
SharePointを活用している企業では、ドキュメントライブラリへのファイル保存時に関係者へ手動で通知を送ったり、リスト項目の更新を見逃して承認が遅れたりと、手作業による非効率が課題となっています。こうした定型業務を自動化できれば、ヒューマンエラーを防ぎつつ、担当者の負担を大幅に軽減できます。
Power Automateは、SharePointと連携することで、ファイルの追加や項目の更新をトリガーに、通知・承認・データ連携といった一連のワークフローを自動実行できるツールです。ローコードで開発できるため、IT部門以外の現場担当者でも迅速にフローを構築できる点が特徴です。
本記事では、SharePointとPower Automateを連携させるメリットや、SharePoint Designer 2013ワークフローの廃止に伴う移行の必要性を整理したうえで、具体的なトリガーとアクションの選定方法、フロー作成の手順、運用時の注意点とトラブルシューティングまでを順に解説します。
目次
Power AutomateとSharePointの連携とは

Power AutomateとSharePointを組み合わせることで、SharePoint上のドキュメントやリスト項目の変化をきっかけに、通知・承認・データ連携といった業務プロセスを自動実行できます。
この章では、連携による業務効率化のメリット、SharePoint Designer 2013ワークフローの廃止に伴う移行背景、そして代表的な自動化シナリオの順に見ていきます。
SharePointとPower Automateを連携させるメリット
SharePointとPower Automateを連携させる最大のメリットは、手作業の削減とヒューマンエラーの防止です。ファイルの保存や項目の更新といったイベントを起点に、自動で通知を送信したり、承認フローを開始したりできるため、担当者が手動でメールを送る必要がなくなります。また、Microsoft 365エコシステム内でTeamsやOutlookといった他のアプリとシームレスに連携できるため、情報の受け渡しがスムーズになります。
さらに、クラウドサービスを導入している企業の約9割が、業務効率化やコスト削減などの導入効果を実感していることからも、自動化による業務改善の効果は広く認識されています。情報の蓄積だけでなく、ナレッジ共有ツールを併用することで、情報の属人化を防ぎ、組織全体で知見を活用できる体制を整えることも重要です。
プロセスの自動化に加え、蓄積された情報の「探しやすさ」も重要です。単にファイルを保存するだけでなく、NotePMのようなナレッジ共有ツールを併用することで、ファイルの中身まで検索可能になり、情報の属人化を強力に防止できます。
SharePoint Designerからの移行背景

SharePoint Designer 2013ワークフローは、長年にわたってSharePoint上の業務プロセスを自動化する標準ツールとして利用されてきましたが、Microsoftは既にこのワークフロー機能の廃止を決定しています。これに伴い、既存のワークフローをPower Automateへ移行することが急務となっています。
Power Automateは、SharePoint Designerに比べてクラウドベースでの開発が可能であり、Microsoft 365の他のサービスとの統合も容易です。また、ローコード開発環境により、IT部門以外のユーザーでも直感的にフローを作成できるため、現場主導での業務改善が進めやすくなります。
Power Automateで実現できる主な自動化シナリオ
Power Automateを活用することで、SharePoint上のさまざまなイベントをトリガーに、多様な業務プロセスを自動化できます。代表的なシナリオとしては、以下のようなものが挙げられます。
1. ドキュメントライブラリへのファイル追加をトリガーとした自動通知
ドキュメントライブラリに新しいファイルが保存されたタイミングで、関係者へ自動的にメールやTeamsメッセージを送信できます。これにより、ファイルの共有や確認依頼を手動で行う手間が省けます。
なお、自動化の目的がマニュアルやナレッジの活用である場合、ファイルの中身まで全文検索できるNotePMを活用することで、必要な情報を即座に見つけられるようになり、さらに業務効率が向上します。
2. リスト項目の更新をトリガーとした承認フロー
SharePointリストに新しい項目が追加されたり、既存の項目が更新されたりした際に、承認者へ自動的に承認依頼を送信し、承認結果に応じて次のアクションを実行できます。これにより、申請・承認業務の進捗管理が効率化されます。
SharePointコネクタのトリガーとアクション

Power Automateでフローを構築する際の基本要素は、トリガーとアクションです。トリガーはフローの起動条件を定義し、アクションは起動後に実行される具体的な操作を指します。この章では、SharePointコネクタで利用できる主要なトリガーとアクション、そして業務シナリオ別の選定ガイドを順に解説します。
SharePointで使える主要なトリガー
SharePointコネクタには、SharePoint上のイベントをフローの起動条件として利用できる複数のトリガーが用意されています。代表的なトリガーとして、「アイテムが作成されたとき」「アイテムが変更されたとき」「ファイルが作成されたとき」などがあり、それぞれ起動条件が異なります。
1. 「アイテムが作成されたとき」トリガー
SharePointリストに新しい項目が追加された際にのみフローが起動します。既存項目の更新では起動しないため、新規登録時の処理に特化したい場合に適しています。
2. 「アイテムが変更されたとき」トリガー
SharePointリストの既存項目が更新された際にフローが起動します。新規作成時には起動しないため、更新イベントのみを検知したい場合に使用します。
3. 「ファイルが作成されたとき」トリガー
ドキュメントライブラリに新しいファイルがアップロードされた際にフローが起動します。ファイルの自動仕分けや通知に利用できます。
SharePointで使える主要なアクション
SharePointコネクタには、SharePoint上のデータを操作するための多様なアクションが用意されています。これらのアクションを組み合わせることで、複雑なデータ操作を自動化できます。
1. 項目の取得
SharePointリストから特定の項目を取得し、その情報を後続のアクションで利用できます。条件に合致する項目を検索する際に使用します。
2. 項目の作成
SharePointリストに新しい項目を追加します。他のシステムから取得したデータをSharePointに登録する際に利用できます。
3. 項目の更新
SharePointリストの既存項目を更新します。承認結果をリストに反映する際などに使用します。
4. ファイルのコピー
ドキュメントライブラリ内のファイルを別の場所にコピーします。ファイルの自動仕分けやバックアップに活用できます。
トリガーとアクションの組み合わせで何ができるようになる?
実際の業務シーンでは、目的に応じてトリガーとアクションを適切に組み合わせる必要があります。ここでは、代表的な業務シナリオごとに推奨される構成パターンを紹介します。
1. 承認フロー
承認フローを構築する場合、「アイテムが作成されたとき」トリガーと「承認の開始」アクションを組み合わせるのが基本構成となります。リストに申請項目が追加されると、自動的に承認者へ承認依頼が送信され、承認結果に応じて次のアクションを実行できます。
2. 通知自動化
ファイルが追加された際に関係者へ通知を送る場合、「ファイルが作成されたとき」トリガーと「メールの送信」または「Teamsにメッセージを投稿」アクションを組み合わせます。これにより、手動での通知作業が不要になります。
3. データ連携
SharePointリストの項目を他のシステムへ連携する場合、「アイテムが作成されたとき」トリガーと、連携先のコネクタ(ExcelやDataverseなど)のアクションを組み合わせます。これにより、手動でのデータ転記作業が削減されます。
Power AutomateでSharePointフローを作成する手順

この章では、実際の操作画面に沿って、フロー作成からテスト実行までの流れを解説します。トリガーの選択、アクションの追加、条件分岐の設定、テスト実行の順序で進めることで、初心者でも迷わずフローを構築できます。
トリガーの選択と基本設定
フロー作成の第一歩は、フローの起点となるトリガーを選択することです。Power Automateのホーム画面から「作成」を選択し、「自動化したクラウドフロー」を選びます。次に、SharePointコネクタから目的に合ったトリガーを選択します。
1. サイトアドレスとリスト名の指定
トリガーを選択したら、対象となるSharePointサイトのURLとリスト名を指定します。サイトアドレスは、SharePointサイトのトップページURLを入力し、リスト名はドロップダウンから選択できます。この設定が正しくないと、フローが正常に動作しないため、慎重に確認してください。
2. トリガーの詳細設定
トリガーによっては、追加の設定項目が表示される場合があります。たとえば、「アイテムが作成されたとき」トリガーでは、特定のフォルダのみを監視対象にするといった絞り込みが可能です。必要に応じて設定を調整してください。
アクションの追加と動的なコンテンツの利用
トリガーの設定が完了したら、次にアクションを追加します。「新しいステップ」をクリックし、実行したいアクションを検索して選択します。アクションの設定では、前段のステップで取得したデータを「動的なコンテンツ」として利用できます。
1. 動的なコンテンツの挿入
動的なコンテンツを使用することで、登録されたアイテムのタイトルや作成者名をメール本文等に自動挿入できます。たとえば、「メールの送信」アクションの本文欄に、トリガーで取得した「タイトル」フィールドを挿入すれば、アイテムごとに内容が自動的に変わるメールを送信できます。
2. 複数アクションの連結
1つのフローに複数のアクションを追加することで、より複雑な処理を自動化できます。たとえば、「項目の取得」で情報を取得し、その情報を「メールの送信」で通知する、といった流れを構築できます。
条件分岐とフローのテスト実行
フローに条件分岐を追加することで、取得したデータの内容に応じて異なる処理を実行できます。また、フローを保存する前にテスト実行を行い、正しく動作するか確認することが重要です。
1. 条件アクションの設定
「条件」アクションを追加すると、「はいの場合」と「いいえの場合」の2つの分岐を作成できます。たとえば、「ステータス」フィールドが「承認待ち」の場合のみ承認依頼を送信する、といった制御が可能です。
2. テスト実行とデバッグ
フローの設定が完了したら、画面右上の「テスト」ボタンをクリックしてテスト実行を行います。テスト実行機能を活用することで、エラー箇所の特定や変数の値の推移を詳細にデバッグできます。エラーが発生した場合は、該当するアクションの設定を見直してください。
SharePointとPower Automate運用時の注意点

フローを本番環境で運用する際には、権限設定やエラーハンドリング、SharePoint特有のしきい値制限など、いくつかの注意点があります。この章では、安定稼働を実現するためのベストプラクティスとして、権限設定とエラーハンドリング、しきい値制限とページネーション設定、ライセンス・共有設定・高度なカスタマイズの順に解説します。
権限設定とエラーハンドリング
フローを実行するアカウントには、対象のSharePointサイトやリストへの適切なアクセス権限が必要です。権限が不足していると、フローの実行時にエラーが発生します。また、エラーが発生した際に迅速に対応できるよう、エラー通知の仕組みを構築しておくことが重要です。
1. 接続アカウントの権限確認
フローの接続に使用するアカウントには、対象のSharePointサイトへの適切なアクセス権限が必要です。特に、リスト項目の作成や更新を行うアクションを含む場合は、編集権限が必要になります。権限が不足している場合は、サイト管理者に依頼して権限を付与してもらってください。
2. スコープ機能によるエラー検知
Power Automateの「スコープ」アクションを使用すると、複数のアクションをグループ化し、いずれかのアクションでエラーが発生した際に、まとめてエラーハンドリングを行えます。スコープの後に「条件」アクションを追加し、スコープの結果が「失敗」の場合に管理者へエラー通知を送信する、といった構成が推奨されます。
しきい値制限とページネーション設定
SharePointリストには、1回のクエリで取得できる項目数に制限があります。この制限を超えるデータを取得しようとすると、エラーが発生したり、一部のデータが取得できなかったりする可能性があります。大量のデータを扱う場合は、ページネーション設定を活用して対応する必要があります。
1. 5000件制限への対策
SharePointリストには、ビューやクエリで一度に取得できる項目数が5000件までという制限があります。この制限を超える場合は、「項目の取得」アクションの設定で「上位」の件数を調整するか、フィルター条件を追加して取得対象を絞り込む必要があります。また、ページネーション設定を有効にすることで、複数回に分けてデータを取得できます。
2. 専用ツールの併用
SharePointの5000件制限を気にせず大量のドキュメントを管理・検索したい場合は、ナレッジ管理に特化した専用ツールの併用を検討するのも一つの選択肢です。こうしたツールは、SharePointと連携しながら、より柔軟な検索やデータ管理機能を提供します。
特にNotePMのようなツールであれば、強力な検索機能と柔軟なフォルダ構造により、大規模なドキュメント管理でもストレスなく運用できます。
ライセンス・共有設定・高度なカスタマイズ
Power AutomateとSharePointの連携は、基本的にはOffice 365ライセンス内で利用できますが、一部の高度な操作や大量のフロー実行には追加ライセンスが必要となる場合があります。また、フローを他のユーザーと共有する際の設定や、標準アクションで対応できない場合のREST API活用についても理解しておく必要があります。
1. ライセンスの確認
標準的なSharePoint連携フローは、Office 365のライセンスに含まれるPower Automateの範囲内で利用できます。ただし、一部の高度な操作や、大量のフロー実行を行う場合は、追加ライセンスが必要となることがあります。詳細は、Microsoftの公式ライセンスガイドを確認してください。
2. フローの共有設定
作成したフローは、他のユーザーと共有することができます。フローの編集画面から「共有」を選択し、共有したいユーザーのメールアドレスを入力すれば、そのユーザーもフローを実行したり編集したりできるようになります。ただし、共有先のユーザーにも対象のSharePointサイトへのアクセス権限が必要です。
3. REST APIによる高度なカスタマイズ
標準のSharePointアクションで対応できない複雑な操作が必要な場合は、「HTTP要求を送信してSharePoint」アクションを使用して、SharePoint REST APIを直接呼び出すことができます。これにより、標準アクションでは実現できない細かな制御が可能になります。ただし、REST APIの利用には一定のプログラミング知識が必要です。
SharePointとPower Automateの連携まとめ

SharePointとPower Automateを連携させることで、ドキュメントライブラリやリストの操作を起点とした業務プロセスを自動化し、手作業の削減とヒューマンエラーの防止を実現できます。本記事では、連携のメリットやSharePoint Designerからの移行背景、トリガーとアクションの選定方法、フロー作成の具体的な手順、運用時の注意点とトラブルシューティングまでを解説しました。
自動化を進める際は、まずは身近な通知や承認フローから小さく始め、徐々に他のアプリ連携やナレッジ共有ツールとの統合へ広げていくのが成功の鍵です。トリガーとアクションの組み合わせを理解し、テスト実行を繰り返しながら、自社の業務に最適なフローを構築してください。
また、自動化による効率化とナレッジ集約を組み合わせることで、組織全体の生産性を最大化できます。SharePointの運用制約を補完し、より快適な情報共有環境を作りたい場合は、NotePMの導入も併せて検討してみてください。