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JP2008168746A - 車両用ステアリングシステム - Google Patents

車両用ステアリングシステム Download PDF

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JP2008168746A
JP2008168746A JP2007002823A JP2007002823A JP2008168746A JP 2008168746 A JP2008168746 A JP 2008168746A JP 2007002823 A JP2007002823 A JP 2007002823A JP 2007002823 A JP2007002823 A JP 2007002823A JP 2008168746 A JP2008168746 A JP 2008168746A
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Kenji Imamura
謙二 今村
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】エアバッグ装置の取付構造に工夫を凝らすことでステアリングシステムの実用性を向上させる。
【解決手段】エアバッグ142を収容するコンテナ140の収容部146が、ハンドル20の運転者側に位置するように、支持部材148,150によって、車体に設けられたチューブ24に支持させる。ハンドルのグリップ134を支持するアーム132に支持部材が干渉する範囲を超えて操作が行われる場合に、支持部材のチューブに対する固定を解除する機構160を設ける。支持部材が干渉しない比較的小さな操作範囲においては、ハンドルの操作量の如何に拘わらず、展開するエアバッグは偏向しない。また、操作範囲の拡大にも対処可能となる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、車両に装備されるステアリングシステム、詳しくは、ステアリング操作部材の運転手側に配置されるエアバッグ装置の取付構造に特徴を有するステアリングシステムに関する。
車両衝突の際、運転者は、ステアリングホイール等のステアリング操作部材に二次的に衝突する可能性があり、その二次衝突によって運転者が受ける衝撃を緩和するために、ステアリングシステムには、エアバッグ装置が設けられる。エアバッグ装置は、車両衝突時に展開するエアバッグと、そのエアバッグを折りたたんだ状態で収容する収容器とを含んで構成され、その収容器は、一般的には、下記特許文献に記載されているように、ステアリング操作部材に固定的に取り付けられている。
特開平11−342819号公報 特開平11−245759号公報
エアバッグは、展開した形状において、必ずしも上下あるいは左右に対称であるとは限らない。例えば、ステアリング操作部材がそれの上部が下部に対して車両前方側に位置するように傾斜して取り付けられている場合には、運転者のステアリング操作部材への衝突角度を考慮し、上部を厚く、下部を薄くした形状に形成されこともある。このような形状的異方性のあるエアバッグを有するエアバッグ装置をステアリング操作部材に装着する場合、ステアリング操作部材が回転操作された状態でエアバッグが展開するときには、そのエアバッグは、設定した姿勢とは異なる姿勢で、言い換えれば、偏向して、展開することになる。このように偏向して展開したエアバッグは、衝撃緩和性能を充分には発揮し得ない可能性を有する。そのため、エアバッグ装置の取付構造に工夫を凝らすことが、車両用ステアリングシステムの実用性の向上に繋がるのである。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用ステアリングシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両用ステアリングシステムは、エアバッグ装置を車体の一部に支持させ、かつ、そのエアバッグ装置をステアリング操作部材の運転者側に位置させるために、ステアリング操作部材のグリップ部を保持するアーム部が通過可能な空間を貫通して延びるように配置された支持部材を採用し、その支持部材の一端部の車体の一部への固定が、その支持部材が上記アーム部に干渉するようなステアリング操作部材の回転操作の際に、解除されるように構成されたことを特徴とする。
本発明の車両用ステアリングシステムでは、上記支持部材によって車体の一部にエアバッグ装置が固定的に支持されるため、支持部材が干渉しない比較的小さな操作範囲においては、ステアリング操作部材の操作量の如何に拘わらず、展開するエアバッグは偏向しない。したがって、その操作範囲においては、エアバッグの衝撃緩和性能は充分に発揮されることになる。その一方で、上記操作範囲を超えてステアリング操作部材が操作される場合には、支持部材の車体の一部に対する固定が解除されるため、比較的大きな操作範囲においても、円滑な操作が可能となる。このような特質を利用することで、実用性の高い車両用ステアリングシステムの構築が可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、下記(1)項ないし(9)項は、請求項1ないし請求項9に、それぞれ相当する。
(1)車体の一部に回転可能に保持される回転中心部と、一端部がその回転中心部と連結されてその回転中心部の回転軸線と交差する方向に延びる1以上のアーム部と、それら1以上のアーム部の他端部に保持されるとともに運転者によって把持される1以上のグリップ部とを有し、車輪を転舵するために回転操作されるステアリング操作部材と、
車両衝突の際に展開するエアバッグと、そのエアバッグを収容するエアバッグ収容器とを有するエアバッグ装置と、
一端部が車体の一部に取り付けられるとともに前記ステアリング操作部材の回転において前記1以上のアーム部が通過可能な空間を貫通して延び、他端部に前記エアバッグ収容器が取り付けられることで、そのエアバッグ収容器を、前記ステアリング操作部材の回転中心部の運転者側に位置するように支持する支持部材と、
前記支持部材の一端部を車体の一部に固定するとともに、前記支持部材が前記ステアリング操作部材の1以上のアーム部のいずれかに干渉してそのステアリング操作部材の回転操作が制限される場合において、前記支持部材の一端部の車体の一部への固定を解除する機能を有する支持部材固定機構と
を備えた車両用ステアリングシステム。
本項の態様のステアリングシステムによれば、エアバッグ装置が、上述の支持部材を介して、インストゥルメンツパネル(以下、「インパネ」と略す場合がある),それの補強部材等の車体の一部に取り付けられており、通常、その支持部材がそれの一端部において車体の一部に固定されている。したがって、エアバッグ装置がステアリング操作部材(以下、単に「操作部材」と略す場合がある)に固定されている場合と異なり、支持部材が操作部材のアーム部に干渉しない操作範囲(以下、「非干渉範囲」という場合がある)において、エアバッグが偏向して展開することがない。そのため、本項の態様によれば、ある程度の操作範囲において、運転者の操作部材への二次衝突の衝撃を効果的に緩和することが可能である。その一方で、非干渉範囲を超えて操作部材が操作される場合には、支持部材のそれの一端部における車体の一部への固定が解除されるため、大きな範囲の操舵操作が可能となる。
本項の態様は、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリングシステム、つまり、車輪を転舵する転舵装置と操作部材とが機械的に連結されておらず、操作部材へ加えられる力に頼ることなく、転舵装置が有する駆動源の力によって、操作部材の操作に応じた車輪の転舵を実現するシステムに好適であり、また、いわゆるVGRS(variable gear ratio steering)システム、つまり、操作部材と転舵装置との間に所定のアクチュエータを設けて、そのアクチュエータの動作によって、操作部材の操作量に対する車輪の転舵量の比を変更可能なシステムに、好適である。それらのシステムでは、比較的小さな操作範囲において、比較的大きな車輪の転舵が可能であるため、例えば、非干渉範囲内において通常の操舵操作が可能となるように構成することができ、そのように構成することで、通常の操舵操作の範囲における二次衝突の衝撃緩和特性を、良好に保つことができる。また、それらのシステムでは、転舵装置の駆動源の失陥時等においては、操作部材に加えられる力によって車輪を転舵する必要から、操舵操作の容易化に鑑み、非干渉範囲を超える操舵操作が可能にされる。本項の態様によれば、そのような操作範囲の拡大への対処も可能である。
なお、本項の態様は、上記ステアバイワイヤ型のシステム,VGRSシステム等ではない普通のシステムにおいても、有効である。通常、エアバッグによる二次衝突の衝撃緩和は、車両が高速で走行している状況下での車両衝突において特に必要とされている。一般に、車両が高速で走行している場合には、比較的操作範囲は小さい。そのため、その範囲が非干渉範囲に入るような構成のシステムに対して本項の態様を採用すれば、少なくともエアバッグによる衝撃緩和が特に必要とされている範囲おいて、衝撃緩和特性を良好に保つことが可能である。
本項の態様における「ステアリング操作部材」は、それの形状が特に限定されるものではない。例えば、通常のステアリングホイールのように、円環状のグリップ部を有し、そのグリップ部と回転中心部とを繋ぐ1あるいは複数のスポーク状のアーム部を有するような形状のものであってもよい。また、円環状のグリップ部に代えて、円環の一部が欠損したようなグリップ部を有するような形状であってもよい。また、複数のグリップ部(例えば、左右の手の各々によって操作される1対のグリップ部)を有し、それぞれが1のグリップ部と回転中心部とを繋ぐ複数のアーム部を有するような形状であってもよい。なお、ステアリング操作部材は、回転中心部がいわゆるステアリングシャフトのような軸を有し、その軸が車体の一部に回転可能に保持されるような構造のものであってもよく、また、回転中心部が環状,筒状等の形状のものとされ、その回転中心部が、車体の一部が有する固定軸に回転可能に保持されるようなものであってもよい。さらにまた、回転中心部が、あるいは回転可能とされた軸に固定的に連結され、その軸を介して間接的に車体の一部に対して回転可能に保持されるようなものであってもよい。ちなみに、ステアリング操作部材は、グリップ部、アーム部、回転中心部のいずれか2以上のものが、互いに一体的に成形されたものであってもよく、それらが組み付けられて構成されたものであってもよい。
また、「ステアリング操作部材の回転において1以上のアーム部が通過する空間」とは、言い換えれば、操作部材の回転操作によって1以上のグリップ部が描く軌跡と回転中心部とによって区画される環状の空間である。支持部材は、この空間を、車体の一部から操作部材の運転者に延び出すようにしてに配設され、例えば、運転者側に延び出すほうの端部において、エアバッグ装置、詳しくは、収容器が固定的に取り付けられる。本項の態様は、このような構造であるため、支持部材がそれの一端部において車体の一部に固定される場合には、操作部材の回転操作によって、支持部材がアーム部の回転に干渉する範囲に操舵操作が制限される。本項の態様では、この操舵操作の制限を解除すべく、支持部材の一端部における車体の一部への固定が解除されるのである。
本項の態様では、支持部材の固定が解除された際、その支持部材が車体の一部から離脱する構成とされてもく、その支持部材が車体の一部への取り付け状態が維持されつつ非干渉範囲を超える操作部材の操作を許容するように動作する構成とされてもよい。後者の場合には、後に説明するように、支持部材が操作部材の回転軸線まわりに回転移動する等、所定の軌道に沿って移動するような構成としてもよい。また、支持部材の固定が一旦解除された後、操作部材が再び非干渉範囲内において操作される状態となった場合において、再び、元の位置において固定されるような構成としてもよい。そのような構成は、例えば、後に説明するように、支持部材が弾性力によって車体の一部に固定される構造を採用することによって、容易に実現可能である。
(2)当該ステアリングシステムが、前記ステアリング操作部材の回転操作範囲を、前記支持部材が前記1以上のアーム部のいずれにも干渉しない範囲と、その範囲を超える範囲との間で変更する操作範囲変更装置を備えた(1)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、例えば、前述のステアバイワイヤ型のシステム,VGRSシステム等の場合において、通常の操舵操作が上記非干渉範囲内において行なわれるようにし、転舵装置,VGRSアクチュエータの失陥時等に操作範囲を拡大するような構成とすることが可能である。このような構成を実現可能であることから、本項の態様は、それらステアバイワイヤ型のシステム,VGRSシステム等に好適である。操作範囲変更装置は、具体的には、操作部材の操作範囲を規定する機械的なストッパ(転舵範囲を制限することで結果的に操作部材の操作範囲を規定するものであってもよい)を2種設け、それらを選択的に機能させるような構造のものとすることができる。また、機械的なストッパによらず、操作部材に操作反力を付与可能なモータを備え、そのモータの力を増大させることによって操作範囲を規制するような構成の装置であってもよい。
(3)前記支持部材の一端部が、車体の一部に、前記ステアリング操作部材の回転中心部の回転軸線まわりに回転可能な状態で取り付けられる(1)項または(2)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様によれば、支持部材の一端部の車体の一部に対する固定が解除された場合にあっても、支持部材が、操作部材の回転軸線まわりに回転するため、エアバッグ装置も、操作部材の運転者側の位置において回転する。したがって、非操作範囲を超えた操舵がされた際において車両が衝突した場合にも、エアバッグを、それが設定された姿勢とはならないものの、所定の位置において展開させることが可能となる。
(4)前記支持部材固定機構が、前記支持部材の前記ステアリング操作部材の1以上のアーム部のいずれかへの干渉の際、前記ステアリング操作部材の回転操作に伴って前記1以上のアーム部のいずれかが前記支持部材を押す力によって、前記支持部材の一端部の固定を解除する構造とされた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、非干渉範囲を超える操舵操作がなされた際の支持部材の固定解除が、操作部材に加えられる操作力によって行われるように構成された態様である。本項の態様によれば、別途駆動力を必要とせずに、簡便な構造によって、支持部材の一端部の固定を解除することが可能である。
(5)前記支持部材固定機構が、車体の一部と前記支持部材の一端部との両者に固定的に係合するとともに、前記1以上のアーム部のいずれかが支持部材を押す力によって破断する破断係合部材を有する(4)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、支持部材固定機構が、いわゆるシェアピン等、ある程度を超えて大きな力が加わった場合に破損,破壊する部材を有し、その部材を利用して、支持部材を車体の一部に固定するように構成された態様である。本項の態様によれば、簡便な機構にて、支持部材を一端部において固定することができ、また、その固定を解除することが可能である。
(6)前記支持部材固定機構が、前記支持部材の一端部を車体の一部にそれらの間に生じる摩擦力によって固定するとともに、前記1以上のアーム部のいずれかが支持部材を押す力が前記摩擦力に打ち勝つ場合に、前記支持部材の一端部の車体の一部への固定が解除される構造とされた(4)項または(5)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様も、先の係合部材を採用する態様と同様に、比較的簡便な機構によって、支持部材を固定し、その固定を解除可能な態様である。本項の態様における支持部材固定機構は、例えば、車体の一部と支持部材の一端部との一方に形成されてガイドとして機能する溝と、他方に形成されてその溝に嵌め込まれる突起とを含み、その突起が溝に沿って移動しようとする際に、所定の摩擦力が車体の一部と支持部材の一端部との間に生じるような構成とすることが可能である。このような構成とすれば、一旦、非干渉範囲を超えた操作がなされた後には、ある程度の操作力を加えることによって、支持部材は溝に沿った動作が許容され、所定方向の操作部材の操作が可能となる。
(7)前記支持部材固定機構が、自身の弾性力によって前記支持部材の一端部を車体の一部における所定位置に固定する弾性部材を有し、前記1以上のアーム部のいずれかが支持部材を押す力が前記弾性力に打ち勝つ場合に、前記支持部材の一端部の車体の一部への固定が解除される構造とされた(4)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様も、先の係合部材、摩擦力を利用する態様と同様、比較的簡便な機構によって、支持部材を固定し、その固定を解除可能な態様である。本項の態様における支持部材固定機構は、例えば、弾性部材としてのばねを有し、そのばねの弾撥力によって、支持部材の一端部を車体の一部に位置決めし、その弾撥力に抗した力が作用する場合に、支持部材の一端部の位置の変動を許容するような構成とすることが可能である。なお、「所定位置」は、支持部材が回転動作する場合における所定の回転位置をも含む概念である。
(8)前記支持部材固定機構が、前記支持部材の一端部の前記所定位置からの変動量の増加に応じて、前記弾性部材の弾性力が増大する構造とされた(7)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様によれば、支持部材の固定が解除された後にも、支持部材の動作における固定位置からの変動量に応じた弾性力が、支持部材の一端部に付与されることになる。このような弾性力を利用することで、容易に、支持部材が固定されている場合の位置へ支持部材を復帰させることが可能となる。なお、「支持部材の変動量」は、回転動作する場合の回転変動量、つまり、回転量をも含む概念である。
(9)前記ステアリング操作部材の回転中心部が軸を有し、その軸が、車体の一部を構成する概して筒状の保持部材に挿入する状態でその保持部材に回転可能に保持され、前記支持部材が、前記保持部材の外周部に取り付けられる(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項の態様は、例えば、いわゆるステアリングコラムを備えたステアリングシステムに関する態様である。本項の態様では、回転中心部は、軸としてのいわゆるステアリングシャフトあるいはそれの一部分を含んで構成されることになり、また、車体の一部は、そのステアリングシャフトを回転可能に保持するステアリングチューブあるいはそれの一部分を含んで構成されることになる。一般的なステアリングシステムは、ステアリングコラムを含んで構成されることが多く、その意味において、本項の態様によれば、汎用性の高いステアリングシステムが実現することになる。また、本項の態様は、先に説明した態様、つまり、支持部材の一端部を操作部材の回転軸線まわりに回転可能とする態様を容易に実現可能である。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪ステアリングシステムの全体構成≫
本実施例のステアリングシステムは、図1に示すように、ステアバイワイヤ型のステアリングシステムである。本システムは、大きくは、ステアリング操作装置(以下、「操作装置」と略する場合がある)10と、車輪を転舵する転舵装置12と、それらを連結する連結装置14と、当該システムの制御装置である電子制御ユニット(以下、「ECU」と略す場合がある)16とを含んで構成されている。
操作装置10は、運転者によって操作されるハンドル20と、一端部にハンドル20が取り付けられたステアリングシャフト(以下、「シャフト」と略す)22と、シャフト22を挿通させた状態で回転可能に保持する保持部材としてのチューブ24と、チューブ24の車両前方側端部に固定的に連結されてシャフト22を介してハンドル20に操作反力を付与する操作反力付与装置26とを含んで構成されている。操作装置10は、後に説明するように、操作反力付与装置26において、車体の一部、詳しく言えば、インパネの補強部材であるリインフォースメントに固定される。また、操作装置10は、エアバッグ装置30と、エアバッグ装置30をチューブ24に取り付けるためのサステイナ32とをも含んで構成されている。
転舵装置12は、転舵ロッド40と、転舵ロッド40を軸線方向に移動可能に保持するハウジング42と、ハウジング42内に配設されて転舵ロッド40を軸線方向に駆動させる駆動源である転舵モータ44と、転舵ロッド40の両端の各々にフレキシブルジョイントを介して連結された1対のリンクロッド46とを含んで構成されている。各リンクロッド46の先端は、別のフレキシブルジョイントを介して車輪48を回転可能に保持するステアリングナックル50のアームに連結されている。転舵ロッド40には雄ねじが形成されており、ハウジング42には、その雄ねじに螺合するナットが設けられている。転舵モータ44は、そのナットを回転させることで転舵ロッド40を軸線方向に動かし、車輪48を転舵する。また、転舵ロッド40には、ラックが形成されており、ハウジング42には、そのラック噛合するピニオンが形成されたピニオン軸52が、ハウジング42から一端部を突出させる格好で回転可能に保持されている。後に詳しく説明するが、転舵装置12は、このピニオン軸52を回転させることによっても、車輪48を転舵することが可能とされている。
連結装置14は、電磁式クラッチ60を主体とする装置である。電磁式クラッチ60の入力部には入力プーリ62が取り付けられており、その入力プーリ62とシャフト22に取り付けられた出力プーリ(図2参照)とが、ベルト64によって回転伝達可能に連結されている。一方で、出力部には出力ローラ66が取り付けられており、その出力ローラ66と、転舵装置12のピニオン軸52と一体化された入力ローラ68とが、ワイヤ70によって回転伝達可能に連結されている。電磁式クラッチ60は、励磁状態において、入力プーリ62と出力ローラ66との相対回転を許容することで、操作装置10と転舵装置20との間の操作力の伝達がされない状態を実現し、消磁状態において、入力プーリ62と出力ローラ66との相対回転を禁止することで、ハンドル20からの操作力が転舵装置20に伝達可能な状態を実現する。
≪操作反力付与装置の構造≫
操作反力付与装置26は、図2に示すように、車両後方側(図における右方側)に位置する後室80と、車両前方側(図における左方側)に位置する前室82とを持つ円筒形のハウジング84を有しており、前述のシャフト22は、後室80を貫通する状態で、ハウジング84に回転可能に保持されている。シャフト22の図における右側の端部(図示されていない)が、ハンドル20に連結されている。後室80内において、シャフト22は、円筒形をなすスプリングケース86を、それを貫通する状態で回転可能に支持している。スプリングケース86の内部は、1対の捩りコイルスプリング(以下、単に「スプリング」という場合がある)88が、シャフト22に外嵌して設けられている。それら、1対のスプリング22は、互いに反対方向に巻回され、それぞれの一端部がスプリングケース86の内面に、他端部がシャフト22の大径部90に、それぞれ、固定されている。図に示す状態においては、1対のスプリング88は、共に捩られており、それらの捩り反力が均衡した状態となっている。ちなみに、この状態において、ハンドル20は、車輪の転舵中立位置に対応する中立位置、つまり、中立回転位置に位置している。
また、ハウジング84の外周部には、ソレノイド92が設けられている。ソレノイド92のロッド94は、後室80内に延び出しており、その先端部に係合プレート96が取り付けられている。ソレノイド92が消磁状態にある場合には、係合プレート96はスプリングケース86の外周面から離れた状態とされており、シャフト22が回転する場合、スプリングケース86は、シャフト22と一体的に回転する。つまり、スプリングケース86の回転が許容されるのである。一方、ソレノイド92が励磁状態とされた場合には、係合プレート96は前進してスプリングケース86の外周面に接触する。係合プレート96には、大きな摩擦力の発生を可能とする表面処理が施されており、摩擦力によって、スプリングケース86の回転が禁止される。スプリングケース86の回転が禁止された状態において、ハンドル20の操作によってシャフト22が回転させられると、スプリング88の捩り反力の均衡が崩れ、ハンドル20の操作に対する反力がハンドル20を介して運転者に伝達される。つまり、操作反力付与装置26は、弾性部材の弾性力に依拠して操作反力を発生させる弾性力依拠操作反力発生機構を有しているのである。
シャフト22の大径部90には、外周から突出する突出部100が設けられ、その一方で、スプリングケースス86の内周面には、突出部100が通過可能な溝102が、周方向に延設されている。スプリングケース86の回転が禁止された状態では、ハンドル20の回転操作に伴って、突出部92は、溝102内を移動可能とされているが、ある程度、ハンドル20の操作量(中立回転位置からの回転量である)が大きくなった場合に、突出部100は、溝102の端部に当接する。それによって、ハンドル20の回転操作の範囲が制限されることになる。つまり、操作反力付与装置26は、操作範囲制限機構を有するものとされているのである。ちなみに、スプリングケース86の回転が許容される場合には、突出部100は、溝102の端部に当接することはなく、操作範囲制限機構による操作範囲の制限はなされない。このような構造から、操作反力付与装置26は、操作範囲制機構と、スプリングケース86の回転の禁止と許容とを切り換える機構とを含んで構成される操作範囲変更装置として機能するものとなっているのである。
前室82内において、シャフト22には、前述した出力プーリ104が相対回転不能に付設されている。また、ハウジング84には、反力モータ106が取り付けられている。反力モータ106は、ギヤ108,110を介して、シャフト22に回転力を付与可能とされている。つまり、操作反力付与装置26は、反力モータ106の力に依拠して操作反力を発生させるモータ力依拠操作反力発生機構を有しているのである。なお、シャフト22の回転量(回転角)は、ギヤ112,114を介して、回転角センサ116によって検出される。この回転角センサ116は、ハンドル20の操作量を検出するための操作量センサとして機能する。
≪ハンドルおよびエアバッグ装置の構成≫
ハンドル20は、図3〜図7に示すように、シャフト22の端部に固定的に連結されてシャフト22(軸)とともに当該ハンドル20の回転中心部を構成するボス130と、ボス130から互いに反対方向に延び出してそれぞれがアーム部として機能する1対のハンドルアーム(以下、単に、「アーム」と略す場合がある)132と、1対のアーム132にそれぞれ連結支持されそれぞれがグリップ部として機能する1対のハンドルグリップ(以下、単に「グリップ」と略す場合がある)134とを含んで構成されている。なお、それらボス130,1対のアーム132,1対のグリップ134は、一体的に成形されている。
詳しく説明すれば、ボス130は、貫通穴136を有し、この貫通穴136においてシャフト22がセレーション嵌合され、シャフト22の先端に形成された雄ねじと、その雄ねじに螺合するナット142とを利用して、ボス130はシャフト22に締結固定されている。図3〜図7は、いずれも、ハンドル20が操作中立位置に位置している状態を示しており、この状態では、1対のアーム132は、ボス130から、互いに反対の方向に、つまり、それぞれ左右方向に延び出している。また、各アーム132は、ある程度延び出した位置から車両後方に向って曲げられて延び、さらにある程度延びた位置において、再び左右方向に延びる形状をなしている。1対のグリップ134の各々は、1対のアーム132の再び左右方向に延びる部分の先端において、1対のアーム132対応するものと一体化されている。1対のグリップ134の各々は、円弧状をなしており、それらは、シャフト22の軸線を中心としその軸線に直角な一円周に沿って配置されるとともに、その一円周におけるちょうど反対側に位置するように配置されている。
エアバッグ装置30は、エアバッグコンテナ(以下、単に「コンテナ」と略す場合がある)140と、その内部に折りたたんで収容されたエアバッグ142と、エアバッグ142を展開させるインフレータ144とを含んで構成されている(図4参照)。コンテナ140は、概して短い円筒状をなしてエアバッグ142およびインフレータ144を収容する収容部146と、収容部146から延び出す延出部148とを有している。延出部148は、収容部146の車両前方側に位置させられる特定の部分から、その収容部146の車両後方側に位置させられる面に対して直角に延び出している。
サステイナ32は、円環状をなす円環部150と、円環部150から延び出す支持片部152とを有している。円環部150は、チューブ24を挿入させた状態で、ベアリング154を介して、チューブ24に回転可能かつ軸線方向に移動不能に取り付けられている。一方、支持片部152は帯状をなしており、上方に向って延び出すとともに、ある程度上方に延びた位置において曲げられ、さらに、車両後方に向って延び出している。支持片部152の先端部は、エアバッグコンテナ140の延出部148に設けられた結合穴156に嵌入させられている。つまり、操作装置10においては、コンテナ140の収容部146は、エアバッグ収容器として機能し、サステイナ32と、それに結合されたコンテナ140の延出部148とによって、そのエアバッグ収容器を車体の一部として機能するチューブ24に支持させるための支持部材が構成されているのである。さらに言えば、その支持部材は、それの一端部としてのサステイナ32の円環部150において、シャフト22の軸線回りに回転可能に取り付けられ、その支持部材によって、コンテナ140の収容部146すなわちエアバッグ収容器は、ハンドル20のボス130の車両後方側つまり運転者側に位置するような姿勢で車体の一部に対して支持されることになる。
さらに、チューブ24には、プランジャ160が設けられている。プランジャ160は、後に説明するように、有底の円形穴が形成されるとともにチューブ24の外周面に固定的に付設されたブロック形状のホルダ162と、ホルダ162の円形穴に収容されている圧縮コイルスプリング(以下、単に「スプリング」という場合がある)164と、スプリング164を圧縮する状態で後端部がホルダ160の円形穴に緩やかに嵌められたプランジャロッド166とを含んで構成されている。ホルダ162は、プランジャロッド166の先端が車両後方を向くようにチューブ24に付設されており、プランジャロッド166の先端は、サステイナ32の円環部150の車両前方側の端面に当接するように位置させられている。その状態において、スプリング162は、圧縮されており、プランジャロッド166は、円環部150を車両後方に向って付勢している。
サステイナ32の円環部150の上記端面は、図示する状態で、円周における上半分の部分が、特定の箇所に向って傾斜するように形成されている。平たく言えば、車両後方に向って概してV字形状に窪む面とされている(以下、端面のこの部分を、「ロッド当接面168」という)。その結果、図5に示すように、円環部150は、プランジャ160の付勢力によって、プランジャロッド166の先端がロッド当接面168の最も窪んだ箇所に位置するように位置決めされる。つまり、プランジャ160は、弾性部材であるスプリング164の弾性力によって、上記支持部材を構成するサステイナ32およびエアバッグコンテナ140の延出部148を、それらが所定の回転位置に位置するように固定する支持部材固定機構として機能するものとなっている。なお、サステイナ32が上記所定の回転位置に位置するように固定された状態においては、コンテナ140の延出部148およびサステイナ32の支持片部152は、最も上方に、つまり、シャフト22の軸線の真上に位置させられる。なお、この状態のエアバッグ装置30およびサステイナ32の回転位置は、所定の位置であり、以下の説明においては、それらの位置を、それぞれの基準回転位置と呼ぶこととする。
操作装置10は、図8(a)に示すように、操作反力付与装置26において、インパネ180のリインフォースメント182に、詳しくは、それに設けられているブラケット184に取り付けられる。取り付けられた状態において、操作装置10は、シャフト22の軸線がそれの車両前方側が車両後方側よりも上方に位置するように傾斜する姿勢となる。ハンドル20の1対のグリップ134およびエアバッグ装置30が有するエアバッグコンテナ140の車両後方側の面は、いずれも、上方側が下方側よりも車両前方側に位置するように傾斜する。
車両衝突の際、運転者のハンドル20への衝突の衝撃を緩和すべく、図8(b)に示すように、エアバッグ142は展開する。詳しく言えば、インフレータ144が高圧のガスを発生させ、折りたたまれたエアバッグ142内にそのガスが導入されることで、エアバッグ142は膨らむ。なお、図示は省略するが、コンテナ140の収容部146には、外板の特定の箇所に弱体部が設けられており、エアバッグ142の膨張によって収容部146はその弱体部において破損して開口し、エアバッグ142は、定められた形状に展開する。
図8(b)から解るように、ハンドル20への二次衝突の際の運転者の上体の傾斜角と、上述したハンドル20の傾斜角、つまり、1対のグリップ134およびコンテナ140の車両後方側の面の傾斜角とには差がある。そのことを考慮し、効果的な衝撃緩和を目的として、展開したエアバッグ142は、上方の部分の厚みtUが下方の部分の厚みtLより大きくなるような形状とされている。したがって、本エアバッグ装置30のエアバッグ142は、形状的異方性を有しており、エアバッグ装置30が上述した基準回転位置にあるときに、高い衝撃緩和性能を発揮することになる。
≪ステアリングシステムの制御≫
本ステアリングシステムの制御は、先に説明したように、ECU16によって行われる。図1に示すように、車両には、イグニッションスイッチ(IGSw)200設けられており、イグニッションスイッチ200がONとされた場合に、連結装置14の電磁式クラッチ60が励磁状態とされるとともに、操作反力付与装置26のソレノイド92が励磁状態とされる。それによって、ハンドル20に加えられる運転者の操作力によらずに、転舵モータ44の駆動力による車輪48の転舵が可能な状態、つまり、通常操作状態とされる。
通常操作状態においては、ハンドル20の中立操作位置からの操作量が、回転角センサ116によって取得され、取得された操作量に応じた転舵量となる車輪48の転舵が、転舵装置12によって行われる。なお、車両走行速度が、車速センサ(v)202によって取得され、車速が高い場合には、車速が低い場合に比較して、転舵量が小さくなるような転舵量調整が行われる。つまり、本ステアリングシステムは、車速感応型のシステムとされているのである。また、通常操作状態においては、先に説明したように、操作反力付与装置26によって、スプリング88の弾性力に依拠して、ハンドル20の操作量に応じた大きさの操作反力が付与される。さらに、ハンドル20の操作速度が、回転角センサ116の検出値の変化から求められ、操作速度が大きい程操作反力を大きくすべく、反力モータ106の力によって操作反力が調整される。
イグニッションスイッチ200がOFFとされた場合には、電磁式クラッチ60およびソレノイド92が消磁状態とされる。また、当該ステアリングシステムに電力を供給する電源,ECU16,転舵モータ44等の失陥が発生した場合、つまり、失陥状態においても、電磁式クラッチ60およびソレノイド92が消磁状態とされる。それらが消磁状態とされた場合には、操作反力付与装置26によっては操作反力が付与されない状態となり、また、ハンドル20に加えられた操作力がベルト64およびワイヤ70によって転舵装置12まで伝達可能な状態となる。それにより、操作力による車輪の転舵が可能となる。
通常操作状態においては、車輪48の転舵に対して運転者の操作力が必要とされないため、操作性を考慮して、ハンドル20の操作量が比較的小さくても大きな転舵量となるような制御が実行される。したがって、操作反力付与装置26に設けられた前述の操作範囲制限機構によって、操作範囲が比較的小さく制限されている。具体的には、左右の操舵操作の各々について、中立操作位置から約45゜の範囲に制限されている。逆に、失陥状態においては、車輪48の転舵が運転者の操作力に依存するため、操作の負担を軽減すべく、操作量に対する車輪48の転舵量の比が小さくなるようになっている。そのため、失陥状態においては、上記操作範囲制限機構による制限が解除されて、操作範囲が拡大される。ちなみに、転舵装置12によって転舵量が制限される範囲に対応する範囲にまで拡大される。具体的に言えば、左右の操舵操作の各々に対して、約135゜の範囲に拡大される。
なお、車両が衝突した場合、その衝突は、車両の前方部分に設けられた衝突センサ(C)204によって検知され、その検知に基づいて、エアバック装置30が作動する。つまり、インフレータ144によってエアバッグ142が展開され、運転者のハンドル20への二次衝突の衝撃が効果的に緩和される。
≪ハンドルの操作とエアバッグ装置の動作との関係≫
本ステアリングシステムでは、エアバッグ装置30は、サステイナ32の支持によって、ハンドル20の運転者側に位置させられている。言い換えれば、サステイナ32とコンテナ140の延出部148とによって構成される支持部材によって、エアバッグ収容器として機能するコンテナ140の収容部146が支持されることで、その収容部146が、ハンドル20のボス130の運転者側に配置されている。そして、コンテナ140の延出部148は、ハンドル20が回転操作された場合においてそれのアーム132が通過する空間、つまり、アーム132が描く軌跡によって画定されるドーナツ状の空間を、貫通するようにして車両の前後方向に延びている。エアバッグ装置30は、前述のプランジャ160によって、前述の基準回転位置に固定されている。そのため、運転者がハンドル20を回転操作すれば、左旋回操作と右旋回操作とのいずれであるかに応じて、延出部148が、1対のアーム132のいずれかに干渉することになる。
図9(a)は、ハンドル20が中立操作位置にあるときの状態を示し、図9(b)は、左旋回操作が行われて、ハンドル20が、コンテナ140の延出部148がハンドル20の右側のアーム132に干渉する操作位置にあるときの状態を示す。後者の状態に至るまでのハンドル20の操作範囲が、非干渉範囲であり、具体的には、中立操作位置から45゜の範囲とされている。なお、非干渉範囲は、先に説明した操作反力付与装置26が有する操作範囲制限機構によって制限される範囲よりも、若干大きくされている。したがって、通常操作状態においては、実際には、コンテナ140の延出部148のハンドル20のアーム132への干渉は生じない。
一方、失陥状態においては、先に説明したように、操作反力付与装置26のソレノイド92が消磁状態とされ、上記操作範囲制限機構による操作範囲の制限は解除される。その場合、非干渉範囲を超えたハンドル20の操作が必要とされる。本操作装置10では、エアバッグ装置30の固定、つまり、サステイナ32の円環部150のチューブ24への固定は、前述したように、プランジャ160の有するスプリング164が発生させている弾性力によって行われており、図10(a)に示すように、サステイナ32は基準回転位置に位置させられており、それによって、エアバッグ装置30も基準回転位置に位置させられている。失陥状態において、非干渉範囲を超えたハンドル20の操作がなされた場合、その場合の操作力がある程度の大きさを超えているときには、サステイナ32のチューブ24への固定が解除される。詳しく言えば、操作力に依拠してハンドル20のアーム132がそれに干渉しているコンテナ140の延出部148を押す力が、スプリング164の弾性力に打ち勝ってプランジャ160のスプリング164がさらに圧縮されるような大きさとなる場合には、図10(b)に示すように、サステイナ32がシャフト22の軸線回りに回転し、エアバッグ装置30の固定が解除されるのである。そして、エアバッグ装置30の固定が解除された場合には、図9(c)に示すように、さらなるハンドル20の回転操作に応じて、アーム132がコンテナ140の延出部148を押し続けたままで、エアバッグ装置30が回転することになる。
サステイナ32の円環部150に設けられたロッド当接面168は、先に説明したように、概してV字状に窪んでいる。したがって、サステイナ32、詳しくは、それの円環部150の基準回転位置からの回転変動量に応じて、スプリング164の弾性力は増加する。したがって、ハンドル20の操作量が大きくなるにつれて、大きな操作力が必要とされることになる。また、ハンドル20から運転者が手を離した場合,運転者が逆方向の旋回操作を行ったような場合には、スプリング164の弾性力の作用により、円環部150、つまり、サステイナ32は基準回転位置に復帰させられ、エアバッグ装置30が基準回転位置に復帰させられることになる。
先に説明したように、失陥状態においては、ハンドル20は、転舵装置20による車輪48の転舵の制限を受けるまで回転可能とされており、非干渉範囲を超えて、さらに約90゜の操作が行われる。上記円環部150に設けられているロッド当接面168は、拡大された操作範囲の終端においても、エアバック装置30がスプリング164の弾性力の作用によって基準回転位置に復帰可能な形状とされている。
本操作装置10では、通常操作状態において、ハンドル20が操作範囲内のいずれの回転操作位置にある場合でも、エアバッグ装置30が基準回転位置に固定されている。そのため、車両衝突によってエアバッグ142が展開しても、常に、偏向していない適正な姿勢で、つまり、エアバッグ142の厚い部分が上方に位置し薄い部分が下方に位置する回転姿勢で展開することになり、運転者のハンドル20への二次衝突の衝撃を効果的に緩和することが可能である。そして、失陥状態等、ハンドル20の操作範囲を拡大する必要がある場合においては、ハンドル20の操作力によって、詳しく言えば、その操作力に依拠してアーム132がコンテナ140の延出部148を押す力によって、エアバッグ装置30の固定が解除され、その結果、非干渉範囲を超えるハンドル20の操作を容易に実行することができるのである。
なお、非干渉範囲を超えるハンドル20の回転操作が行われている場合であっても、エアバッグ装置30は、シャフト22の軸線回りに回転するだけであり、所定の位置からはいずれの方向にも平行移動させられない。したがって、その場合に車両が衝突した場合であっても、エアバッグ142は、設定された回転姿勢においては展開しないももの、所定の位置において展開することから、ハンドル20への運転者の二次衝突による衝撃をある程度充分に緩和することが可能である。
≪変形例≫
上記ステアリングシステムの変形例、詳しくは、操作装置の変形例を、簡単に説明する。なお、以下の変形例において、先の実施例と同じあるいは同機能の構成要素については、同じ符号を用いることとする。
サステイナ32およびエアバッグコンテナ140の延出部148を基準回転位置においてチューブ24に固定する機構、つまり、前述の支持部材固定機構は、図11(a)に示すような構造のものとすることができる。この図が示す変形例の操作装置10では、円環部150は、ベアリングを介さずに、内周面が直接チューブ24の外周面に接するようにして、チューブ24に嵌められている。チューブ24の外周面には、一円周に沿って形成されたガイド溝220が設けられている。一方、円環部150には、それの一部分を貫通して先端がガイド溝220に嵌るピン222が固定的に設けられている。この操作装置10では、基準回転位置における円環部150のチューブ24に対する固定は、円環部150の内周面とチューブ24の外周面との間に生じる摩擦力によってなされている。非干渉範囲を超えるハンドル20の操作が行われる場合、操作力に起因してハンドル20のアーム132がエアバッグコンテナ140の延出部148を押す力が、その摩擦力に打ち勝つ力を円環部150に作用させることで、エアバッグ装置30の位置の固定が解除される。非干渉範囲におけるハンドル20の操作では、ガイド溝220によってピン222がガイドされ、エアバッグ装置30は、シャフト22の軸線回りに回転する。なお、本変形例の操作装置10では、一旦非干渉範囲を脱した操作が行われた後は、摩擦力によってサステイナ32が固定される位置が変更されることになる。本変形例の操作装置10を採用する場合においても、通常操作状態では、ハンドル20の操作位置によらずエアバッグ142は適正な姿勢で展開することになる。
前述の支持部材固定機構は、さらに、図11(b)に示すような構造のものとすることができる。この図が示すもう一つの変形例の操作装置10では、先の実施例の操作装置10と同様に、サステイナ32の円環部150が、ベアリング156を介して、チューブ24に嵌められるとともに、先の変形例の操作装置10と同様に、その円環部150の車両前方に位置する部分の内周面が、チューブ24の外周面に接触させられている。本変形例の操作装置10では、チューブ24とサステイナ32の円環部150とのそれぞれにピン穴230,232が穿設されており、それらのピン穴230,234には、両者を貫く状態で、破断ピン234が嵌め込まれている。破断ピン234は、チューブ24とサステイナ32との両者に係合する破断係合部材として機能し、サステイナ32、つまり、エアバッグ装置30を基準回転位置に固定する役割を果たしている。また、非干渉範囲を超える操作が行われる際、ハンドル20に加わる操作力がある程度大きい場合には、つまり、操作力に起因してハンドル20のアーム132がエアバッグコンテナ140のアーム132を押す力が、ある程度の大きさとなった場合には、破断ピン234が破断し、その操作が許容される。破断ピン234が破断した後は、先の変形例と同様に、チューブ24の外周面と円環部150の内周面との間の摩擦力に打ち勝つ操作力によって、非干渉範囲を超える操作が可能となる。ちなみに、その摩擦力は、先の変形例の操作装置10において生じる摩擦力より小さくされており、比較的小さな操作力によって、非干渉範囲を超える操作が可能となる。先の変形例と同様、一旦非干渉範囲を脱した操作が行われた後は、摩擦力によってサステイナ32が固定される位置が変更されることになり、また、本変形例の操作装置10を採用する場合においても、通常操作状態では、ハンドル20の操作位置によらずエアバッグ142は適正な姿勢で展開することになる。
先の実施例のステアリングシステムの操作装置10において採用されているハンドル20に代えて、例えば、図12(a)あるいは図12(b)に示すような形状のハンドル20を採用することができる。図12(a)に示すハンドルは、先の実施例において採用されているハンドル20と同様に、1対のアーム132と1対のグリップ134を有する形状のものであるが、実施例のものと異なり、1対のアーム132のなす角度が約90゜とされており、それらの各々の先端が、1対のグリップ134の対応するものの下端部と連けるされる形状をなしている。また、図12(b)に示すハンドルは、1つのアーム132と1つのグリップ134を有しており、グリップ134が概してC字形状をなし、アーム132の先端がグリップ134の周長において中央となる部分に連結されている。それら2つの変形例の操作装置10では、非干渉範囲は、左右の各々の旋回操作において、それぞれ、約95゜,約140゜とされている。
請求可能発明の実施例であるステアリングシステムの全体構成を示す図である。 上記ステアリングシステムの操作装置が有する操作反力付与装置を示す断面図である。 上記操作装置のハンドルおよびエアバッグ装置の部分を車両の左方からの視点において示す図である。 上記操作装置のハンドルおよびエアバッグ装置の部分を車両の左方からの視点において示す断面図である。 上記操作装置のハンドルおよびエアバッグ装置の部分を車両の上方からの視点において示す図である。 上記操作装置のハンドルおよびエアバッグ装置の部分を車両の後方からの視点において示す図である。 上記操作装置のハンドルおよびエアバッグ装置の部分を図3のA−A視において示す図である。 (a)は、上記操作装置が車体の一部に取り付けられた状態を示す図であり、(b)は、その取り付けられた状態において、エアバッグが展開した様子を示す図である。 上記操作装置におけるハンドルの操作位置とエアバッグ装置の動作との関係を示す図である。 上記操作装置おいてエアバッグ装置を基準回転位置に固定させるために用いられているプランジャおよびそれの動作を説明するための図である。 上記操作装置において採用可能な変形例であって、エアバッグ装置を基準回転位置に固定させるための機構についての変形例を示す図である。 上記操作装置において採用可能なハンドルについての変形例を示す図である。
符号の説明
10:ステアリング操作装置 12:転舵装置 14:連結装置 16:電子制御ユニット(ECU) 20:ハンドル 22:ステアリングシャフト 24:チューブ 26:操作反力付与装置 30:エアバッグ装置 32:サステイナ 130:ボス 132:ハンドルアーム 134:ハンドルグリップ 140:エアバッグコンテナ 142:エアバッグ 146:収容部 148:延出部 150:円環部 152:支持片部 160:プランジャ 164:圧縮コイルスプリング 166:プランジャロッド 168:ロッド当接面 180:インスツルメントパネル 182:リインフォースメント 220:ガイド溝 222:ピン 230:ピン穴 232:ピン穴 234:破断ピン

Claims (9)

  1. 車体の一部に回転可能に保持される回転中心部と、一端部がその回転中心部と連結されてその回転中心部の回転軸線と交差する方向に延びる1以上のアーム部と、それら1以上のアーム部の他端部に保持されるとともに運転者によって把持される1以上のグリップ部とを有し、車輪を転舵するために回転操作されるステアリング操作部材と、
    車両衝突の際に展開するエアバッグと、そのエアバッグを収容するエアバッグ収容器とを有するエアバッグ装置と、
    一端部が車体の一部に取り付けられるとともに前記ステアリング操作部材の回転において前記1以上のアーム部が通過可能な空間を貫通して延び、他端部に前記エアバッグ収容器が取り付けられることで、そのエアバッグ収容器を、前記ステアリング操作部材の回転中心部の運転者側に位置するように支持する支持部材と、
    前記支持部材の一端部を車体の一部に固定するとともに、前記支持部材が前記ステアリング操作部材の1以上のアーム部のいずれかに干渉してそのステアリング操作部材の回転操作が制限される場合において、前記支持部材の一端部の車体の一部への固定を解除する機能を有する支持部材固定機構と
    を備えた車両用ステアリングシステム。
  2. 当該ステアリングシステムが、前記ステアリング操作部材の回転操作範囲を、前記支持部材が前記1以上のアーム部のいずれにも干渉しない範囲と、その範囲を超える範囲との間で変更する操作範囲変更装置を備えた請求項1に記載の車両用ステアリングシステム。
  3. 前記支持部材の一端部が、車体の一部に、前記ステアリング操作部材の回転中心部の回転軸線まわりに回転可能な状態で取り付けられる請求項1または請求項2に記載の車両用ステアリングシステム。
  4. 前記支持部材固定機構が、前記支持部材の前記ステアリング操作部材の1以上のアーム部のいずれかへの干渉の際、前記ステアリング操作部材の回転操作に伴って前記1以上のアーム部のいずれかが前記支持部材を押す力によって、前記支持部材の一端部の固定を解除する構造とされた請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
  5. 前記支持部材固定機構が、車体の一部と前記支持部材の一端部との両者に固定的に係合するとともに、前記1以上のアーム部のいずれかが支持部材を押す力によって破断する破断係合部材を有する請求項4に記載の車両用ステアリングシステム。
  6. 前記支持部材固定機構が、前記支持部材の一端部を車体の一部にそれらの間に生じる摩擦力によって固定するとともに、前記1以上のアーム部のいずれかが支持部材を押す力が前記摩擦力に打ち勝つ場合に、前記支持部材の一端部の車体の一部への固定が解除される構造とされた請求項4または請求項5に記載の車両用ステアリングシステム。
  7. 前記支持部材固定機構が、自身の弾性力によって前記支持部材の一端部を車体の一部における所定位置に固定する弾性部材を有し、前記1以上のアーム部のいずれかが支持部材を押す力が前記弾性力に打ち勝つ場合に、前記支持部材の一端部の車体の一部への固定が解除される構造とされた請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
  8. 前記支持部材固定機構が、前記支持部材の一端部の前記所定位置からの変動量の増加に応じて、前記弾性部材の弾性力が増大する構造とされた請求項7に記載の車両用ステアリングシステム。
  9. 前記ステアリング操作部材の回転中心部が軸を有し、その軸が、車体の一部を構成する概して筒状の保持部材に挿入する状態でその保持部材に回転可能に保持され、前記支持部材が、前記保持部材の外周部に取り付けられる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
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