以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
<眼科装置10の全体構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置10の全体構成の一例を示す図である。眼科装置10は、図1に示すように、検査部100、制御・処理部200、入力部300、表示部400、ステージ部500、ベース部600、及び、顔受け部700を有して構成されている。
検査部100は、制御・処理部200の制御に基づいて、光を被検眼(より詳細に、本実施形態では被検眼の眼底)に照射し、被検眼から反射・散乱してくる戻り光を検出して、各種の画像信号を取得する。
制御・処理部200は、眼科装置10の動作を統括的に制御するとともに、各種の処理を行う。例えば、制御・処理部200は、検査部100や表示部400、ステージ部500、ベース部600の制御を行うとともに、検査部100で得られた各種の画像信号に対して所定の画像処理等を行う。
入力部300は、制御・処理部200に対して各種の情報を入力する。この入力部300は、例えば、検者が操作を行うキーボードやマウス等から構成されている。
表示部400は、制御・処理部200の制御に基づいて、各種の画像や各種の情報等を表示する処理を行う。
ステージ部500は、制御・処理部200の制御に基づき不図示のモータを介して、検査部100を図1のX方向、Y方向、Z方向に移動させる。
ベース部600は、ステージ部500を介して検査部100を支持するとともに、顔受け部700を支持するものである。また、このベース部600は、図2に示す分光器610を内蔵している。
顔受け部700は、被検者の顔を受けて被検者の顎と額を固定することにより、被検者の眼の固定を促すものである。
≪検査部100及びベース部600の内部構成≫
図2は、本発明の第1の実施形態を示し、図1に示す検査部100及びベース部600の内部構成の一例を示す図である。
まず、図2に示す検査部100の内部構成について説明する。
図2に示す検査部100では、被検眼Eに対向して対物レンズ111が設置され、その光軸上に第1のダイクロイックミラー132−1及び第2のダイクロイックミラー132−2が配置されている。この第1のダイクロイックミラー132−1及び第2のダイクロイックミラー132−2によって、光が、OCT光学系の光路L1、被検眼Eの観察と2次元画像の取得とを兼ねるSLO光学系及び固視標光学系の光路L2、及び、前眼観察光学系の光路L3とに波長帯域ごとに分岐される。
ここで、対物レンズ111は、レンズを保持する鏡筒110によって保持されている。鏡筒110には、例えば突起部からなる着脱検知用の目印112が設けられている。対物レンズ検知部131は、例えば近接センサ等によって、鏡筒110の有無を検知する。また、対物レンズ121は、変倍時に使用するレンズであり、具体的に本実施形態においては、対物レンズ111(第1の対物レンズ)よりも高倍率の対物レンズ(第2の対物レンズ)である。この対物レンズ121も、鏡筒120によって保持されており、この鏡筒120には、鏡筒110とは異なる位置に着脱検知用の目印122が設けられている。そして、対物レンズ検知部131は、これらの着脱検知用の目印112及び122を検知することによって、被検眼Eに対向する位置に配置された対物レンズとしてどの倍率の対物レンズが装着されたかを検知することができる。この図2に示すように、本実施形態に係る眼科装置10は、被検眼Eと対向する位置に配置される対物レンズとして倍率の異なる複数の対物レンズ111及び121を交換可能に構成されている。
具体的に、SLO光学系及び固視標光学系の光路L2は、例えば、被検眼Eの眼底Efを観察するために眼底正面画像(SLO画像)を撮像するためのSLO光学系、及び、眼底Efに対して固視標を提示する固視標光学系の光路である。また、OCT光学系の光路L1は、例えば、被検眼Eの眼底Efにおける断層画像(OCT画像)を撮像するためのOCT光学系130の光路である。また、前眼観察光学系の光路L3は、被検眼Eの前眼部を観察するために前眼部画像を撮像するための前眼観察光学系の光路である。
まず、SLO光学系及び固視標光学系の光路L2について説明する。
光路L2には、リレーレンズ141、SLO走査手段142、レンズ135−4及び135−5、ミラー132−5、第3のダイクロイックミラー132−4、フォトダイオード153、SLO光源152、固視灯(固視標用光源)151が配置されている。
ミラー132−5は、穴あきミラーや中空のミラーが蒸着されたプリズムであり、SLO光源152による照明光と、被検眼Eからの戻り光とを分離する。第3のダイクロイックミラー132−4は、光路L2に対して、SLO光源152による照明光と固視灯151による固視光とを波長帯域ごとに分離して出力する。
SLO走査手段142は、SLO光源152による照明光と固視灯151による固視光とを被検眼Eの眼底Ef上で走査するものである。このSLO走査手段142は、図2のX方向に走査するXスキャナと、図2のY方向に走査するYスキャナを有して構成されている。本実施形態では、Xスキャナは、例えばSLO走査手段142における主走査方向の走査を担うスキャナであり、高速走査を行う必要があるため、例えばポリゴンミラーで構成されている。また、Yスキャナは、例えばSLO走査手段142における副走査方向の走査を担うスキャナであり、例えばガルバノミラーによって構成されている。
レンズ135−4は、SLO光源152による照明光及び固視灯151による固視光の焦点合わせのため、例えば不図示のモータによって駆動される。固視灯151は、可視光である固視光を被検眼Eに照射することにより、被検眼Eの眼底Efに当該固視光に基づく固視標を提示して、被検眼の固視を促すためのものである。SLO光源152は、例えば780nm付近の波長の光を発生する。
SLO光源152から発せられた照明光は、第3のダイクロイックミラー132−4で反射され、ミラー132−5を通過した後、レンズ135−5、135−4を通り、SLO走査手段142によって、被検眼Eの眼底Ef上で走査される。そして、被検眼Eの眼底Efからの戻り光は、照明光と同じ経路を辿った後、ミラー132−5によって反射され、フォトダイオード153へと導かれる。フォトダイオード153は、被検眼Eの眼底Efからの戻り光を検出して、SLO画像信号を取得する。
また、固視灯151から発せられた固視光は、第3のダイクロイックミラー132−4、ミラー132−5を透過した後、レンズ135−5、135−4を通り、SLO走査手段142によって、被検眼Eの眼底Ef上で走査される。このとき、SLO走査手段142の動きに合わせて固視灯151を点滅させることによって、被検眼Eの眼底Ef上の任意の位置に任意の形状の固視標を形成することが可能になり、被検者の固視を促すことができる。
続いて、OCT光学系の光路L1について説明する。
OCT光学系の光路L1は、被検眼Eを光干渉断層撮影するための光学系であるOCT光学系130の光路である。より具体的には、被検眼の断層画像(OCT画像)を形成するための干渉信号を得るための光路である。
OCT光学系の光路L1には、まず、リレーレンズ133、OCT走査手段134、シャッター136、OCTフォーカスレンズ135−1、レンズ135−2が配置されている。OCT走査手段134は、OCT光源101からの光(測定光)を被検眼Eの眼底Er上で走査するためのXYスキャナを具備して構成されている。OCT走査手段134は、図2に示す例では1枚のミラーとして図示してあるが、X方向及びY方向の走査を行うものである。シャッター136は、不図示の駆動機構によって光路L1に挿入や退避が可能となっている。OCTフォーカスレンズ135−1は、光カプラー103に接続されている光ファイバー102−2のファイバー端105−1から出射されるOCT光源101からの光(測定光)を、被検眼Eの眼底Efに対して焦点合わせするためのフォーカス調整部材である。このOCTフォーカスレンズ135−1は、制御・処理部200の制御に基づく不図示のモータによって駆動される。
このOCTフォーカスレンズ135−1による焦点合わせによって、被検眼Eの眼底Efからの戻り光は、同時に、光ファイバー102−2のファイバー端105−1にスポット状に結像されて入射されることとなる。さらに、OCT光学系の光路L1には、光カプラー103、OCT光源101、光ファイバー102−1〜102−4、レンズ135−3、分散補償用ガラス137、及び、参照ミラー132−3が配置されている。光ファイバー102−1〜102−4は、例えば、光カプラー103に接続され一体化しているシングルモードの光ファイバーである。また、光ファイバー102−4には、ベース部600の内部構成された分光器610が接続されている。以上の構成によって、マイケルソン干渉系が構成されている。
OCT光源101は、例えば、代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)で構成されている。OCT光源101の光の中心波長は855nm程度であり、波長バンド幅は約100nm程度である。ここで、バンド幅は、得られる断層画像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメータである。また、ここでは、OCT光源101としてSLDを適用した例を説明したが、低コヒーレント光が出射できる光源であればよく、例えばASE(Amplified Spontaneous Emission)等を用いることもできる。また、OCT光源101の光の中心波長は被検眼Eを測定することに鑑みると近赤外光が適する。また、OCT光源101の光の中心波長は、得られる断層画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましい。この双方の理由から、実施形態においては、OCT光源101の光の中心波長を855nm程度とした。また、本実施形態では、マイケルソン干渉系を適用する例について説明したが、例えばマッハツェンダー干渉系を用いてもよい。例えば、測定光と参照光との光量差に応じて、光量差が大きい場合にはマッハツェンダー干渉系を用い、光量差が比較的小さい場合にはマイケルソン干渉計を用いることが望ましい。
光カプラー103は、光ファイバー102−1を介してOCT光源101から出射された光を測定光と参照光とに分岐する分岐部材である。光カプラー103で分岐された測定光は、光ファイバー102−2及び対物レンズを介して、観察対象である被検眼Eの眼底Efに向けて出射される。眼底Erに照射された測定光は、眼底Erにおいて反射・散乱し、同じ光路を通じて光カプラー103に達する。一方、参照光は、光ファイバー102−3を経由して、レンズ135−3、分散補償用ガラス137を通り、参照ミラー132−3に向けて出射される。参照ミラー132−3に照射された参照光は、参照ミラー132−3で反射して同じ光路を通じて光カプラー103に達する。
このようにして、光カプラー103に達した測定光と参照光とは、光カプラー103において合波されて干渉光となる。ここで、測定光の光路長と参照光の光路長とが、ほぼ同一となったときに干渉を生じる。参照ミラー132−3は、制御・処理部200の制御に基づく不図示のモータ及び駆動機構によって光軸方向に調整可能に保持されており、被検眼Eによって変わる測定光の光路長に参照光の光路長を合わせることが可能となっている。即ち、参照ミラー132−3は、参照光の光路長を調整する参照光調整部材を構成する。
また、光ファイバー102−2には測定光側の偏光調整部104−1が設けられ、光ファイバー102−3には参照光側の偏光調整部104−2が設けられている。これらの偏光調整部104−1及び104−2は、光ファイバーをループ状に引き回した部分を幾つか持ち、このループ状の部分を光ファイバーの長手方向を中心として回動させることで光ファイバーに捩じりを加えて、対応する測定光と参照光の偏光状態を各々調整して合わせることが可能となっている。
続いて、前眼観察光学系の光路L3について説明する。
前眼観察光学系の光路L3には、レンズ135−6、スプリットプリズム161、レンズ135−7、赤外光を検知する前眼部観察用のCCD162が配置されている。CCD162は、不図示の前眼観察用照射光源の光の波長、具体的には970nm付近に感度を持つものである。スプリットプリズム161は、被検眼Eの瞳孔と共役な位置に配置されており、被検眼Eに対する検査部100のZ方向(前後方向)の距離を、前眼部のスプリット像として検出するためのものである。
次いで、図2に示すベース部600の内部構成について説明する。
ベース部600の内部には、分光器610が設けられている。この分光器610は、レンズ611、回折格子612、レンズ613、及び、ラインセンサ614を有して構成されている。
光カプラー103で生成された干渉光は、光ファイバー102−4を介して分光器610に導かれる。具体的に、光ファイバー102−4から出射された干渉光は、レンズ611を介して平行光となった後、回折格子612で分光され、レンズ613によってラインセンサ614に結像される。ラインセンサ614は、この干渉光を検出して、OCT画像信号を取得する。
なお、本実施形態においては、OCT光学系130は、被検眼Eの眼底Efの断層画像を撮影するための構成例を示すが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば角膜等の被検眼Eの前眼部の断層画像を撮影するための構成であってもよい。上述したように、OCT光学系130において、OCT光源101からの光は、光カプラー103によって測定光と参照光とに分けられる。そして、測定光は、光ファイバー102−2及び対物レンズを介して、観察対象である被検眼Eの眼底Efに向けて出射される。そして、眼底Efからの測定光の戻り光は、光カプラー103において参照ミラー132−3で反射された参照光と合波され、干渉光として分光器610に導かれる。なお、ここで述べる戻り光とは、観察対象である被検眼Eの眼底Efに対する光の照射方向における界面に関する情報等が含まれる反射光や散乱光のことである。そして、戻り光と参照光との干渉光を分光器610で検出し、解析することによって眼底Efの断層画像を得ることができる。この際、眼科装置10において高解像な断層画像を得るためには、この測定光の光路と参照光の光路とにおける光学系の分散量を合わせる必要がある。これは、分散量が異なると断層画像にボケが生じ、深さ方向の解像力が劣化するからである。
≪制御・処理部200の内部構成≫
図3は、本発明の第1の実施形態を示し、図1に示す制御・処理部200の内部構成の一例を示す図である。なお、図3において、図1及び図2に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。
制御・処理部200は、図3に示すように、中央演算装置(CPU)210、固定ディスク装置(HDD)220、主記憶装置(メモリ)230、ユーザーインターフェース240、OCTスキャナ制御部250、OCTスキャナ(X)ドライバ251、OCTスキャナ(Y)ドライバ252、SLOスキャナ制御部260、SLOスキャナ(X)ドライバ261、SLOスキャナ(Y)ドライバ262、モータドライバ270、及び、固視標制御部280を有して構成されている。
CPU210は、表示部400、HDD220、メモリ230、ユーザーインターフェース240と接続されている。さらに、CPU210は、OCTスキャナ制御部250、SLOスキャナ制御部260、モータドライバ270、固視標制御部280、フォトダイオード153、ラインセンサ614と接続されている。
CPU210は、OCT走査手段134の走査波形を生成するOCTスキャナ制御部250を制御する。そして、OCTスキャナ制御部250は、CPU210の制御に基づいて、OCTスキャナ(X)ドライバ251及びOCTスキャナ(Y)ドライバ252を制御することにより、OCT走査手段134の駆動を制御する。
また、CPU210は、SLO走査手段142の走査波形を生成するSLOスキャナ制御部260を制御する。そして、SLOスキャナ制御部260は、CPU210の制御に基づいて、SLOスキャナ(X)ドライバ261及びSLOスキャナ(Y)ドライバ262を制御することにより、SLO走査手段142の駆動を制御する。具体的に、SLOスキャナ制御部260は、SLOスキャナ(X)ドライバ261及びSLOスキャナ(Y)ドライバ262を介してSLO走査手段142の駆動を制御することにより、被検眼Eの眼底Efを照明光で2次元的に走査する。これにより、フォトダイオード153では、眼底Efの2次元画像であるSLO画像の信号を取得することができる。
さらに、CPU210は、モータドライバ270を介して、OCTフォーカスレンズ135−1、レンズ135−4、参照ミラー132−3を駆動する不図示のモータの駆動を制御する。
さらに、CPU210は、固視灯151の点灯制御を行う固視標制御部280を制御する。そして、固視標制御部280は、CPU210の制御に基づいて、固視灯151の点灯制御を行う。具体的に、本実施形態においては、プレビュー時のSLO画像取得に必要な初期撮像領域及び走査線間隔の情報を、予めメモリ230に記憶させておく。そして、固視標制御部280は、SLO画像の初期撮像領域または部分領域のフレームレート及び走査線間隔に基づき、SLO走査手段142が眼底Er上の所望の位置を光で走査するタイミングに合わせて固視灯151を点灯させ、眼底Er上の任意の位置に任意の固視標を形成する。
さらに、CPU210は、SLO画像信号を取得するフォトダイオード153を制御して、フォトダイオード153からSLO画像信号を取得するとともに、当該SLO画像信号の画像処理等を行う。
また、CPU210は、OCT画像信号を取得するラインセンサ614を制御して、ラインセンサ614からOCT画像信号を取得するとともに、当該OCT画像信号の画像処理等を行う。具体的に、本実施形態においては、CPU210は、ラインセンサ614から得られるOCT画像信号をフーリエ変換し、得られる信号を輝度或いは濃度情報に変換することによって被検眼Eの深さ方向(Z方向)の断層画像を生成する。このようなスキャン方式をAスキャンと呼び、得られる断層画像をAスキャン画像と呼ぶ。このAスキャンを被検眼Eの所定の横断方向にOCT走査手段134を用いて行うことにより、複数のAスキャン画像を取得することができる。例えば、X方向にOCT走査手段134を走査すればXZ面における断層画像が得られ、Y方向にOCT走査手段134を走査すればYZ面における断層画像が得られる。このように被検眼Eを所定の横断方向に走査する方式をBスキャンと呼び、得られる断層画像をBスキャン画像と呼ぶ。
メモリ230は、例えばCPU210が処理を実行するためのプログラムや各種の情報等を予め記憶するとともに、CPU210の処理によって得られた各種の情報等を記憶する。例えば、メモリ230は、被検眼Eと対向する位置に配置され得る異なる倍率の対物レンズ111及び121と、図4に示す各種のパラメータ(更には、図5−1及び図5−2に示す各種のパラメータ)との対応関係を示すテーブル情報を記憶している。さらに、メモリ230は、被検眼Eに係る被検者情報等も記憶している。
次いで、眼科装置10による断層画像の撮影方法について説明する。
眼科装置10は、OCT走査手段134を制御することで、被検眼Eの眼底Efの所定部位の断層画像を撮影することができる。
まず、CPU210は、OCT走査手段134を制御して測定光をX方向に走査し、眼底EfにおけるX方向の撮影範囲から所定の走査数に係るOCT画像信号をラインセンサ614で取得する。そして、CPU210は、X方向のある位置で得られるラインセンサ614のOCT画像信号の輝度分布を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)し、FFTで得られた線状の輝度分布を表示部400に示すために濃度或いはカラー情報に変換する。本実施形態では、これがAスキャン画像に相当し、この複数のAスキャン画像を並べた2次元画像がBスキャン画像に相当する。そして、CPU210は、1つのBスキャン画像を構築するための複数のAスキャン画像を取得した後、Y方向の走査位置を移動させて再びX方向の走査を行うことにより、複数のBスキャン画像を取得する。そして、CPU210は、複数のBスキャン画像或いは複数のBスキャン画像から構築した3次元画像を表示部400に表示することにより、検者による被検眼Eの診断に用いることができる。ここでは、X方向に走査を行うことによりBスキャン画像を取得する例について説明をしたが、本実施形態においてはこれに限定されるものではなく、Y方向に走査を行うことによりBスキャン画像を取得するようにしてもよい。また、X方向及びY方向の双方の走査によって任意の走査パターンを形成し、Bスキャン画像を取得するようにしてもよい。
<OCT光学系130の位置の変更制御>
次に、対物レンズの倍率変更に伴うOCT光学系130(具体的に本実施形態では、OCTフォーカスレンズ135−1及び参照ミラー132−3)の位置の変更制御について説明を行う。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置10において、対物レンズの倍率変更に伴うOCT光学系130の位置の変更制御の一例を示す図である。この図4において、図2に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。具体的に、図4は、図2のOCT光学系130のうちの一部のみを図示している。
図4(a)は、被検眼Eと対向する位置に、低倍率(焦点距離が短く広画角)の対物レンズ111が配置された場合のOCT光学系130の位置を示す図である。図4(b)は、被検眼Eと対向する位置に、対物レンズ111よりも高倍率(焦点距離が長く狭画角)の対物レンズ121が配置された場合のOCT光学系130の位置を示す図である。より詳細に、図4(a)及び図4(b)では、主として、OCT光学系130のうちのOCTフォーカスレンズ135−1と参照ミラー132−3の移動可能範囲の位置及び基準位置を示している。
図4において、ファイバー端105−1から出射した光は、レンズ135−2、OCTフォーカスレンズ135−1を透過し、OCT走査手段134によって走査される。OCT走査手段134によって偏向させられた光(光束)は、対物レンズ111または対物レンズ121を透過して被検眼Eの眼底Efに集光される。
図4(a)において、ワーキングディスタンスWD1は、低倍率の対物レンズ111の焦点距離に対応して決まる被検眼Eと対物レンズ111との距離である。基準位置FP1は、低倍率の対物レンズ111が装着された際のOCTフォーカスレンズ135−1の光軸上の基準位置である。この基準位置FP1は、被検眼Eの視度が0ディオプタの際に眼底Efで反射されて逆光路を通ってファイバー端105−1に入射する戻り光の光量が最大になり、表示部400に表示される断層画像の明るさが最大になる位置である。移動可能範囲FR1は、低倍率の対物レンズ111が装着された際のOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲(可動域)である。この移動可能範囲FR1の範囲内でOCTフォーカスレンズ135−1を移動することで、視度の異なる被検眼Eに対して合焦することができる。基準位置GP1は、低倍率の対物レンズ111が装着された際の参照ミラー132−3の基準位置である。この基準位置GP1は、低倍率のワーキングディスタンスWD1に応じて決まる測定光の光路長に対応して一意に定めることができる。移動可能範囲GR1は、低倍率の対物レンズ111が装着された際の参照ミラー132−3の移動可能範囲(可動域)である。この移動可能範囲GR1の範囲内で参照ミラー132−3を移動することで、表示部400に表示される被検眼Eの断層画像の位置を調整することができる。
図4(b)において、ワーキングディスタンスWD2は、高倍率の対物レンズ121の焦点距離に対応して決まる被検眼Eと対物レンズ121との距離である。基準位置FP2は、高倍率の対物レンズ121が装着された際のOCTフォーカスレンズ135−1の光軸上の基準位置である。この基準位置FP2は、被検眼Eの視度が0ディオプタの際に眼底Efで反射されて逆光路を通ってファイバー端105−1に入射する戻り光の光量が最大になり、表示部400に表示される断層画像の明るさが最大になる位置である。移動可能範囲FR2は、高倍率の対物レンズ121が装着された際のOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲(可動域)である。この移動可能範囲FR2の範囲内でOCTフォーカスレンズ135−1を移動することで、視度の異なる被検眼Eに対して合焦することができる。基準位置GP2は、高倍率の対物レンズ121が装着された際の参照ミラー132−3の基準位置である。この基準位置GP2は、高倍率のワーキングディスタンスWD2に応じて決まる測定光の光路長に対応して一意に定めることができる。移動可能範囲GR2は、高倍率の対物レンズ121が装着された際の参照ミラー132−3の移動可能範囲(可動域)である。この移動可能範囲GR2の範囲内で参照ミラー132−3を移動することで、表示部400に表示される被検眼Eの断層画像の位置を調整することができる。
図4(b)には、OCT光学系130として、CPU210の制御によりOCT光学系の光路L1に対して挿入/退避するフォーカス補正レンズ135−1aが設けられている。このフォーカス補正レンズ135−1aは、被検眼Eの特定の視度に対してOCTフォーカスレンズ135−1の基準位置が変化しないようにOCT光学系130の光路L1に設けられたフォーカス補正部材である。このフォーカス補正レンズ135−1aを設けることにより、OCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲を複数設ける必要が無いため、よりコンパクトな眼科装置10の実現が可能となる。
本実施形態においては、被検眼Eと対向する位置に配置され得る異なる倍率の対物レンズ111及び121と、図4に示す各種のパラメータ(基準位置FP1及びGP1並びに移動可能範囲FR1及びGR1、基準位置FP2及びGP2並びに移動可能範囲FR2及びGR2を含む)との対応関係を示すテーブル情報が、予めメモリ230に記憶されているものとする。この際、メモリ230に記憶されているテーブル情報は、例えば、設計値から予め算出されたものであってもよいし、製造された眼科装置10ごとに予め各対物レンズにおける各種のパラメータを記録して算出されたものであってもよい。そして、CPU210は、対物レンズ検知部131で検知された対物レンズの倍率に応じて、メモリ230から当該対物レンズの倍率に応じた図4に示す各種のパラメータを取得し、OCTフォーカスレンズ135−1と参照ミラー132−3における移動可能範囲の位置及び基準位置を変更する制御を行う。
例えば、図4に示すように、被検眼Eと対向する位置に配置された対物レンズが低倍率の対物レンズ111から高倍率の対物レンズ121に変更された場合、CPU210は、対物レンズ111が配置された際のOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲FR1の位置よりも、対物レンズ121が配置された際のOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲FR2の位置を対物レンズ(或いは被検眼E)から離れる方向に変更する制御を行う。
また、CPU210は、移動可能範囲FR1の大きさよりも、移動可能範囲FR2の大きさを大きくする変更も行っている。このように移動可能範囲の大きさを変更することにより、低倍率(広画角)の対物レンズ111を使用した光干渉断層撮影では湾曲した撮影領域全域への合焦が可能となり、高倍率(狭画角)の対物レンズ121を使用した光干渉断層撮影ではより高速な合焦動作が可能となる。
また、例えば、図4に示すように、被検眼Eと対向する位置に配置された対物レンズが低倍率の対物レンズ111から高倍率の対物レンズ121に変更された場合、CPU210は、対物レンズ111が配置された際の参照ミラー132−3の移動可能範囲GR1の位置よりも、対物レンズ121が配置された際の参照ミラー132−3の移動可能範囲GR2の位置を対物レンズ(或いは被検眼E)から離れる方向に変更する制御を行う。
<眼科装置10の制御方法の処理手順>
図6は、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置10の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6の説明においては、説明を簡単にするために、被検眼Eと対向する位置に配置され得る対物レンズとして、低倍率(広画角)の対物レンズ111と高倍率(狭画角)の対物レンズ121との2つがあるものとする。
まず、対物レンズの交換がなされると、ステップS1において、対物レンズ検知部131は、交換がなされた対物レンズを検知する処理を行う。ここで、本実施形態においては、対物レンズ検知部131は、対物レンズを内蔵する鏡筒の異なる位置に設けられている着脱検知用の目印112及び122を検知することにより、それぞれ、対物レンズ111及び121を検知する。なお、対物レンズの交換は、対物レンズを内蔵する鏡筒を眼科装置10の対物レンズ取り付け部(不図示)に取り付けることにより行われる。この際、対物レンズ取り付け部(不図示)の取り付け機構としては、例えば、バヨネット式など公知のマウント機構を用いることができる。
続いて、ステップS2において、CPU210は、対物レンズ検知部131から対物レンズの倍率を含む対物レンズ情報を取得する。そして、CPU210は、メモリ230から、当該対物レンズ情報に対応する各種のパラメータを取得する。ここで取得する各種のパラメータとしては、例えば、図4に示す各対物レンズに応じた、ワーキングディスタンスWD1またはWD2、OCTフォーカスレンズ135−1の基準位置FP1またはFP2、OCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲FR1またはFR2、参照ミラー132−3の基準位置GP1またはGP2、参照ミラー132−3の移動可能範囲GR1またはGR2等である。このステップS2の処理を行うCPU210は、取得手段を構成する。
続いて、ステップS3において、CPU210は、ステップS2で取得した対物レンズ情報に基づいて、ステップS1における対物レンズの交換が、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121への交換であるか否かを判断する。
ステップS3の判断の結果、ステップS1における対物レンズの交換が、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121への交換である場合には(S3/YES)、ステップS4に進む。
ステップS4に進むと、CPU210は、自動でワーキングディスタンスを調整する制御を行う。
一方、ステップS3の判断の結果、ステップS1における対物レンズの交換が、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121への交換でない場合には(S3/NO)、ステップS5に進む。即ち、高倍率(狭画角)の対物レンズ121から低倍率(広画角)の対物レンズ111へ交換がされた場合には、ステップS5に進む。
ステップS5に進むと、CPU210は、自動でワーキングディスタンスを調整することはせずに、検者の操作に基づく手動でのワーキングディスタンスの調整制御を行う。これは、高倍率(狭画角)の対物レンズ121から低倍率(広画角)の対物レンズ111へ交換がされ、ワーキングディスタンスが長い方から短い方へ変更された場合には、検査部100が被検者に向かう方向に動作するためである。即ち、この場合、検者による手動操作にすることで、検者が確実に被検者を確認しながら検査部100を移動させることができる。
ステップS4の処理が終了した場合、或いは、ステップS5の処理が終了した場合には、ステップS6に進む。
ステップS6に進むと、CPU210は、ステップS2においてメモリ230から取得した、ステップS1で交換された対物レンズに対応するOCTフォーカスレンズ135−1に係る各種のパラメータ(基準位置FP1またはFP2、移動可能範囲FR1またはFR2)に従って、OCTフォーカスレンズ135−1の基準位置及びその移動可能範囲を設定する。本ステップでは、CPU210は、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ111である場合にはOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲を図4(a)に示す移動可能範囲FR1の位置とし、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ121である場合にはOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲を図4(b)に示す移動可能範囲FR2の位置とする変更制御を行う。また、本ステップでは、CPU210は、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ111である場合にはOCTフォーカスレンズ135−1の基準位置を図4(a)に示す基準位置FP1の位置とし、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ121である場合にはOCTフォーカスレンズ135−1の基準位置を図4(b)に示す基準位置FP2の位置とする変更制御を行う。図4に示すように、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121へ交換された場合には、OCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲及び基準位置は被検眼Eから離れる方向に移動し、高倍率(狭画角)の対物レンズ121から低倍率(広画角)の対物レンズ111へ交換された場合には、OCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲及び基準位置は被検眼Eに近づく方向に移動する。また、本ステップの処理を行うCPU210は、制御手段を構成する。
続いて、ステップS7において、CPU210は、OCTフォーカスレンズ135−1をステップS6で設定した位置(例えば基準位置)に移動する制御を行う。
続いて、ステップS8において、CPU210は、ステップS2においてメモリ230から取得した、ステップS1で交換された対物レンズに対応する参照ミラー132−3に係る各種のパラメータ(基準位置GP1またはGP2、移動可能範囲GR1またはGR2)に従って、参照ミラー132−3の基準位置及びその移動可能範囲を設定する。本ステップでは、CPU210は、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ111である場合には参照ミラー132−3の移動可能範囲を図4(a)に示す移動可能範囲GR1の位置とし、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ121である場合には参照ミラー132−3の移動可能範囲を図4(b)に示す移動可能範囲GR2の位置とする変更制御を行う。また、本ステップでは、CPU210は、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ111である場合には参照ミラー132−3の基準位置を図4(a)に示す基準位置GP1の位置とし、ステップS1で交換された対物レンズが対物レンズ121である場合には参照ミラー132−3の基準位置を図4(b)に示す基準位置GP2の位置とする変更制御を行う。図4に示すように、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121へ交換された場合には、参照ミラー132−3の移動可能範囲及び基準位置は被検眼Eから離れる方向に移動し、高倍率(狭画角)の対物レンズ121から低倍率(広画角)の対物レンズ111へ交換された場合には、参照ミラー132−3の移動可能範囲及び基準位置は被検眼Eに近づく方向に移動する。より詳細に、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121へ交換された場合には、図4に示すように、参照ミラー132−3の移動可能範囲及び基準位置の移動量は、ワーキングディスタンスWD1からワーキングディスタンスWD2に変化するのに応じて、ΔG=WD2−WD1だけファイバー端105−2から離れる方向に移動する。また、本ステップの処理を行うCPU210は、制御手段を構成する。
続いて、ステップS9において、CPU210は、参照ミラー132−3をステップS8で設定した位置(例えば基準位置)に移動する制御を行う。
続いて、ステップS10において、CPU210は、OCT光源101から光を出射する制御を行って、ラインセンサ614からOCT画像信号を取得し、被検眼Eの眼底Efにおける断層画像(OCT画像)を生成して取得する処理を行う。
ステップS10の処理が終了すると、図6のフローチャートの処理を終了する。
図6の処理を行うことにより、倍率の異なる対物レンズに交換した場合においても、ワーキングディスタンスや、OCTフォーカスレンズ135−1及び参照ミラー132−3による測定光と参照光との光路長が合わせやすくなる。これにより、被検眼Eを変倍して光干渉断層撮影を行う場合に、光干渉断層撮影に係るOCT光学系130の位置の調整負荷を軽減することができ、検者の操作負担を低減することが可能となる。
≪OCTフォーカスレンズ135−1及び参照ミラー132−3の移動制御例≫
次に、OCTフォーカスレンズ135−1及び参照ミラー132−3の移動制御例について説明する。
始めに、OCTフォーカスレンズ135−1の移動制御例について説明する。
図5−1は、本発明の第1の実施形態を示し、図4に示すOCTフォーカスレンズ135−1の移動制御例を示す図である。具体的に、図5−1は、図6のステップS7におけるOCTフォーカスレンズ135−1の移動制御の一例を示す図である。この図5−1において、図4に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。
図5−1(a)は、被検眼Eと対向する位置に、低倍率(広画角)の対物レンズ111が配置された場合のOCTフォーカスレンズ135−1の位置を示す図である。図5−1(b)は、被検眼Eと対向する位置に、対物レンズ111よりも高倍率(狭画角)の対物レンズ121が配置された場合のOCTフォーカスレンズ135−1の位置を示す図である。
まず、図5−1(a)において、低倍率(広画角)の対物レンズ111が配置された場合のOCTフォーカスレンズ135−1の位置が位置FP11(図4(a)に示す基準位置FP1)にあったものとする。そして、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121に交換された場合に、CPU210は、以下の(1)〜(3)に示す3通りのOCTフォーカスレンズ135−1の移動制御を行い得る。
(1)OCTフォーカスレンズ135−1の第1の移動制御として、CPU210は、OCTフォーカスレンズ135−1を、図5−1に示す移動量ΔF1だけ対物レンズ(或いは被検眼E)から離れる方向に移動する制御を行い得る。この際、移動量ΔF1は、例えば設計により算出できる値であり、図5−1に示すOCTフォーカスレンズ135−1の位置FP11に応じて、図5−1に示すOCTフォーカスレンズ135−1の位置FP21をメモリ230に予め記憶しておく。第1の移動制御では、CPU210は、図5−1に示すOCTフォーカスレンズ135−1の位置FP11に応じて、図5−1に示すOCTフォーカスレンズ135−1の位置FP21(図4(a)に示す基準位置FP2)に移動する制御を行う。
(2)OCTフォーカスレンズ135−1の第2の移動制御として、CPU210は、OCTフォーカスレンズ135−1を、図5−1に示す移動量ΔF2だけ対物レンズ(或いは被検眼E)から離れる方向に移動する制御を行い得る。具体的に、CPU210は、図5−1に示すOCTフォーカスレンズ135−1の位置FP11に応じて、図5−1に示すOCTフォーカスレンズ135−1の位置FP22に移動する制御を行う。この第2の移動制御は、自動的に動く距離を最低限にしながら、高倍率(狭画角)の対物レンズ121に応じたOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲FR2の範囲内にOCTフォーカスレンズ135−1を配置するための移動制御である。
(3)OCTフォーカスレンズ135−1の第3の移動制御として、CPU210は、まずはOCTフォーカスレンズ135−1の移動は行わない移動制御を行い得る。ただし、検者から入力部300を介して移動可能範囲FR2側(図5−1の右側)への移動入力があった場合には、CPU210は、当該移動入力に基づくOCTフォーカスレンズ135−1の移動を行う。また、検者から入力部300を介して移動可能範囲FR2から遠ざかる側(図5−1の左側)への移動入力があった場合には、CPU210は、当該移動入力に基づくOCTフォーカスレンズ135−1の移動は行わない。
図5−1を用いて上述した第1の移動制御及び第2の移動制御は、OCTフォーカスレンズ135−1の位置が移動可能範囲FR2の範囲外に位置している場合、OCTフォーカスレンズ135−1を移動可能範囲FR2の範囲内に移動させる制御である。また、図5−1を用いて上述した第1の移動制御は、OCTフォーカスレンズ135−1の位置が移動可能範囲FR2の範囲外に位置している場合、OCTフォーカスレンズ135−1を移動可能範囲FR2の範囲内の基準位置FP2に移動させる制御である。そして、CPU210は、上述した第1の移動制御及び第2の移動制御を行った場合、OCTフォーカスレンズ135−1の位置が移動可能範囲FR2の範囲内に留まるように制御する。
次いで、参照ミラー132−3の移動制御例について説明する。
図5−2は、本発明の第1の実施形態を示し、図4に示す参照ミラー132−3の移動制御例を示す図である。具体的に、図5−2は、図6のステップS9における参照ミラー132−3の移動制御の一例を示す図である。この図5−2において、図4に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。
図5−2(a)は、被検眼Eと対向する位置に、低倍率(広画角)の対物レンズ111が配置された場合の参照ミラー132−3の位置を示す図である。図5−2(b)は、被検眼Eと対向する位置に、対物レンズ111よりも高倍率(狭画角)の対物レンズ121が配置された場合の参照ミラー132−3の位置を示す図である。
まず、図5−2(a)において、低倍率(広画角)の対物レンズ111が配置された場合の参照ミラー132−3の位置が位置GP11(図4(a)に示す基準位置GP1)にあったものとする。そして、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121に交換された場合に、CPU210は、以下の(1)〜(3)に示す3通りの参照ミラー132−3の移動制御を行い得る。
(1)参照ミラー132−3の第1の移動制御として、CPU210は、参照ミラー132−3を、図5−2に示す移動量ΔG1だけ対物レンズ(或いは被検眼E)から離れる方向に移動する制御を行い得る。この際、移動量ΔG1は、例えば設計により算出できる値であり、その値は、図4に示すΔG=WD2―WD1と同じである。この値は、メモリ230に予め記憶しておく。第1の移動制御では、CPU210は、図5−2に示す参照ミラー132−3の位置GP11に応じて、図5−2に示す参照ミラー132−3の位置GP21(図4(a)に示す基準位置GP2)に移動する制御を行う。
(2)参照ミラー132−3の第2の移動制御として、CPU210は、参照ミラー132−3を、図5−2に示す移動量ΔG2だけ対物レンズ(或いは被検眼E)から離れる方向に移動する制御を行い得る。具体的に、CPU210は、図5−2に示す参照ミラー132−3の位置GP11に応じて、図5−2に示す参照ミラー132−3の位置GP22に移動する制御を行う。この第2の移動制御は、自動的に動く距離を最低限にしながら、高倍率(狭画角)の対物レンズ121に応じた参照ミラー132−3の移動可能範囲GR2の範囲内に参照ミラー132−3を配置するための移動制御である。
(3)参照ミラー132−3の第3の移動制御として、CPU210は、まずは参照ミラー132−3の移動は行わない移動制御を行い得る。ただし、検者から入力部300を介して移動可能範囲GR2側(図5−2の右側)への移動入力があった場合には、CPU210は、当該移動入力に基づく参照ミラー132−3の移動を行う。また、検者から入力部300を介して移動可能範囲GR2から遠ざかる側(図5−2の左側)への移動入力があった場合には、CPU210は、当該移動入力に基づく参照ミラー132−3の移動は行わない。
図5−2を用いて上述した第1の移動制御及び第2の移動制御は、参照ミラー132−3の位置が移動可能範囲GR2の範囲外に位置している場合、参照ミラー132−3を移動可能範囲GR2の範囲内に移動させる制御である。また、図5−2を用いて上述した第1の移動制御は、参照ミラー132−3の位置が移動可能範囲GR2の範囲外に位置している場合、参照ミラー132−3を移動可能範囲GR2の範囲内の基準位置GP2に移動させる制御である。そして、CPU210は、上述した第1の移動制御及び第2の移動制御を行った場合、参照ミラー132−3の位置が移動可能範囲GR2の範囲内に留まるように制御する。
なお、図4に示す例では、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121に変更された場合に、当該変更に伴う参照ミラー132−3の基準位置における変化量ΔGを、当該変更に伴う対物レンズと被検眼Eとの距離における変化量であるWD2−WD1として設定した。そして、図5−2を用いて上述した第1の移動制御では、参照ミラー132−3を、図5−2に示す移動量ΔG1(即ち、図4に示すΔG=WD2−WD1)だけ対物レンズ(或いは被検眼E)から離れる方向に移動する制御を行う例について説明をした。しかしながら、本実施形態は、この態様に限定されるものではない。例えば、以下の態様も、本実施形態に適用可能である。
図7は、本発明の第1の実施形態を示し、被検眼Eの眼底Efの断層画像の一例を示す図である。図7(a)は、低倍率(広画角)の対物レンズ111で撮影された眼底Efの断層画像の一例を示す図である。この図7(a)に示す眼底Efの断層画像が取得されている状態で、高倍率(狭画角)の対物レンズ121に変更して図5−2を用いて上述した第1の移動制御を行うと、図7(b)に示す断層画像のように左右で折り返しが生じてしまう。そこで、低倍率(広画角)の対物レンズ111から高倍率(狭画角)の対物レンズ121に変更された場合、CPU210は、参照ミラーの移動量ΔGをWD2−WD1よりも小さくする制御を行う。この際、CPU210は、例えば、参照ミラーの基準位置の変化量をWD2−WD1よりも小さく設定し得る。このように、制御を行うことにより、図7(c)に示すように折り返しのない断層画像を取得することができる。
なお、第1の実施形態では、OCT光学系130のうち、OCTフォーカスレンズ135−1及び参照ミラー132−3の両方を制御する形態を示したが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではない。例えは、OCTフォーカスレンズ135−1及び参照ミラー132−3のうちのいずれか一方のみを制御する態様も、本実施形態に含まれるものである。
第1の実施形態に係る眼科装置10では、CPU210は、被検眼Eと対向する位置に配置された対物レンズの倍率を取得している(図6のS2)。そして、CPU210は、当該取得した対物レンズの倍率に応じて、OCT光学系130のOCTフォーカスレンズ135−1の移動可能範囲の位置を変更制御している(図6のS6)。
かかる構成によれば、対物レンズの倍率に応じた好適な断層画像を得るためのフォーカス調整を容易に行うことができる。これにより、被検眼Eを変倍して光干渉断層撮影を行う場合に、OCT光学系130のOCTフォーカスレンズ135−1の位置の調整負荷を軽減することができ、検者の操作負担を低減することが可能となる。
また、第1の実施形態に係る眼科装置10では、CPU210は、取得した対物レンズの倍率に応じて、OCT光学系130の参照ミラー132−3の移動可能範囲の位置を変更制御している(図6のS8)。
かかる構成によれば、対物レンズの倍率(対物レンズの倍率に基づくワーキングディスタンス)に応じた好適な断層画像を得るための参照光路長の調整を容易に行うことができる。これにより、被検眼Eを変倍して光干渉断層撮影を行う場合に、OCT光学系130のOCTフォーカスレンズ135−1の位置の調整負荷を軽減することができ、検者の操作負担を低減することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る眼科装置の全体構成は、図1に示す第1の実施形態に係る眼科装置10の全体構成と同様である。また、第2の実施形態に係る眼科装置10の検査部100及びベース部600の内部構成は、図2に示す第1の実施形態における検査部100及びベース部600の内部構成と同様である。また、第2の実施形態に係る眼科装置10の制御・処理部200の内部構成は、図3に示す第2の実施形態における制御・処理部200の内部構成と同様である。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る眼科装置10において、対物レンズの倍率変更に伴うOCT光学系130の位置の変更制御の一例を示す図である。この図8において、図2に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。具体的に、図8は、図2の検査部100のうちの一部(より詳細には、OCT光学系130のうちの一部)のみを図示している。
図8(a)は、被検眼Eと対向する位置に、低倍率(焦点距離が短く広画角)の対物レンズ111が配置された場合の検査部100(より詳細には、OCT光学系130)の位置を示す図である。図8(b)は、被検眼Eと対向する位置に、対物レンズ111よりも高倍率(焦点距離が長く狭画角)の対物レンズ121が配置された場合の検査部100(より詳細には、OCT光学系130)の位置を示す図である。より詳細に、図8(a)及び図8(b)では、主として、検査部100を構成する筐体における移動可能範囲の位置及び基準位置を示している。
図8(a)において、ワーキングディスタンスWD1は、低倍率の対物レンズ111の焦点距離に対応して決まる被検眼Eと対物レンズ111との距離である。基準位置SP1は、低倍率の対物レンズ111が装着された際の検査部100を構成する筐体の光軸上の基準位置である。この基準位置SP1は、例えば、被検眼Eの瞳孔位置でのビーム径が最小になる位置である。移動可能範囲SR1は、低倍率の対物レンズ111が装着された際の検査部100を構成する筐体の移動可能範囲(可動域)である。この移動可能範囲SR1の範囲内で検査部100を校正する筐体を移動することで、被検者によって異なる構造的な眼の前後方向の位置に対して検査部100を調整することも、検査中の被検眼の不意の前後方向の動きに対して検査部100を調整することも可能となる。
図8(b)において、ワーキングディスタンスWD2は、高倍率の対物レンズ121の焦点距離に対応して決まる被検眼Eと対物レンズ121との距離である。基準位置SP2は、高倍率の対物レンズ121が装着された際の検査部100を構成する筐体の光軸上の基準位置である。この基準位置SP2は、例えば、被検眼Eの瞳孔位置でのビーム径が最小になる位置である。移動可能範囲SR2は、高倍率の対物レンズ121が装着された際の検査部100を構成する筐体の移動可能範囲(可動域)である。この移動可能範囲SR2の範囲内で検査部100を校正する筐体を移動することで、被検者によって異なる構造的な眼の前後方向の位置に対して検査部100を調整することも、検査中の被検眼の不意の前後方向の動きに対して検査部100を調整することも可能となる。また、図8(b)には、CPU210の制御によりOCT光学系の光路L1に対して挿入/退避するフォーカス補正レンズ135−1aが設けられている。
本実施形態においては、被検眼Eと対向する位置に配置され得る異なる倍率の対物レンズ111及び121と、図8に示す各種のパラメータ(基準位置SP1及び移動可能範囲SR1、並びに、基準位置SP2及び移動可能範囲SR2を含む)との対応関係を示すテーブル情報が、予めメモリ230に記憶されているものとする。そして、CPU210は、対物レンズ検知部131で検知された対物レンズの倍率に応じて、メモリ230から当該対物レンズの倍率に応じた図8に示す各種のパラメータを取得し、ステージ部500を介して検査部100を構成する筐体における移動可能範囲の位置及び基準位置を変更する制御を行う。
例えば、図8に示すように、被検眼Eと対向する位置に配置された対物レンズが低倍率の対物レンズ111から高倍率の対物レンズ121に変更された場合、CPU210は、対物レンズ111が配置された際の検査部100を構成する筐体の移動可能範囲SR1の位置よりも、対物レンズ121が配置された際の検査部100を構成する筐体の移動可能範囲SR2の位置を被検眼Eから離れる方向に変更する制御を行う。
なお、上述した例では、検査部100を構成する筐体の移動可能範囲の位置及び基準位置の変更制御のみについて説明したが、本実施形態はこの態様に限定されるものではない。例えは、上述した検査部100を構成する筐体の移動可能範囲の位置及び基準位置の変更制御に加えて、第1の実施形態で説明したOCTフォーカスレンズ135−1及び/または参照ミラー132−3の移動可能範囲の位置及び基準位置の変更制御を行う態様も、本実施形態に適用可能である。
第2の実施形態に係る眼科装置10では、CPU210は、第1の実施形態と同様に、被検眼Eと対向する位置に配置された対物レンズの倍率を取得する(図6のS2)。そして、CPU210は、当該取得した対物レンズの倍率に応じて、対物レンズ及びOCT光学系130を含む検査部100を構成する筐体の移動可能範囲の位置を変更制御している。
かかる構成によれば、倍率の異なる複数の対物レンズのそれぞれに好適なワーキングディスタンスを維持することができる。これにより、被検眼Eを変倍して光干渉断層撮影を行う場合に、対物レンズ及びOCT光学系130を含む検査部100の位置の調整負荷を軽減することができ、検者の操作負担を低減することが可能となる。さらに、第2の実施形態に係る眼科装置10によれば、ビーム径が細くなる位置が被検眼Eの瞳孔位置と一致させることができるため、瞳孔による測定光のケラレを防ぐことができる。
(その他の実施形態)
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、説明の簡単等のために、倍率の異なる複数の対物レンズとして2つの対物レンズ111及び121を用いた説明を行ったが、本発明においてはこれに限定されるものではない。例えば、倍率の異なる複数の対物レンズとして3つ以上の対物レンズを用いる形態も、本発明に適用可能である。この場合、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態で説明したものと同様に、各対物レンズごとに移動可能範囲の位置及び基準位置の変更制御を行う形態を採る。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。