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第6回松下幸之助杯スピーチコンテスト決選大会の「審査結果と講評」

開催趣意

 松下幸之助は、パナソニックホールディングス株式会社を創業した実業家であるとともに、PHP研究所や松下政経塾を設立するなど思想家・哲学者・教育者としても多くの事績を残しました。その生涯の中で、「自分たちの使命は、この世から貧乏をなくし、豊かな社会をつくることにある」という志を掲げました。
 世界が地球的課題に直面している一方、日本もまた国内外に多くの社会課題を抱えています。「松下幸之助杯スピーチコンテスト」では、松下幸之助の志を次世代につなげるとともに、将来、日本や世界のリーダーとして、未来を切り拓いていく長期的なビジョンを描き、それを実践しようとする青少年を応援します。

決選大会の模様

第6回松下幸之助杯スピーチコンテスト 決選大会【Edit版】

スピーチテーマ

「2050年の日本や世界のビジョンと実践」~SDGsのその先を描こう~
将来のリーダーとして目指す「2050年の日本や世界に向けたビジョン」を描くとともに、「SDGsの17の開発目標」もしくは「日本や世界が直面する社会課題」について少なくとも1つを提起して、課題解決に向けた具体的な実践活動を5分以内でスピーチする。

※応募部門について
【ビジョン&アクション部門(一般)】
テーマである「2050年の日本や世界に向けたビジョン」を示し、そのビジョンに向けてこれまでに実践してきた具体的なアクションを盛り込んだスピーチが対象となる部門です。中学生から35歳までのすべての人が応募対象であり、掲げるビジョンの背景や、アクションのプロセスや成果、今後の展望などを魅力的に発表してください。

【ビジョン&アイデア部門(ユース)】
18歳以下のユース世代が応募対象の部門です。共通テーマである「2050年の日本や世界に向けたビジョン」を示し、そのビジョンに向けてこれからチャレンジしていきたい活動や、実現したい社会像についての「アイデア」について、自由に発表してください。(なお、これまでの活動実績は必須ではありませんが、「アイデア」の具体化や説得力を高めるため、これまで実施したアクションをスピーチに盛り込むことは評価の対象になります)

※チラシ(PDF)はこちら

決選大会の審査結果

■ 松下幸之助杯(最優秀賞)
 (ユース部門:賞状及び副賞10万円)
森孟子さん(西大和学園高等学校)
 「コドモの力で育てる未来―KANSAI CHILDREN CARES」
<選評>
コドモが「育てられる側」から「育てる側」へ転換する未来像を描く情熱的なスピーチに加えて、質疑応答のすばらしさも光っていました。その堂々とした存在感と伝える力は、ファイナリストの中でも群を抜いており、自身のビジョンを社会に届けるための高い資質を感じさせます。
自分の可能性を信じ、自らの足で未来を切り拓いていこうとする強い意志は、多くの若者の指針となるものです。今後もどのような困難に直面しても、自分を律し、志に向かって邁進する「自主自立」の精神を体現し続けてくれることを期待し、最優秀賞に選出しました。

 (一般部門:賞状及び副賞20万円)
岩下唯愛さん(熊本大学)
 「形だけの『共生』ではなく、本当の『誰も取り残さない』社会を目指すために」
<選評>
障害当事者としての強いメッセージを、魂の籠もったパワフルな言葉で届けたスピーチでした。「文化・芸術という本来すべての人に平等なはずのものが、なぜ平等に手にすることができないのか。」ご自身の実体験に基づいた一言一言には深い説得力があり、社会の在り方を問い直す大きな力を秘めています。
自身の信念を曲げることなく、理想の実現に向けて真っ向から立ち向かおうとする熱量に満ちあふれた姿は、聴衆に深い感銘を与えました。自らの原点を忘れず、初志を貫き通そうとするその「素志貫徹」の精神を高く評価し、最優秀賞にふさわしいと判断しました。

■ パナソニック杯
 (ユース部門:賞状及び副賞5万円)
東恩納沙奈さん(那覇国際高等学校)
 「絵本が導く新しい性教育~人権が守られる社会に向けて~」
<選評>
「性教育」という、日本社会において重要かつ困難な課題に対し、自らの体験を糧として真っ向から向き合う志が示されました。若い世代が直面するリアルな課題を言語化し、解決に向けた具体的なビジョンを掲げる姿は、社会を動かす一石となるものです。
誰もがためらう分野において、自らが先陣を切って一歩踏み出し、新しい社会の扉を開こうとする「先駆開拓」の精神を強く感じさせます。その揺るぎない志が、これからの日本をより良く変えていく原動力となることを願っています。

 (一般部門:賞状及び副賞10万円)
石和恵凜歌さん(福岡大学法科大学院)
 「届かぬ教室に光を~制度と空間を変える包括的四位一体モデル~」
<選評>
教育の不平等という複雑な社会課題に対し、多角的な視点から非常に真摯かつ論理的に向き合ったスピーチでした。「制度のはざまにこぼれ落ちてしまう子どもを救うために何が必要なのか。」物事の本質を捉えようとする深い洞察力と、自分自身の意見を丁寧に構築していくプロセスには、高い信頼感と説得力が宿っています。
身の回りに起きるあらゆる事象を自らの学びへと変え、より良い社会の構築に繋げようとする誠実な姿勢は、まさに「万事研修」の精神そのものです。そのたゆまぬ研鑽と歩みが、多くの人々に希望を与える礎となることを確信しています。

■ 優秀賞
 (全体を通して選出:賞状及び副賞3万円)
小森龍太郎さん(灘高等学校)
 「争いから、理解へ ―対話が紡ぐ平和―」
<選評>
模擬国連での取り組みをはじめ、さまざまな活動に従事する中で培われた、「対話」の可能性とその先の平和な未来を信じる強い意志がスピーチ全体から溢れていました。困難な状況にあっても希望を捨てず、情熱を持って行動し続ける姿は、周囲を勇気づけ、社会を変える確かなエネルギーを感じさせます。
自らの活動を支えてくれる人々への思いを大切にし、共に手を取り合ってより良い未来を築こうとする「感謝協力」の姿勢を高く評価しました。これからもその温かな志を携え、多くの人々を笑顔にする道を歩み続けてほしいと願います。


■ 奨励賞
 (賞状及び副賞:松下幸之助著書)
橋場夢唯さん(N高等学校)
佐藤奏春音さん(N高等学校)
西田尚樹さん(N高等学校)
石野祥子さん(長崎大学大学院/アジアパシフィックアライアンス)
西岡春菜さん(東京大学大学院)

※出場順に掲載しています。
※それぞれの選評に含まれている「素志貫徹」「自主自立」「万事研修」「先駆開拓」「感謝協力」は松下政経塾の「五誓」です。

審査員による講評

佐伯聡士様(読売新聞東京本社 取締役・論説委員長)※審査員長
皆さん、長時間本当にお疲れ様でした。130名という多くの参加者の中から選ばれた10名のファイナリストによるスピーチ。毎年審査は非常に困難を極めますが、今年も「胃が痛くなるほど」難しい選考でした。
人に聞いていただく話、そして「記憶に残るスピーチ」をすることは本当に難しいことですが、皆さんの言葉は確実に私たちの記憶に残りました。本当に素晴らしかったと思います。
私が勤めている読売新聞社では、年に一度、国際協力に多大な貢献をした方々を表彰する「読売国際協力賞」を贈っています。私は以前の部署で3年間、その事務局を務めていました。
その3年間、受賞される方々を見ていて共通して感じたことがあります。それは、皆さん「底抜けに明るい」ということです。どんな困難にもめげず、圧倒的な行動力と諦めない粘り強さを備えている。今日、皆さんのスピーチを聞きながら、皆さんの中にもその同じ力がひしひしと備わっていることを確信しました。
現在、私は論説委員会で「社説」を担当しています。社説とは新聞の論調、いわゆる「社論」の中核をなすものです。日々の仕事の中で強く感じるのは、これまでの数十年にはなかったような出来事が、毎日のように次々と起きているということです。
私たちはこれを「地殻変動」と呼んでいますが、戦後80年にわたって続いてきた国際秩序が今、大きく揺らいでいます。日本を取り巻く状況は確実に厳しさを増しており、国内に目を向けても、政党の多党化が進むなど、政治も大きな正念場を迎えています。
このような「大転換期」にあるからこそ、今回スピーチコンテストに参加された皆さんのように、日頃から地域や社会、そして国際情勢に幅広く関心を持ち、「自分の意見を育てる」ことが極めて重要になっています。その姿勢こそが、国政選挙における「投票」という自らの意思表示、具体的な行動へとつながっていくのだと思います。
今、SNSでは正しい情報も偽の情報も氾濫しています。だからこそ、若い皆さんには、ぜひ複数の新聞の社説を読み比べてみてほしいのです。異なる視点に触れることで、情報を読み解く力を養い、自分自身の意見を確立していってください。
本日は、本当に素晴らしいスピーチをありがとうございました。皆さんのこれからの歩みを応援しています。

辰野まどか様(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)代表理事/ファウンダー)
ファイナリストの皆様、改めて素晴らしいスピーチをありがとうございました。
皆様のお話を伺って改めて感じたのは、語られていることが単なる「個人の夢」にとどまっていないということです。自分以外の人たちも笑顔にしていく、まさに「志」を共有していただいたと感じ、深く感銘を受けました。
先ほど「スピーチは対話である」というお話もありましたが、対話にはいくつかの段階があります。表面的な言葉のやり取りや、なんとなく意思疎通を図る段階を超えた「本当の深い対話」とは、互いの心が揺さぶられ、共感で人がつながるものです。今日、お一人おひとりのスピーチは私の胸に深く響きました。皆様と非常に質の高い、素晴らしい対話ができたことを光栄に思います。
私は最近、『世界のとびらの開き方』という本を出版しました。そこで伝えたかったことはたった一つ。「世界の扉を開くには、コンフォートゾーンを出よう」ということです。
コンフォートゾーンとは、学校や仕事といった日常の中にある、自分が想像できる範囲内の安全な場所を指します。しかし、そこを一歩踏み出すと「ラーニングゾーン」が待ち受けています。そこは、自分とは違う価値観に出会い、時には自分を否定されることもある、勇気のいる場所です。
しかし、人はそこでこそ、ものすごく成長します。自分の志を見つけるためにも、このラーニングゾーンに踏み出すことが不可欠です。今日ここに立つファイナリストの皆さんは、すでにコンフォートゾーンを抜け出し、心を揺さぶられながらも自分の道を進んでいます。その姿は、多くの人々にとって素晴らしいロールモデル、お手本になるはずです。
最後になりますが、皆さんは「2030年以降のSDGs」がどうなるかをご存知でしょうか。あと5年で目標年を迎えますが、実は次の計画については、「2027年に新しい国連事務総長が就任するまで公には話されない」ことになっています。
現在、SDGs達成に向けて軌道に乗っているのは18%程度と言われています。国連としては、次のゴールを提示するよりも、まずは2027年まで今の目標に集中してほしいという思いがあるようです。
しかし今日、皆さんのスピーチを聞いて確信しました。私たちは国連やSDGsの更新を待つ必要はありません。なぜなら、ここには皆さんが自ら考え抜いた「オリジナルのビジョン」があるからです。それこそが、私たちにとって最も大切な「真のゴール」なのだと感じました。
これから先、もし苦しい時期が来たら、皆さんが今回作り上げた「スピーチ原稿」を読み返してみてください。これだけの時間をかけて練習し、暗記するほど読み込んだこの原稿は、一生ものの宝物です。将来、何かを諦めそうになった時、当時の自分の意識の高さや熱量に、きっと勇気をもらえるはずです。私自身も、高校時代に書いた言葉が、今でも自分を支えてくれています。
一生懸命書いたその原稿と、今日切磋琢磨した10人の仲間を大切にしてください。ここで出会った仲間たちは、これから必ず素晴らしいシナジーを生み出し、応援し合える存在になります。
自分で書いた言葉を信じ、仲間と手を取り合って、SDGsを超えた新しい未来を一緒に作っていきましょう。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

井手 英策様(慶應義塾大学経済学部教授)
皆さん、今日はお疲れ様でした。清々しい顔、悔しそうな顔、あるいは嬉しそうな顔……「今」の皆さんはどのような心境でしょうか。
昨今の日本社会を見渡すと、甲乙丙丁の「丙丁つけがたい」ことばかりですが、今日の皆さんのように「甲乙つけがたい」素晴らしいスピーチ、その中でも特に優れたものが集まる場に参加させていただけたことを、心から嬉しく思います。本当にありがとうございます。
若い皆さんのスピーチには、ビジョンや夢、目標、そして志や思いが詰まっています。だからこそ私は、あえて自分の人生における「非常に恥ずかしい話」をしようと思います。普段なら絶対に話さないようなお話です。
私は政策に関わる機会が多く、数年前にある大手新聞社から政策についての取材を受けたことがありました。その時、政府内で政策を作っている友人の顔がふと頭に浮かんだのです。結局、私はその取材を断りました。実は、これが私の人生で唯一の経験でした。
本来、学者は常に自由に発言すべき存在です。どのような立場であっても、語るべきことを曲げてはいけません。たとえ友人が傷つくことになったとしても、真実を話さなければならないのです。しかしその時の私は、友人を批判するのが可哀想に思えてしまい、取材を断って別の学者を紹介してしまいました。
その日の夜、私は涙で眠れませんでした。「なんてことをしてしまったんだ」と。
若い時は自由に発言できますが、年を重ねると「しがらみ」が生まれます。あの人の顔、この人の顔が浮かび、本当に言いたいことが言えなくなってしまう。生きるということは本当にしんどいものです。自分の発言の自由を守ろうとすれば誰かを傷つけ、誰かを守ろうとすれば、言いたくないことを言わなければならなくなる。
その狭間で、当時の私は「黙る」という選択をしました。そして、その自分の行為の恥ずかしさに涙を流したのです。「二度とこんなことはしない」と心に決めたのです。
今の皆さんは、自由に夢や希望、志を語ることができます。そんな時期は人生の中でそう長くはありません。いずれあなたたちも年を取り、私と同じように「態度を決めなければならない瞬間」が必ずやってきます。
誰かを傷つけるのか、自分を曲げるのか、あるいは黙って知らんぷりをするのか。
その時が来るまでは、どうか自分の夢や志を、大きな声で堂々と語り続けてください。ただし、いつか態度を決めなければならなくなった時、「将来こんな人になりたい」「こんな社会を作りたい」という言葉は何の答えにもなりません。
その瞬間に問われるのは、「今、この瞬間に、自分はどんな人間でありたいのか」ということです。
人を傷つけてでも信念を貫くのか、あるいは嘘をついてでも人を守るのか。それとも、黙って見て見ぬふりをするのか。その状況下で「どんな人間でいたいか」が問われるのです。
今日は皆さん、一生懸命準備をしてこられたことでしょう。もしかしたら、すべてが100%の本音ではなく、賞を取るために少し大きく語ったり、工夫したりした部分もあるかもしれません。
気持ちはわかります。でも、これからは、なるべくそうしたことはしないでください。賞を取るための発言には、意味がないからです。
自分が話した言葉を一生背負い、その道を貫いていく。その過程で必ず壁にぶつかった時、「今、自分はどうありたいのか」が問われます。答えを未来に先送りせず、今この瞬間の自分をしっかり考えてください。
今回のこの場が、皆さんのこれからの人生を大きく揺り動かす「発火点」になることを願っています。私たちの言葉を受け取って、皆さん自身の内側から火が灯るような、そんな日になれば嬉しいです。
皆さんのますますのご活躍を期待しています。頑張ってください。

主催・後援・協賛

主催:公益財団法人 松下幸之助記念志財団
後援:文部科学省、読売新聞社、株式会社PHP研究所、神奈川県、神奈川県教育委員会
協賛:パナソニック ホールディングス株式会社
協力:ソーシャルアクションカンパニー株式会社

お問い合わせ先

松下幸之助杯スピーチコンテスト事務局
E-mail:seikei@mskj.or.jp
※恐れ入りますがメールでお問い合わせください。

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