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JP2018036310A - 光学シート用部材及び光学シート用部材の製造方法 - Google Patents

光学シート用部材及び光学シート用部材の製造方法 Download PDF

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JP2018036310A
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元道 福田
Motomichi Fukuda
元道 福田
敬生 増田
Takao Masuda
敬生 増田
均 藤木
Hitoshi Fujiki
均 藤木
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

【課題】本発明の課題は、均一性に優れ、光拡散能力の高い光学シート用部材を得ることである。【解決手段】不織布を含有してなる光学シート用部材において、該不織布が主体繊維とバインダー繊維とを含有してなり、光学シート用部材の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭が存在することを特徴とする光学シート用部材であり、バインダー繊維の溶融髭の形状が、分岐している形状、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも細い形状、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、光学シート用部材及び光学シート用部材の製造方法に関する。
光透過、光反射、光吸収等の光学特性を有し、光に対して種々の効果を発現させるフィルム状の光学シートが知られている。例えば、光拡散シート、偏光シート、反射シート、光拡散反射シート、反射偏光シート等が知られている。
例えば、液晶表示装置は、近年、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及してきている。本方式の表示装置の構成は、モバイル機器向け、ノート・パソコン向け、モニター向け、テレビ向けで異なるが、基本は線状の光源から出た光を、各種フィルムを通過させながら均一でムラのない面状の光にする。
バックライト方式の表示装置は、光源の配置で「エッジ・ライト型」と「直下ライト型」に分かれる。エッジ・ライト型は携帯電話機やノート・パソコンなどで使われており、バックライト・ユニットの端に光源を置く方法である。薄型化しやすいという特徴を持つが、光がパネル全面にムラなく行き渡るために、各種のフィルムを組み合わせる必要がある。直下型は大型テレビなどで使われている。バックライト・ユニットの背面に光源を配置し、大量に光源を並べることができるので、高輝度化しやすいという特徴がある。ただし、ユニットが物理的に厚くなり、コストも高いという問題がある。
バックライト方式の表示装置を構成する部材は多く、光導光板(Light Guide Plate)、光拡散シート(Diffuser)、光反射板(Reflection Sheet)、電磁波遮断シート(Electromagnetic Wave Shield Sheet)、インバータ(Inverter)、反射シート(Reflective Sheet)などがある。
光拡散シートは、エッジ・ライト型の導光板によってパネル全面に広がった光や、直下型の複数光源から出てきた光を拡散させるシートのことを指す。これによって、光をムラなく画面全体に行き渡らせることができる。また、反射シートは、液晶パネルの裏側に設置されることで、表側へと光を反射させるシートのことを指し、光の損失を防ぐことができる。
反射シートや光拡散シートは、光を反射することや、光を拡散させて目に優しい光にすることを目的として、液晶表示装置のほかに、建物や自動車の窓ガラス、照明器具、看板等に使用されている。
光拡散シートとしては、フィルムを用いた光拡散シートが主流であり、多孔質フィルムに樹脂を含浸させた光拡散シート(例えば、特許文献1参照)、多孔質フィルムと無孔質フィルムの積層型フィルムの光拡散シート(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
また、均一、高輝度、軽い、薄い等の特性を有する光拡散シートとして、織布、不織布等からなる光拡散シートが提案されている。例えば、表裏で密度の異なる不織布使用した光拡散シート(例えば、特許文献3参照)、0.01〜1.0μmまでの平均孔径を有し、比細孔容積が少なくとも約34cm/mである不織布を含む拡散反射体(例えば、特許文献4参照)、全光線透過率が25%以上90%以下であり、総繊度5dtex以上450dtex以下の繊維を含んでいる光学シート支持体(例えば、特許文献5参照)、坪量が10g/m以上40g/m以下の不織布からなる拡散板(例えば、特許文献6参照)、非配向であり、50μm未満の繊維直径と、5を超える長さ/直径の繊維アスペクト比と、10〜80g/mの範囲の坪量と、を有する不織拡散体(例えば、特許文献7参照)、10g/m以上500g/m以下の不織布によって形成される拡散部材(例えば、特許文献8参照)が提案されている。特許文献3〜8に記載されている不織布からなる光拡散シートでは、不織布の坪量、不織布を構成している繊維の繊維径、繊維長、比細孔容積等を調整することによって、光拡散能力を調整しているが、光学的欠点が目立つ場合があった。したがって、均一で、光拡散能力に優れた光拡散シートとして使用できる光学シート用部材が求められている。
特開平8−320406号公報 特開平8−327804号公報 特表2008−543010号公報 特開2006−323392号公報 特開2007−140495号公報 特開2013−25953号公報 特表2015−510613号公報 特開2015−88269号公報
本発明の課題は、均一性に優れ、光拡散能力の高い光学シート用部材を得ることである。
上記課題は、下記手段によって解決された。
(1)不織布を含有してなる光学シート用部材において、不織布が主体繊維とバインダー繊維とを含有してなり、不織布の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭が存在することを特徴とする光学シート用部材。
(2)不織布表面の電子顕微鏡写真で観察される溶融髭が、1.0mmあたり2本以上である上記(1)記載の光学シート用部材。
(3)バインダー繊維の溶融髭の形状が、分岐している形状である上記(1)又は(2)記載の光学シート用部材。
(4)バインダー繊維の溶融髭の形状が、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも細い形状である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学シート用部材。
(5)バインダー繊維の溶融髭の形状が、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光学シート用部材。
(6)不織布の少なくとも片面にバインダー繊維の溶融髭が存在し、その溶融髭が寝た状態にある上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光学シート用部材。
(7)バインダー繊維の溶融髭が、不織布の両表面に存在する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光学シート用部材。
(8)不織布を含有してなる光学シート用部材を製造する方法において、主体繊維とバインダー繊維とを含有する基材を湿式抄造法によって製造する工程、該基材に熱ロールにより熱カレンダー処理を施して不織布を得る工程とを含み、前記熱カレンダー処理を、熱カレンダー処理直後の不織布の表面温度を確認しながら行い、不織布の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭を発生させることを特徴とする光学シート用部材の製造方法。
(9)熱カレンダー処理後のニップ直後から10cm未満の位置で測定した不織布の表面温度がバインダー繊維の融点に対して−65℃〜−20℃の範囲内となるように、熱カレンダー処理における熱ロールの表面温度を設定する上記(8)に記載の光学シート用部材の製造方法。
不織布を含有してなる光学シート用部材において、該不織布が主体繊維とバインダー繊維とを含有してなる光学シート用部材は、内部に大小の細孔が開いており、この細孔が空気との界面を形成し、光拡散能力を示す。そのため、空気と繊維の界面が多いほど優れた光拡散能力を示す。また、光が繊維に当たらない細孔部分が多い場合、光が繊維によって拡散される箇所と、光が拡散せずに通過する箇所の差が顕著に見られるようになることから、光学的均一性は劣ることとなる。本発明の光学シート用部材は、少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭が存在する光学シート用部材であり、このバインダー繊維の溶融髭によって、空気と繊維の界面が多く形成され、また、溶融髭が細孔を小さくすることにより、繊維と接触せずに通過する光が少なくなるため、光拡散能力が良好になり、且つ光学的均一性にも優れるという効果を達成できる。
本発明の光学シート用部材の製造方法によれば、湿式抄造法により製造された基材に熱ロールにより熱カレンダー処理を施す際に、熱カレンダー処理直後の不織布の表面温度を確認することによって、不織布の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭が存在し、上述の効果を達成できる本発明の光学シート用部材を効率的に製造することができる。
バインダー繊維の溶融髭を発生させる前の光学シート用部材の電子顕微鏡写真である。 バインダー繊維の溶融髭が存在している光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。 バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。 バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。 バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。 バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。 バインダー繊維の溶融髭が寝た状態で存在している光学シート用部材断面の電子顕微鏡写真である。 バインダー繊維の溶融髭が立った状態で存在している光学シート用部材断面の電子顕微鏡写真である。 エッジ・ライト型バックライトの表示装置の概略断面図である。 直下ライト型バックライトの表示装置の概略断面図である。
本発明の光学シート部材は、不織布を含有してなり、該不織布が主体繊維とバインダー繊維とを含有してなり、該不織布の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭が存在することを特徴とする。
本発明の光学シート用部材は、湿式抄造法によって基材が作製された後に、この基材が熱ロールによって熱カレンダー処理されることによって、製造される。熱ロールによる熱カレンダー処理時に、熱ロールに接することによって溶融したバインダー繊維が、熱ロールから離れる時に、短い髭状になることによって、溶融髭が形成される。
溶融髭の本数を計測方法としては、光学シート用部材の両面の表面の電子顕微鏡写真を撮影し、一定面積(1.0mm)あたりの溶融髭の本数を計測する。光学シート用部材の幅が10×Ncmの場合、N箇所を測定する。ただし、Nは正の整数である。例えば、光学シート用部材の幅が30cmの場合は、幅方向の端から5cm地点、15cmの地点、25cmの地点の計3箇所を測定する。また、100cm幅の場合は、5cmの地点、15cmの地点、・・・95cmの地点の計10箇所を測定する。その際、溶融前のバインダー繊維の直径よりも細い溶融髭の本数を計測する。溶融髭を判別するためには、電子顕微鏡写真撮影時の倍率は100倍以上であることが好ましく、より好ましくは200倍以上である。
溶融髭の本数は、1.0mmあたり、好ましくは2本以上であり、より好ましくは3本以上であり、さらに好ましくは4本以上である。また、溶融髭の本数は、1.0mmあたり、好ましくは1000本以下である。溶融髭が存在しない場合や溶融髭の本数が2本未満の場合には、光を拡散する繊維の数が少ないため、光拡散能力が低くなる場合がある。溶融髭の本数が1000本を超えても問題無いが、1000本以下の場合と効果は変わらない。
本発明における溶融髭は、溶融前の繊維形状から大きく変化して、髭状になったバインダー繊維の一部分である。溶融髭の直径は、溶融する前のバインダー繊維の直径よりも小さい。また、溶融髭は、バインダー繊維から離脱しないで付着している場合もあるが、バインダー繊維から離脱して独立している場合もある。さらに、溶融髭の形状としては、分岐してフィブリル状となって枝分かれしている形状、引き延ばされて細くなった形状、両端が主体繊維やバインダー繊維と繋がった形状、屈曲している形状等がある。そして、溶融髭の長さや太さは不定である。
本発明では、光学シート用部材の表面に存在するバインダー繊維の溶融髭が空気と繊維の界面を増やすことによって、光拡散能力が向上するという効果を達成できる。また、光学シート用部材を構成する繊維間の空隙である窪みに溶融髭が存在することによって、溶融髭が空隙を細分化するため、光が繊維に接触せずに光学シート用部材内を通過することを抑制できることから、光学的均一性を向上する効果も達成できる。
本発明において、光学シート用部材の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭が存在すれば良いが、両表面に存在することによって、光拡散能力を上げる効果と光学的均一性を上げる効果がより高まる。
溶融髭の形状が、溶融髭が分岐してフィブリル状となって枝分かれしている形状、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも小さい形状、又は、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状である場合には、溶融髭が光学シート用部材を通過する光をより多く拡散することができるため、光拡散能力がより高くなる傾向にある。
図1は、バインダー繊維の溶融髭を発生させる前の光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真であり、主体繊維と、溶融髭が発生していないバインダー繊維しか存在していない。電子顕微鏡写真の倍率は100倍であり、スケールバーは100μmを示している。
図2は、バインダー繊維の溶融髭が存在している光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真の倍率は100倍、スケールバーは100μmを示している。溶融髭は、ランダムに配置された主体繊維同士の間の空隙である窪みを覆うように存在している。溶融髭はバインダー繊維から発生したものであり、主体繊維と強固に接着しており、脱落することはない。
図3は、バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真の倍率は100倍、スケールバーは100μmを示している。○で囲った部分に存在している溶融髭の形状は、分岐してフィブリル状となって枝分かれしている形状である。
図4は、バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真の倍率は100倍、スケールバーは100μmを示している。○で囲った部分に存在している溶融髭の形状は、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも小さい形状である。溶融髭の先端径とは、バインダー繊維から離脱しないで溶融髭が付着している場合は、バインダー繊維からの分岐点を起点として発生している溶融髭の先端の直径である。また、バインダー繊維から離脱している場合は、溶融髭の両端の直径である。溶融髭の先端の直径は、電子顕微鏡写真のスケールバーの長さを基に算出した溶融髭の先端の幅である。
図5は、バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真の倍率は100倍、スケールバーは100μmを示している。○で囲った部分に存在している溶融髭は、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を横断している。また、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも細い。
図6は、バインダー繊維の溶融髭の形状の一例を示す光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真の倍率は100倍、スケールバーは100μmを示している。○で囲った部分に存在している溶融髭は、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を横断している。しかし、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも太いため、図5の○で囲った部分に存在している溶融髭と比較すると、空隙を細分化する効果は小さい。
光学シート用部材の表面にある溶融髭は、寝た状態にあることが好ましい。溶融髭が寝た状態にあることにより、光学シート用部材を構成している繊維間の空隙にランダムに溶融髭を配置することが可能となり、繊維間の大きな空隙を効率的に細分化することができ、光拡散能力と光学的均一性をより高めることができる。なお、溶融髭が光学シート用部材表面に対して垂直方向や斜め方向に立っている場合、光が当たる面積が少なくなるため、光拡散能力や光学的均一性を上げる効果は低くなる傾向にある。
図7は、バインダー繊維の溶融髭が存在している光学シート用部材断面の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真の倍率は200倍、スケールバーは100μmを示している。溶融髭は発生しているが、溶融髭が寝た状態であり、立っている状態の溶融髭は確認できない。
図8は、バインダー繊維の溶融髭が存在している光学シート用部材断面の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真の倍率は200倍、スケールバーは100μmを示している。○で囲った2箇所の部分に存在している溶融髭は、立っている状態で存在していることが確認できる。
溶融髭を寝かせる方法としては、溶融髭を発生させた後に、加熱した熱ロール同士による熱カレンダー処理、加熱したロールと加熱していないロールとによる熱カレンダー処理、加熱していないロール同士によるカレンダー処理等を施す方法、溶融髭が発生している面を熱ロールに接触するように抱かせる方法等が挙げられる。これらの方法は、単独で又は組み合わせて行うことができる。
本発明において、主体繊維は、光学シート用部材の骨格を形成する繊維である。主体繊維としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ベンゾエート系、ポリクラール系、フェノール系等の合成繊維が挙げられるが、耐熱性の高いポリエステル系の繊維がより好ましい。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等は性能を阻害しない範囲で含有しても良い。
本発明の光学シート用部材の主体繊維の平均繊維径は、4.5〜18.0μmが好ましく、5.0〜13.0μmがより好ましく、5.0〜10.0μmがさらに好ましい。平均繊維径が4.5〜18.0μmの主体繊維を使うことで、地合いの良好な基材を形成することができ、均一で細かな細孔を有した光学シート用部材を提供しやすくなる。主体繊維の平均繊維径が4.5μm未満の場合、光学シート用部材に光を透過させた際に繊維が目視しやすくなり、光透過率の均一性を損なう場合があり、光透過率も非常に小さくなるため、光学シート用部材として適さない場合がある。また、光学シート用部材の主体繊維の平均繊維径が18.0μmよりも太い場合には、基材を構成する繊維の繊維密度が低くなり、光学的均一性や光拡散能力が劣る場合がある。
ここで、主体繊維の平均繊維径は以下の方法により求められる。
平均繊維径=(主体繊維1の繊維径(μm)×主体繊維1の質量%+主体繊維2の繊維径(μm)×主体繊維2の質量%+主体繊維3の繊維径(μm)×主体繊維3の質量%+…)/(主体繊維1の質量%+主体繊維2の質量%+主体繊維3の質量%+…)
主体繊維の断面形状には、円形以外に、三角形、四角形等の多角形、十字型、T字型、Y字型等の異型断面形状がある。異型断面形状を有する繊維は異型断面繊維と呼ばれる。主体繊維が異型断面繊維の場合、断面積を円形近似した場合の繊維径を、主体繊維の繊維径とすることができる。
本発明の光学シート用部材における不織布の密度は0.65〜1.10g/cmが好ましく、0.75〜0.95g/cmがより好ましく、0.85〜0.95g/cmがさらに好ましい。光学シート用部材の密度が0.65g/cm未満の場合には、不透明性が高くなり過ぎて、光学シートの光透過率が低下し過ぎる場合がある。また、繊維同士の熱融着度合いが低くなり、繊維のネットワーク密度が低くなって、繊維が目視しやすくなるため、光学的均一性に劣る場合がある。光学シート用部材の密度が1.10g/cmを超える場合には、光学シート用部材全体の透明度が高くなり過ぎ、光拡散能力が著しく下がる場合がある。また、基材の地合いに由来する透明度ムラが発生し、均一性を損なう場合がある。
本発明の光学シート用部材の密度は、基材を製造する際のウエットプレス、スムーサーロールの使用、ドライヤー部でのタッチロールの使用、熱カレンダー処理での処理条件等を、単独又は組み合わせて調整することによって、調整することができる。
本発明の光学シート用部材の製造方法は、主体繊維とバインダー繊維とを含有する基材を湿式抄造法によって製造する工程を含む。湿式抄造法では、例えば、長網式、円網式、短網式、傾斜ワイヤー式等の湿式抄造方式を有する抄紙機を用いることができる。これらの湿式抄造方式から同種又は異種の2種以上の湿式抄造方式を有するコンビネーション抄紙機を使用することもできる。均一性に優れた基材を製造するには、長網式、傾斜ワイヤー式のように、緩やかに、ワイヤー上のスラリーから脱水することができる湿式抄造方式の抄紙機を使用することが好ましい。本発明の光学シート用部材において、不織布は単層であっても良いし、多層であっても良いが、不織布を構成する層の少なくとも1層が、長網式又は傾斜ワイヤー式を有する抄紙機で構成されることが好ましい。
特に、地合いの良好な均一性に優れた光学シート用部材を提供するためには、基材を湿式抄造法によって製造する工程において、目開きの小さいワイヤーを使用することが有効である。そのため、ブロンズワイヤーよりもプラスチックワイヤーを使用することが有効である。使用するプラスチックワイヤーとしては、2重織り、2.5重織り、3重織り、3.5重織りのワイヤーが好ましく、2.5重織り、3重織り、3.5重織りワイヤーがより好ましい。
本発明において、光学シート用部材は主体繊維と共にバインダー繊維を含有する。
バインダー繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。バインダー繊維は、繊維全体又は繊維の一部のガラス転移温度又は溶融温度(融点)が、主体繊維よりも、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、低い繊維である。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、光学シート用部材の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、光学シート用部材の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステルの未延伸繊維を好ましく用いることができる。
バインダー繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、好ましくは2.0〜20.0μmであり、より好ましくは5.0〜15.0μmであり、さらに好ましくは7.0〜12.0μmである。バインダー繊維は、主体繊維と比較して、繊維中に結晶化していない部分が存在し、熱カレンダー処理時に加温することにより、主体繊維との結着性及びバインダー繊維同士での結着性が向上し、光学シート用部材の機械的強度を向上させる役割を果たす。その他に、溶融、可塑変形したバインダー繊維は、主体繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たす。さらに、バインダー繊維のガラス転移温度又は溶融温度以上まで温度を上げる工程では、本発明の光学シート用部材の平滑性も向上させることができ、該工程で加圧が伴っていると、より効果的である。そして、バインダー繊維によって、光学シート用部材表面の細孔径を細かくすることもでき、結果として、光透過性と光拡散能力のバランスのとれた光学シート用部材を得ることが可能となる。
バインダー繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、さらに好ましくは4〜6mmである。バインダー繊維の繊維長が1mmを下回る場合、主体繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割を果たすことが難しくなって、光学シート用部材の機械的強度が低下する場合がある。また、バインダー繊維の繊維長が12mmを上回る場合、繊維本数が少なくなり、溶融部分が局在化することで光学的な均一性を損なう場合がある。バインダー繊維の断面形状についても、特に限定されず、円形以外に、三角形、四角形等の多角形、十字型、T字型、Y字型等の異型断面形状を有する繊維も含有できる。
主体繊維とバインダー繊維の質量含有比率は、75:25〜25:75であることが好ましい。より好ましくは65:35〜35:65であり、さらに好ましくは60:40〜45:55である。主体繊維の含有率が75質量%を超える場合、バインダー繊維が不足し、主体繊維をバインダー繊維が十分に覆うことができなくなることから、主体繊維が目視で確認しやすくなる場合があるため、光学的均一性が低くなる場合がある。主体繊維の含有比率が25質量%を下回る場合、バインダー繊維が過剰に存在し、不織布がフィルムのようになることから、繊維と空気の界面が少なくなり、光拡散能力が低くなる場合がある。主体繊維とバインダー繊維の質量含有比率を75:25〜25:75とすることで、光学的均一性と光拡散能力のバランスのとれた光学シート用部材を得ることが可能となる。
溶融髭の形状が分岐している形状、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも細い形状、又は、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状であるためには、不織布を構成する主体繊維とバインダー繊維とがランダムな方向に配置されていることが必要となり、熱ロールに接する部分にバインダー繊維が存在しなければならない。ランダムに配置するためには、主体繊維の直径とバインダー繊維の直径の比率(主体繊維の直径/バインダー繊維の直径)が0.2〜4.0/1.0であることが好ましく、0.3〜3.0/1.0であることがより好ましく、0.4〜2.5/1.0であることがさらに好ましい。主体繊維の直径/バインダー繊維の直径が0.2/1.0未満の場合、バインダー繊維の直径が大きいために、主体繊維に対しての本数が不足し、主体繊維に対してバインダー繊維がランダムに配置されない場合がある。一方、主体繊維の直径/バインダー繊維の直径が4.0/1.0を超えた場合、バインダー繊維が主体繊維間に埋もれてしまい、熱ロールに接する部分に存在するバインダー繊維が不足する場合がある。
本発明において、主体繊維、バインダー繊維を均一に水中に分散させるために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、基材を得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃がさらに好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cm、より好ましくは100〜800N/cmである。
溶融髭を発生させるためには、熱ロールによる熱カレンダー処理時に、熱ロールに基材を貼り付かせることが重要となる。そのためには、熱ロール温度をバインダー繊維の融点付近まで高めること、ニップ圧力を高めることが重要となる。また、加工速度をコントロールすることによって、溶融髭の長さをある程度調整することができる。また、バインダー繊維の含有量を高めることによって、溶融髭を多くすることができる。
溶融髭発生の指標として、熱ロールの表面温度管理ではなく、実際に不織布に伝達した熱の確認が必要である。そのためには、熱ロールによる熱カレンダー処理直後の不織布の表面温度を確認することが重要となる。溶融髭を発生させるためには、基材が熱ロールにより熱カレンダー処理された後において、ニップ直後から10cm未満の位置で測定した不織布の表面温度が、バインダー繊維の融点に対して−65℃〜−20℃の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、−60℃〜−25℃の範囲内であり、さらに好ましくは、−55℃〜−25℃の範囲である。ニップ直後から10cm未満の位置で不織布の表面温度を測定することによって、ニップ時の不織布の表面温度を推定できる。経験上、ニップ直後から10cm未満の位置で測定した不織布の表面温度は、ニップ時の表面温度より1〜5℃低いことが分かっている。上記温度範囲になるように、熱カレンダー処理の条件を設定することが好ましい。
例えば、バインダー繊維の融点が260℃の場合、不織布の表面温度が195〜240℃であることが好ましく、200〜235℃であることがより好ましい。不織布の表面温度に合うように熱ロールの表面温度を設定することが必要である。例えば、不織布が熱ロールにより熱カレンダー処理された後にニップ直後から9cmの位置で測定した不織布の表面温度を220℃にする場合、熱ロール表面温度は、221℃〜225℃に設定する。
熱カレンダー処理におけるロールのニップ圧力は、好ましくは250〜1700N/cmであり、より好ましくは450〜1400N/cmである。溶融髭を発生させるためには、熱ロールによる熱カレンダー処理時に熱ロールに基材を貼り付かせることが重要であり、そのためには、ニップ圧力を高めることが重要である。ニップ圧力が250N/cm未満の場合、熱ロールと基材の密着不良により、溶融髭が発生しない場合がある。一方、1700N/cmを超えた場合、1700N/cmの場合と比較して、溶融髭が増す効果が変わらず、ロールへの過剰な負荷が増すことによって、ロール寿命を短くする場合がある。
熱カレンダー処理における加工速度は、好ましくは4〜100m/minであり、より好ましくは10〜80m/minである。熱カレンダー処理における加工速度を調整することによって、溶融髭の長さをある程度調整することができる。溶融髭の長さとは、溶融髭がバインダー繊維から離脱しないで付着している場合は、バインダー繊維からの分岐点を起点として溶融髭の先端までの長さである。また、バインダー繊維から溶融髭が離脱している場合は、溶融髭の先端から逆の先端までの長さである。加工速度を遅くすることによって、溶融髭を長くすることができる。例えば、加工速度が10m/minの場合、溶融髭の長さが50〜400μmである場合が多く、加工速度が40m/minの場合、溶融髭の長さが10〜150μmである場合が多い。
また、熱ロールで熱カレンダー処理された後の基材を当該熱ロールに貼り付かせるために、熱ロールには離型剤等の薬品を塗布しないか、薬品を塗布する場合には、塗布量を極めて少なく抑えることが大切である。離型剤を多量に塗布した場合、熱ロールの温度、ニップ圧を高めても、熱ロールに基材が貼り付かずに、溶融髭が発生しない場合がある。
熱カレンダー処理のロールの組み合わせとしては、金属ロール−金属ロール、金属ロール−コットンロール、金属ロール−樹脂ロール、金属ロール−微粗面金属ロール等から適宜選択して使用でき、少なくとも金属ロールの一つは加熱が可能なロールである。
加熱が可能な金属ロールの表面温度を調整する方式として、金属ロール内部を多重構造とし、その内部に蒸気あるいは加熱されたオイルを循環させる方式、内部に埋設された電熱線により加熱する方式、誘導発熱方式等が挙げられる。
本発明の光学シート用部材における不織布の坪量は20〜150g/mが好ましく、より好ましくは40〜130g/mである。20g/m未満の場合は、構成する繊維のネットワークを充分に構成することができず、光拡散能力や光学的均一性が低下する場合があり、150g/mを超えた場合、光透過率が低下する場合がある 。
本発明の光学シート用部材は、そのままで使用してもよいし、樹脂を含浸させて又は樹脂フィルムと積層させて使用してもよい。本発明の光学シート用部材は、例えば、光拡散シート、偏光シート、反射シート、光拡散反射シート、反射偏光シート等に使用することができる。このような使用方法の中でも、本発明の光学シート用部材を、そのまま、光拡散シートとして使用する方法は、表示装置等の光学シートを用いてなる装置の軽量化や小型化に寄与することができるため、有用な使用方法である。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
(実施例1−1)
主体繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径12.5μm、繊維長5mm)、バインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/mの基材を得た。
得られた基材を、第1ステージの加熱金属ロールと樹脂ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度215℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理し、連続して基材の加熱金属ロールに接した面が、樹脂ロールに接するように第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度220℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理を行って不織布を製造し、光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例1−2)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ220℃、220℃に変えた以外は、実施例1−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例1−3)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ230℃、240℃に変えた以外は、実施例1−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例1−4)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ230℃、240℃に変えた以外は、実施例1−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に樹脂ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例1−5)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ225℃、213℃に変えた以外は、実施例1−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例1−6)
主体繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径12.5μm、繊維長5mm)とバインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を75:25に変えた以外は、実施例1−3と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例1−7)
主体繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径12.5μm、繊維長5mm)とバインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を60:40に変えた以外は、実施例1−3と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(比較例1−1)
主体繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径12.5μm、繊維長5mm)とバインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を80:20に変え、第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ205℃、205℃に変えた以外は、実施例1−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
表1に、バインダー繊維の含有量(%)、バインダー繊維の融点(℃)、熱カレンダー処理(第1ステージ)及び熱カレンダー処理(第2ステージ)におけるロールの組み合わせ、熱ロールの種類、不織布の表面温度(℃)、ニップ圧力(N/cm)、加工速度(m/min)を示した。
なお、実施例及び比較例において、光学シート用部材の表面温度とは、光学シート用部材が熱ロールにより熱カレンダー処理された後において、ニップ直後から9cmの位置で測定した不織布の表面温度であり、エー・アンド・デイ社製レーザー付き放射温度計AD−5611Aで測定した。また、実施例及び比較例において、融点は、PERKIN ELMER社製示差走査熱分析装置DSC7を用いて、25〜300℃まで、毎分10℃の昇温条件で測定した時の最大点の温度である。
実施例及び比較例で得られた光学シート用部材に対して、溶融髭の観察及び光拡散性評価と光学的均一性の評価を行い、結果を表2に示した。
(バインダー繊維の溶融髭の観察)
光学シート用部材のオモテ面、ウラ面の表面における電子顕微鏡写真を200倍の倍率で撮影し、1.0mmあたりの溶融髭の本数を計測した。また、観察された溶融髭の形状及び状態(立/寝)も観察した。表2中の「フィブリル」、「細い」及び「横断」は下記の意味を有する。
「フィブリル」:溶融髭が分岐してフィブリル状となって枝分かれしている形状
「細い」:溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも小さい形状
「横断」:主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状
<光学的均一性(繊維ムラ)の評価>
光学シート用部材(光拡散シート)1、導光板2(透明アクリル板、3mm厚)、反射板3(チタンコートポリエチレンテレフタレートフィルム、125μm厚)、冷陰極管4とから構成される、市販のエッジ・ライト型バックライトの表示装置(図9)の光拡散シート1の代わりに、実施例及び比較例の各サンプルをウラ面側に光源からの光が当たるように1枚組み込み、光源を点灯させて、表示装置の正面から見て、目視によって光学的繊維ムラを観察し、光学的均一性の評価を行った。この作業を十回繰り返し、以下の五段階評価を実施し、その平均値を実施例及び比較例の各サンプルの評価結果とした。実用上利用可能なのは「3」以上である。
「5」:光学的繊維ムラは見られない。
「4」:細かく観察した場合、光学的繊維ムラがわずかに見られる。
「3」:均一ではあるが、光学的繊維ムラが所々見られる。
「2」:光学的繊維ムラが見られる。
「1」:光学的繊維ムラが顕著に見られる。
<光拡散能力評価>
光学シート用部材(光拡散シート)1、3本のLED(Light Emitting Diode)ライト光源5から構成される、市販の直下ライト型バックライトの表示装置(図10)の光拡散シート1の代わりに、実施例及び比較例の各サンプルをウラ面側に光源からの光が当たるように1枚組み込み、光源を点灯させて、表示装置の正面から見て、目視によって光拡散能力の評価を行った。この作業を十回繰り返し、以下の五段階評価を実施し、その平均値を実施例及び比較例の各サンプルの評価結果とした。実用上利用可能なのは「3」以上である。
「5」:LEDライト光源の形が全く見られない。
「4」:細かく観察した場合、LEDライト光源の形がわずかに見られる。
「3」:LEDライト光源の形がやや見られる。
「2」:LEDライト光源の形が見られる。
「1」:LEDライト光源の形がはっきりと見られる。
実施例1−1〜実施例1−7の光学シート用部材は、光拡散能力、光学的均一性において、実用上使用可能なレベルを達成した。特に表面の溶融髭が多かった実施例1−3、1−4及び1−7の光学シート用部材は、光拡散能力が非常に良好であった。バインダー繊維の含有量が25質量%である実施例1−6の光学シート用部材と比較して、バインダー繊維の含有量が30質量%である実施例1−3及び1−7の光学シート用部材は、バインダー繊維が多かったことにより、繊維間の空間的距離が狭くなり、繊維が目視し難くなることから、光学的均一性がやや良好になる結果だった。
溶融髭の形状を観察した結果、実施例1−1〜1−7の光学シート用部材における溶融髭の形状は、溶融髭が分岐してフィブリル状となって枝分かれしている形状、溶融髭の先端の直径が主体合成直径よりも細い形状、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状が多かった。
実施例1−1〜1−7の光学シート用部材に対し、比較例1−1の光学シート用部材は、バインダー繊維が少なく、且つ不織布の表面温度も低かったことから、オモテ面、ウラ面の両表面に溶融髭が発生しておらず、光拡散能力は実用可能レベルであったものの、光学的均一性に劣り、実用上不可なレベルであった。
(実施例2−1)
主体繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径17.5μm、繊維長5mm)、バインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/mの基材を得た。
得られた基材を、第1ステージの加熱金属ロールと樹脂ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度225℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理し、連続して基材の加熱金属ロールに接した面が、樹脂ロールに接するように第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度225℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理を行って不織布を製造し、光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例2−2)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ230℃、230℃に変えた以外は、実施例2−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例2−3)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ235℃、240℃に変えた以外は、実施例2−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例2−4)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ235℃、240℃に変えた以外は、実施例2−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に樹脂ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例2−5)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ230℃、220℃に変えた以外は、実施例2−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(比較例2−1)
主体繊維(延伸ポリエステル系繊維、直径17.5μm、繊維長5mm)とバインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を80:20に変え、第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ210℃、210℃に変えた以外は、実施例2−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
表3に、バインダー繊維の含有量(%)、バインダー繊維の融点(℃)、熱カレンダー処理(第1ステージ)及び熱カレンダー処理(第2ステージ)におけるロールの組み合わせ、熱ロールの種類、光学シート用部材の表面温度(℃)、ニップ圧力(N/cm)、加工速度(m/min)を示した。
実施例及び比較例で得られた光学シート用部材に対して、溶融髭の観察及び光拡散性評価と光学的均一性の評価を行い、結果を表4に示した。
実施例2−1〜2−5の光学シート用部材は、光拡散能力、光学的均一性において、実用上使用可能なレベルを達成した。特に溶融髭の多かった実施例2−3、実施例2−4の光学シート用部材は光拡散能力や光学的均一性に優れていた。
溶融髭の形状を観察した結果、実施例2−1〜2−5の光学シート用部材における溶融髭の形状は、溶融髭が分岐してフィブリル状となって枝分かれしている形状、溶融髭の先端の直径が主体合成直径よりも細い形状、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状が多かった。
実施例2−1〜2−5の光学シート用部材に対し、比較例2−1の光学シート用部材は、バインダー繊維が少なく、且つ不織布の表面温度も低かったことから、オモテ面及びウラ面の両表面に溶融髭が発生していないため、光拡散能力は実用レベルであったものの、光学的均一性に劣り、実用不可なレベルであった。
(実施例3−1)
主体繊維1(延伸ポリエステル系繊維、直径12.5μm、繊維長5mm)、主体繊維2(延伸ポリエステル系繊維、直径7.5μm、繊維長5mm)、バインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を35:35:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/mの基材を得た。
得られた基材を、第1ステージの加熱金属ロールと樹脂ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度230℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理し、連続して基材の加熱金属ロールに接した面が、樹脂ロールに接するように第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度230℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理を行って不織布を製造し、光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例3−2)
第1ステージ、第2ステージの加工速度を10m/minに変えた以外は、実施例3−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例3−3)
第1ステージ、第2ステージの加工速度を40m/minに変えた以外は、実施例3−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例3−4)
第1ステージ、第2ステージの圧力を800N/cmに変えた以外は、実施例3−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に樹脂ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例3−5)
第1ステージ、第2ステージの圧力を1200N/cmに変えた以外は、実施例3−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、最初に加熱金属ロールに接した面をオモテ面とした。
(実施例3−6)
第1ステージでは、加熱金属ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、両加熱金属ロール表面温度230℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理し、連続して第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度150℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理を行った以外は、実施例3−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、第2ステージで樹脂ロールに接した面をオモテ面とした。
(比較例3−1)
主体繊維1(延伸ポリエステル系繊維、直径12.5μm、繊維長5mm)、主体繊維2(延伸ポリエステル系繊維、直径7.5μm、繊維長5mm)、バインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、直径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を40:40:20に変え、第1ステージでは、加熱金属ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、両加熱金属ロール表面温度210℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理し、連続して第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度150℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱カレンダー処理を行った以外は、実施例3−1と同じ方法で光学シート用部材を得た。なお、第2ステージで樹脂ロールに接した面をオモテ面とした。
表5に、バインダー繊維の含有量(%)、バインダー繊維の融点(℃)、熱カレンダー処理(第1ステージ)及び熱カレンダー処理(第2ステージ)におけるロールの組み合わせ、熱ロールの種類、光学シート用部材の表面温度(℃)、ニップ圧力(N/cm)、加工速度(m/min)を示した。
実施例及び比較例で得られた光学シート用部材に対して、溶融髭の観察並びに光拡散能力、及び光学的均一性の評価を行い、結果を表6に示した。
実施例3−1〜3−6の光学シート用部材は、光拡散能力及び光学的均一性において非常に良好なレベルを達成した。熱カレンダー処理の加工速度が10m/minの実施例3−2の光学シート用部材に見られた溶融髭の長さは150μmと長く、1本の溶融髭が光学シート用部材を構成する繊維間の空隙を同時に数か所横切っている様子が観察された。第1ステージでの熱カレンダー処理において、加熱金属ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用い、光学シート用部材の表面温度が227℃である実施例3−6の光学シート用部材は、第1ステージで両面に発生した溶融髭が第2ステージでの熱カレンダー処理により寝かされるために、オモテ面及びウラ面の両表面において溶融髭が寝ており、光拡散能力においても非常に良好であり、光学的均一性の評価においても良好な結果であった。
実施例3−1〜3−6の光学シート用部材と同様に、比較例3−1の光学シート用部材は、直径が7.5μm及び12.5μmの主体繊維を含有しているため、光拡散能力は良好なレベルであったが、バインダー繊維が少なく、且つ不織布の表面温度も低かったことから、オモテ面及びウラ面の両表面に溶融髭が発生していないため、光学的均一性が悪く、実用上使用不可レベルであった。
本発明の光学シート用部材は、均一性に優れ、光拡散能力が高い光学シート用部材として利用できる。
1 光反射シート
2 導光板
3 反射板
4 陰極管
5 LEDライト光源

Claims (9)

  1. 不織布を含有してなる光学シート用部材において、該不織布が主体繊維とバインダー繊維とを含有してなり、光学シート用部材の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭が存在することを特徴とする光学シート用部材。
  2. 光学シート用部材表面の電子顕微鏡写真で観察される溶融髭が、1.0mmあたり2本以上である請求項1記載の光学シート用部材。
  3. バインダー繊維の溶融髭の形状が、分岐している形状である請求項1又は2記載の光学シート用部材。
  4. バインダー繊維の溶融髭の形状が、溶融髭の先端径が主体繊維の直径よりも細い形状である請求項1〜3のいずれかに記載の光学シート用部材。
  5. バインダー繊維の溶融髭の形状が、主体繊維同士間の空隙、主体繊維とバインダー繊維間の空隙及びバインダー繊維同士間の空隙から選ばれる少なくとも一種の空隙を溶融髭が横断している形状である請求項1〜4のいずれかに記載の光学シート用部材。
  6. 光学シート用部材の少なくとも片面にバインダー繊維の溶融髭が存在し、その溶融髭が寝た状態にある請求項1〜5のいずれかに記載の光学シート用部材。
  7. バインダー繊維の溶融髭が、光学シート用部材の両表面に存在する請求項1〜6のいずれかに記載の光学シート用部材。
  8. 不織布を含有してなる光学シート用部材を製造する方法において、主体繊維とバインダー繊維とを含有する基材を湿式抄造法によって製造する工程、該基材に熱ロールにより熱カレンダー処理を施して不織布を得る工程とを含み、前記熱カレンダー処理を、熱カレンダー処理直後の不織布の表面温度を確認しながら行い、不織布の少なくとも一方の表面にバインダー繊維の溶融髭を発生させることを特徴とする光学シート用部材の製造方法。
  9. 熱カレンダー処理後のニップ直後から10cm未満の位置で測定した不織布の表面温度がバインダー繊維の融点に対して−65℃〜−20℃の範囲内となるように、熱カレンダー処理における熱ロールの表面温度を設定する請求項8に記載の光学シート用部材の製造方法。
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