「高齢の親の誕生日にケーキいらないって言われた」
「親が高齢だと誕生日にお祝いのメッセージできるのいつまでだろうって思う」
高齢の親の誕生日をお祝いする人はどのようにしているのか。SNSでは上記のような声もある。さらにこんなちょっと切ない声もあった。
「母の誕生日にお祝いをしたらすごく喜んでくれた。でも明日には忘れちゃうんだろうなあ」
高齢になってあまり食べられなくなったり、認知症になって忘れてしまったり……。お祝いをしてあげたいと思っても、結構難しいことが多くなるものだ。
認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父と暮らしていたにしおかすみこさんも同じように母の誕生日のお祝いの仕方も考えていたひとりだ。しかし、お母さんは認知症で、にしおかさんがなぜか無職だと思っていた。つまり「お祝い=お金がかかる」と思っているのでややこしい。
さて、にしおかさんの連載「ポンコツ一家」は2020年から家族と暮らしている様子を2021年9月から連載してきた。1年前のことをつづり、これまでに『ポンコツ一家』『ポンコツ一家2年目』という書籍になっている。
連載は毎月20日に公開しているが、2025年11月20日に更新の直前、にしおかさんのお母さんが天国に旅立ってしまった。そして11月19日に出演したNHK「あさイチ」にて、にしおかさんは「数日前に母が亡くなって今、まさに姉と私がどう幸せに生きていくかっていうのが絶賛、迷子中なんですよ」とコメントしたのだった。
認知症であっても、ダウン症の姉のことはお母さんがサポートしていた。これからはにしおかさんがお姉さんとともにどう生きていくかを考える必要があるのだ。
先月の連載では、お母さんが亡くなった当日のこともつづったにしおかさん。連載53回は、1年前の誕生日の話から、「今」のことも……。
「そろそろママの誕生日だけど」
2024年12月某日。
母がふいに言う。
「ねえ。そろそろママの誕生日だけど。あんた、それを口実に、鰻、食べに行こうと企んでない?」
お、勘がいい。口実ではない。84歳のお祝いを兼ねて、姉も連れて外食はどうかな、とは思っていた。
「鰻がいいの?」と聞くと、
「やだやだやだ。絶対やめてね。去年だったっけ? お姉ちゃんとふたりで、お店に食べに行ったことがあったんだけど、頼んでもいないフルコースが勝手に出てくるしさ。お姉ちゃん、食べるの遅いから、店の人もイライラしちゃうんじゃない?まだ口つけてるお椀をサッとかっさらうように持ってかれちゃって。はぁ~あ。疲れるし、ぼったくられるし。いくら美味しくても食べた気がしなかったよ。ね、お姉ちゃん。あれは散々だったね」と、横の姉に話を振る。
いたのか、というくらい気配を消していた。その姿は、ピンクの座椅子からずり落ち、おまえは薄汚れたラグマットかというくらい、仰向けでだらしなく寝そべっている。
そして、コクリと頷いたのか、頭だけ起こしたかったのか、二重顎を作ったまま「と、とらうまなの」。
急に調子を合わす天才だ。そして、全くのでたらめだ。親子で勝手な妄想と虚偽のフルコースを完成させている。
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お笑いタレント
にしおか すみこ
1974年生まれ。千葉県出身。
2007年日本テレビ「エンタの神様」で女王様キャラのSMネタでブレイク。
春風亭小朝師匠の指導のもと落語に挑戦。高座名は「春風こえむ」
著書には自叙伝エッセイ「化けの皮」を出版。
現在ではTBS「ひるおび」、テレビ東京「なないろ日和!」など、コメンテーター、リポーターとしても活躍中。
趣味のマラソンでは、2019年にフルマラソンで3時間05分03秒、
2015年ウルトラマラソン100㎞女子の部にて第2位!!
最近はベジタブルカービングにハマりクオリティーの高さで話題になる。