📖 チラシの裏

手首の傷
 むかし、HTMLタグの載った本を見ながらホームページを作っていたころ。
 本屋へ行って技術書のコーナーを覗いたら、少女が棚に手を伸ばしているところだった。少女が手にとった本の表紙に、ホームページの作り方と書いてあった。あのひともホームページを作るんだなとおもって、僕はひとりでなんだか親しい気持ちになった。ところが、本を引き抜く少女の手首には、赤黒い傷跡が何本も引かれているのが見えた。僕はどきりとして、その場を離れた。
 傷だらけの腕で、少女はどんなホームページを作るのだろうと僕はおもった。こんな遠い昔の一場面が、さいきんホームページを作り始めて、ふと、よみがえった。
 今、ホームページをつくっている僕も、あなたも、やっぱりどこかに傷を持っているんだろうか。

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