あのスーザン・ボイルを輩出したイギリスの超人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント(BGT)」に出場、日本人初の決勝進出を果たしたことで話題のとにかく明るい安村。会場のスタンディングオベーションで予選を突破し、準決勝では敗退したもののワイルドカード枠で、全世界から選ばれた11組目として決勝に進出。優勝は逃すも会場を大いに沸かせ、審査員や観客、視聴者たちから大絶賛を浴びた。
【準決勝でのパフォーマンス。とにかく明るい安村さんは13分55秒ごろからです↑】
この安村の例をヒントに、ネイティブは誰でも知っているけれど、日本人は知らずに損している王道のコミュニケーション術を、オンライン英語教室の代表・廣津留真理さんに語っていただいた。
新刊『ハーバード生たちに学んだ 「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』で、英語を使う場面で日本人がコミュ力を発揮するのが難しい理由とその克服法を語っている廣津留さん。安村のネタが受けたのは、英語圏の人々がコミュニケーションの基礎にしている3つのロジックにハマっていたからだと分析する。
ディリーゴ英語教室代表/一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)代表理事/株式会社ディリーゴ代表取締役。早稲田大学卒業。一人娘のすみれさんは、大分の公立高校から塾なし留学経験なしでハーバード大学に現役合格&首席卒業。英語指導歴30年超えの実績と娘への家庭内での学習指導経験を踏まえて編み出した独自の「ひろつるメソッド」を確立。英語教室やセミナーにて、これまで1万人以上を指導。現役ハーバード生が講師陣のサマースクールSummer in JAPANは、2014年、経済産業省の「キャリア教育アワード奨励賞」受賞。「羽鳥慎一モーニングショー」「徹子の部屋」(テレビ朝日系)、「セブンルール」(カンテレ・フジテレビ系)などメディア出演多数。子ども向け英語アプリ「UFOたぬきイングリッシュ」、英語経験ゼロの子も1冊で長文読解までできるようになるドリル『英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』 、娘と実践した家庭学習メソッドを公開した『成功する家庭教育 最強の教科書』も好評。新刊『ハーバード生たちに学んだ 「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』が発売に。https://dirigo-edu.com
安村はなぜ英国人の心をつかんだのか?
カタコト英語でも、爆発的にウケたエンタメには学びがあります。その理由は大きく言って3つあります。
安村がウケた理由・その1:安心感
イギリスの子どもたちが、親が歌い、読むそのリズムを聞いて、真似して口ずさんで育つのがマザーグースに代表されるナーサリーライム(童謡)。単純なフレーズを韻を踏んでリズミカルに繰り返すのが定番です。たとえば、日本の子どもたちもよく歌いながら遊ぶ「ロンドン橋」。原曲はこんなふうです。
London Bridge is falling down,
Falling down, falling down.
London Bridge is falling down,
My fair lady.
falling downというフレーズの繰り返しですね。イギリス文化のルーツともいえるマザーグースによって、イギリス人の心には、繰り返しとリズムがもたらす安心感が刷り込まれています。日本で言うと「いないないばあ」を何回繰り返しても赤ちゃんが喜ぶのと同じです。
安村さんのネタも、“Don't worry! I’m wearing.”の繰り返し。これが、イギリス人の子ども時代からの刷り込みに火をつけたのではないでしょうか。違うことや予期せぬことが起きず、最後まで進む、という安心の中で、少しだけ変化を楽しむのが娯楽の極意です。
「水戸黄門」や、シリーズものの刑事ドラマがそうですね。悪者が入れ替わり立ち替わり登場しますが、最後は必ず水戸黄門や、はぐれ刑事が解決してくれると分かっているから、我々は安心して見ていられるのです。
つまり、安村さんが何者かを演じる→nakedになる→“Don't worry! I’m wearing.”のループで、安心の中で小さなハプニングを楽しむ状況が発生していたわけです。