JP2018160541A - 熱電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性の高い素子を提供すること。【解決手段】元素L(In、Yb、Eu、Ce、La、Nd、GaおよびSrからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、元素M(Co、Rh、Ir、Fe、Ni、Pt、Pd、RuおよびOsからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、および元素Pn(Sb、As、P、Te、Sn、Bi、Ge、SeおよびSiからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)を含むスクッテルダイト型の材料で構成される熱電変換部材と、前記熱電変換部材の上面および底面の少なくとも一方に配された前記元素Lと酸素元素とを含むL層と、前記L層上に配された元素Q(Ti、Mo、Co、Taからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)を含む密着層と、を備え、前記L層の平均酸素濃度は、前記密着層の平均酸素濃度よりも大である、熱電変換素子。【選択図】図1
Description
本開示は熱電変換素子およびその製造方法に関する。
熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換モジュールは、熱と電力を変換するデバイスとして冷却又は発電用途に利用されている。例えば熱電変換材料に直流電流を流すと一方の面から他方の面に熱移動が起こり、吸熱面と発熱面が発生する。この現象は、ペルチェ効果と称されるものであり、熱電変換材料をモジュール化して吸熱面を冷却したい対象に接触させることで、可動部を設けることなく、対象を冷却することが可能となる。一方で、熱電変換材料の両端に温度差を与えるとそれに比例した起電圧が生じる。この現象は、ゼーベック効果と称されるものである。例えば、余剰の熱エネルギーを廃熱している対象に、モジュールの一方の面を接触させ、他方の面を空冷や水冷により冷却することで、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能となる。つまり、廃熱エネルギーを電気エネルギーとして回収することができる。このゼーベック効果を利用した熱電変換モジュールは、発電デバイスとして近年注目されており、熱電変換モジュールの新たな利用方法として開発が活発化している。
上記熱電変換現象を効果的に発生させる材料として最も知られているのが、ビスマス−テルル系材料である。ビスマス−テルル系材料を利用したモジュールは、ペルチェ効果を利用した冷却用途で既に実用化されており、光通信向けのレーザダイオードの温度調整用途等にも用いられている。このため、発電用途でもビスマス−テルル系材料を用いることが検討されている。ただし、熱電変換材料(ビスマス−テルル系材料)による発電効率は温度依存性を有するため、発電用途での普及には至っていない。
この点について詳しく説明する。熱電変換材料の特性を表す物性値として、ゼーベック係数S(単位:V/K)がある。これは温度差に伴う起電圧の大きさを表す数値であり、単位温度差あたりの電圧を表す数値である。このゼーベック係数は熱電変換材料によって正または負の値をとる。これは熱電変換材料内のキャリアがホール(正孔)であるか電子であるかによって定まり、ゼーベック係数が正の値となる場合にはP型、負の値となる場合はN型と称するのが一般的である。熱電変換材料の物性を表す別の物性値としては、電気抵抗率ρ(単位:Ω・m)もある。ゼーベック効果に伴う起電圧が発生した際には熱電変換材料に電気が流れるが、発電用途において取り出せる電力はこの電圧と電流との積に比例する。したがって、電気抵抗率が低いと、取り出せる電力が大きくなるということになる。つまり、直接的には上記2つの物性値が熱電変換材料の発電能力を左右することになり、以下の式(1)で算出されるパワーファクターPF(単位:W/mK2)(以下、
単に「PF」とも称する)という数値で表される。
単に「PF」とも称する)という数値で表される。
また直接的に発電に作用する物性値ではないが、熱伝導率κ(単位:W/m・K)も熱電変換材料の特性を表す値である。これは一定の熱エネルギーに対してゼーベック効果を起こそうとするとき、熱電変換材料の熱伝導率が大きすぎると材料内での温度差が発生しにくくなる。このため、熱伝導率が低い材料の方が温度差を大きくすることができ、結果的に発電量を上げることが出来る。ゼーベック係数Sと電気抵抗率ρ、熱伝導率κを合わせた指標として、以下の式(2)で表される無次元性能指数ZTがある。
上記無次元性能指数ZTに絶対温度T(K)が含まれるのは、それぞれの数値が温度依存性を持つためである。しかしながら前述の通り、発電量そのものを表すのはPFであるため、ZTは熱電変換性能を表す目安として用いられている。すなわち、熱伝導率κが極端に小さい場合に、ZTが大きな値を示す場合があるが、PFも同時に大きくないと発電量が大きくならない。例えば、ビスマス−テルル系材料は、PFが最も高くなるのが常温付近であり、温度が高くなるにつれ低下する傾向がある。したがって、ビスマス−テルル形材料は、高温での使用には適していない。
ここで、熱電変換材料を用いて大きな電力を得たい場合には、温度差を大きく取ることが必要である。近年、プラントや自動車などの原動機から排出される300℃付近の熱を電気に変換し、有効活用する試みが行われている。しかしながら、ビスマス−テルル系材料では、上述のように、温度差を大きくして発電量を大きくするという狙いに対して、温度上昇に伴ってPFが低下してしまう。つまり、その温度依存性から発電量を大きくすることが困難であり、新しい材料の検討が不可欠である。
300℃を超える領域で熱電変換部材を使用するためには、発電性能のみならず、熱電変換モジュールの品質を保持することが困難であるという問題がある。すなわち、高温になるほど、熱電変換素子と電極とを接合する接合層への素子材料の拡散が進行する。接合層内の素子材料の拡散が進行した部位では、機械強度の低下や、電気抵抗率の上昇がみられ、モジュール全体としての発電効率の低下に繋がる。
ここで特許文献1は、熱電変換モジュールに関するものである。当該文献には、熱電変換素子(熱電変換部材)と電極との接合面における金属元素の拡散や酸化を、拡散防止層を配置することで抑制することが示されている。図6に特許文献1に開示された熱電変換モジュールの熱電変換素子と、その接合部の概略断面図を示す。図6に示すように、当該熱電変換モジュールでは、P型熱電変換素子101およびN型熱電変換素子102が、半田層106を介して電極保護層107に覆われた高温側電極108に接合されている。またそれぞれの熱電変換素子101および102と半田層106との間には金属拡散を防止するための第1の拡散防止層103および第2の拡散防止層104が配置されており、さらに半田層106と接合するための半田接合層105も配置されている。そして、特許文献1には、このような構成にすることによって熱電変換素子101および102の接合部における金属拡散および酸化を抑制することができると記載されている。
しかしながら、特許文献1の技術には次のような課題がある。特許文献1では、熱電変換素子を構成する材料としてビスマス−テルル系材料を使用しており、その使用温度範囲は250〜300℃程度である。また近年、コバルト−アンチモン系の材料を熱電変換素子の構成材料とすることも検討されている。コバルト−アンチモン系の材料は300℃以上の温度域で高性能を発揮する。ただし、その構成元素の1つであるSbは、拡散係数が非常に高いという特徴を有する。さらに、金属拡散は一般的に環境温度が高いほど、進行が速まる。つまり、特許文献1の熱電変換モジュールや、従来検討されている熱電変換モジュールでは、300℃以上の高温域における発電効率が十分でなかったり、素子材料の拡散防止が十分に考慮されておらず、電極との接合層に素子材料が金属拡散したりして、熱電変換特性を高めることができなかった。
本開示は、上記の様な課題を鑑みなされたものであり、高温における接合層への素子材料の金属拡散によってモジュールの発電効率が低下することを抑制した、信頼性の高い熱電変換素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示の熱電変換素子は、下記の構成であることを特徴とする。元素L(In、Yb、Eu、Ce、La、Nd、GaおよびSrからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、元素M(Co、Rh、Ir、Fe、Ni、Pt、Pd、RuおよびOsからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、および元素Pn(Sb、As、P、Te、Sn、Bi、Ge、SeおよびSiからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)を含むスクッテルダイト型の材料で構成される熱電変換部材と、前記熱電変換部材の上面および底面の少なくとも一方に配された、前記元素Lと酸素とを含むL層と、前記L層上に配された、元素Q(Ti、Mo、Co、Taからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)を含む密着層と、を備え、前記L層の平均酸素濃度は、前記密着層の平均酸素濃度よりも大である。
以上のように、本開示は、高温で使用した際にも熱電変換特性を保持することの出来る熱電変換素子を提供する。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(熱電変換素子)
図1は本開示の実施の形態における熱電変換素子1を示す概略断面図である。本実施の形態では、熱電変換部材のうち、密着層や接合部材等を介して電極と接合する両端面をそれぞれ上面および底面と称する。また、上面および底面に挟まれた領域の外周を側面と称する。図1に示すように、本実施の形態の熱電変換素子1は、熱電変換部材2と、当該熱電変換部材2の側面を覆う絶縁体4と、円柱状の熱電変換部材2の上面および下面に配置された金属層3と、金属層3の外側に配置された密着層5と、を有する。なお、絶縁体4を設けなくとも、拡散防止の効果を得ることは可能である。ただし、酸化劣化抑制の観点から、絶縁体4を設けたほうがよい。なお、本実施の形態では、熱電変換部材2が円柱状であり、絶縁体4がその側面を覆うものとしているが、熱電変換部材2および絶縁体4の形状は特に制限されない。例えば熱電変換部材2は、角柱状等、任意の形状とすることができる。ただし、熱電変換部材2がいずれの形状を有する場合にも、密着層5が配置される、熱電変換部材2の上面および底面以外の面が、絶縁体4で覆われていることが、熱電変換部材2の酸化劣化抑制の観点から好ましい。
図1は本開示の実施の形態における熱電変換素子1を示す概略断面図である。本実施の形態では、熱電変換部材のうち、密着層や接合部材等を介して電極と接合する両端面をそれぞれ上面および底面と称する。また、上面および底面に挟まれた領域の外周を側面と称する。図1に示すように、本実施の形態の熱電変換素子1は、熱電変換部材2と、当該熱電変換部材2の側面を覆う絶縁体4と、円柱状の熱電変換部材2の上面および下面に配置された金属層3と、金属層3の外側に配置された密着層5と、を有する。なお、絶縁体4を設けなくとも、拡散防止の効果を得ることは可能である。ただし、酸化劣化抑制の観点から、絶縁体4を設けたほうがよい。なお、本実施の形態では、熱電変換部材2が円柱状であり、絶縁体4がその側面を覆うものとしているが、熱電変換部材2および絶縁体4の形状は特に制限されない。例えば熱電変換部材2は、角柱状等、任意の形状とすることができる。ただし、熱電変換部材2がいずれの形状を有する場合にも、密着層5が配置される、熱電変換部材2の上面および底面以外の面が、絶縁体4で覆われていることが、熱電変換部材2の酸化劣化抑制の観点から好ましい。
ここで、上記熱電変換部材2は、特定の元素を含むスクッテルダイト型の材料から構成される。以下、スクッテルダイト型の材料について説明する。300℃を超える温度域に適する熱電変換材料として、スクッテルダイト型と呼ばれる結晶構造を有する材料がある。スクッテルダイト型の材料は、短周期表におけるVIII族元素MとIVB族元素、VB族元素、およびVIB族元素から選ばれるPnとを含み、一般式M4Pn12で表される組成の立方晶系の固溶体である。上記一般式におけるMとしてはCo、Rh、Ir、Fe、Ni、Pt、Pd、Ru、およびOsなどの元素が挙げられ、上記一般式におけるPnとしてはSb、As、P、Te、Sn、Bi、Ge、Se、およびSiなどの元素が挙げられる。
また、スクッテルダイト型の材料の結晶格子には、M4Pn12当たり1個の割合で空格子が存在するが、この空格子の全部或いは一部に、La、Ce、Ybなどの希土類元素や、Ba、Caなどのアルカリ土類元素、TlやIn、Snなどの土類金属元素を充填することができる。これらはフィルドスクッテルダイトと呼ばれ、スクッテルダイト型の材料に含まれる。フィルドスクッテルダイト型の材料は、一般式LxM4Pn12材料(Lxは空格子に導入された前記元素を表し、0<x≦1である)で表される。
従来、スクッテルダイト型の熱電変換材料として、例えば、コバルトーアンチモン系の材料が知られており、当該材料は、組成式はCo4Sb12で表される。Co4Sb12単体は、N型の熱電変換材料であり良好なゼーベック係数を示す。しかし電気抵抗率は例えば常温で約1×10−4と高く、熱伝導率も常温で約10W/mKと高い。このため、上述の熱電変換材料の発電能力を示す指数であるPFおよびZTが、共に低い。しかしながら、当該結晶は、前述のように、結晶格子内に比較的大きな空隙を持ち、その他の元素を添加する(フィルドスクッテルダイト型とする)ことで熱電変換特性が向上する。例えば、上記Co4Sb12に、Yb(イッテルビウム)のような希土類元素を添加すると、電気抵抗率および熱伝導率を低減することができる。特に熱伝導率に関しては、別元素の存在で効果的に低減する。このような効果はラットリング効果と呼ばれている。これは添加した元素(例えばYb)が基本骨格Co4Sb12の空隙に入りこみ、Co4Sb12とは独立した熱振動を起こして、基本骨格であるCo4Sb12のフォノン(格子振動)を抑制するためである。
ここで、本実施の形態の熱電変換素子1の熱電変換部材2は、元素L(In、Yb、Eu、Ce、La、Nd、GaおよびSrからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、元素M(Co、Rh、Ir、Fe、Ni、Pt、Pd、RuおよびOsからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、および元素Pn(Sb、As、P、Te、Sn、Bi、Ge、SeおよびSiからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)を含むスクッテルダイト型の材料から構成される。以下、元素LがInであり、元素MがCoであり、元素PnがSbである場合、すなわち熱電変換部材2が、組成式Co4Sb12で表される材料にInを添加したフィルドスクッテルダイト型の材料から構成される場合を例に、詳細に説明する。
前述のように、本実施の形態の熱電変換素子1は、熱電変換部材2と、当該熱電変換部材2の両端面に形成された金属層3と、熱電変換部材2と金属層3の側面に形成された絶縁体4と、金属層3の上面および絶縁体4の端面にかけて形成された密着層5と、を有する。より詳細には、熱電変換部材2は柱状であり、その側面が絶縁体4によって覆われる。そして、熱電変換部材2の端面(上面および底面)は、絶縁体4によって覆われない。これらの端面に金属層3および密着層5が配される。
ここで、金属層3は、元素Lおよび酸素元素を含む(本明細書では、金属層3を「L層」とも称する)。金属層3は、スクッテルダイト型材料から構成された熱電変換部材2を含む熱電変換素子1を、高温環境下で使用する場合の品質の確保において、高い効果を発揮する。特に、高温下において、熱電変換部材2を構成する素子材料の金属拡散を抑制する効果を有する。ここで、金属層3に含まれる元素Lと、熱電変換部材2におけるフィルドスクッテルダイト型の材料における元素Lとは、通常同一である。したがって、本実施の形態では、熱電変換部材2における元素LがInであるから、金属層3は、Inを含む酸化物で構成される。また、金属層3における平均酸素濃度は、後述するように、25atm%以上65atm%以下であることが望ましい。金属層3の平均酸素濃度は、後述するエネルギー分散型X線分光法等による分析によって特定することができる。
また絶縁体4は、例えば石英(ガラス)やシリカガラス、またはアルミナのようなセラミックなど、耐熱性の高い材料からなる部材とすることができるが、特に石英(ガラス)からなることが好ましい。絶縁体4の厚さは、0.2mm以上5.0mm以下であることが好ましい。絶縁体4の厚みが薄いと、絶縁体4を配置することによって得られる機械的強度が低下する。一方、絶縁体4の厚みが厚すぎると、熱電変換素子1の体積に対する、熱電変換部材2の体積の割合が相対的に下がる。その結果、電気抵抗が高くなり、発電量の低下につながる。
密着層5は、熱電変換素子1を高温にさらすことによって発生する金属拡散を抑制するための金属拡散防止膜、および熱電変換素子1を配線基板に実装するための接合膜としての役割を果たす。このように密着層5には、金属拡散抑制と接合という2つの役割が要求されるため、金属拡散を抑制するための膜と、配線基板に接合するための膜からなる2層、もしくは3層以上の膜から構成されることが好ましい。なお、密着層5が複数の膜からなる場合、金属層3と接する面には、金属拡散を抑制するための膜が配置される。
金属拡散を抑制するための膜は、元素Q(Ti、Mo、Co、およびTaからなる群から選ばれる1つ以上の元素)を含むことが好ましく、当該膜は、例えばこれらの金属のみから構成されていてもよく、これらの酸化物や窒化物から構成されていてもよい。なかでも、Tiは酸素と反応しやすい性質を有することから、特に好ましい。密着層5がTiを含むと、後述するように、密着層5の形成時にTiが金属層3から酸素を奪いやすく、所望の機械強度と電気伝導率を有する密着層5が得られやすくなる。以下、密着層5がTiを含むものとして説明する。一方、配線基板に接合するための膜としては、AgやAu、Cuなどの金属を用いることが出来る。各膜の厚みは、熱電変換素子1の形状や、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
なお、密着層5の平均酸素濃度は、金属層3の平均酸素濃度より低いものとされる。また、密着層5の平均酸素濃度は、後述するように、0atm%以上40atm%以下であることが好ましい。密着層5の平均酸素濃度も、後述するエネルギー分散型X線分光法等による分析によって特定することができる。また、密着層5内における酸素濃度は、厚み方向に勾配を有していることが好ましく、金属層3側の表面(「第1面」とも称する)における酸素濃度が、接合部等と接合する側の面(「第2面」とも称する)の酸素濃度より高いことが好ましい。酸素濃度の勾配の有無や、第1面と第2面との酸素濃度差も、エネルギー分散型X線分光法等による分析によって確認することができる。
ここで、本開示の熱電変換素子1の形状に制限はなく、円柱状や角柱状等、任意の形状とすることができるが、特に円柱状であり、外径φが0.3mm以上10.0mm以下であることが好ましい。これは角柱状などの他の柱状としても、熱電変換素子としての役割は果たすが、円柱状であると、熱電変換素子1を高温にさらした際の応力集中を緩和できるためである。また外径φが0.3mm以下になると熱電変換素子1の絶対的な機械強度が下がりやすく、製造時の取り扱いや、モジュール化した際の強度的な信頼性が低下しやすい。一方、外径φが10.0mm以上になると、単位面積当たりに配置できる素子数が低下する。発電用途に熱電変換モジュールを用いる場合、その電力は、発生する電圧および電流で決まるが、外径が大きな素子を使用すると、素子数が少ないために低電圧・高電流なモジュールになる。これは同一性能の素子であってもモジュールとしての電圧はその素子数で決まり、電流は素子の合計電気抵抗で決まるためである。
また、熱電変換素子1の高さは、所望の熱電変換モジュールの大きさに合わせて任意に設定できるが、0.3mm以上5.0mm以下であることが好ましい。本実施の形態における「熱電変換素子1の高さ」、とは、熱電変換素子1の軸方向の長さ、つまり密着層5と垂直方向の熱電変換素子1の長さをいう。熱電変換素子1が薄い、つまり熱電変換素子1の高さが低いほど電気抵抗が下がり、発電量としては増加する方向になる。しかしながら、熱電変換素子1の高さが低くなると熱電変換素子1の端面間(両電極間)の温度差がつけにくくなる。このため、電気抵抗が下がり、電流増加分と温度差減少分で発電量を相殺してしまう。一方で、熱電変換素子1が厚すぎると、端面間の温度差はつけやすくなるが、電気抵抗が高くなる。そのため、熱電変換素子1が薄い場合と反対の現象が起こる。そこで、熱電変換素子1の高さは、熱電変換モジュールを設置する温度環境に合わせて設定することが必要である。
ここで、図2Aに、後述の方法で実際に作製した本実施の形態の熱電変換素子1において、金属層3が存在することを示す電子顕微鏡像を示す。図2Aは後述の製造方法で作製した熱電変換素子1の中心軸と平行に切断したときの断面を観察したものである。図2Aにおいて、上方に色の濃い層が1層存在している。また、図2Aの中心あたりに境界線が見られ、当該境界線と、色の濃い層との間に色の薄い層が存在している。ここで、図2A中の点(1)〜(5)について、それぞれ元素分析を行ったところ、色の濃い層ではTiおよびOが主に検出された。また、色の薄い層ではInおよびOが主に検出された。図2B、図2C、図2Dにそれぞれ、図2Aの点(2)、点(4)、点(5)における元素分析スペクトルを示す。
図2B〜図2Dはそれぞれ、エネルギー分散型X線分光法による測定結果である。当該方法では、電子線を対象に照射することで発生する元素特有の特性X線を検出し、これを分光することで元素を同定する。図2B、図2C、図2D中の横軸は、電子線を照射したときの元素特有のエネルギーを表し、元素によってそのピーク位置が変化する。一方、縦軸は検出したエネルギーの強度を表す。なお、図2B〜図2Dで検出されているPtは、SEM観察用の導電性処理剤であり、事前にスパッタリングにより表面に付与された物質である。当該測定結果から明らかなように、図2Aにおける点(2)、点(4)、および点(5)ではそれぞれ組成が異なっている。図2D(点(5))では、CoおよびSbが検出されており、境界線より下の領域が熱電変換部材2であることがわかる。一方、図2B(点(2))では、Tiが検出されており、色の濃い層が密着層5であることがわかる。そして、図2C(点(4))では、InおよびOが検出されており、色の薄い層が金属層3であることがわかる。ここで、金属層3で検出されたInは熱電変換部材2から析出したものであると考えられる。また金属層3に含まれるOはInが空気と触れた際にInが酸素と反応して、その表面が酸化したため検出されたと考えられる。なお、分析機器としては、日立ハイテクノロジー製SU−70走査型電子顕微鏡、およびオックスフォードインスルメント製IncaX−actを用いた。
図2Eは、上述のエネルギー分散型X線分光法による測定結果であり、図2E中の縦軸は図2A中の測定箇所(点(1)〜(5))を示しており、横軸は各測定箇所における各元素の原子数濃度を表している。図2E中の酸素の濃度に注目すると、点(1)から点(4)、すなわち密着層5の端面(第2面)から金属層3にかけて、酸素濃度が徐々に高くなっている。これは、金属層3におけるInが析出と同時に空気に触れて酸化したこと、さらにはこの金属層3の上に密着層5をスパッタなどにより形成することで、密着層5中のTiが金属層3から酸素を奪い取り、酸化したこと、が要因として考えられる。なお、密着層5のスパッタ膜は金属層3側から形成され始め、厚みを増していくために、密着層5では、金属層3との界面(第1面)側から密着層5の端面(第2面)側に向かって、酸素濃度が徐々に低くなったと考えられる。
(熱電変換素子の製造方法)
以下、上述の実施の形態の熱電変換素子1の製造方法を、図3を参照して説明する。上述の熱電変換素子1は、所望の組成に調合された熱電変換材料2aをるつぼ中で溶融させる工程(図3A参照)と、るつぼ6中に絶縁体(以下、「絶縁管」とも称する)4を挿入し、溶融した熱電変換材料2aを吸い上げる工程(図3B参照)と、熱処理後の絶縁管4を所望の長さに切断する工程(図3C参照)と、絶縁管4中に充填された熱電変換材料2aを熱処理する工程(図示せず)と、熱処理後の絶縁管4内に充填された熱電変換体2の端面に密着層5を形成する工程(図3D参照)と、を行うことで製造することができる。以下、熱電変換材料2aとして、Co4Sb12に、Inを添加した材料を用いた場合を例に当該製造方法を説明する。ただし、熱電変換材料2aとして、スクッテルダイト材料を用いれば、その元素や配合比を任意に調整しても、同様の方法で作製することが可能である。
以下、上述の実施の形態の熱電変換素子1の製造方法を、図3を参照して説明する。上述の熱電変換素子1は、所望の組成に調合された熱電変換材料2aをるつぼ中で溶融させる工程(図3A参照)と、るつぼ6中に絶縁体(以下、「絶縁管」とも称する)4を挿入し、溶融した熱電変換材料2aを吸い上げる工程(図3B参照)と、熱処理後の絶縁管4を所望の長さに切断する工程(図3C参照)と、絶縁管4中に充填された熱電変換材料2aを熱処理する工程(図示せず)と、熱処理後の絶縁管4内に充填された熱電変換体2の端面に密着層5を形成する工程(図3D参照)と、を行うことで製造することができる。以下、熱電変換材料2aとして、Co4Sb12に、Inを添加した材料を用いた場合を例に当該製造方法を説明する。ただし、熱電変換材料2aとして、スクッテルダイト材料を用いれば、その元素や配合比を任意に調整しても、同様の方法で作製することが可能である。
まず、あらかじめ調合された熱電変換材料2a、例えばInxCo4Sb12(0<x≦1)を準備する(図3A参照)。当該熱電変換材料2aの形態は、粉末状であってもよく、インゴット状であってもよい。また、Inの添加量は、上記組成式において、0<x≦1を満たせばよいが、特に0.1≦x≦0.5であることが好ましい。Inの添加量が少ないと、得られる熱電変換部材2における熱電変換特性が十分に高まらないことがある。一方、Inの添加量が多すぎると、スクッテルダイト以外の化合物を形成してしまい、この場合にも熱電変換特性が低下してしまうためである。熱電変換材料2aは、るつぼ6中で1100〜1200℃に加熱し、溶融させる。るつぼ6は耐熱性があり、かつ熱電変換材料2aとの反応が少なく、コストも安いものであることが好ましく、例えば、カーボン製のるつぼを用いることが好ましい。また加熱は、真空中もしくは、窒素などの不活性ガス存在下で行うことが、熱電変換材料2aの酸化を抑制できるとの観点から好ましい。
上記工程で、熱電変換材料2aを十分に溶融させた後、るつぼ6中に絶縁管4を挿入し、溶融した熱電変換材料2aを吸い上げ、熱電変換材料2aを絶縁管4中に充填させる工程を行う(図3B)。絶縁管4は、上述の熱電変換素子1の絶縁体4に相当する。本実施の形態の製造方法では、絶縁管4の内径や形状によって、得られる熱電変換部材2の外径や形状が定まる。ここで、スクッテルダイト型の熱電変換材料2aは一般的に融点が高い。例えば、Co4Sb12の融点は1000℃付近であるため、耐熱性のある絶縁体4を用いる必要がある。このためガラス、特に軟化温度の高い石英ガラスを用いることが好ましい。石英ガラスは酸化物であり、熱電変換材料2aとの反応も少ないため、本開示の製造方法における絶縁管4として適している。また、絶縁管4内に熱電変換材料2aを吸い上げる方法は特に制限されず、例えば、絶縁管4の一方を溶融した熱電変換材料2a内に挿入し、他方からシリンダなどを用いて吸引する方法とすることができる。この時の吸引量は絶縁管4の内径や、長さ等から任意に選択することができる。
次に、熱電変換部材2が充填された絶縁管4を所望の長さに切断する(図3C)。絶縁管4および熱電変換部材2の切断方法としては、ブレードによる切断や、ワイヤーカットによる切断を採用することができるが、一括処理が可能なワイヤーカットの方が生産性の観点で望ましい。また、絶縁管4が石英からなる場合、金属である熱電変換部材2と、硬い石英(ガラス)とを同時に切断することになる。そのため、ワイヤーカットの条件としては、砥粒を小さくし、ワイヤーの線速を遅くした方が、石英(ガラス)の割れや熱電変換部材2のかけを低減することができる。
上述の切断加工後、熱電変換材料2aを充填させた絶縁体4を熱処理する工程を行う(図示せず)。熱処理は一般的な電気炉を用いることができ、500℃〜800℃の間で30時間〜200時間程度行う。適正な加熱条件は組成によってことなるが、例えばInxCo4Sb12(0<x≦1)であれば600℃で60時間程度行うことにより、熱電変換特性の良い熱電変換部材2を得ることができる。基本的には、熱処理を長時間行った方が、安定した特性を有する熱電変換部材2が得られる。なお、本工程による熱処理前、熱電変換材料2aは、スクッテルダイト型の結晶を構成していないが、加熱によって結晶構造が変化する。その結果、Inが充填されたCo4Sb12の結晶を得ることができる。そして、当該組成物から構成される熱電変換部材2を含む熱電変換素子1によれば、十分な熱電変換特性が発揮される。
上記熱処理は、熱電変換材料2aや、熱処理によって得られる熱電変換部材2の酸化を抑制するため、真空中、もしくは不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。金属層3は、熱電変換材料2aの原子配列がスクッテルダイト構造を形成するために、入れ替わる過程で発生する。熱電変換材料2aに含まれるInのうち、スクッテルダイト型の結晶に組み込まれなかったInは、当該結晶の外部に排出される。そして、Inは、析出と同時に酸化され、熱電変換部材2の端面に、Inおよび酸素を含む金属層3が形成される。
なお、金属層3を有する熱電変換素子1は、熱電変換材料2aを絶縁管4に充填する工程と、充填する際の温度とは異なる温度で熱処理をする工程と、によってもたらされる。例えば、熱電変換材料2aの組成がInxCo4Sb12(0<x≦1)である場合、絶縁管4に充填する際の熱電変換材料2aの温度は1100℃〜1200℃であり、絶縁管4に充填後、熱処理する際の熱電変換材料2aの温度は、500℃〜800℃である。絶縁管4に充填する際には熱電変換材料2a(スクッテルダイト材料)が溶融している必要があるため、融点を超える温度とする必要がある。また熱処理については、固体の状態、つまり結晶状態で原子の移動を促すため、融点より充分に低い温度で行う必要がある。
上記熱処理工程後、熱電変換部材2の切断面に密着層5を形成する。上述の通り、密着層5は、金属拡散抑制、および配線基板への接合という2種類の役割を果たす。そこで、密着層5が2層構造である場合を例に説明をする。本実施の形態では、金属拡散を抑制するための膜にTiを用い、配線基板に接合するための膜としてAgを用いる場合、密着層5を構成する各膜の形成方法として、スパッタ法が挙げられる。各膜の形成方法として、めっき法等も考えられるが、Tiのような元素はめっきできず、さらにめっき法は湿式法であるため、密着層5形成の際に絶縁体4と熱電変換部材2の隙間にこれらの材料が入り込み、不要な場所に膜を形成してしまう可能性がある。また溶射による成膜方法もあるが、膜の厚みのコントロールが難しい点や、膜質が比較的疎になりやすいため、金属拡散を抑制するという点で好ましくない。これに対し、スパッタによる成膜であればこのような問題を回避することができる。膜の厚みとしては例えばTiからなる膜を1μm、Agからなる膜を400nm程度とすれば、密着層5に金属拡散抑制と接合という機能を持たせることができる。
以上の工程を経ることで本開示の実施の形態に係る熱電変換素子1を得ることができる。
上述のように、切断加工後に熱処理を行うことで熱電変換部材2の端面に金属層3を析出させることが出来る。この順序が逆になると、金属層3は熱電変換部材2の側面に積極的に析出し、熱電変換部材2の端面にはInxCo4Sb12(0<x≦1)が露出することになる。
(熱電変換モジュール)
図4は本開示の熱電変換素子1を用いた熱電変換モジュールの一例を示す断面概略図である。熱電変換素子1はP型熱電変換素子1PとN型熱電変換素子1Nが直列に繋がるように配置されている。またこれらは対向する高温側基板7と低温側基板8との間に挟まれている。高温側基板7と低温側基板8には、それぞれ配線電極9が形成されており、接合部10により熱電変換素子1と配線電極9とが電気的に接合されている。P型熱電変換素子1PおよびN型熱電変換素子1Nは、いずれもスクッテルダイト型の材料で構成される熱電変換部材を有する素子で構成することができる。例えば、N型の熱電変換部材の材料は、Co4Sb12、P型の熱電変換部材の材料は、N型の材料のCoを一部Feに置き換えたFexCo4−xSb12という組成式で表す材料とすることができる。また、これらは、いずれもInなどの充填元素を含む。また、いずれの組成であっても、上述の製造方法で製造することにより、熱電変換部材の両端面に金属層3を形成することが可能である。
図4は本開示の熱電変換素子1を用いた熱電変換モジュールの一例を示す断面概略図である。熱電変換素子1はP型熱電変換素子1PとN型熱電変換素子1Nが直列に繋がるように配置されている。またこれらは対向する高温側基板7と低温側基板8との間に挟まれている。高温側基板7と低温側基板8には、それぞれ配線電極9が形成されており、接合部10により熱電変換素子1と配線電極9とが電気的に接合されている。P型熱電変換素子1PおよびN型熱電変換素子1Nは、いずれもスクッテルダイト型の材料で構成される熱電変換部材を有する素子で構成することができる。例えば、N型の熱電変換部材の材料は、Co4Sb12、P型の熱電変換部材の材料は、N型の材料のCoを一部Feに置き換えたFexCo4−xSb12という組成式で表す材料とすることができる。また、これらは、いずれもInなどの充填元素を含む。また、いずれの組成であっても、上述の製造方法で製造することにより、熱電変換部材の両端面に金属層3を形成することが可能である。
また、本開示の熱電変換モジュールは、例えば、第1導電型の第1熱電変換素子と、当該第1熱電変換素子と導電型の異なる第2導電型の第2熱電変換素子と、を組み合わせたものであってもよい。各熱電変換素子は、上述の製造方法で作製することができる。
また熱電変換モジュールの高温側基板7には、アルミナや窒化ケイ素といったセラミックからなる基板を用いることが好ましい。これは高温で用いることを前提とした場合、樹脂系の基板では耐熱性に劣るためである。一方、低温側基板8は、使用温度において十分な耐熱性を有するものであれば特に制限されず、セラミックや樹脂系の基板を用いることができる。またそれぞれの基板に形成されている配線電極9は、耐熱性を鑑みてAgなどの酸化し難い金属からなることが好ましい。また接合部10についても、酸化し難いことが好ましく、例えば配線電極9にAgを採用した場合、接合性を考慮して、Agロウや焼結Agを用いることが好ましい。
(効果)
以下、本開示の熱電変換素子等の効果について説明する。本開示の熱電変換素子1では、熱電変換部材2と密着層5の間に、熱電変換部材2の材料を構成する元素Lおよび酸素を含む金属層3(L層)が存在する。さらに、密着層5も、通常、元素Qと共に酸素を含む。ここで、熱電変換部材2の構成材料であるSbなどの元素Pnや元素M等は、酸素より拡散係数が低い。したがって、上述の接合部10と熱電変換材料2との間に、酸素を含む金属層3および密着層5が存在することで、熱電変換部材2を構成する材料の接合部10への金属拡散が大幅に低減される。また、前述のように、密着層5の酸素含有率は、通常、表面にかけて徐々に減少するが、このような密着層5では、密着層5全体の酸化が進行している場合に比べて酸素含有率が低くなる。したがって、求められる機械強度と電気伝導率を保有すると考えられる。なお、金属層3の厚みが200nm以上かつ1μm以下であると、拡散防止効果と機械強度を両立することが出来るため、好ましい。
以下、本開示の熱電変換素子等の効果について説明する。本開示の熱電変換素子1では、熱電変換部材2と密着層5の間に、熱電変換部材2の材料を構成する元素Lおよび酸素を含む金属層3(L層)が存在する。さらに、密着層5も、通常、元素Qと共に酸素を含む。ここで、熱電変換部材2の構成材料であるSbなどの元素Pnや元素M等は、酸素より拡散係数が低い。したがって、上述の接合部10と熱電変換材料2との間に、酸素を含む金属層3および密着層5が存在することで、熱電変換部材2を構成する材料の接合部10への金属拡散が大幅に低減される。また、前述のように、密着層5の酸素含有率は、通常、表面にかけて徐々に減少するが、このような密着層5では、密着層5全体の酸化が進行している場合に比べて酸素含有率が低くなる。したがって、求められる機械強度と電気伝導率を保有すると考えられる。なお、金属層3の厚みが200nm以上かつ1μm以下であると、拡散防止効果と機械強度を両立することが出来るため、好ましい。
ここで、400℃環境下で100時間の耐久試験を行った素子の断面観察結果を示す。図5Aは、金属層が存在しない素子(比較例)について、耐久試験後に熱電変換素子1の中心軸と平行に切断したときの断面の電子顕微鏡像である。図5Bは、当該素子のエネルギー分散型X線分光法による測定結果である。図5Bにおける縦軸は図5A中の測定箇所、点(1)〜(4)を示しており、横軸は各測定箇所における各元素の原子数濃度を表している。点(1)〜(3)が密着層5に相当し、点(4)が熱電変換部材2に相当する。密着層5(Tiスパッタ層)における点(1)〜(3)の分析結果を見ると、Sb、In、およびCoがそれぞれ検出されており、密着層5への熱電変換部材2の素子材料の拡散が進行していることが分かる。
一方、図5Cは、本開示の実施の形態の金属層3が存在する素子の耐久試験後に熱電変換素子1の中心軸と平行に切断したときの断面の電子顕微鏡像である。図5Dは、当該素子のエネルギー分散型X線分光法による測定結果である。図5Dにおける縦軸は、図5C中の測定箇所、点(1)〜(4)を示しており、横軸は各測定箇所における各元素の原子数濃度を表している。点(1)および(2)が密着層5に相当し、点(3)が金属層3に相当し、点(4)が熱電変換部材2に相当する。図5Dより、密着層5(Tiスパッタ層)における点(1)および(2)では、Sb、Co、およびInが検出されたが、図5Aの点(1)〜(3)に比べると、それらの原子数濃度は半分以下に減少している。すなわち、本開示の実施の形態の熱電変換素子では、高温環境下における、熱電変換材料2aから密着層5への素子材料の拡散が減少していることが確認できる。したがって、従来の熱電変換素子と比較して、非常に高い信頼性を有する。
なお、本実施の形態の熱電変換素子では特に、金属層3(L層)の平均酸素濃度は、25atm%以上65atm%以下であることが好ましく、密着層5の平均酸素濃度は、0atm%以上40atm%以下であることが望ましい。なぜならば、金属層3の平均酸素濃度が25atm%以下の場合、金属層3を構成する元素Lの酸化に伴う拡散抑制効果の向上が減少する傾向にある。また、金属層3の平均酸素濃度が65atm%以上の場合、電気抵抗率と機械強度が低下する傾向にある。さらに、金属層3の平均酸素濃度が65atm%以上の場合では、密着層5の成膜時、Ti等が金属層3から過度に酸素を奪い取り、密着層5の平均酸素濃度が40atm%を超えやすくなる。密着層5の平均酸素濃度が40atm%以上の場合、金属層3と同様、電気抵抗率と機械強度が低下する傾向にある。なお、平均酸素濃度は、それぞれ100sqmの領域における測定値である。
上記説明では、金属層3(L層)を熱電変換部材2の上面および底面の両方に設けた例を説明したが、当該L層は、熱電変換部材2の上面又は底面の一方にのみ設けてもよい。ただし、より顕著な拡散防止効果を得るために、熱電変換部材2の上面および底面の両方にL層を配することが好ましい。
本開示に係る熱電変換材料は、従来の熱電変換素子と比較し、高温下において熱電変換特性の信頼性に優れ、自動車や工場排熱など高温のエネルギー回収に適用できる。
1 熱電変換素子
1P P型熱電変換素子
1N N型熱電変換素子
2 熱電変換部材
2a 熱電変換材料
3 金属層
4 絶縁体
5 密着層
6 るつぼ
7 高温側基板
8 低温側基板
9 配線電極
10 接合部
101 P型熱電変換素子
102 N型熱電変換素子
103 第1の拡散防止層
104 第2の拡散防止層
105 半田接合層
106 半田層
107 電極保護層
108 高温側電極
1P P型熱電変換素子
1N N型熱電変換素子
2 熱電変換部材
2a 熱電変換材料
3 金属層
4 絶縁体
5 密着層
6 るつぼ
7 高温側基板
8 低温側基板
9 配線電極
10 接合部
101 P型熱電変換素子
102 N型熱電変換素子
103 第1の拡散防止層
104 第2の拡散防止層
105 半田接合層
106 半田層
107 電極保護層
108 高温側電極
Claims (7)
- 元素L(In、Yb、Eu、Ce、La、Nd、GaおよびSrからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、元素M(Co、Rh、Ir、Fe、Ni、Pt、Pd、RuおよびOsからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)、および元素Pn(Sb、As、P、Te、Sn、Bi、Ge、SeおよびSiからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)を含むスクッテルダイト型の材料で構成される熱電変換部材と、
前記熱電変換部材の上面および底面の少なくとも一方に配された、前記元素Lと酸素とを含むL層と、
前記L層上に配された、元素Q(Ti、Mo、Co、Taからなる群から選ばれる1つ以上の元素を表す)を含む密着層と、を備え、
前記L層の平均酸素濃度は、前記密着層の平均酸素濃度よりも大である、
熱電変換素子。 - 前記密着層の前記L層側の第1面における酸素濃度は、前記密着層の前記第1面と反対側の第2面における酸素濃度よりも大である、
請求項1に記載の熱電変換素子。 - 前記密着層は、厚み方向の断面において、酸素濃度が徐々に変化する、
請求項1または2に記載の熱電変換素子。 - 前記L層の平均酸素濃度は、25atm%以上65atm%以下であり、
前記密着層の平均酸素濃度は、0atm%以上40atm%以下である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱電変換素子。 - 前記密着層上に電極が配される、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱電変換素子。 - 前記密着層と前記電極との間に接合部材が配される、
請求項5に記載の熱電変換素子。 - 前記元素LはInであり、前記元素MはCoであり、前記元素PnはSbである、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017056575A JP2018160541A (ja) | 2017-03-22 | 2017-03-22 | 熱電変換素子 |
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| JP (1) | JP2018160541A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20200132231A (ko) * | 2019-05-16 | 2020-11-25 | 한국전력공사 | 열전소자 제조 방법, 이로 제조된 열전소자 및 열전모듈 |
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2017
- 2017-03-22 JP JP2017056575A patent/JP2018160541A/ja active Pending
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| KR20200132231A (ko) * | 2019-05-16 | 2020-11-25 | 한국전력공사 | 열전소자 제조 방법, 이로 제조된 열전소자 및 열전모듈 |
| KR102285688B1 (ko) * | 2019-05-16 | 2021-08-05 | 한국전력공사 | 열전소자 제조 방법, 이로 제조된 열전소자 및 열전모듈 |
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