JP2018033559A - 水不溶性成形体の製造方法、水不溶性成形体、及び癒着防止材 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、化学架橋剤を用いる必要がないため安全性が高く、かつ、適度な柔軟性(可とう性)、伸縮性、及び貼り付き性を有する水不溶性成形体を製造する方法、及びその製造方法によって製造される水不溶性成形体を提供する。
【解決手段】ポリアニオン性多糖類の水溶性塩と、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)とを含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物を含む処理液で処理し、原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】ポリアニオン性多糖類の水溶性塩と、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)とを含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物を含む処理液で処理し、原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、水不溶性成形体の製造方法、水不溶性成形体、及び癒着防止材に関する。
ヒアルロン酸やアルギン酸等のポリアニオン性多糖類は、適度な粘性、粘着性、保湿性、及び生体適合性を示すことが知られている。このため、これらのポリアニオン性多糖類及びその塩は、医療用材料、食品用材料、及び化粧品用材料等の原材料として幅広く用いられている。
なかでもヒアルロン酸は、保水性などの特徴的な物性に優れているとともに、安全性及び生体適合性が高いことから、食品、化粧品、及び医薬品等の様々な用途に利用されている。例えば医療分野では、ヒアルロン酸は関節潤滑剤や癒着防止材の原料などに利用されている。但し、原料となるヒアルロン酸ナトリウムは水溶性が高いため、用途によっては何らかの不溶化処理を施す必要がある。また、製品の物性を改良すべく、種々の添加剤を加える場合もある。
これまで、カルボキシ基を利用した架橋反応によりヒアルロン酸ナトリウムを水不溶化させる方法について種々検討されている。例えば、特許文献1には、カルボジイミドを用いた架橋反応により、ヒアルロン酸やカルボキシメチルセルロース等のポリアニオン性多糖類の非水溶性誘導体を製造する方法が記載されている。
また、特許文献2及び3には、多価カチオンを用いてイオン結合させることにより、ヒアルロン酸やカルボキシアルキルセルロース等のポリアニオン性多糖類を水不溶化させる方法が記載されている。さらに、特許文献4には、金属塩を用いてカルボキシメチルセルロースをイオン交換し、水不溶化フィルムを得る方法が記載されている。
そして、特許文献5には、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液を酸性条件下で−20℃に冷却し、分子内架橋を形成させて水不溶化する方法が記載されている。また、特許文献6には、ヒアルロン酸、多価アルコール、酸、及び水溶性有機溶媒を含有するゲルが記載されている。さらに、特許文献7には、カルボキシ基含有水溶性高分子、多価アルコール、及び酸を必須成分とする化粧用ゲルシートが記載されており、特許文献8には、ヒアルロン酸ナトリウムからなる原料成形体を無水酢酸で処理して水不溶化する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では架橋剤を用いるため、医薬品等の人体に付与される用途等の安全性を考慮する場合には適用が困難な場合が多い。また、特許文献2〜4には、得られたフィルム等の水不溶性の程度については一切記載されていない。
さらに、特許文献5に記載の方法では、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液のpHを1.2程度に調整する必要があるとともに、粘度が著しく上昇するため、成形等の取扱いが困難である。また、長期間にわたって凍結乾燥するため、冷却に要する電力コストの面においても課題があった。さらに、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液を酸性条件下におくと粘度が急激に上昇するため、成形が困難になり、用途が限定される場合がある。なお、特許文献5においては、分子内の架橋構造を確認しているが、不溶化の程度については言及していない。
また、特許文献6及び7に記載されたゲルシート等には酸やアルコールなどが添加されているが、ゲルそのものは水不溶化していない。このため、飽水させた状態でゲルの形状を維持することは困難であった。
なお、特許文献8に記載の方法によれば、原料であるヒアルロン酸等の特性が維持された、癒着防止材などの医療用材料として有用な水不溶性の成形体を製造することが可能ではあった。しかし、製造される水不溶性の成形体の柔軟性や伸縮性等の物性については、用途によっては未だ不十分な場合もあり、改良の余地があった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、化学架橋剤を用いる必要がないため安全性が高く、かつ、適度な柔軟性(可とう性)、伸縮性、及び貼り付き性を有する水不溶性成形体を製造する方法を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記の方法によって製造される水不溶性成形体及び癒着防止材を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す水不溶性成形体の製造方法が提供される。
[1]ポリアニオン性多糖類の水溶性塩と、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)とを含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物を含む処理液で処理し、前記原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法(以下、「第1の製造方法」とも記す)。
[2]前記酸成分が、クエン酸及び塩酸の少なくともいずれかである前記[1]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[3]前記アルコール類が、エタノール及びメタノールの少なくともいずれかである前記[1]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[4]ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物と、ポリカルボン酸及びヒドロキシ酸の少なくともいずれかの酸成分とを含有する処理液で処理し、前記原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法(以下、「第2の製造方法」とも記す)。
[5]前記ポリカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸からなる群より選択される少なくとも一種である前記[4]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[6]前記ヒドロキシ酸が、クエン酸である前記[4]又は[5]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[7]前記ポリアニオン性多糖類が、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の水不溶性成形体の製造方法。
[8]前記酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の水不溶性成形体の製造方法。
[1]ポリアニオン性多糖類の水溶性塩と、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)とを含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物を含む処理液で処理し、前記原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法(以下、「第1の製造方法」とも記す)。
[2]前記酸成分が、クエン酸及び塩酸の少なくともいずれかである前記[1]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[3]前記アルコール類が、エタノール及びメタノールの少なくともいずれかである前記[1]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[4]ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物と、ポリカルボン酸及びヒドロキシ酸の少なくともいずれかの酸成分とを含有する処理液で処理し、前記原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法(以下、「第2の製造方法」とも記す)。
[5]前記ポリカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸からなる群より選択される少なくとも一種である前記[4]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[6]前記ヒドロキシ酸が、クエン酸である前記[4]又は[5]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[7]前記ポリアニオン性多糖類が、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の水不溶性成形体の製造方法。
[8]前記酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の水不溶性成形体の製造方法。
また、本発明によれば、以下に示す水不溶性成形体が提供される。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法によって製造された水不溶性成形体。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法によって製造された水不溶性成形体。
さらに、本発明によれば、以下に示す癒着防止材が提供される。
[10]前記[9]に記載の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなる癒着防止材。
[10]前記[9]に記載の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなる癒着防止材。
本発明によれば、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、化学架橋剤を用いる必要がないため安全性が高く、かつ、適度な柔軟性(可とう性)、伸縮性、及び貼り付き性を有する水不溶性成形体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記の製造方法によって製造される水不溶性成形体、及びそれを用いた癒着防止材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
(水不溶性成形体及びその製造方法)
本発明の水不溶性成形体の製造方法(第1の製造方法)は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩と、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)とを含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物を含む処理液で処理し、原料成形体を水不溶化させる工程(水不溶化工程)を有する。また、本発明の水不溶性成形体の製造方法(第2の製造方法)は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物と、ポリカルボン酸及びヒドロキシ酸の少なくともいずれかの酸成分とを含有する処理液で処理し、原料成形体を水不溶化させる工程(水不溶化工程)を有する。以下、本発明の水不溶性成形体の製造方法の詳細について説明する。
本発明の水不溶性成形体の製造方法(第1の製造方法)は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩と、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)とを含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物を含む処理液で処理し、原料成形体を水不溶化させる工程(水不溶化工程)を有する。また、本発明の水不溶性成形体の製造方法(第2の製造方法)は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物と、ポリカルボン酸及びヒドロキシ酸の少なくともいずれかの酸成分とを含有する処理液で処理し、原料成形体を水不溶化させる工程(水不溶化工程)を有する。以下、本発明の水不溶性成形体の製造方法の詳細について説明する。
水不溶化工程で用いる原料成形体は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料を用いて形成される。また、第1の製造方法の水不溶化工程で用いる原料成形体は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩以外にも、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)をさらに含有する原材料を用いて形成される。理由については明らかではないが、酸成分又はアルコール類を含有する原材料を用いることで、酸成分やアルコール類を含有しない原材料を用いた場合に比べて、柔軟性、伸縮性、及び貼り付き性が向上した水不溶性成形体を製造することができる。
原材料中の酸成分の含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.25〜1.0質量%であることがさらに好ましい。また、原材料中のアルコール類の含有量は、25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、原材料には、さらに、硫酸バリウム等の造影剤をはじめとするX線不透過剤を含有させてもよい。
酸成分としては、クエン酸及び塩酸の少なくともいずれかを用いることが好ましい。なかでも、クエン酸を用いると、得られる水不溶性成形体の伸縮性及び可とう性をより向上させることができる。また、アルコール類としては、エタノール及びメタノールの少なくともいずれかを用いることが好ましい。
ポリアニオン性多糖類は、カルボキシ基やスルホン酸基等の負電荷を帯びた1以上のアニオン性基をその分子構造中に有する多糖類である。また、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩は、ポリアニオン性多糖類中のアニオン性基の少なくとも一部が塩を形成したものである。なお、ポリアニオン性多糖類中のアニオン性基は、多糖類の分子中に導入されたものであってもよい。
ポリアニオン性多糖類の具体例としては、カルボキシメチルセルロースやカルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース、カルボキシメチルでんぷん、カルボキシメチルアミロース、コンドロイチン硫酸(コンドロイチン−4−硫酸及びコンドロイチン−6−硫酸を含む)、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、デルマタン硫酸、及びデルマタン−6−硫酸等を挙げることができる。これらのポリアニオン性多糖類は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアニオン性多糖類の水溶性塩としては、無機塩、アンモニウム塩、及び有機アミン塩等を挙げることができる。無機塩の具体例としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛、鉄等の金属塩等を挙げることができる。
原料成形体は、例えば、原材料(水溶液)を所望の形状に成形した後、乾燥等させることによって得ることができる。原料成形体の形状としては、例えば、膜状、塊状、繊維状、棒状、管状、粉末状、粒子状、及びスポンジ状等を挙げることができる。これらの形状の原料成形体を水不溶化させることによって、膜状、塊状、繊維状、棒状、管状、粉末状、粒子状、及びスポンジ状等の用途に応じた形状の水不溶性成形体を得ることができる。なお、必要に応じて、得られた水不溶性成形体をさらに成形して所望の形状に加工してもよい。
例えば、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩の水溶液を適当な容器に流し入れた後、乾燥又は凍結乾燥することによって、膜状(シート状)又は塊状(ブロック状、スポンジ状)の原料成形体を得ることができる。また、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩の水溶液をノズルから貧溶媒中に押し出すことによって、繊維状の原料成形体を得ることができる。ポリアニオン性多糖類の水溶性塩の水溶液を適当な管に充填した後、乾燥又は凍結乾燥することによって、棒状の原料成形体を得ることができる。また、乾燥したポリアニオン性多糖類を粉砕して粉体化することによって、粉末状又は粒子状の原料成形体を得ることができる。このように、本発明の水不溶性成形体の製造方法によれば、ポリアニオン性多糖類を所望とする形状に成形した後に水不溶化処理するため、用途に応じた形状の水不溶性成形体を得ることができる。
原料成形体を処理するために用いる処理液は、酸無水物を含有する。酸無水物の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水酪酸、無水フタル酸、及び無水マレイン酸等を挙げることができる。なかでも、無水酢酸及び無水プロピオン酸が好ましい。これらの酸無水物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第2の製造方法の水不溶化工程で用いる処理液は、酸無水物以外にも、ポリカルボン酸及びヒドロキシ酸の少なくともいずれかの酸成分をさらに含有する。理由については明らかではないが、これらの酸成分を含有する処理液によって原料成形体を処理することによって、これらの酸成分を含有しない処理液によって原料成形体を処理した場合に比べて、柔軟性、伸縮性、及び貼り付き性が向上した水不溶性成形体を製造することができる。なお、処理液中の酸成分の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、1.5〜5.0質量%であることがさらに好ましい。
処理液に配合される酸成分のうち、ポリカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。なかでも、マロン酸を用いると、得られる水不溶性成形体の伸縮性、貼り付き性、及び可とう性をより向上させることができる。また、処理液に配合される酸成分のうち、ヒドロキシ酸としては、クエン酸を用いることが好ましい。クエン酸を用いることで、得られる水不溶性成形体の伸縮性、貼り付き性、及び可とう性をより向上させることができる。
処理液は、水及び水溶性有機溶媒の少なくともいずれかの媒体をさらに含むとともに、この媒体中に酸無水物が溶解又は分散していることが好ましい。このような媒体中に酸無水物が溶解又は分散した処理液を使用することで、原料成形体を十分かつ速やかに水不溶化することができる。
水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン等を挙げることができる。なかでも、メタノール、エタノール、及びジメチルスルホキシドが好ましい。これらの水溶性有機溶媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
処理液中の酸無水物の濃度は、通常、0.1〜50質量%であり、5〜30質量%であることが好ましい。酸無水物の濃度が0.1質量%未満であると、得られる水不溶性成形体の水不溶化の程度が不十分になる、或いは水不溶化に長時間を要する傾向にある。一方、酸無水物の濃度が50質量%を超えると、効果が頭打ちになる傾向にある。
なお、ポリアニオン性多糖類は親水性が高いため、原料成形体をより十分かつ速やかに水不溶化させる観点から、処理液が媒体として水を含有することが好ましい。処理液中の水の含有量は、原料成形体が溶解又は膨潤しない程度とすることが好ましい。具体的には、処理液中の水の含有量は、0.01〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。処理液中の水の含有量が0.01質量%未満であると、メタノール以外の溶媒では水不溶化が不十分となる場合がある。また、処理液中の水の含有量が50質量%超であると、得られる水不溶性成形体の形状維持が困難となる場合がある。
水不溶化工程においては、酸無水物を含む処理液で原料成形体を処理する。原料成形体を処理液で処理することによって原料成形体がその形状を維持したまま水不溶化され、水不溶性成形体が形成される。処理液で原料成形体を処理する方法は特に限定されないが、原料成形体の全体に処理液が接触するとともに、原料成形体の内部にまで処理液が浸透するように処理することが好ましい。具体的な処理方法としては、原料成形体を処理液中に浸漬する、原料成形体に処理液を塗布又は吹き付ける(噴霧する)等の方法を挙げることができる。
なお、粉末状又は粒子状の原料成形体を処理して水不溶化させる場合には、先ず、粉末状又は粒子状の原料成形体を、原料成形体を構成するポリアニオン性多糖類の水溶性塩の貧溶媒に分散させる。次いで、処理液を添加し、貧溶媒中に分散させた状態の粉末状又は粒子状の原料成形体と処理液を接触させ、原料成形体を処理液で処理すればよい。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン等を用いることができる。これらの貧溶媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、この貧溶媒は、粉末状又は粒子状の原料成形体が溶解しない程度の微量な水を含有していてもよい。
また、処理の際の温度は、処理液の沸点を超えない温度であればよく、特に限定されない。ポリアニオン性多糖類の分解変性を抑制する観点、及び媒体や副生成物等の揮散を抑制する観点からは、処理の際の温度は0〜80℃とすることが好ましく、0〜70℃とすることがさらに好ましく、室温(25℃)〜60℃とすることが特に好ましい。但し、処理の際に処理液が揮散しない条件、例えば、ヒートプレスや熱ローラー等により処理すれば、分解変性等が生ずることなく、より短時間で水不溶性成形体を得ることができる。例えば、ヒートプレスや熱ローラー等により処理する場合、処理の際の温度は50〜90℃とすることが好ましく、処理時間は30分以下とすることが好ましい。水不溶化工程の後、必要に応じて水や水溶性有機溶媒等を用いて洗浄すること等によって、本発明の水不溶性成形体を得ることができる。
ポリアニオン性多糖類のナトリウム塩を用いて形成した原料成形体を、無水酢酸のアルコール溶液で処理した場合に想定される反応を以下に示す。なお、想定した反応が水不溶化の一つの要因とはなりうるが、他の水不溶化要因との組み合わせ、あるいは全く別の要因により水不溶化している可能性もある。すなわち、本発明は想定される以下の反応によって何ら限定されるものではない。
反応式(1)中、R1はポリアニオン性多糖類の主鎖を示し、R2はアルコールの主鎖を示す。無水酢酸はアルコール存在下で開裂する際に、ポリアニオン性多糖類のナトリウムを奪い、カルボキシ基がナトリウム塩型から酸型となる。この点については、水不溶性成形体中のNa含量の測定、又は水不溶性成形体のアルカリ溶液による滴定によって確認することができる。
反応系に水が存在する場合には、上記反応式(1)で示される反応の他に、下記式(2)で示される反応が同時に進行し、カルボキシ基がナトリウム塩型から酸型となると予想される。
なお、得られる水不溶性成形体は、分子中のすべてのアニオン性基が酸型となっていなくてもよい。
ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を用いて形成した原料成形体を塩酸等の無機酸や酢酸等の有機酸に浸漬しても、十分に水不溶化した成形体を得ることは極めて困難である。また、処理液中の酸無水物を、この酸無水物に対応する酸に置き換えても水不溶性成形体を得ることはできない。このことから、ポリアニオン性多糖類のアニオン性基が酸型に変化する以外の要因も加わり、水不溶性成形体が得られると予想される。
本発明の水不溶性成形体の製造方法においては化学的架橋剤を用いる必要がないため、得られる水不溶性成形体を構成する分子中に化学的架橋剤に由来する官能基等の構造が取り込まれることがない。このため、上記の製造方法によって製造される本発明の水不溶性成形体は、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、安全性が高い。したがって、本発明の水不溶性成形体は癒着防止材等の医療用材料として好適である。なお、本発明の水不溶性成形体を癒着防止材の構成材料として用いる場合、水不溶性成形体の厚さは特に限定されないが、好ましくは20〜200μmであり、さらに好ましくは60〜120μmである。
(癒着防止材)
本発明の癒着防止材は、前述の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなるものである。多価アルコールの具体例としては、エチレングルコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルグリセロール、ポリオキシエレングリコシド、マルチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、還元水飴、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、バリン、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、ポリグリセリン、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。なかでも、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、低分子ポリエチレングリコール等、医療分野や食品分野で使用されている多価アルコールが好適に用いられる。これらの好適に用いられる多価アルコールは、市場から入手してそのまま使用できる。グリセリン、ソルビトール等については、日本薬局方に適合したものを用いることが望ましい。グリセリンは、静脈への注射剤としても使用されるほど安全性の高い素材であるために特に好ましい。
本発明の癒着防止材は、前述の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなるものである。多価アルコールの具体例としては、エチレングルコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルグリセロール、ポリオキシエレングリコシド、マルチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、還元水飴、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、バリン、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、ポリグリセリン、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。なかでも、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、低分子ポリエチレングリコール等、医療分野や食品分野で使用されている多価アルコールが好適に用いられる。これらの好適に用いられる多価アルコールは、市場から入手してそのまま使用できる。グリセリン、ソルビトール等については、日本薬局方に適合したものを用いることが望ましい。グリセリンは、静脈への注射剤としても使用されるほど安全性の高い素材であるために特に好ましい。
水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液を保持させる方法としては、例えば、水不溶性成形体を多価アルコール又は所定濃度の多価アルコール水溶液に浸漬する方法等がある。すなわち、所定形状の水不溶性成形体を多価アルコール水溶液に浸漬し、水不溶性成形体の内部を多価アルコール水溶液で置換することで、所望とする濃度の多価アルコール水溶液を保持させて、所望とする本発明の癒着防止材を得ることができる。なお、本発明の癒着防止材の厚さは特に限定されないが、好ましくは20〜200μmであり、さらに好ましくは60〜120μmである。
(注入材)
注入材は、前述の水不溶性成形体のうち、その形状が粉末状又は粒子状の水不溶性成形体を含有する。注入材は、水不溶化していないヒアルロン酸の水溶性塩の水溶液等の液媒体をさらに含有してもよい。注入材を構成する水不溶性成形体は、前述の通り、化学的架橋剤を用いることなく製造されうるものであり、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているため、安全性に優れている。また、注入材は粉末状又は粒子状の水不溶性成形体を含有するために流動性が高く、粉末又は粒子の粒径を適宜調整することで、患部等に注射針を経由して容易に注入することができる。このため、注入材は、例えば、関節変形治療用関節内注入剤、及び皮下注入剤等として有用である。
注入材は、前述の水不溶性成形体のうち、その形状が粉末状又は粒子状の水不溶性成形体を含有する。注入材は、水不溶化していないヒアルロン酸の水溶性塩の水溶液等の液媒体をさらに含有してもよい。注入材を構成する水不溶性成形体は、前述の通り、化学的架橋剤を用いることなく製造されうるものであり、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているため、安全性に優れている。また、注入材は粉末状又は粒子状の水不溶性成形体を含有するために流動性が高く、粉末又は粒子の粒径を適宜調整することで、患部等に注射針を経由して容易に注入することができる。このため、注入材は、例えば、関節変形治療用関節内注入剤、及び皮下注入剤等として有用である。
(徐放性製剤)
徐放性製剤は、前述の水不溶性成形体と、薬学的に許容される有効成分とを含む。徐放性製剤を構成する水不溶性成形体は、前述の通り、化学的架橋剤を用いることなく製造されうるものであり、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているため、安全性に優れている。また、水不溶性成形体は生体内で徐々に分解して吸収されるので、有効成分を徐々に放出することができる。なお、有効成分の種類は薬学的に許容されるものであれば特に限定されない。
徐放性製剤は、前述の水不溶性成形体と、薬学的に許容される有効成分とを含む。徐放性製剤を構成する水不溶性成形体は、前述の通り、化学的架橋剤を用いることなく製造されうるものであり、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているため、安全性に優れている。また、水不溶性成形体は生体内で徐々に分解して吸収されるので、有効成分を徐々に放出することができる。なお、有効成分の種類は薬学的に許容されるものであれば特に限定されない。
徐放性製剤の態様としては、例えば、シート状に成形された水不溶性成形体に有効成分又はその溶液等を含浸させたものや、水不溶性成形体からなるカプセルと、このカプセル内に封入された有効成分とからなるもの等を挙げることができる。シートやカプセルの厚みや形状等を適宜設定することで、生体内での徐放性を制御することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
使用した試薬の詳細を以下に示す。水としては、超純水製造装置(ザルトリウスジャパン社製)を使用して調製した、導電率18.0MΩ・cm以上の水を用いた。
ヒアルロン酸ナトリウム:資生堂社製、分子量150万Da
クエン酸:和光純薬社製、試薬特級
グリセリン:阪本薬品工業社製、日本薬局方
塩酸:和光純薬株式会社、試薬特級
エタノール:純正化学社製、試薬特級
メタノール:和光純薬社製、試薬特級
無水酢酸:和光純薬社製、試薬特級
マロン酸:和光純薬社製、試薬特級
シュウ酸:和光純薬社製、試薬特級
コハク酸:和光純薬社製、試薬特級
ヒアルロン酸ナトリウム:資生堂社製、分子量150万Da
クエン酸:和光純薬社製、試薬特級
グリセリン:阪本薬品工業社製、日本薬局方
塩酸:和光純薬株式会社、試薬特級
エタノール:純正化学社製、試薬特級
メタノール:和光純薬社製、試薬特級
無水酢酸:和光純薬社製、試薬特級
マロン酸:和光純薬社製、試薬特級
シュウ酸:和光純薬社製、試薬特級
コハク酸:和光純薬社製、試薬特級
<水不溶性成形体(ヒアルロン酸膜)の製造(1)>
(実施例1〜6、比較例1)
各成分を表1の上段に示す配合比(単位:%)となるように混合してヒアルロン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製した水溶液100gを縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(無水酢酸:75%エタノール溶液=80:20)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理し、水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。
(実施例1〜6、比較例1)
各成分を表1の上段に示す配合比(単位:%)となるように混合してヒアルロン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製した水溶液100gを縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(無水酢酸:75%エタノール溶液=80:20)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理し、水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。
<水不溶性成形体(ヒアルロン酸膜)の製造(2)>
(実施例7〜10)
各成分を表2の上段に示す配合量(単位:g)となるように混合してヒアルロン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製した水溶液全量を縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(無水酢酸:75%エタノール溶液=80:20)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理し、水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。
(実施例7〜10)
各成分を表2の上段に示す配合量(単位:g)となるように混合してヒアルロン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製した水溶液全量を縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(無水酢酸:75%エタノール溶液=80:20)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理し、水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。
<水不溶性成形体(ヒアルロン酸膜)の製造(3)>
(実施例11〜16、比較例2)
ヒアルロン酸ナトリウムの粉末1部を含む水溶液100部を調製した。調製した水溶液100gを縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。一方、各成分を表3の上段に示す配合比(単位:%)となるように混合して処理液を調製した。調製した処理液に得られた膜をそれぞれ浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理し、水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。
(実施例11〜16、比較例2)
ヒアルロン酸ナトリウムの粉末1部を含む水溶液100部を調製した。調製した水溶液100gを縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。一方、各成分を表3の上段に示す配合比(単位:%)となるように混合して処理液を調製した。調製した処理液に得られた膜をそれぞれ浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理し、水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。
<評価>
(伸縮性)
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を水に浸漬して十分に膨潤させたものを用いて、以下に示す評価基準にしたがって伸縮性を評価した。結果を表1〜3に示す。
A:引っ張って破断するまでに、全長の10%以上の伸びがある。
B:引っ張って破断するまでに、全長の5%以上10%未満の伸びがある。
C:引っ張って破断するまでに、全長の1%以上5%未満の伸びがある。
D:引っ張って破断するまでの伸びが、全長の1%未満である。
(伸縮性)
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を水に浸漬して十分に膨潤させたものを用いて、以下に示す評価基準にしたがって伸縮性を評価した。結果を表1〜3に示す。
A:引っ張って破断するまでに、全長の10%以上の伸びがある。
B:引っ張って破断するまでに、全長の5%以上10%未満の伸びがある。
C:引っ張って破断するまでに、全長の1%以上5%未満の伸びがある。
D:引っ張って破断するまでの伸びが、全長の1%未満である。
(貼り付き性)
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を水に浸漬して十分に膨潤させたものを用いて、以下に示す評価基準にしたがって貼り付き性を評価した。結果を表1〜3に示す。
a:手に貼り付けると、まとわりついて剥がしにくい。
b:手に貼り付けると、容易には剥がせない。
c:手に貼り付くが、容易に剥がすことができる。
d:手に貼り付かず、手を動かすと容易に移動する。
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を水に浸漬して十分に膨潤させたものを用いて、以下に示す評価基準にしたがって貼り付き性を評価した。結果を表1〜3に示す。
a:手に貼り付けると、まとわりついて剥がしにくい。
b:手に貼り付けると、容易には剥がせない。
c:手に貼り付くが、容易に剥がすことができる。
d:手に貼り付かず、手を動かすと容易に移動する。
(可とう性)
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を水に浸漬して十分に膨潤させたものを用いて、以下に示す評価基準にしたがって可とう性を評価した。結果を表1〜3に示す。
1:ふたつ折にし、折り目を強くしごいても割れない。
2:ふたつ折にし、折り目を強く押しても割れない。
3:ふたつ折にできるが、折り目を強く押すと割れる。
4:ふたつ折にすると割れる。
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を水に浸漬して十分に膨潤させたものを用いて、以下に示す評価基準にしたがって可とう性を評価した。結果を表1〜3に示す。
1:ふたつ折にし、折り目を強くしごいても割れない。
2:ふたつ折にし、折り目を強く押しても割れない。
3:ふたつ折にできるが、折り目を強く押すと割れる。
4:ふたつ折にすると割れる。
表1に示す結果から、ヒアルロン酸ナトリウム膜を形成する原材料に酸成分を添加することで、得られる水不溶性のヒアルロン酸膜の伸縮性及び可とう性が改善されることがわかる。なかでも、クエン酸による改善効果が大きいことがわかる。
表2に示す結果から、ヒアルロン酸ナトリウム膜を形成する原材料にアルコール類を添加することで、得られる水不溶性のヒアルロン酸膜の伸縮性及び可とう性が改善されることがわかる。なお、エタノールによる改善効果とメタノールによる改善効果は、ほぼ同等であった。
表3に示す結果から、処理液にポリカルボン酸やヒドロキシ酸を添加することで、得られる水不溶性のヒアルロン酸膜の伸縮性、貼り付き性、及び可とう性が改善されることがわかる。なかでも、マロン酸やクエン酸による改善効果が大きいことがわかる。
(溶解度試験)
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を2cm角に切断し、直径3.5cm、深さ1.5cmの容器に入れ、PBS緩衝液(pH6.8)5mLを加えた。この容器を37℃に調整した振盪機に入れ、10〜20rpmで振盪し、経時的な状態変化を目視観察した。その結果、いずれの膜についても、72時間後であっても膜の原形が保持されており、水不溶化されていることが分かった。また、膨潤度(膨潤膜/乾燥膜(質量比))は、いずれの膜も1.8〜2.5の範囲であった。
製造した水不溶性のヒアルロン酸膜を2cm角に切断し、直径3.5cm、深さ1.5cmの容器に入れ、PBS緩衝液(pH6.8)5mLを加えた。この容器を37℃に調整した振盪機に入れ、10〜20rpmで振盪し、経時的な状態変化を目視観察した。その結果、いずれの膜についても、72時間後であっても膜の原形が保持されており、水不溶化されていることが分かった。また、膨潤度(膨潤膜/乾燥膜(質量比))は、いずれの膜も1.8〜2.5の範囲であった。
(動物実験)
実施例1、7、及び11で製造した膜を10体積%グリセリン水溶液にそれぞれ浸漬した後、風乾して滅菌用袋に封入した。25kGyの放射線を照射して滅菌用袋ごと滅菌して癒着防止膜を得た。成犬(ビーグル犬、雌、1.5歳、体重約10kg)を全身麻酔処置後に開腹し、腹側壁表皮を3cm角に剥離した。剥離部分を覆うように癒着防止膜を配置して閉腹した。2週間後、同犬を全身麻酔処置後に開腹したところ、いずれの膜でも癒着は発生していなかった。また、犬の体内に配置(埋植)した癒着防止膜は、埋植後2週間で消失していた。これは、生体内のナトリウムイオン等によって癒着防止膜を構成するヒアルロン酸のカルボキシ基が徐々に中和され、可溶性のヒアルロン酸塩と変化して溶解し、生体内に吸収されたものと推測される。これに対して、癒着防止膜を配置することなく閉腹した犬については、剥離部分と腸に癒着が生じていることが観察された。
実施例1、7、及び11で製造した膜を10体積%グリセリン水溶液にそれぞれ浸漬した後、風乾して滅菌用袋に封入した。25kGyの放射線を照射して滅菌用袋ごと滅菌して癒着防止膜を得た。成犬(ビーグル犬、雌、1.5歳、体重約10kg)を全身麻酔処置後に開腹し、腹側壁表皮を3cm角に剥離した。剥離部分を覆うように癒着防止膜を配置して閉腹した。2週間後、同犬を全身麻酔処置後に開腹したところ、いずれの膜でも癒着は発生していなかった。また、犬の体内に配置(埋植)した癒着防止膜は、埋植後2週間で消失していた。これは、生体内のナトリウムイオン等によって癒着防止膜を構成するヒアルロン酸のカルボキシ基が徐々に中和され、可溶性のヒアルロン酸塩と変化して溶解し、生体内に吸収されたものと推測される。これに対して、癒着防止膜を配置することなく閉腹した犬については、剥離部分と腸に癒着が生じていることが観察された。
本発明の水不溶性成形体は、例えば、癒着防止材の構成材料として好適に用いることができる。
Claims (10)
- ポリアニオン性多糖類の水溶性塩と、酸成分又はアルコール類(グリセリンを除く)とを含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物を含む処理液で処理し、前記原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法。
- 前記酸成分が、クエン酸及び塩酸の少なくともいずれかである請求項1に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- 前記アルコール類が、エタノール及びメタノールの少なくともいずれかである請求項1に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体を、酸無水物と、ポリカルボン酸及びヒドロキシ酸の少なくともいずれかの酸成分とを含有する処理液で処理し、前記原料成形体を水不溶化させる工程を有する水不溶性成形体の製造方法。
- 前記ポリカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸からなる群より選択される少なくとも一種である請求項4に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- 前記ヒドロキシ酸が、クエン酸である請求項4又は5に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- 前記ポリアニオン性多糖類が、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜6のいずれか一項に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- 前記酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである請求項1〜7のいずれか一項に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された水不溶性成形体。
- 請求項9に記載の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなる癒着防止材。
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