チームを信じて、チームが目指したものを作ることに集中した
トロフィーを手にする脚本家・大石静氏
大石静反響はいろいろなところで聞きましたし、目にもしました。でも脚本を書いている時に、そういった声に耳を傾けることはないです。プロデューサー、監督、役者たち、スタッフとのチームを信じて、チームが目指したものを作ることに集中しています。ただ、外を歩いていて、『大恋愛』の話をしている人がいたりすると、励みになりますね。
――最近は、SNSなどの声を参考にする向きもあるようですが、そういったこととは無縁だったんですね。
大石静そこでブレたら何もできないと思っています。チームがやりたいこと、私らしさを見つめ続けていかないと、筋の通ったものはできません。
――『大恋愛』というタイトルで、ラブストーリーに真正面から取り組んだ恋愛ドラマでした。
大石静『大恋愛』という大仰なタイトルは最初はイヤだったのですが(笑)、終わってみればふさわしいドラマだったと思っています。ラブストーリーの王道とよく言われるんですけど、私には何が王道なのかよくわからないです。そもそもドラマは、今を生きている私たちが現代劇を作るわけですから、いまの時代性が反映されていないはずがない。古いとか、新しいとか、今を切り取っているかとか、あれこれ評する人はいますが、本来ドラマの使命は、普遍的な人間の心の奥底を描くことだと、私は思っています。当然それは、30年前、50年前のものと表層は違いますが、親子の問題、夫婦の気持ち、人が人を愛する想いなどは普遍的な感情です。だから、“王道”とか“新しさ”といったことは、意識したことがないです。このドラマ賞では、『今日から俺は!!』が作品賞を受賞されていますが、この作品が描く若者の炸裂するエネルギーや、鬱屈した思いのようなものだって、ずっと昔からある普遍的なものじゃないでしょうか。料理の仕方は福田(雄一)さん独特のものですが。