始めに、実施例1のロック装置5の構成について、図1〜図8を用いて説明する。本実施例のロック装置5は、図1に示すように、車両用シート1に設けられており、フロアF上に設置されたストライカSに対してロックしたり外れたりすることのできる作動構造を備えている。ここで、車両用シート1は、背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、を備え、シートクッション3の前端側の左右両サイド部が、フロアF上に設置された支持台4に回転可能にヒンジ連結されている。
そして、シートクッション3の後端側の左右両サイド部には、前述したロック装置5が設けられており、常時はこれらロック装置5をフロアF上に設置されたストライカSにロックさせることで、シートクッション3がフロアF上に倒伏した姿勢状態に保持されている。これらロック装置5のストライカSに対するロック状態は、車両用シート1に設けられた図示しない解除レバーの操作を行うことによって解除されるようになっている。
上記車両用シート1は、シートバック2が起立した着座可能な姿勢となっている状態から、上記図示しない解除レバーの操作を行うことにより、シートバック2の背凭れ角度の固定状態が解かれて、シートバック2が図示しない附勢バネの附勢力によってシートクッション3の上面部に畳み込まれると共に、上記各ロック装置5のロック状態が解除されてフロアFとの係合状態が外される。そして、この解除操作に伴って、車両用シート1は、上記支持台4との連結部に設けられた図示しない附勢バネの附勢力によって、上記支持台4との連結点4Aを中心に、車両前方Fr側へ跳ね上げられて格納された状態となる。そして、車両用シート1は、上記格納された状態から、これを車両後方Re側へ倒し込むように操作して、各ロック装置5を各ストライカSに押し込むように操作することにより、各ロック装置5が各ストライカSとロックして、車両用シート1がフロアF上に倒伏した姿勢に保持された状態に戻される。
以下、上記各ロック装置5の構成について詳しく説明していく。これらロック装置5は、車両用シート1に対して図1に示す向きに左右一対で配設されており、互いに左右対称な形に組み付けられて構成されている。図1に示すロック装置5は、車両用シート1を側面視した時の手前側に配されるロック装置5の内部構造を車両外側から見て示したものであるが、図2〜図8では、このロック装置5の内部構造をより分かりやすく示すために、ロック装置5を車両内側から見た形で示している。
ロック装置5は、図1〜図3に示すように、ベース板10と、フック20と、ポール30と、操作プレート50と、ケーブル60と、引張バネ70と、渦巻きバネ80と、を有する。ここで、渦巻きバネ80が本発明のバネに相当する。ベース板10は、ストライカSを受け入れ可能な凹部11を有し、フック20は、ベース板10に第2の支軸20Aによって回転可能に軸支されており、ポール30、追い込みプレート40及び操作プレート50は、それぞれ、第1の支軸30Aによってベース板10に回転可能に軸支されている。ケーブル60は、操作プレート50と前述した図示しない解除レバーとを繋ぎ、解除レバーの操作移動量を操作プレート50に伝達して操作プレート50を回転操作する。引張バネ70は、ポール30と一体に結合される操作プレート50とフック20の上顎部材21との間に掛着され、これら掛着部を互いに引き寄せる方向に附勢力をかける。渦巻きバネ80は、ベース板10に固定された第1の支軸30Aと第1の支軸30Aに対して回転可能な追い込みプレート40との間に掛着され、追い込みプレート40をベース板10に対して一方向に回転させる附勢力をかける。
ここで、先ず、上記各構成部品の基本的な構成について説明する。フック20は、図3に示すように、常時は、操作プレート50との間に掛着された引張バネ70の附勢力によって、その上顎部21Bがベース板10の凹部11内に張り出した初期位置の状態(解除状態)に保持されている。上記フック20は、ストライカSがベース板10の凹部11内に押し込まれてくる動きに伴って、上顎部21BがストライカSによって下方側から押される格好で回転し、その下顎部22をストライカSの背後側(図示下方側)へと回し込んで凹部11を閉鎖した状態となる(図4参照)。そして、この下顎部22が凹部11を閉鎖した状態となるところで、ポール30が引張バネ70の附勢力によってフック20と係合し、フック20の戻り回転を規制した状態(ロック状態)となる。これにより、ストライカSが、下顎部22によって凹部11から外れないように拘束された状態となる。
ポール30は、図2〜図3に示すように、操作プレート50と回転方向に一体に結合されており、フック20がその上顎部21Bを凹部11内に張り出させた初期位置の状態となっている時には、このフック20と操作プレート50との間に掛着された引張バネ70の附勢力によって、その角部31の図示下方側の面をフック20の角部25に押し当てた状態となって保持されている。そして、ポール30は、図4に示すように、フック20がストライカSによって押し回されてその下顎部22をストライカSの背後側へと回し込んで凹部11を閉鎖した状態となるところで、フック20の角部25がポール30の角部31の下面との当接から外されて、ポール30の角部31が引張バネ70の附勢力によってフック20の角部25の段差下に落ち込むように回転して、フック20の図示時計回り方向の戻り回転を規制した状態となる。これにより、ストライカSが上記回転規制されたフック20によって凹部11から外れないように保持された状態(ロック状態)となる。
追い込みプレート40は、図2〜図3に示すように、第1の支軸30Aによってポール30と同軸まわりに回転可能に軸支されており、常時は、ベース板10に固定された第1の支軸30Aとの間に掛着された渦巻きバネ80の附勢力によって、図3に示す反時計回り方向に回転附勢された状態とされている。すなわち、追い込みプレート40は、上記渦巻きバネ80の附勢力によって、ポール30が引張バネ70の附勢力によって回転附勢されている方向と同じ回転方向に附勢された状態とされている。上記追い込みプレート40は、その板厚方向に貫通した貫通孔41内にポール30から突出するピン32が入り込んだ状態とされており、図3に示すように、フック20の上顎部21Bが凹部11内に張り出して、ポール30の角部31がフック20の角部25の上面に乗り上げた初期位置の状態となっているときには、その貫通孔41の周縁部がピン32と当たる位置にてその附勢による回転が規制された状態となって保持されている。
上記追い込みプレート40は、図3〜図4に示すように、ストライカSが凹部11内に入り込んでフック20を押し回し、フック20がストライカSを下顎部22とベース板10の凹部11との間に挟み込む位置まで回転して、ポール30がその角部31をフック20の角部25の段差下に落とし込む回転に伴って回転し、その外周側の押圧面42によってフック20の被押圧部26を押圧して、フック20を更に回転を進行させる方向(図示反時計回り方向)に押し回す。これにより、フック20が、ポール30の角部31と係合してその戻り回転が規制された状態となる位置から、更に回転を進行させる方向に押し回されて、下顎部22と凹部11との間の隙間を詰めて、ストライカSを上記の隙間内でガタ付かせないように押え付けた状態となる。これにより、車両走行時に発生する振動によって、ストライカSが上記の隙間内でガタ付いて、フック20やベース板10に当たって打撃音や振動を発生させることが抑えられている。
ところで、上記追い込みプレート40によってフック20を更に回転を進行させる方向に追い込む回転移動量は、図4〜図6に示すように、適用されるストライカSの径が小さいほどに大きくなる。ここで、図5に示したストライカS2は、図4に示したストライカS1よりも径が小さく、図6に示したストライカS3は、図5に示したストライカS2よりも更に径が小さいものである。このように、ストライカSの径が小さくなるにつれて、フック20の回転移動量が増大することにより、併せて、フック20を更に回転方向に追い込む追い込みプレート40自体の回転移動量も増大することとなる。したがって、この追い込みプレート40の回転移動量の増大に伴って、追い込みプレート40を回転附勢する渦巻きバネ80が緩んで回転附勢力が弱まるため、フック20を追い込むためのトルクが弱まって十分な追い込みができなくなるおそれが生じる。
しかし、本実施例のロック装置5では、図4〜図6に示すように、追い込みプレート40の回転の進行に伴って、追い込みプレート40の押圧面42がフック20の被押圧部26の当たり面26Aに押圧力をかける作用点(接触点P)のフック20の回転中心20Rからのモーメント距離L(L1,L2,L3)が増大していくように構成されている。これにより、追い込みプレート40の回転の進行と共に渦巻きバネ80の附勢力が弱まっても、フック20を追い込むトルクが減少されにくくなっている。
以下、上記ロック装置5の各部の構成について、順に詳しく説明していく。先ず、図2に戻って、ベース板10の構成について説明する。ベース板10は、鋼板製の第1ベース板10Aと第2ベース板10Bとから成る二枚一組の構成とされており、シートクッション3の骨格に対して一体的に結合されて設けられている。これら第1ベース板10Aと第2ベース板10Bとの間に、ロック装置5を構成するフック20、ポール30、追い込みプレート40及び操作プレート50等の各構成部品が組み付けられている。上記第1ベース板10Aと第2ベース板10Bには、それぞれ、ストライカSを受け入れ可能な凹部11が、図示下方側に開口する形に形成されている。これら凹部11は、図示下方側の開口部に向かって形状が傾斜状に広がる形に形成されており、第2ベース板10Bの凹部11には、その内周面を被覆するように樹脂製のカバー13が組み付けられている。このカバー13は、ストライカS(図3参照)が凹部11内に入り込んでくる際の当たりを和らげる緩衝材として機能するものである。
フック20は、アーム状に延びる上顎部21Bが形成された上顎部材21を別体に備え、これらが互いに板厚方向(軸方向)に重ねられた状態で、それぞれ第2の支軸20Aによってベース板10に対して回転可能な状態に連結されている。詳しくは、フック20及び上顎部材21は、それぞれ、第2の支軸20Aに対して回転可能な状態に連結されており、第2の支軸20Aは、ベース板10に対して一体的に溶着されて固定されている。上記フック20と上顎部材21は、フック20から板厚方向に突出して形成されたピン24が、上顎部材21に貫通形成された遊嵌孔21A内に嵌め込まれた構成となっていることにより、互いが一緒になって回転することができる状態とされている。詳しくは、上記遊嵌孔21Aは、ピン24よりもひとまわり大きな形状に形成されており、図3〜図4に示すように、上顎部材21がフック20に対して回転して遊嵌孔21Aの内周面がピン24と当接することで、両者が上記当接した回転方向に一体的な状態となる構成となっている。
上記フック20は、上記上顎部材21に形成された掛部21Cと、後述する操作プレート50の掛部52と、の間に掛着された引張バネ70の附勢力によって、常時は図3に示すように、時計回り方向に回転附勢されており、その図示上方側の外周部に突出形成された角部25の回転方向に面を向けた係合面25Aを、ポール30の外周部に窪み状に形成されたストッパ面31Bに突き当てた状態となって保持されている。この状態では、フック20は、その上顎部材21の上顎部21Bを、ベース板10の凹部11内に張り出させた状態として、この上顎部21Bとの間に受入口23を形成するように間を空けて形成された下顎部22を、凹部11の外側へ退避させた状態となって保持されている。上記凹部11内に張り出す上顎部21Bには、ストライカSとの当たりを和らげる機能をする樹脂製のカバー21Dが被覆されている。
上記フック20は、ストライカSがベース板10の凹部11内に図示上方側に向かって相対的に入り込んでくる動きに伴い、同凹部11内に張り出している上顎部21BがストライカSによって図示上方側に押されて図示反時計回り方向に回転する。これにより、フック20は、その角部25をポール30の角部31の図示下面に沿って摺動させながら回転し、その下顎部22をストライカSの背後側へと回し込んで凹部11を閉鎖した状態となる。そして、フック20は、上記回転の進行によってその角部25がポール30の角部31の下面から外れることにより、ポール30の角部31が引張バネ70の附勢力によってフック20の角部25の段差下に落ち込んで、その角部25の係合面25Aとポール30の角部31の係合面31Aとが回転方向に向かい合った状態となり、このポール30の角部31によって引張バネ70の附勢による図示時計回り方向の戻り回転が規制された状態(ロック状態)となる(図4参照)。これにより、ストライカSが、フック20の下顎部22と凹部11の上面11Aとの間に挟み込まれた状態となって、凹部11から外れないように保持された状態となる。
上記フック20の下顎部22と凹部11との間にストライカSが挟み込まれてロックされた状態は、ポール30と一体に連結された操作プレート50に繋がれたケーブル60が、前述した図示しない解除レバーの操作により引張られて、ポール30が図示時計回り方向に回されることにより解除される。具体的には、ポール30が図示時計回り方向に回されることにより、ポール30の角部31がフック20の角部25に突き当てられていた状態から外されて、フック20の回転規制状態が解除される。これにより、フック20は、引張バネ70の附勢力によって図示時計回り方向に回転し、ストライカSを上顎部21Bによって図示下方側へと押し出す格好で凹部11の外側へと追いやって、ストライカSを係合状態から外す(図3参照)。
ポール30及び操作プレート50は、図2に示すように、互いに軸方向に並んで設けられて回転方向に一体的な状態に組み付けられた状態で、第1の支軸30Aによってベース板10に対して回転可能な状態に連結されている。詳しくは、ポール30と操作プレート50は、ポール30から板厚方向(軸方向)に突出して形成されたピン33が、操作プレート50に貫通形成された嵌合孔51内に嵌め込まれた構成となっていることにより、互いに回転方向に一体的に組み付けられた状態とされている。そして、ポール30と操作プレート50は、それぞれ、第1の支軸30Aに対して回転可能な状態に連結されており、第1の支軸30Aは、ベース板10に対して一体的に溶着されて固定されている。
上記ポール30は、図3に示すように、操作プレート50の掛部52と、フック20の上顎部材21の掛部21Cと、の間に掛着された引張バネ70の附勢力により、常時は図示反時計回り方向に回転附勢されており、その図示左上方側の外周部に突出形成された角部31の下面を、フック20の外周部に形成された角部25の上面に押し当てた状態となって保持されている。上記ポール30は、ストライカSがベース板10の凹部11内に入り込む動きに押されてフック20が回転し、フック20の角部25が角部31の下面から外れることにより、上記引張バネ70の附勢力によって、角部31をフック20の角部25の段差下に落とし込むように回転してフック20の戻り回転を規制した状態(ロック状態)となる。
上記ポール30の角部31がフック20の角部25の段差下に落ち込んでフック20の戻り回転を規制した状態は、ポール30と一体に連結された操作プレート50に繋がれたケーブル60が牽引されることにより解除される。このケーブル60は、その端部が操作プレート50に形成された長孔53内にスライド可能な状態に掛着されており、その配索経路を案内する案内管の端部が、ベース板10(第2ベース板10B)に形成された掛部12(図2参照)に掛着されて固定されている。
追い込みプレート40は、図2に示すように、上記ポール30や操作プレート50と共に第1の支軸30Aによってベース板10に対して回転可能な状態に連結されている。そして、追い込みプレート40は、その図示右方側に向かって延出するアーム部に形成された掛部43と、上記ベース板10に固定された第1の支軸30Aとの間に渦巻きバネ80が掛着されており、この渦巻きバネ80の附勢力によって、常時は図示反時計回り方向に回転附勢された状態とされている。上記追い込みプレート40は、その図示左方側に向かって延出するアーム部に、板厚方向(軸方向)に貫通する貫通孔41が形成されており、この貫通孔41内にポール30から板厚方向に突出して形成されたピン32が差し込まれた状態とされている。これにより、追い込みプレート40は、図3に示すように、常時は、上記渦巻きバネ80の附勢力によって図示反時計回り方向に回転附勢された状態として、その貫通孔41の上面にピン32が当接する回転位置に係止された状態とされている。
上記追い込みプレート40は、ストライカSがベース板10の凹部11内に入り込む動きに押されてフック20が回転し、ポール30がその角部31をフック20の角部25の段差下に落とし込む回転に伴って、ポール30による回転の係止状態が解かれて渦巻きバネ80の附勢力によって図示反時計回り方向に回転する。そして、この回転に伴って、追い込みプレート40は、図4に示すように、その貫通孔41が形成されたアーム部の外周面(押圧面42)を、フック20に板厚方向に突出して形成された被押圧部26の当たり面26Aに接触させた状態となって、その回転の進行に伴って、被押圧部26を押圧してフック20を更に回転を進行させる方向に押し回す。
ここで、上記追い込みプレート40の押圧面42は、追い込みプレート40の回転中心(第1の支軸30A)まわりの円弧の形ではなく、その回転の進行に伴って、フック20の被押圧部26を漸次遠方側へと押し出していく追い込み角を有する湾曲した面形状に形成されている。これにより、追い込みプレート40は、その渦巻きバネ80の附勢力を受けた回転の進行に伴って、フック20をポール30によって戻り回転が規制された状態となる位置から更に回転を進行させる方向に押し回して、フック20の下顎部22と凹部11の上面11Aとの間の隙間を詰めて、ストライカSを上記隙間内でガタ付かせないように押え付けて保持した状態となる。
ところで、上記追い込みプレート40によってフック20を更に回転を進行させる方向に追い込む回転移動量は、図4〜図6に示すように、適用されるストライカSの径が小さくなるほどに大きくなる。この追い込みの際、図7に示すように、被押圧部26の当たり面26Aが押圧面42によって押圧される当たり面26A側の接触点Pの位置は、追い込みプレート40の回転が進行するにつれて、フック20が押し回されて被押圧部26の向きがフック20の回転方向に変化していくことにより、漸次図示下方側(フック20の回転中心20R側)に向かって変移していくようになっている。しかし、この当たり面26A側の接触点Pの下方側への位置変動は、当たり面26Aが押圧面42に向かって凸状に膨らんだ形に形成されていることにより、当たり面26Aと押圧面42とが互いに相反する方向に反り返った形状となっていて、押圧面42が当たり面26Aに接触する接触点Pが当たり面26Aの先端側の凸部分の近傍部位に集中しやすくなっていることから、当たり面26Aが凹状や平面状に形成されているものと比べて、その位置変動の割合が小さく抑えられるようになっている。このように、当たり面26Aにかかる押圧力の作用点(接触点P)の図示下方側への位置変動が小さく抑えられることで、フック20の回転中心20Rからのモーメント距離L(図7におけるモーメント距離L1,L2,L3)の減少率も小さく抑えられるため、追い込みプレート40の回転の進行に伴う追い込みトルクの減少率が小さく抑えられている。
詳しくは、上記被押圧部26は、その追い込みプレート40の押圧面42に押されて回転する移動領域が、その回転の進行に伴って、フック20の回転中心20Rからの図示上方側への移動量が比較的大きな回転領域を通るように設定されており、その回転の進行に伴って、当たり面26Aにかかる押圧力の作用点(接触点P)のフック20の回転中心20Rからのモーメント距離Lが漸次増大していくようになっている。具体的には、図8に示すように、フック20は、その回転中心20Rを原点として、その形状を4つの象限(第1象限A1〜第4象限A4)に分けた図示右下側の第4象限A4内において、ストライカSに押されて回転し凹部11との間でストライカSを挟持した状態となる上顎部21Bや下顎部22が形成された領域部が設定されている。また、上記第4象限A4からフック20の押し回される方向に隣り合う図示右上側の第1象限A1内において、追い込みプレート40の回転中心(第1の支軸30A)と追い込みプレート40によって被押圧部26がフック20の回転方向に押圧される領域部とが設定されている。上記4つの象限(第1象限A1〜第4象限A4)は、ストライカSが凹部11内に入り込む進行方向Inと平行でかつフック20の回転中心20Rを通る第1の直線B1と、第1の直線B1と垂直でかつフック20の回転中心20Rを通る第2の直線B2と、によって区画されている。
このように、フック20が、被押圧部26が押し回される象限(第1象限A1)と同じ象限内に回転中心(第1の支軸30A)が設定された追い込みプレート40によって回転方向に押圧される構成となっていることにより、被押圧部26が追い込みプレート40に押されて回転する移動に伴って、当たり面26Aにかかる押圧力の作用点(接触点P)が、フック20の回転中心20Rからのモーメント距離L(図7におけるモーメント距離L1,L2,L3)を増大させる方向に大きく移動する構成となっている。したがって、追い込みプレート40の回転の進行と共に渦巻きバネ80の附勢力が弱まっても、フック20を追い込むトルクを減少させにくくすることができる。また、追い込みプレート40の回転中心(第1の支軸30A)が設定される象限(第1象限A1)と、フック20がストライカSに押し回されてストライカSを挟持した状態となる領域部が設定された象限(第4象限A4)と、が重ならず隣り合う配置となっていることにより、追い込みプレート40の回転量を大きくとっても、追い込みプレート40をベース板10の凹部11内に受け入れられるストライカSと干渉させにくくすることができる。
ここで、上記被押圧部26の当たり面26Aにかかる押圧力の作用点(接触点P)の図示下方側への位置変動を小さく抑えるための構成として、追い込みプレート40の押圧面42の追い込み角をきつくして、押圧面42が常に被押圧部26の当たり面26Aの図示上方側の領域部分に当たるようにして接触点Pを下げないようにする構成が考えられるが、押圧面42の追い込み角がきつすぎると、押圧力の作用点(接触点P)のフック20の回転中心20Rからのモーメント距離Lが小さくなり、フック20を追い込むトルクが小さくなってしまう。したがって、押圧面42の追い込み角は、追い込みプレート40の回転中心(第1の支軸30A)まわりの円弧の形に近い緩やかな追い込み角となる形に形成することが好ましい。
上記追い込みプレート40は、前述した解除レバー(図示省略)が操作されて、ポール30が図示反時計回り方向に回されることにより、このポール30のピン32によって貫通孔41の上面が図示上方側に押動されて上記フック20の被押圧部26との係合状態から外される。これにより、上記フック20のポール30による回転規制状態が解除されると共に、追い込みプレート40による追い込み状態が解除される(図3参照)。
ところで、前述したフック20の被押圧部26は、その押圧面42と当接する凸状に膨らんだ当たり面26Aに向かって形状全体が先細状となっていく三角形状に形成されており、凸状に膨らんだ当たり面26Aは円弧状に丸められた形に形成されている。これにより、被押圧部26の先端側の当たり面26Aを狭小な形にして、その円弧状に丸められる曲率を小さくして、当たり面26Aにかかる押圧力の作用点が追い込みプレート40の回転移動の進行に伴ってフック20の回転中心20Rに向かって変移していく位置変動の割合をより小さくすることができる上、先端側とは反対側に向かって太くなっていく形状部によって被押圧部26の構造強度を担保することができる。
このように、本実施例のロック装置5によれば、フック20の当たり面26Aが凸状に膨らんだ形に形成されていることにより、当たり面26Aが凹状や平面状に形成されている場合と比べて、追い込みプレート40の回転の進行に伴って当たり面26Aにかかる押圧力の作用点がフック20の回転中心20Rに向かって変移していく位置変動の割合が小さく抑えられる。また、当たり面26Aが追い込みプレート40に押されて回転する移動に伴って、当たり面26Aにかかる押圧力の作用点のフック20の回転中心20Rからのモーメント距離Lが増大していくように被押圧部26の回転領域が設定されることにより、追い込みプレート40の回転の進行と共に渦巻きバネ80の附勢力が弱まっても、フック20を追い込むトルクを減少させにくくすることができる。
以上、本発明の実施形態を一つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、上記実施例では、本発明のロック装置として、車両用シート1をフロアF上にロックさせるための手段として用いたものを例示したが、本発明のロック装置は、互いに係止される二部材の一方に設けられ、他方に設けられたストライカを受け入れてロックするロック装置として用いられるものであればよく、その使用用途は特に限定されるものではない。例えば、ロック装置がフロアに設けられ、ストライカが車両用シートに設けられる構成であってもよい。
また、上記実施例では、追い込みプレートに回転附勢力をかける本発明のバネに相当するものとして渦巻きバネ80を例示したが、引張バネ等の他のバネ部材を適用してもよい。また、追い込みプレートの押圧面によって回転方向に押圧される被押圧部は、上記実施例で示したような三角形状に突出する形でなくてもよく、円柱状に突出する形に形成されたものであってもよい。但し、この場合には、例えば、被押圧部の当たり面にかかる押圧力の作用点の下方側への変移量を小さく抑えるために、被押圧部を当たり面の曲率の小さな小円形の形に形成すると、被押圧部全体の形状が小さくなって構造強度が十分に確保できなくなるおそれがある。また、被押圧部の構造強度を高めるために、円形を大きくすると、当たり面の曲率も一緒に大きくなってしまうため、曲率が小さい場合と比べて、当たり面にかかる押圧力の作用点の下方側への変移量が大きくなってしまうことに留意が必要である。