50%のゲームは不公平で面白くないと感じ、勝率75~80%のゲームはフェアで面白いと感じる」という研究結果を地で行く、何らかの「勝率を+30%にするひと工夫」を入れた作品が大多数を占めている。
CODを発端とする現代戦シューターは自動で体力を回復するし、アサシンクリードやファークライは敵をマーキングして視野外から確実に仕留めていくことができる。グランドセフトオートやウォッチドッグスは壁に張り付いて攻撃をしのぎながら大量に携行する銃やガジェットを使いまくり、マックスペインやレッドデッドリデンプションは時間をスローにして華麗に敵を薙ぎ倒す。

しかし本作にはそんな「+30%の追加要素」はない。あくまで敵と自分の勝率は50%と50%で、技量と立地と武器以外でそれが変わることはない。
そのフェアさが面白いと感じるかは人によるが、「勝つ時の気持ち良さ」をゲームに求めているのならば本作には向いていないだろう。本当にシビアで緊迫感がありやり直しに時間のかかる体験を腰を据えて遊びたいという、かなり想定プレイヤー層を絞った調整となっている。


手軽さ故の問題点と、リスクとリターンの管理不足
本作はタクティカルシューターやサバイバルホラーにあるシビアさを掲げると共に、「手軽さ」もまた重視している。
この「手軽さ」は主にシングルプレイのミッション内容に顕著に表れており、ミッションブリーフィング文章以外に本編で起こるイベントや演出の類が殆ど存在しない。
ミッション内容も「敵を殲滅する」が殆どで、目的地にたどり着く、特定キャラを倒す、特定アイテムを拾って集めるが少しある程度。XOPSのように取引中に襲撃されたり、裏切りに逢ったり、交渉をしたり、尾行をしたり…といったおもしろミッションは軒並み姿を消してしまっている。

また、ミッション自体は上述の通り敵も自分も同じ勝率という状況がデフォルトなため、終始撃たれればすぐ死ぬ状況で時間を掛けて粘り強く攻略していくことになる。素早く攻略すること自体は不可能ではないものの、何度もリトライして地形と敵配置を熟知していないと時間を短縮できないミッションが大半を占めるため、実際に手軽さを体感できる場面は多くはない。

そんなワケでゲームオーバーの頻度とリスクがそれなりにある反面ミッション中に含まれる要素は薄いため、本作では攻略によって得られるリターンが「銃を撃って敵を倒す」「ミッションを達成する」「ミッション一覧にチェックマークが付く」「たまに実績が増える」だけというやや寂しいものとなっている。
育成システムがあるゲームならばここで報酬や成長や装備品獲得がリターンとなるし、シナリオ重視のゲームならばここで物語の続きがリターンとなるが、本作の場合はクリアしたらそれで終わり。それでプレイヤーの「次に進めよう」というモチベーションが維持できているかというと微妙で、もう少しリターンがあれば嬉しいなという気持ちにさせる。


ランダム要素
本作にはマップ内のアイテムにランダム要素が含まれており、初期装備4つ以外は基本的に何が配置されているかはランダムに選択される。このため、運が良ければアサルトライフル、普通ならサブマシンガン、悪いと大量の手榴弾だけ、という感じにかなり難易度に影響されてしまう。
アイテム配置のリセマラさせるぐらいなら初期装備カスタム機能でもついていた方が嬉しいのだが、本作は「リアル」なゲームなのでそういった概念は存在しない。
「ランダム要素によって強制的にプレイスタイルが変わり、異なるアプローチで戦える」と言って褒められるほど武器の性能の違いによる戦略性の自由度確保がされているわけではなく、結局は「アサルトライフルが配置されてりゃ一番ラクだよね」程度の戦略性止まりとなっており、果たしてこれが良かったのかどうかは微妙なところ。


あの頃と同じ親切心のなさを楽しめ!
ゴーストリコン1、レインボーシックス3、オペレーション・フラッシュポイント、デルタフォース1998などが評価されていた2000年代のあの頃、良くも悪くもアップデートされていない懐かしのあの頃の価値観のまま作られており、ミッションマーカーも敵強調表示もテイクダウンボタンも自動回復もない迷うし歩きづらいし当てづらいしすぐ死ぬ殺風景な空気感をあえて採用しているシューター、それが本作「BTD:BTD」だ。
抱えている問題点は正直それなりに多く、手放しに褒められるような内容とは言い難い。だが同時に敵AIやダメージシステムなど各所に深い拘りはあり、そういう味わいのあるゲームを腰を据えて遊びたい時には本作はそれなりに悪くない選択肢の一つであると言えるだろう。


色々な部分でXOPSとは全然違うゲームに仕上がってるので、「現代的にアップデートされた『XOPS2』が遊びたいぜ!」という人はおとなしくCruelty SquadとかPIGFACEを買いましょう。
Awards Showcase
4
2
2
1
14
8
7
5
4
4
3
3
3
3
2
75
Awards Received
4
Awards Given
Recent Activity
1.6 hrs on record
last played on 6 Jul
35 hrs on record
last played on 3 Jul
60 hrs on record
last played on 30 Jun
28 Jun @ 10:16pm 
-To bug you again-
A curious and imaginary award to you that you play non-forever games, I personally find them quite the trap, you move from thing to thing to gather up all that novelty into your brain, I didn't. I guess I'm envious.
19 May @ 3:06am 
承認ありがとうございました。
レビュー参考にさせていただいてます。
21 Apr @ 12:40pm 
DOS MAN Games好きで覗いたら…EASY FPS Editorのnote記事かなりお世話になってます!申請させていただきます:P10:
18 Dec, 2025 @ 2:19am 
レビューで度々お見かけしていたので、申請を送らせていただきました
フレンド承認ありがとうございます:cozyspaceengineersc:
25 Sep, 2025 @ 7:59pm 
フレンド承認ありがとうございます!
ブーマーシューター系は日本語レビュー貴重なのでありがたい!
25 Sep, 2025 @ 4:02am 
yotsublings…